依存して融解
「名前ちゃんの肌は綺麗だねえ」
アーティさんは、私の頬を撫でながらそう呟いた。アーティさんは私の白い肌や艶やかな髪を美しいと言う。でも、私はちっとも嬉しくなかった。今は確かに若いから綺麗な肌かもしれない。でも歳を取れば肌はしわしわだし、この髪だってきっと白くてみすぼらしくなってしまう。
アーティさんが好きな自分は、きっとその時にはもうなくなってしまうのだ。
いつかアーティさんは私から離れるんだろうな、よぼよぼしわしわになった私を好きでいてくれるわけがない。そう思うと、ぽろぽろと涙が出てきた。
急に泣き出した私に目を丸くするアーティさん。どうしたの、と優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。ああ、アーティさん困ってる。わたしのばか、
「あ…あーてぃ…さんっ…ひっく」
「うん、何?ゆっくりでいいよ」
私だって、いつかしわしわのおばあちゃんになってしまうんです。あなたが好きな私は、いつか変わってしまうんです。アーティさんがいつか私から離れて行ってしまうのが、とてつもなく怖い。
泣きじゃくりながらそう伝えると、アーティさんは一瞬目を丸くして、ぎゅううと私を強く抱きしめた。アーティさんを見上げると、その顔は苦笑いを含んでいた。
「ごめん、勘違いさせちゃったね」
アーティさんは、私のおでこにひとつキスを落とすと、再びぎゅうっと抱きしめてくる。アーティさんは子供をあやすように私の頭を撫でながら語りだした。
「この世に永遠なんてものはないんだ。人間も自然も、儚いから美しい。僕はそう思ってる。」
人も、ポケモンも、自然も、世界も、永遠じゃないから美しく、愛おしい。まるでおはなしを読み聞かせるようにゆっくりと語るアーティさんの言葉は、私の心に沁みて溶けるようだった。
「僕はね、君の今の美しさも好きだ。でもそれ以前に、君の優しいところとか、少しいじっぱりなとことか、涙もろいところとか…全部内面も含めて、魂ごと愛してる」
むしろ僕の方が君が離れていくんじゃないかって不安だったよ。そう笑うアーティさんの顔が、涙で歪んで見えない。ああアーティさん、私だってあなたの魂ごと愛しています。
口付けた所から、いっそ融けて一緒になればいいと思った。
依存して融解