妄想、膨らみます。

※クロックワーク・ノンフィクション後日談

「ねぇトビちゃん」
「ん、」
「この前家に女の子連れてきたんだって?」

影山は読んでいた月バリから顔を上げ、姉を見遣った。
基本的に彼女が“ちゃん付け”で声を掛けてくる時は碌な用件ではないと長年の経験で分かってはいるが、この質問は想定外である。

「???」
「家に連れてきて一緒にお夕飯食べたみたいよってお母さん言ってたけど。え、違うの?」
「―ああ、神崎のことか」
「やっぱり本当なのね?!もしかして、飛雄の彼女?」
「はぁ?んなわけねーだろ」
「彼女じゃないんだ。だったら好きな人?」
「〜〜だからっ、どうしてそういう発想になんだよ」

久方ぶりに帰省したかと思えば⋯。
テンション高く矢継に意味不明なことを口走る姉に疲弊感が一気に増してくる。

「だって飛雄が家にお友達連れてきたことなんて皆無に等しいじゃない。それなのに突然女の子連れてくるなんて、お姉ちゃん色々期待しちゃうわよ」
「期待の意味が分かんねぇ」
「神崎さん?って言ったっけ。飛雄と親しくできるってことは、その子もバレーやってるの?」
「まぁ⋯今はやってないけど、経験者」
「へぇ〜。でも共通の趣味があるっていうのは重要よ。特に飛雄はバレー一筋な子だからそこに理解のある人じゃないと。お母さんも『どんなお嬢さんか一度見てみたいわ』って言ってたし今度また、」
「⋯⋯」
「―って、飛雄聞いてる?」
「(うるさい)⋯外走ってくる」
「んもう!飛雄待ちなさいよ!!」


拍手掲載期間:2020/11/10〜202012/15