家の中に入ると、足の力が全て抜け落ちたかのようにズルズルと情けなく座り込んでしまう。



大きく息を吐く。


何故か息苦しかった。


噎せ返る様な彼とあの子の精液の臭いがまだ鼻腔の奥に残っていて胃の中の物が迫り上がってくる。


「…はっ」


落ち着こうと息を吸い込もうと試みるが失敗に終わった。


目頭が熱く、喉がヒリヒリと痛む。


「ああ…」


ぽたり、涙が床に落ちた。


その時やっと僕は理解していた振りをしていただけだと分かった。


彼には彼の“運命”がいると理解していたはずなのに、いつか離れていくと分かっていたはずなのに、僕を大切にしてくれる彼が、愛していると囁いてくれる彼が、僕以外を選ぶことはないと高を括っていた。


「馬鹿なのは僕の方だ」


胸がどくどくと煩い。


情事を見ていた時は何も感じなかったのに1人になった所で悲しみ、後悔が襲ってくる。


僕がΩだったなら、彼の運命だったなら…。


両親に悪いことなんて無いのに自分の性を呪った。