立場の違う其々


*一時期零の幼馴染だった年上主人公が祓魔師として再会する話


悪魔がたくさん発生している、というタレコミがあった為に私は──に居た。日本でありながら、街並みにどこか欧州のような雰囲気を感じるのは学園都市特有のものなのか。青十字学園も似た雰囲気を持っている。煉瓦道を歩くが、これといってナニカを感じる、といったことは今の所なかった。やはり、悪魔の活動が活発になる夜まで待つしかないか、と落胆し、近くにあった露店でクレープを購入し、噴水の淵に腰掛けた。

確か、この町の中央にある黒主学園は珍しく、人間と吸血鬼が共存している学校だったはずだ。周知されてるわけではないから、通っている人間の学生は吸血鬼を見麗しい優秀な生徒たちとしか思ってないのかもしれないが。私も祓魔塾で授業の一環として教科書に載ってるのを見たことはあるが、本物は見たことがない。なんでも、吸血鬼にも階級というものがあるらしく、ピンキリなそうだ。今回の件に吸血鬼が噛んでなければ良いのだが、と心配しながらクレープを無言で食してからボーッと歩く人々を見ていれば、懐かしい銀髪が視界に入り、思わず立ち上がる。

「………零?」

そう呟いた言葉は、まるで波紋を広げるように空間に吸い込まれていった。そして、彼と彼の連れが足を止め、こちらを振り返る。

「…六花か?」

目を見開いた姿はやはり、錐生零だった。彼と彼の弟である壱縷とは、所謂お隣さんというやつだった時期があるのだ。彼らの両親は転勤族だったようだから実質共に過ごした時間は二年ほどである。

「久しぶりだねぇ、その制服着てるってことは黒主学園の生徒なの?」
「あぁ。六花は何故この町に?」
「おや、昔は姉さんって呼んでくれたのにつけてくれないんだ?ふふ、なんて冗談。仕事よ、し・ご・と!隣の子はあんたの彼女なの?」

その言葉に彼女が慌てて否定をする。仕草が可愛い子だ。

「ち、ちがいます!私はただの幼馴染で…黒主優姫といいます。あの、貴女は?」

ふむ、黒主ということは、苗字からして黒主学園の関係者ということか。

「私も貴女と同じ零の幼馴染よ。正確には六年前はそうだった、と言うべきかもしれないけど。ところで、全寮制でも外出って意外と自由が効くものなの?」
「あ、私たちは風紀委員の仕事で外出の特別許可が出てるんです。」
「へぇ、大変なのね。」

青十字学園では少なくともある一定の制限が外出にはかかることがあったから、早々外に出ることはなかった。

「私、4,5日はこの街に滞在すると思うから良ければ連絡頂戴ね。ほれ、これ連絡先。」

彼と過ごした当時は携帯なんてものが、まだ存在していなかったから、持っていたメモ用紙に携帯番号を書き彼の手へ握らせた。

「引き止めちゃってごめんね。」

優姫ちゃんはもう少し話せば良いのに、と言っていたが門限もあるのだろうから、そう長く引き止めるには憚れた。挨拶をした優姫ちゃんに対し、ひらひらと手を振り見送った。零は昔よりも可愛げがなくなったような気がする。

すっかり日が傾き始めてしまっていた。

「壱縷は一緒じゃないのね。」

1人心地にそう呟いたが、勿論その問いに答えを返してくれる人は居なかった。

「さーてと、そろそろお仕事しますかぁ。」



「一体これはなんなんだい?僕の刀で切ってもあんまりダメージくらってないみたいだけど。」

短い金髪に見目麗しい青年は、日本刀で先程から斬っても斬っても消えないソレを睨みつけながら寮長である男に問いかける。彼の他にも白い黒主学園の夜間部の制服に纏った生徒達はソレを相手に闘っていた。

「僕たちの攻撃はあまりコイツらには効かないようだからね。だから、専門家を呼んでおいたよ。」

寮長である男はこうなることが以前から分かっていたかのように、そう言った。まるでその言葉を待っていたかのように、一陣の影と共に人が現れた。その人物は持っていた刀の切っ先を、先ほどまで僕らが戦っていたナニカに向け、目にも見えぬ速さで両断していった。先ほどまでのようにソレがくっつき復活する現象は見られなかった。

「まさか、依頼者本人が純血の吸血鬼だったなんて。支部長も教えてくれれば良いのに。人が悪いなぁ…」

現れたその女は刀に付いたものを薙ぎ払い鞘に収めながら、そう言った。

「はじめまして、純血の君。私は青十字騎士団日本支部所属 上一級祓魔師の九条 六花です。この度は御通報ありがとうございます。」

一礼し、何やら胸元のポケットから身分証らしきカードを取り出すと、こちらに見せながらそう言った。

「はじめまして、祓魔師さん。何故低級悪魔が僕らに害を為そうとしたか教えて貰っても?」

優雅にそう問う見麗しい吸血鬼は全てが分かっているであろうに、わざとそう聞いているかのように思えた。それは姿を現さずに、物陰にいるであろう人が理解していないから、態と、なのであろうが。

「ええ、本来は低級悪魔というものは貴方がた吸血鬼に近付いたりしません。しかし、今は光の王ルシフェルが起こした物質界(アッシャー)への攻撃のおかげで今まで保たれていた均衡が崩れまして。」

そこまでいうと、顎に手を当てながらなるほどね、と彼は声を漏らした。悪魔は吸血鬼にわざわざ近寄ろうなどと思ったりしないから、ここ数千年は互いに無干渉であったのだ。だから、もちろん悪魔が見えない吸血鬼はたくさんいる。その一方で彼らを見ることが出来る吸血鬼も、またいるのではあるが。

「その二人に事情を説明するなら、一からした方が良いのでは?」

目の前の御仁は全て分かった上で聞いていたのだろうが、物陰に隠れている2人はこの部分だけ聞いても訳が分からないはずだ。

「ねぇ、零に優姫ちゃん?」




ここで力尽きました\( 'ω')/
多分続かないです
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