燻る真実を隠す庭


  僕は、君なんかきらいだよ


そう言い放った時の、あの顔と言ったら。こんなことでまるで世界の終りみたいな顔しちゃって。すごく笑える。

本当にもうすぐ世界が終るのにね。

僕はあのこがきらいだった。あの、誰にでも笑顔を振りまくところと、犬みたいに人懐こいところと、なによりこんな僕を好きなとこ。
あのこが僕に好意を抱いてるのは分かってた。本人は気付かれてないと思ってるみたいだけど。
でも僕はきらいだった。何かと世話焼いてきてうざったいし、僕が好きなくせに僕以外の男…あのクソガキにもへらへら笑ってさ。


でもまあ、


『足立さん!』


あのこと過ごす時間は、そんなにきらいじゃなかったかもね。



もうすぐこの町は無くなる。あっちの世界と同化して化け物だらけになる。
どうせ世界は消えて僕もあのこも消える。ならその前に、だいきらいな君の脳裏に失恋という名で僕の存在を刻み付けてやろう




燻る真実を隠す庭


さよなら、だいきらいだった世界
さよなら、だいきらいだった君





title/獣
君を待つ間、空を見上げた。