プリン騒動で一時ハチャメチャになった部活も無事終わり、皆が解散していく中、名前も片付けをしていた。
しかしいまだプリンのことを引きずっているのか、少しテンションが低い。
「名前、」
「あれ、精市?」
「終わったかい?」
「え?ああ、もう終わるけど。」
「そう。」
名前の片付けを嬉しそうに手伝う幸村。
どうしたんだろうと名前は首を傾げた。
「終わったー!精市ありがと。」
「どういたしまして。ほら、行くよ。」
「…へ?どこに?」
「プリン、食べるんだろ?」
「あ!うん!行く!行くよ!!」
嬉しそうに返事をする名前に、幸村はふっと微笑んだ。
名前は、幸村が覚えていて誘ってくれたことが嬉しくて、急いで鞄を持って幸村について部室を後にした。
「なんのプリンが食べたかったんだい?」
「私の好きなケーキ屋さんの人気のプリンだったんだけど…
今日はもうさすがに買えないなぁ」
「もしかして、あの駅前のかい?」
「え、精市知ってんの?」
「それなら、俺の家に来る?食べれるかもしれないよ。」
「えっ」
食べれるかもしれない。思いもよらない言葉に驚く名前。
幸村に手を引かれながらただ着いて行くのだった。
連れてこられた幸村家。
なんでもそこのケーキ屋のプリンが好きなお母さんと妹さんが、よく買ってきているのだとか。
名前が部屋に上がり待っていると、幸村がお盆を持って部屋に入ってきた。
お盆に置かれたジュースと、食べたくて仕方なかったプリン。名前は泣きそうになっていた。
「ぷ、プリン様あああああ…!!!」
「全く、大袈裟だな、名前は。」
「だって、ほんとに食べたかったんだもん…!」
「あってよかったよ。」
そう言って笑った幸村は、神様のように見えた。
普段から怖い怖いと思っていたけれど、やはり我らが部長。などと考えている名前は、やはり単純である。
「精市ありがとう…!神様!!
あ、でもこれ精市の…だよね?ほんとに食べていいの?」
「ああ、俺はいいよ。」
「そう?なら遠慮なく、いただきまーす!」
待ちわびたプリン。口に含んだ瞬間とろける甘さに、名前は満面の笑みを浮かべた。
「美味しいかい?」
「美味しすぎる…!はぁもう幸せ…!!」
「そう…じゃあ、俺にも分けてもらおうかな。」
そう言った幸村に、なんだやっぱ食べたいのか、とプリンを差し出そうとした名前。
気がつくと、至近距離に幸村の顔があり、唇が触れていた。
隙間から入り込んでくる幸村の舌が、プリンの甘さを味わうかのように名前の舌を絡め、口内を犯す。
驚きのあまりされるがままだった名前は我に返り、幸村の体を押し返した。
「っ…!バカ…!なんで…っ」
「分けてもらっただけだけど」
「だ、だからって…!こっちの食べればいいじゃない!」
「そっちのはいらない。こっちが欲しい。」
「…っ…!」
そう言ってまた触れる唇。また体を押して抵抗しようとしても、びくともしない。されるがままのキスに諦めて身を任せそうになった途端、傾いていく体。背中に当たる冷たい床。視界が変わり、目の前には幸村と、部屋の天井が。
「ちょ、ま、ダメだって!精市…!!」
「俺の部屋に上がっておいて、今更だね?」
「そ、そういう問題じゃ…!か、帰るよ!プリン食べたらすぐ帰るよ!」
「帰さないよ?」
こんな状況でもプリンを食べて帰ることを諦めない名前。
それに対して幸村はまた有無を言わせない表情で囁いた。
「だ、だって、好きでもない人とこういうこと、ね?よくないよ…?!」
「俺は好きだよ。」
「え…っ」
突然の告白に思考が止まる。目を見開いて固まった名前を見て幸村は可笑しそうに笑った。
「なにその顔…!すごく面白いよ…っ」
「ば…っ!こっちは真剣に…!!」
「本気だよ?」
「…っ」
「名前が好きだ。」
恥ずかしすぎて顔に熱が集まる。胸が高鳴る。
これから起こるであろう甘い予感に、ただ翻弄されるのだった。
Sweets Panic
甘い誘惑は、いかが?
fin.
5万打&8周年企画
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