隣同士がいちばん自然






「おはよう、サラ」
「おはようジョージ。フレッドも。今日は早いんだね」
「おはようさん!」

いつも夜遅くまでフレッドと悪戯商品の開発に勤しんでいるから、俺たちは基本朝食の席には遅れて入るのが常だ。今日はたまたま相棒が「アンジェリーナと約束しててさ!」と早く起きていて、頼んでもないのに俺まで起こされ、久しぶりにゆっくりとしたモーニングタイムを過ごせることになった。
そんなフレッドはサラの隣に座るアンジェリーナと挨拶を交わし、ごく自然に隣に座る。

「ジョージここ座りなよ。あ、このハチミツトースト美味しいよ」
「ありがと。じゃぁ俺もそれ食べる。あ、サラオレンジジュース入れようか?」
「ありがとう!お願い」

サラの近くに置いてあったハチミツトーストと、俺がいれたオレンジジュースを交換する。なるほど、甘党のサラが好む味な訳だ。
ハチミツトーストは俺にはちょっとばかり甘すぎる気もするけど、「ね?美味しいでしょ?」と満面の笑みを向ける彼女を見ると、まぁたまにはいいかななんて思ってしまう。

「ジョージ、魔法薬学のレポート終わった?」
「まったく。1ミリも進んでない」
「どうすんの?提出明日だよ?大丈夫?」
「サラちゃんに見せてもらうからだいじょーぶ」
「えー」

自分でやりなよとブー垂れるサラだけど、最終的には仕方ないなぁといつも見せてくれるもんだから俺もついつい甘えてしまう。その奥では同じようにアンジェリーナに頼んでいるフレッドがいたけど、「は?自分でやれば?」とピシャリと吐き捨てられていた。

「今度のホグズミードの時さ、」
「あぁ、そういえば掲示板に張り出されてたね」
「お礼に何か奢るよ」
「そうやっていつも言いくるめられてる気がするなぁ‥」
「はいはい。っで、何が良いのさ?」
「ハニーデュークスのハニーキャンディ!」

笑顔でそう答える彼女にどこまでハチミツ好きなんだよと可笑しくなる。その笑いが彼女の癪に障ったのか、「今バカにしたでしょー!」と少し怒られた。

「してないしてない。単純だなぁと思っただけだよ」
「ジョージ!1つ指摘しておくとバカにしてるってそういうことを言うんだよ」

でもまたすぐに笑って、アンジェリーナと次回のホグズミードでどこに行くか話し始めた。サラがそうしている間に俺は黙々と食べ進める。食べながら彼女たちの会話に耳を傾けていると、洋装店で服がほしいだのアクセサリーがほしいだの女の子特有の会話が繰り広げられていた。そんな状況でフレッドはアンジェリーナをゾンコに誘ったもんだからアッサリと振られてしまっている。
お、このチーズタルト中にハチミツ入ってる。

「サラ、これ食べた?」
「え?あぁ、美味しそうだけどチーズ少し苦手だもん‥」
「でもこれハチミツ入ってるよ」
「ほんと?!」

そう言うとサラは一口ちょうだいと、恐る恐る俺の食べかけたチーズタルトを口に運ぶ。

「ほんとだ!ハチミツの味!」
「な?チーズの匂いがあんまりしないからサラでも食べられるかと思って」
「ありがとう!ジョージ」
「どういたしまして」

実を言うと、サラはチーズが苦手で間違えて取ってしまった時はよく俺の皿に入れてきていた。フレッドやリーだったらお断りだけど、サラだったらまぁ良いかな、なんて。サラもサラで俺に甘いけど、俺も俺で彼女のワガママとか受け入れている辺りきっと甘いんだろう。

「ジョージ!フレッドとアンジーもう行っちゃったよ?私たちも行かないと!」

いつの間にか相棒は愛しの彼女とさっさと行ってしまったらしい。俺はハチミツトーストで甘ったるくなった口に、少しだけ残っていたチーズタルトをどうやって消化しようか考えていたけれど、なんと横からサラがパクッとそれを食べてしまった。

「ん。美味しい」
「全然いいけど、勝手に食べるなんて頂けないぞ?」
「だって、ジョージ迷ってたでしょ?これどうしよっかなーって」

私が食べたから万事解決だよ?って。
まぁいいか。サラの言うことも一理ある。
元より、食べてくれるなんて願ったり叶ったりだ。

「よし、行こう」

どちらと言わず声をかけ、同時に席を立つ。
次の授業は確か変身術だったはず。変身術が大の苦手な彼女が、今日はどんな珍百景を見せてくれるか今から楽しみだ。

俺たちはあーでもない、こーでもないと言いながら変身術の教室に向かって歩き出した。