「……さむっ……」

冷たい空気に震え、目が覚める。今何時なんだろう。でもまだ暗いからきっと夜中だ。二度寝だ二度寝。
布団から少し体が出ていたので、そりゃ寒いわと思い、暖を取ろうと寝返りをうちもぞもぞと動くと、足が何かに当たる感触がした。疑問に思い、重い瞼を開けると、目の前には銀髪が目に入る。
そういえば、一緒に寝ていたんだった。
私が布団からはみ出していたのはこいつのせいか。
少しずつ目が覚めてきて、昨日のことを思い出してきた。

仁王が誕生日だからとお祝いするために泊まりに来たのだ。お祝いと言っても今日が本番なわけで、前夜祭な昨日はまぁ…やることやって力尽きてお互い寝落ちした、みたいな感じで。
ああ、だから寒いのか。納得。

一人布団にくるまってる仁王から少しでも布団を奪おうとひっぱっても中々動かない。くそう。低体温だからって独占ですか。てか彼女のためにとかそういうのはないのか。
なんだかちょっとムカついたので、寝ている仁王にイタズラと言う名のいじめ。顔を引っ張ってみると顔をちょっとしかめた仁王がなんだかかわいい。
それでも起きた感じはしない。どんだけだよ。

「におー」
「…んー…」
「寒いから布団わけろーぼけー」

名前を呼ぶともぞもぞと仁王が動いた。
すると、少し当たっていた仁王の足が、私の足に絡まってくる。驚いたのもつかの間、仁王の手に引き寄せられ、抱きしめられた、というかこれは、抱き枕代わりにされたという方が正しい。

「おーい、におさん?」
「…ん…なんじゃ…、」
「何故抱き枕代わりにされているのかしら私。」
「寒いって言うから温めたろって思うて…」
「それはどーも。」

ずっと目を閉じたままだった仁王の目がようやく開いた。めちゃくちゃ眠そうな顔してる。さすが低血圧。

「元はといえば仁王が布団独り占めしてるから寒かったんだけどね。」
「それは悪かったのう………ねむ……。今何時じゃ。」
「わかんない。でも暗いから多分夜中じゃない?」
「起きるの早すぎぜよ…」
「寒くて目覚めたんだからしょうがないじゃん。」
「へいへい」

一緒に布団にくるまってるとだんだん暖かくなってきた。
低体温のくせに布団でぬくぬくしてたからか仁王があったかくて、ついつい体温を奪ってやろうとぎゅっとする。
すると突然、首元を甘噛みされた。

「なにしてんの。」
「じゃれてるぜよ。」
「甘えん坊まさはるくんですか?」
「たまにはこんな俺もいいじゃろ?」
「さあねー」

絡められた足が更に絡まるように動く。なんとも言えない感覚に襲われた。妙にえろい。
少しだけ離れた仁王に唇を塞がれる。軽く触れるだけだった唇が、離れられなくなったとでも言うようにどんどん深く重なっていく。
え、何これ。第2ラウンド突入とでも言うのか。

「ちょ…っ…眠いんじゃなかったの…?」
「こんなんしとったら抑えられなくなるのう。」
「はぁ?」
「起こした名前が悪い。」
「なんでよ、発情期な仁王が悪いんでしょ。」
「こんな格好で寝てるからじゃ」
「寝る前にしたんだしもういいじゃん。朝になるよ?」
「俺は構わんけど?」
「私は構いますー」
「つまらんのう」
「言っとくけど学校あるんだからね。」
「プリッ」

じゃれるように私の首すじに擦り寄ってくる仁王がなんだか愛しいなんて。そんなこと本人には絶対言わないけれど。

「なぁ名前、」
「え、なに」
「いつになったら名前で呼ぶんじゃ。」
「あー…ねぇ?」

名前でって。確かにずっと仁王仁王言ってるけれど。
雅治よりも仁王の方が呼びやすいんだよねぇ。
それに、雅治っていうとなんだかくすぐったい気分になる。

「んー…呼んで欲しい?」
「当たり前じゃろ」
「しょうがないなぁ」

少しだけ体を離し仁王を見つめ、顔にそっと触れる。綺麗な銀髪。目つきの悪いこの目も、口元のホクロさえも、なんだか愛しい。ほんとにこいつに惚れてるんだなって実感する。

「誕生日おめでとう、雅治。」

目を見つめてそう呟くと、少し照れた様子の雅治が一瞬目を逸した後、軽く触れるだけのキスをされた。なんだか私まで照れてきた。

「好いとうよ。」
「うん。私も。」
「ピヨ」

それは、精一杯の照れ隠し。そんな彼がすごく愛しい。


ねぇ、こうして一緒にいれるだけで、くっついてるだけで、幸せだよ。

傍にいてくれてありがとう。生まれてきてくれてありがとう。




1/365のこの日と、毎日。




愛をくれて、ありがとう。





fin.



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& HappyBirthday



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