「オサムちゃんオサムちゃん、」
「おーなんやー?」
「こけしちょーだい!」


放課後、部活も終わって空が暗くなった頃、
私はオサムちゃんの元に来ていた。
オサムちゃんの所に来るのは日課のようなものだ。


「おーええ子にしとったらこけしやるわ」
「私ええ子やけど!」
「ええ子は、やること終わったら家に帰るもんやで?
教師のとこ来て、質問でもなく喋るんはええ子ちゃう。」
「えー」



私はただ、オサムちゃんと話したいのに。
オサムちゃんは私と話したくないのだろうか。


「じゃあ、こけしはいいから、」
「ん?」
「オサムちゃんちょーだい?」


そう言うと、オサムちゃんは少し目を見開いて固まった。
何かを考えるかのように目を逸らし、タバコをふかしている。
オサムちゃんがタバコを吸う姿はカッコよくて好きだな、なんて思いながら見惚れてみたり。


「…ここ、学校なんやけど。」
「知ってるよ?」
「学校ではアカンって言うたやろ?」
「…だって、」


オサムちゃんに触れたくてしょうがないんだもん。
ぎゅってしたいし、ちゅーだってしたいもん。


「オサムちゃんのこと好きだもん。」


オサムちゃんは軽くため息を付きながらタバコの火を消し、立ち上がった。
オサムちゃんが間近に来て、心臓が高鳴る。
顔を見ようと見上げた瞬間、タバコの香りがしたと思った途端、唇が重なった。


「オ、サム…ちゃん…?」
「…はよ帰るで。暗いから送ったるわ。」
「…うん…!!!」



誰もいない校舎を後に、手を握るように絡める指先が、愛しくて。




放課後の秘め事。





「オサムちゃん、こけしこけし!」
「ったく、しゃーないな。
特別にスペシャルオサムこけしやるわ。」
「え、なにそれ」
「楽しみやなー」
「いやだからなにそれ!」





fin.



相互記念、K様へ。