「勝った?」
「勝った」
「やったね」
虎杖は抱えている紙袋の中からパーラメント・ライトの箱を取りだして、彼女に差しだす。
「未成年!ツーアウトだ」
「なんも言われんかったからセーフ」
「次からはチョコレートにしときな」
 彼女は白い煙草の箱を受けとる。
「もらっていいの?」
「うん」
「ありがと」
「あげるからさ、一本吸い終わるまで隣にいていい?」
「未成年がさあ〜どこでそういうかわいいの覚えてくるの。いいよ」
 彼女はソファーの横を叩く。虎杖はそこに座る。彼女はソファーの背もたれにもたれて、爪先で箱のビニールを弄んでいる。
「吸わないの?」
「今は」
「なんで?」
「副流煙の方が毒いっぱい入ってるんだよ。隣で吸いたくない」
「別にいいのに」
「青少年の健康寿命を減らしたくないから」
「だから別にいいじゃん、俺、死刑になるから寿命は関係ないよ」
「…………そうだけどさあ、そうなんだけど悲しいこというのやめて」



main

top