君の匂い
(※デントが少し変態っぽいです)
「………」
今日のデントはどこかおかしい。
なんというか、私をずっと見てくるのだ。一日中。
何度か鏡の前に立ってみたけれど、別に変なところはない。
レストランのバイト中もデントの視線が突き刺さって、あまり集中出来なくておかげで今日はお客様の注文を取り違えてしまった。
今も、レストランの厨房で私とデントは二人きり、デントは食器を洗っていて、私は調味料の補充をしているのだけれど、さっきからちらちらと送られてくる視線に正直参っていた。何か言いたいことがあるなら言えばいいのに。
「……ねえ、デント」
「あ……な、何?」
「今日、ずっと私のこと見てたよね?なんで?」
思い切ってこちらから聞いてみる。
皿を洗っていたデントが手を止めて、こちらをじっと見つめるので私も調味料を補充する手を止めて彼を見た。
デントは私をじーっと見つめた後、洗った食器を置き、水道の蛇口をひねって手を拭くと、こちらに近づいてきて、抱きついてきた。
「…デ、デント?」
いきなりのことにびっくりしていると、デントは私の髪に顔を近づけて、鼻から息を吸った。
「好きだけど…違うな」
ぶつぶつと何か呟きながら、私の髪の毛を撫でながら何度か息を吸ったり吐いたりするデント。もしかして、におい、を嗅いでいるのだろうか。お前は犬か!と内心ツッコんでいると、下からプチッと音がした。
「ひっ、ちょ、で、でででデント!?」
何の音かと思って下を見れば、デントが私の着ているウェイトレスの服の首元のボタンを外していた。
晒された私の首すじに顔を埋めて、においをくんくんと嗅ぐデント。首すじに当たるデントの吐息がくすぐったくって、ひゃっ!と変な声が出る。そんな自分の声にカーッと顔と頭に熱が集まった。
「うーん…これも違う」
一体何が違うというのか。とうとう手が更に下に伸びてきたので、危険を感じてデントを突き飛ばした。
「もう!!なんなのさっきから!!」
「あ、ご、ごめん…僕はただ、」
「ただ?」
「名前からいい香りがするから…その香りの元を知りたくて」
「香り?」
香水なんてつけてないけど……とくんくんと私も自分のにおいを嗅いでみる。
あ…もしかして、
「ハンドクリームじゃない?」
「ハンドクリーム?」
「そう。最近手が乾燥するから塗ってたの」
スカートのポケットからクリームを出し、デントに渡す。
デントは蓋を開けてふんふんとにおいを嗅ぐと、これだ!と嬉しそうに笑った。
「…そんなに好きな香りなら、あげるよ?家にもう一つあるし」
「………いや、いいよ。ハンドクリームだけじゃ駄目なんだ」
「え?」
するとデントは私の手を取り、何をするかと思えばまたにおいを嗅ぎ始めた。
「ちょ…デントくすぐったい」
「君の香りが混ざってこそ、僕はその香りに惹かれたんだ」
においを嗅ぐだけでなく、ぺろり、と手を舐められて、背筋にぞわぁっと電撃が走る。
流石に堪忍袋の緒が切れて、気付いたら私はデントを投げ飛ばしてました。
「あれ、デントどうしたんです?…気絶してのびてますけど」
「そんなバカ犬知らない!」
「(……犬?)」
恋人が変態だと知ったとある日の午後の出来事。
においフェチ?