受け取って!

※設定:恋仲後/微ひなやち要素有

部活終了後。
いつものように二人並んで帰り道を歩く。

「影山くん、少し公園寄ってもいいかな」
「? 別にいいけど」

公園内にあるベンチに座り、春菜は軽く深呼吸をしてからずっと持ち歩いていた紙袋を影山に差し出した。

「これ、バレンタインのプレゼント」
「⋯マジか」
「マジです」
「開けてもいいか?」
「どうぞ」

ガサゴソと包みを開封すると中には黒色のマフラーが入っていた。よく見ると金色の糸でイニシャルも刺繍してある。

「今時手作りのマフラーなんて貰っても困るかもって思ったんだけど。仁花ちゃんが「一緒に作ってみようよ」っていうから下手なりに挑戦してみたんだ」
「! コレ、神崎の手作りなのか?」
「うん。そうだよ」
「すげぇな」
「全然凄くないよ。仁花ちゃんはとっても器用で売り物みたいな出来栄えだったから今頃日向も凄く喜んでるんじゃないかな?影山くん本人の前で暴露しちゃうのもなんだけど、私が作ったのは若干左右の幅が違ってて⋯ごめんね」

春菜はそう言うも影山は全く意に介している様子はなく、ドキソワしながら貰ったばかりのマフラーを身に着けた。

「――さんきゅ。すげー嬉しい」
「チョコレートは他の人から貰いそうだからチョコ以外の物にしようって思って」
「⋯悪い。机に置かれてて名前の分かんないやつとか捨てるわけにもいかねぇから、」

元々受け取るつもりは無かったのだと影山は弁明しつつ春菜に詫びた。

「謝らなくていいよ。私は気にしてないから」
「⋯⋯気にしてねーのか?」
「あ⋯いや、そういう意味じゃなくてっ」

言葉のチョイスを間違えてしまった、と春菜は焦る。

「影山くんが女の子が一生懸命考えて選んだり作ったりしたものを『いらないから』って理由で簡単に捨てちゃうような人じゃなくて逆に安心したって意味ね!」
「ウス」
「はぁ⋯」

誤解が晴れて良かった、と安心していると。

「―神崎」
「なに?」
「⋯⋯」
「???」
「⋯抱きしめてもいいですか、コラ」
「え!?」
「⋯⋯嫌なら別に、」
「嫌とか言ってないんですけどコラ。っていうか、何で田中さん口調?」

思わずクスクス笑いながら軽く両手を広げて受け入れ態勢を取ると、ぎこちなく影山が腕を回してきた。

「相変わらず影山くんはあったかいね」
「神崎は相変わらず冷えてんな」
「だって冬は寒いし」
「帰ったらちゃんと風呂入れよ」
「⋯またそれ?『俺が温めてやる』じゃなくて?」
「はぁっ!?!?!?」
「(影山くん動揺しすぎ)」


2022/02/14
お題配布元:TOY