文化祭実行委員でした!


本日の差し入れはシュークリーム!今回もお母さんの手伝いがあって漸く完成した。

「…っ、ぁぁ〜……ねむっ」

やっぱバイト後にお菓子作りって結構大変だな〜。慣れてれば別なんだろうけど、私は一つ一つの行動に時間がかかる。…失敗もするしね。

「ふ…ぁぁ〜〜」
「大きい欠伸じゃの〜」
「?!に、おッ!…おはよ」
「おはよ〜さん」

朝練終わったんだ。…にしても、大あくびしてる姿を見られるとは…でも、丸井に見られなくてよかった。

「りんご一個簡単に入りそうなくらい、でっけぇ欠伸だな」

笑って言う言葉にビクッとした。

「ま、るいッ!…おはよ」
「おぅ」

まだ笑ってる。
うわぁ〜どんな顔して欠伸してたんだ?!私…。せめて手で口隠すべきだったか、女の子としては…時既に遅しだけど。
プチうなだれてると、いつもはすぐ自分の席へ行く丸井が、私の机に手をついて顔を覗き込んできた。

「な、なに?」
「腹減った〜何かねぇ?」

いつも以上に近くにある顔にドキッとすれば、出てきた言葉はそんな思いとは関係のないものだった。
ま、丸井らしいって言えば丸井らしいが…。

「もう?…まだSHRも始まってないのに」
「今日の朝練ハードだったんだよ」

テニス部は練習凄いらしいもんね。お腹も空くだろう。
でも朝からシュークリームはなぁ〜…でも丸井なら朝とか関係ないっぽいな。うーん……あ、そうだ!

「じゃあ、焼きそばパンは?小さいやつだからお腹の虫抑えにいいよ」
「おぉ!サーンキュ!」

キラキラした笑顔を見せて、私が差し出した焼きそばパンをひょいっと取って丸井は自分の席へと戻っていった。
焼きそばパン一個であの笑顔が見れるなら儲けもんよね!

「顔ニヤニヤしすぎ」

呆れ顔で言って来たのは朝練上がりの愛美だった。

「そんなにニヤニヤしてた?」
「してた」

そう言われて頬を触れば…確かに上がってる。のの字を書いてマッサージをしながらそ知らぬ顔をする私を、愛美はクスクスと笑った。…ついでに後ろの席の仁王も笑ってた。
くそぉ〜!何か弱みを握られたみたいで嫌だ〜!

「ホームルーム始めるぞ〜!席につけ〜」

教室に入ってくるなり先生が声を上げた。ガタガタと音を上げてみんな自分の席につく。あたしは机に肘を突いて掌で顔を支えた。あ〜…眠い。睡眠4時間って結構きついな。とりあえず昼休みにちょっと寝よ。今日バイト頑張れば明日は休み!!部活観に行ってもいいって丸井に許可も貰ったし!…よし!俄然目が覚めてきたぁあ!!あ、シュークリーム鞄の中に入れたままだとまずいよね…。家庭科部の子に冷蔵庫入れてて〜って頼んでおこうかな…。

「苗字!」
「へ?」
「…お前、話聞いてなかっただろ〜」

皆の視線が一気に集中する。
え?何で私名前呼ばれてるんだ?

「あ、…へへへ、何の話でしたっけ?」

何だか恥ずかしくなって肩を窄めて恐る恐る聞いてみた。

「今日の昼休み、談話室Aで文化祭実行委員があるから行くように」

文化祭、実行委員?…あ〜〜!そうだった。私そんな委員会に入ってたよ!3年はゆっくり周りたいから2年は行事頑張ろうとか思って立候補したんだっけ。…すっかり忘れてたよ。

「は〜い、わかりました!」
「委員会でぼ〜っとすんなよ?滝田、ちゃんと見張っとけー」
「はーい」

同じ実行委員の滝田が笑って返事をした。くそー…昼休み寝れないよ〜…。
グタッとうな垂れた私を見て、また後ろからクツクツと喉のなる音が聞こえた。



***



眠い眠い授業を何とか乗り切り、昼休み。

「ふ…ぁあ〜〜っ、」
「また欠伸。これで何回目?」
「仕方ないじゃん。眠いんだもん」

愛美が自分の椅子を持って私の席までやってきた。

「今日もバイトなんでしょ?大丈夫なの?」
「大丈夫!今日はそんなに忙しくないだろうし」
「…名前。あんたの昼ご飯、それだけ?」
「え?うん」

愛美の視線の先には小さな焼きそばパンとパックジュースひとつ。

「そんなんで持つの?」
「ふふふっ。ちゃんと非常食でキャラメル持ってるから大丈夫なのさ〜!」
「あんたね〜…」

呆れた風に愛美は自分の弁当の蓋を開けて、ベーコン入り出汁巻き卵を私の口の前に差し出した。

「ほれ。これから委員会あるんでしょ?ちょっとは栄養つけなきゃ」
「うわ〜ん愛美!あいしてる!」
「いいから早く食べな!」

満面の笑みで私は卵焼きにかぶりついた。愛美のお母様は本当にお料理がお上手!この出汁巻き最高!!

「苗字〜。そろそろ時間だぞ」
「え?!もう?」

滝田君に言われて時計を見れば、委員会が始まる5分前。

「おっつ!ちょ、待って!」

机の上に置いたままだった焼きそばパンを口に思いっきり含み、パックジュースを片手に持って立ち上がった。もぐもぐ言いながら愛美に手を振ると、早く飲み込め〜って呆れ声。
無理。これすぐ飲み込むのちょっと無理。

「筆記用具持ったか?」
「あぐあぐ!はーへんいっほんあっはらいいほあ?」
「何言ってるかわかんねーよ」

胸ポケにさしたシャーペンを見せると、OKOKと失笑されたよ。今更だけど…丸井どっかで見てたりしないよね?!朝に引き続きこんな姿みられたら大変だぞ!
私は頑張って口いっぱいに頬張った焼きそばパンをジュースで流し込んだ。


***



「じゃあ、1週間後の委員会までにさっきの項目を決めてきて下さい。では、委員会を終わります」

実行委員長の言葉で委員会はお開きになった。

「来週までか〜。結構決める事多くない?」
「体育祭のチーム分けと団員候補者各チーム1、2名。で、文化祭が各クラスの出し物」
「有志の出し物は月末までOKなんだよね」
「だな。…それくらいか?」
「あ、あと各種大会希望者の登録も募らなきゃだっけ?」
「ああ、それもだな」

会議で貰ったプリントに視線を落としながら、滝田と確認し合った。
立海で毎年秋に行われる海原祭。今年から7月にやってた体育祭もまとめてやる事になった。中高合同で行われるこの海原祭は1年の中で一番盛り上がる。
一日目は体育祭。各クラスをA〜Eの5つのチームに分けて3学年合同で行う。さすがに中学生と高校生じゃ体力に差があるからこれは別々だけど。
そして各クラス各チームの中から応援団員を1、2名決める。体育祭午後の部一番に行われる応援合戦。これが一番の見所!各チームが一丸となって力いっぱい自分、そして相手の応援をする。何をするかは各チームで決められて、特に指定もない。ダンスをする所もあれば、長ランを着て本格的な応援エールを送るチームも。各クラスから1、2名って言うのは仲間同士だと偏りができるから、それをなくす為にそうした…らしい。
MVPを取った応援団は購買、学食で使える金券二千円分が貰える!食べ盛りの子達には嬉しい報酬。その為、自然に体育会系の男女が集中する。
2日目はふつ〜に文化祭。各クラスで出し物して盛り上げる。これは中学生も合同だから後輩が遊びに来てくれたりする。部活に入ってない私には縁ないんだけどね。
他に有志で出し物したり、各部門大会とかも行われる。去年は料理、お菓子部門で丸井が優勝してた!…優勝しちゃうくらいだもんな〜…私の作ったお菓子って…どうなんだろう?丸井の口にあってるのかな?

「はぁ〜」
「何溜息ついてんだよ!6限のHRで決めちまおうぜ!」
「え?…あ〜うん!そうだね!」
「なんだよ。それで溜息ついてたんじゃねーの?」
「ううん!それだよ!決めることいっぱいで大変だな〜!ってさ」

あはは!とごまかして笑えば、変な奴って言われた。変な奴でわる〜ござんした。


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