「今度こそ…一撃で仕留める!」
「に、く、じゃ、がー!!」
「ちょ、藤田うっせえ!」
八十神高校のお昼休み。いつかのように特捜隊メンバーで屋上に集まってお弁当タイム。
私の手の中には、恋い焦がれていた瀬多くんの肉じゃが弁当…!!
やっと、やっと食べれる…!!
「って、ああ瀬多が作った肉じゃがか。なあ、俺にもちょっとくれよ」
「イ、ヤ!! やっとまともに食べられるのに!」
「ちょっとくらい、いいだろー」
「絶対やだ!」
隣にいた花村の魔の手から逃げるため、お弁当を持ってたまたま空いていた雪ちゃんの隣に避難する。
お弁当の蓋を開けて、待ちに待った肉じゃがを一口ぱくり。
「んー…おいしー!!」
「ったく、大げさだな藤田は」
「でも、鈴ちゃんって本当に美味しそうに食べるよね。なんか、見てるこっちまで嬉しくなっちゃう」
雪ちゃんは優しく微笑みながら肉じゃがを食べる私を見ている。雪ちゃんの発言のせいか、自然とみんなが私に注目してきた。そ、そんな見られても何も出ないよ!!
……はて、そういえば、今彼女が言ったことと同じようなことを瀬多くんに言われたような…
先週の屋上でのことを思い出し、ちらりと彼に視線を向けるとばっちり目があってしまった。
瀬多くんは目が合うと、なんだ?と言わんばかりに首をかしげる。なんでもないと首を振ってジェスチャーで伝えて、手元の肉じゃがに集中することにした。
「ふう……ごちそう様でした……」
「鈴先輩、食べるの早いねー。私まだ半分残ってるよ」
「ほんと、千枝といい勝負だね」
「いや……美味しくてつい夢中になっちゃって」
あはは……と乾いた笑いを零す。もっとゆっくり味わえばよかったかなあ……
今度肉丼の早食い競争しようよ!と誘ってきた千枝ちゃんには丁重にお断りしつつ(流石に肉で千枝ちゃんには勝てない…と思う)お弁当箱と箸を仕舞っていると、そうだ!とりせちゃんが声を上げた。
「ねえ、鈴先輩! 今度私が作ったお弁当も食べてみてよ!」
「りせちゃんが作ったお弁当?」
「ちょ、おまっ!!」
何故か慌てる花村を尻目に、ぜひ!!と二つ返事でオッケーした。
可愛いりせちーの手作りお弁当…!! 食べるに決まってる!!
「あ、だったら私が作ったのも食べてほしいな。ぜひ鈴ちゃんに食べた感想聞かせてほしいの」
「天城までッ!?」
「ほんと!? 食べる食べるー!」
アイドルと若女将の手作りお弁当……なにこれ、モテ期か! 私にもモテ期が来たのか!
雪ちゃんち、旅館だし、きっと豪勢なお弁当が…! じゅるり…
「そっか…林間学校の時もオムライスの時もまだ藤田仲間になってなかったんだっけ…」
「? オムライス?」
花村の言葉に首を傾げる。
私は直斗くんがテレビに入る前に特捜隊の仲間に入れてもらって、それ以前は事件関連以外で何があったかはあまりよく知らないんだけど……みんなでオムライス食べたのかな?
いいなぁオムライス…和食はもちろん、洋食も大好きだ!
「ならさ、またやらない? 料理対決!」
「千枝先輩、それいいアイデアかも!!」
「今度こそ…一撃で仕留める!」
何故か料理対決をすることになって盛り上がっている女子3人に対し、何故か顔が青ざめている男子3人。
「瀬多くんに花村に完二くん、どうしたの顔色悪いよ?」
「藤田…死ぬなよ」
「は?」
どこか哀愁漂う表情の花村。
……なんで死ななきゃならないんだ?
「ちょ、マジやばいっすよ! 鈴先輩が本当に死んじまうッス!!」
「くっ……ここは、俺も前回と同じく参加して……!」
「あ、総司先輩は今回はパスで! 今回は女の子だけの料理対決だから!」
「瀬多くんが参加したらあたしら勝ち目ないもんね……」
「……すまん、藤田ッ!!!」
「鈴先輩! 死なないでくれぇ!!」
「だから、私を勝手に殺すなあ!!」
その後、女子達が話し合って対決の日は3日後のお昼休みに屋上ですることになった。
(3人のお弁当…楽しみだなぁーえへへ)
(藤田の胃が危ない…!)