ネタ
*主人公は異能特務課所属エージェント
*佐久間の幼馴染
*主人公は井原西鶴の子孫で、井原西鶴の本名平山藤五説に基づき苗字は平山固定。代理人としての記号は井原。
「そういえばさ、佐久間異動になったんだって?」
「あぁ、でも何故それを朔が知っている…?俺は教えてないはずだが。」
「おば様が教えてくれたよ。それに、髪型変わってスーツ着てたら察しはつくでしょ?」
「そういうものか?」
袴にブーツというハイカラな女学生風の格好をしている彼女は、とっくに学生を卒業していた。それでも、その格好をするのは着物やスカートよりも動きやすいから。ただそれだけの動機であった。どちらにしろ、呉服店の一人娘である彼女が服に困ることはない。隣を歩く佐久間は彼女と同い年の幼馴染で、陸軍の中尉である。帝国陸軍に属する軍人は基本的に髪型が坊主と決まっている。横にいる幼馴染も一年前まではそうだったのだが、今ではすっかり襟足が伸びていた。
時は、世界大戦の火種がくすぶる昭和12(1937)年、帝国陸軍のある軍人によって極秘裏に設立されたスパイ養成学校、通称"D機関"
これは、同じく以前から秘密裏に設立されていた、異能力に関する事象を特権的に扱う、内務省異能特務課のエージェントである彼女が彼らのスパイ活動に関わったり、関わらなかったりする物語である。
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彼と2人で肩を並べて歩くのは久方ぶりである。陸軍軍人になってしまってからは、早々に会う機会を作ることが出来なかったからだ。最も、彼に会う時間があったとしても、最近は海外から流れてきた異能力者の対応に追われている朔が会うことが出来たかは不明である。どの国でも戦線に異能者を投入しようという動きが出始めており、そうなれば異能力者は人間兵器として扱われることになる。幸い、異能者の存在自体この国では一般に広く浸透しておらず、軍の上層部と朝廷の面々を除けば、ただの伝承程度にしか思われていない。つまり、この国で異能力者は秘匿されるべき存在てある。その異能力者が何かやらかした時に揉み消す為に新たに設立されたのが、同様に異能力者を集めた内務省異能特務課である。最近では、国内に潜入しようとする他国の異能力者のスパイや密入国者を摘発するのが、専らの仕事となりつつあった。内務省直属の課であるのは、政治状況に振り回されると困る組織だからである。組織の前身となる団体は、江戸時代では朝廷に仕える秘匿された集団の1つであった為、その歴史を遡ると案外古い。
そんな組織に属する平山朔は両親共に異能力者であり、異能特務課の人間であったと共に、本人も幼少期から異能を発現していたため、特務課の代理人(エージェント)として必要な教育を施されていた。そんなことは、幼馴染の佐久間は知らないし、世間体にはありふれた仲の良い家族であった。
ところで、男女平等教育が唱えられ早数年が経つが、その進みはあまり良くない。そんな昨今の世の中で女性が官職につけるか、と問えば答えは否である。しかし、それは表向きの話であって、この異能特務課でモノをいうのは己の力のみである。つまり、その異能と扱いに長けていれば男女という識別は関係ない。だから、この組織には多くの女性エージェントが所属している。
「ところで、朔の母君から奉公すると聞いたのだが…」
「そうそう、カフェーじゃないから安心してよ。」
パリ発祥のcafeは本場とは違い、女性が給仕をしていた。最初は健全であったものの、関東震災後にその形態は大きく変わり、カフェー(特殊喫茶)という形になる。カフェーでは給料が出ないため、客からのチップが給料変わりとなるし、風俗営業というのは頂けない。
「そうか…ってそれで安心出来るか!で、どうなんだ?」
さすが我が幼馴染殿、ナイスツッコミと思いながら、ゆっくりと口を開いた。
「言うと思った。学生寮の世話係よ。」
そうしれっと返せば、納得はしていないものの先ほどのように猛反発にあうことはなかった。
とりあえずネタです。今後これを元に連載に移行したいと考えています。
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