「ひーかーるー。」
「絶対あきまへんて。」
年上彼女と、嫉妬と、俺と、
俺の横で駄々をこねているのは、彼女でありマネージャーである名前先輩。
「なんであかんの?」
「ムカつくからに決まってますやん。」
「なんでなん?」
「なんでって…何が楽しくて、大事な彼女をそんなむさい男だらけのとこに行かせなあかんのんすか。」
今名前先輩と話してるのは、合同合宿の話。
マネージャーである名前先輩も行くことにはなっとるんやけど、俺達だけやなくて、他の学校の連中の世話もすることになっとった。
俺の目の届かない範囲で男だらけやなんて…考えられへん。
「そんなこと言うたら、男テニのマネ自体あかんやんか!」
「そこまで言うてへんけど、うちの学校までが限度やって。」
「あんま変わらへんやんかー!」
「変わりますて。
うちの学校だけならまだ俺がちゃんと守ってやれますけど、他校まで入って、しかも俺が練習中とかやったら尚更守るの難しくなるやないっすか。」
「あたしそんな狙われるほど可愛くないから大丈夫やって!」
…これやから困る。
全然わかってへん。
俺がどんだけ名前先輩を手に入れるのに苦労したか。
名前先輩が俺の彼女になった後の部長の恐ろしい表情と言動。
『財前、覚悟しときぃや。
絶対名前奪ったるわ。』
…絶対渡したりせぇへんけど。
部長だけやない。
あのヘタレな謙也先輩までも名前先輩を狙っとった。
むしろ、部員全員が狙ってたと言ってもおかしくない。
それくらい可愛い名前先輩が、他校の世話まで…?
危険に決まっとる。
「可愛くないわけないやないっすか。
どんだけ俺が、名前先輩を守るのに苦労しとると思っとります?」
「…そんなに?」
「…自覚ないとこが名前先輩らしいっすわ。」
そんな天然なとこも可愛いやんけど。
「とにかく、名前先輩は俺の近くにおってください。
ほんまに…心配でしゃーないんすわ。」
「…………うん。
でもずっとは多分無理やから、出来るだけそうするように頑張る。」
「………………わかりました。
マネージャーやからしゃーないっすわ。」
名前先輩がマネージャーやったからこそ、こうなれたわけでもあるから、許すしかなかった。
出来るだけ名前先輩を守らなあかん。
いや、絶対守る。
なんやこの合宿…色んな意味で骨折れそうやわ。
「光、光、」
「…ん?なんすか?」
「ごめんね。ありがとう。」
そう言って笑う名前先輩。
その笑顔が…あかんて。
「…名前先輩、可愛すぎますわ。」
「は…?」
「めっちゃ好きっすわ、名前先輩。」
「あたしも…好きやけど…うん。」
「なんすかそれ。」
「好きってか…愛してる、かな。」
「………………名前、」
「ん?………ッ」
可愛いこと言うからあかんのや。
名前先輩は可愛すぎる。
何してても可愛いと思う。
俺がこうしてキスしとる時も、俺の服掴んで、ぎこちなく俺に答えてくれる。
そんな名前先輩を、
俺も、
誰よりも愛しとる。
絶対誰にも渡す気なんかない。
離すわけないやろ。
名前先輩以上の人なんておらん。
ほんまに
愛しとりますよ、名前先輩?
fin.
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