もどかしい青春
「ね、ねえ花村」
「ん?」
「花村ってさ、一条くんと友達なんだよね」
「まーそうだけど?」
「そ、そっか…」
「…………」
「…………」
「……ナニ、俺から紹介してほしいのか?」
「えっ!えええっ!!?い、いやそんな…してほしいような…してほしくないような…」
「どっちだよ!」
「だってまだ心の準備が…」
「心の準備って……お前なー、あいつ隣のクラスじゃん」
「そうだけど、でも一条くん目の前にすると緊張して何話していいか分からないんだもん…!!」
「一条はお前の中でトップアイドルか何かか……」
***
「な、なあ花村」
「何」
「お前って苗字さんと仲良いよな」
「んー、まあ仲良いと言うか、あいつとは席が近いしよく話すな」
「羨ましい……!!」
「……ははーん、お前苗字とお近づきになりたいんだろ」
「な…なんで分かったんだよ!?」
「バレバレだっつーの。さっさと告白しちまえよ」
「こっ、こくは…!?な、何す、す、好きなの前提で話進めてるんだよ!ていうか無理無理無理!!」
「なんでだよ、コーウちゃん?」
「コウちゃん言うな!!だってまともに話したことねーし、こ、心の準備が……」
「うわデジャヴ……あーはいはいそんなもんどうでもいいからはい来る来る」
「え?うわっ、!」
どこ連れてくんだよ!と後ろで喚く一条を無視してずんずん歩いていく。屋上から出て向かうのは2‐2教室。目的地に着き俺のしようとしていることが分かったのか一条はいろいろごちゃごちゃ喚きながら俺から逃げようとする。しかし逃がさないように必死に引っ張って、俺は教室の扉を開け放った。
「苗字ー!!!一条がお前に話したいことがあるってよ!!」
「……へ?」
「うわっ!ちょ、馬鹿!」
一条は慌てて俺の口を塞ぐが意味は無い。一方苗字の方はと言えば、突然のことに呆然としていて口に運ぼうとしていた玉子焼きを箸から落としていたが、すぐに理解したのか顔を真っ赤にしてあたふたと落ち着かなくなった。
俺は笑いながら一条を苗字の前に引っ張り出す。一条は苗字を前にして焦った後こちらを少し振り返って真っ赤な顔でギロリと睨んできた。そんな顔で睨まれても全然怖くはない。むしろ感謝してほしいくらいだぜ。もどかしい2人の背中を押してやったんだからさ。
さっさとくっつけ!
(見てるこっちがもやもやするっつの!)