微睡みの中で終幕


「じ、淳。もう……止めよう」

ベッドに仰向けに寝ている恭也が弱々しく言う。
だが、その顔には快楽による笑みがある。

その表情を見て満足したのか、恭也の上に乗っている淳も笑顔になる。

「可愛くおねだりしたって、止める訳ないだろ」

仰向けで馬乗りにされている恭也が、はだけた服の裾を掴みながら、潤んだ熱っぽい目で淳に懇願する。

しかしそれは、この状況下では淳を煽るだけのことしかできなかった。


「まだ前戯だって終わってないのに、終わらせる訳が無いだろ? 誘ってきたのは、そっちっての忘れたのか?」


淳は、恭也の首筋から胸元にかけてキスマークをつけていく。

「ち、違うって……!」

そして、首や鎖骨にも跡を残しつつ、恭也の着ていたTシャツを脱がせにかかる。
恭也の方も抵抗せず、むしろ協力するように腕を上げ、脱がしやすいようにしている。

Tシャツの下からは白い肌とピンクの乳首が現れ、それを愛おしそうに見つめると、淳はその胸に吸い付いた。

「あっ……」

舌先でチロチロ舐めたり、唇だけで挟んで刺激を与える。

するとすぐに、恭也の口から甘い声が出るようになる。

「そう、それで良いんだよ」

クックと喉を鳴らし歪んだように淳は嬉しそうな顔をして、今度は反対側へと移動する。

「あっ、んんっ……ぃや!」

その間、恭也はずっと喘いでいた。

両方の胸への責めが終わると、次は下半身へ手を伸ばしてきた。

恭也の下半身はズボン越しでも分かるほど勃起しており、下着の中は先走り液で濡れてシミになっている。

そこを撫でるように触られると、ビクンッ!と身体が大きく跳ね上がる。

しかし淳はそこで、触れることをやめると、そのまま手を離してしまった。

不思議に思った恭也は淳の顔を見るが、ニヤリとした嫌な予感を感じさせるような表情をしていた。


「恭也、お前ばっかり狡い……」


そう言うと組み敷いていた恭也を解放すると、淳は膝立ちしながら穿いていたズボンのチャックを開け、すでに聳り立ち白い先走りが一筋流れている自身を取り出した。

ソレは平均よりも少し大きく太さもあるモノで先端は赤黒く、血管が浮き出ておりグロテスクだった。


「ちゃんと奉仕してくれるよな、恭也?」


その言葉を聞いた瞬間、恭也の目つきが変わり、獲物を狙う獣のようにギラついた目をしていたのだ。

そんな恭也の変化に気付いた淳だったが、特に気にすることなく自身の肉棒を見せつけるように突き出す。
恭也はそれを躊躇なく口に含むと、口内で舌を使って裏スジを刺激したり、亀頭部分を吸ったりしていた。

「んふ……んっ……」

口を窄めながら頭を上下させ、じゅぷっと卑猥な音を立てている。

時折苦しくなるのか眉間にシワを寄せるが、それでも止めることはしない。

「……あぁ、恭也……すごい、気持ちいい……」

その姿はとても淫らで艶かしく、普段とのギャップもありより一層興奮させるものだった。


しばらく続けていると、恭也は頭を掴まれて更に奥まで押し込まれてしまう。
だがそれすらも受け入れ、必死になってしゃぶっていた。


その光景を見た淳は満足げに微笑むと、腰を動かし始めた。
喉の奥に当たる度に嘔吐きそうになるが、歯を立てることはなく目を瞑りながら健気に耐えていた。

「ぅ……あぁ……、はぁ、もう、だめだ……!」

限界が近付いてきたのか、動きが激しくなると同時に、息遣いも荒くなっていく。


そして、ドク、ドク……と大量の精液が恭也の口内を満たす。
恭也もそれが分かったらしく、ゆっくりと引き抜くとゴクリと飲み込んだ。

そして、口の端から垂れていた白濁した液体も指ですくうようにして舐めると、妖美な雰囲気を放ちながら笑った。

「淳……今日も、すごい……」

それだけを言うと恭也は再びベッドに押し倒され、仰向けになる。

そして、足を大きく広げさせられ秘部を晒される。
そこはヒクついており、物欲しげにしているようでもあった。

そして淳はローションを手に取り、恭也の秘部へと垂らす。
冷たくヌルッとした感覚に身体を震わせるが、すぐに慣れてくる。

すると今度は中へ入れられ、人差し指と薬指でかき混ぜるように動かされる。
何とも言えないような違和感が襲い声をあげるが、それは次第に快感へと変じていく。


「あんっ、あぁん……んっ!」


グチュッグチャッという音が部屋に響き渡る。

恭也の身体はピクッピクンと小刻みに震え、シーツを強く握りしめている。
そして、淳が前立腺を見つけそこばかりを刺激すると、恭也の喘ぎ声はさらに大きくなる。

「んッ!あんッ……!んぅ!」

恭也の自身は勃ち上がり、先走り液を流していた。

それに気づいた淳は指を引き抜いて、悪戯な笑顔を浮かべると恭也を見下ろして言った。


「なあ、どうしてほしい……?」


恭也は、熱に浮かされたような潤んだ瞳で淳を見る。


「どう、して……抜く、の?」


そう言いながらも、恭也の下半身は無意識なのかモゾモゾと動いている。

その様子はまるで、続きを催促しているようにしか見えない。
淳はいつになく低く甘い声で囁いた。


「どうしてほしいんだ?」


すると恭也はビクビクと体を跳ねさせ、その甘い声に痺れてしまったかのように動けなくなってしまうが、すぐに我に戻ると恥ずかしそうな表情をしながら答えた。

「じゅん、が……ほしい」

恭也は淳の首に腕を回し耳元で呟いたその声には、媚びるような色が含まれていた。

淳はその言葉を聞き、ニヤリと笑う。

恭也はそんな淳の表情を見て、これからされることを想像し、期待に満ちた表情をする。

淳は恭也の足を持ち上げると、自身のモノを恭也の蕾に当て、一気に貫く。
先ほどまでとは比べられないくらいの質量と異物感が恭也を襲った。しかし、恭也は苦痛の声を上げることなくむしろ悦んでいた。

淳が律動を始めると、恭也はビクンっと跳ね上がる。その反応を楽しむかのように、何度も同じ場所を突き上げる。

その度に恭也の口からは悲鳴のような矯声が漏れるが、それもやがて快楽に染まっていく。


「あッ、やぁん!!……んッ、ああぁ!!」


恭也の中はとても温かく、締め付けも凄かったが、淳は持っていかれないように必死に耐えているようだった。


「あぁ……恭也、気持ちいい……ッ!」


淳はうっとりとした顔で、恭也の顔中にキスを落としている。
恭也はそれに応える余裕もなく、ただひたすらに喘いでいた。

パン、パンッと肌が触れ合う音と、ピストン運動を繰り返す度にジュプ、ジュプと結合部から厭らしい音が響き渡り、二人の聴覚を視覚を犯していく。


恭也はもう限界に近いのか、目に涙を溜めて淳に訴える。

淳はそんな恭也の訴えを無視して、さらに激しく腰を打ち付ける。
恭也はそんな彼に抗議の目を向けるが、淳はそんな恭也に妖しい笑みを見せるだけだった。

そして恭也は我慢ならなくなったのか、自身の勃ち上がっているモノに触れると、上下に扱き始めた。


その光景を見た淳は、一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに意地の悪い笑顔になり恭也の手を掴む。

恭也は嫌々と首を横に振るが、淳は構わず手を退けてしまう。
そしてそのまま恭也の自身を握ると、勢いよく扱き上げた。


前も後ろも同時に刺激され、恭也は頭が真っ白になる程の快感に襲われる。

淳も限界が近いのか、ラストスパートをかけるように、腰の動きを早める。


「淳……!あんッ、だめぇ!もう、イっちゃ……うッあぁぁ!!」


恭也は背中を大きく反らしながら絶頂を迎える。


「あぁッ……!くっ、出るッ……!!」


それと同時に淳も達したようで、恭也の中に熱い精液を流し込んだ。二人は荒い呼吸を繰り返しながら、お互い見つめ合っている。


そして、どちらからとも無く唇を重ね合わせた。


舌と唾液と吐息が入り混じり、口内から犯されているような感覚に陥る。

しばらくすると、淳は恭也の中から自身を引き抜き、恭也の隣に寝転ぶ。

すると、恭也は甘えるように淳に抱きつき、胸に顔を押し付けてきた。そして、淳の匂いを嗅ぐようにして深呼吸をしている。


(なんか猫みたいだな……)


そんなことを思いつつ、優しく頭を撫でてやる。

すると恭也はくすぐったそうに身を捩った。


そのままの状態でいると、恭也は安心しきったような表情で眠ってしまったようだった。



彼は完璧に恭也に惚れていた。

もう、恭也のことしか考えられないくらいに心が奪われてしまっていた。


淳は、今まで自分がこんなにも人を好きになることはないと思っていた。

だから、この感情が恋なのかはわからなかった。
でも、彼のことを考えるだけで胸が高鳴り、身体が熱くなる。

そして、彼に触れたいと思う。


これが恋じゃなければ何だというのだ? 淳は自分に問い掛ける。

答えなんて分かりきっていた。


自分は恭也が好きなのだ。



淳は自分の胸の中で眠る恭也のことを想って、また眠りについた。








fin.




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