純黒extra
コナンは、探偵事務所のテレビチャンネルを次々変える。だが、どの局も東都水族館の話題は取り上げていないようだった。
当然だ。
公安警察が主体となって情報を規制しているのだ。停電だけならいくらでも誤魔化せるが、銃撃と武装ヘリはどうしようもない。
不可解な点が多すぎる事件に、当初は様々な憶測が飛び交っていたが、東都水族館の事件から一週間が経った今、マスコミは鎮まり始めていた。
すぐに新聞からも消え、新たな事件と他愛ないニュースで世間の話題を上書きしていくのだろう。
探偵団の子供たちも、キュラソーとの別れを乗り越えつつある。最も、子どもたちはキュラソーが死んだことを知らないので、突然の別れを悲しんでいるだけだ。
事実を知る灰原は、いつも通り振る舞っているが、どこか空元気である。
コナンも、一週間程度では吹っ切れない。
キュラソーは組織を裏切り、子どもたちを助けるために奔走してくれたのだ。灰原から聞いたところによると、灰原を逃がすためにガヴィと対峙もしたという。キュラソーがいなければ灰原も無事ではなかったかもしれないし、転がる観覧車を止めることは出来なかったのだ。
コナンも子供たちも赤井も安室も、蘭や園子も、他の大勢の人が死んでいた。
「……きれいな、顔だったな」
変な意味ではない。断じて、そういう意味ではないけれど。
キュラソーは転がる観覧車を止める際、重機で体当たりをした。重機はそのままつぶれてしまったので、コナンはそこでキュラソーが亡くなったものだと思っていた。
コナンはその時、観覧車が停止したことで安堵していた。完全に気が抜けていたところに、スマートフォンが着信を知らせた。
灰原からだった。
ゴンドラに乗っていた灰原が、キュラソーの脱出する瞬間を見ていたらしい。
子どもたちがいるためか、声量は押さえていたが、灰原は早口で一方的に告げた。「お前なんでゴンドラにいるんだ」とコナンが問いかける隙もなかった。
『重機に乗っていたのは彼女よ。開発中の区画へ向かったわ、はやく追いかけて。もう一人、女が追いかけていったの!あれは、きっと――』
ガヴィが水族館にいると知らなかったコナンは、一瞬息を止めた。観覧車の車軸が外れた時と同じくらい、動揺した。
ガヴィの目的は明白だ――キュラソーを殺すために決まっている。
コナンはともにいた赤井にそれを伝え、疲れた体に鞭打って必死にキュラソーを探した。ほどなくして、木々に隠れるように座る銀髪を見つけたが、わずかに、ほんのわずかに、間に合わなかった。
木や体を汚す血はまだ乾いておらず、温かかった。手を握っても、まだ体温が残っていた。
なぜか穏やかな顔をしたキュラソーは、頭を打ち抜かれているために頭蓋の損壊があったものの、顔そのものは綺麗なまま。
額の穴さえなければ、眠っているようにさえ見えただろう。
コナンは涙をこらえ、震える声を押し殺して安室に連絡を取った。発見は赤井(FBI)だとしても、ここは日本だ。対処するにはどうしても安室(公安)の手が必要になる。
安室は驚いたものの「すぐに公安の部下を寄越すからFBIを隠しておいてくれ。君も、あまり関わるべきじゃないだろうから、隠れておくように」とすぐに冷静を取り戻していた。コナンはそれを了承し、キュラソーの遺体を調べていた赤井にそれを伝えたのだが、
「おかしい」
赤井は遺体の前にしゃがみ、難しい顔をしていた。
「……なんで?」
「キュラソーを追ったのはガヴィなのだろう」
「あ、うん。でも暗いから見間違いってことも……」
「いや、ガヴィであることは間違いない。キャンティはヘリだろうからな。俺も、ここに来る前に一度姿を見てはいるんだ」
「そうだったんだ。それで、おかしいって何が?」
「綺麗すぎる」
赤井が遺体から離れ、周辺を見回す。何か遺留品を探しているのだろう。
コナンも遺体から目を逸らし、思案気な赤井を見つめた。
「これでは、彼女がキュラソーだと分かってしまう。顔もしっかり残っている」
「……ええと」
「ガヴィは、遺体を回収したかったはずだ。組織への手がかりを一切残さないためにな。ガヴィはそういうやつだからこそ、ここまで素性を隠したまま暗躍出来ているのだろう」
「一人だったからキュラソーを回収できなかった……っていうのは、おかしなことじゃないよ」
「ああ、ボウヤの言う通りだ。そして……回収できないならば、解体(バラ)すなり、頭を吹き飛ばすなり、それこそ重機で轢くなりして、身元不明にしたいはずだ」
「……時間がなかった、と考えるのが普通じゃない?頭を吹き飛ばす云々も、火力がなかっただけ」
コナンは、キュラソーを探している間、銃声を聞いていなかった。
サプレッサーをつけてしまえば、銃声は格段に抑えられる。サプレッサー無しだとしても、内部に消音効果がある構造の銃もあるのだ。警察や救急のサイレンや人々の声に紛れてしまう。
そのため、いつキュラソーが殺されたのかは分からない。だが、遺体の状態を見るに、コナンと赤井がたどり着くほんの数分前のはずだ。
この短い時間で、隠密に重機を動かすことは難しいだろう。遺体の解体も同じだ。鋭利でそれなりの大きさがある刃物でなければ、骨の切断は難しい。
「俺の考え過ぎか」
「こういう状況でなければ、綺麗な遺体に意味があったのかもしれないけど……警察や一般人が大勢いる中、たった一人で動くには、制限が多すぎるんじゃないかな」
「……そうだな」
その後赤井は、すぐに姿を消した。コナンも、場所は安室に伝えていたので、人混みに紛れて水族館を後にした。
赤井に伝えた考えは、決して嘘ではない。そういう見方もあるのかと印象に残った。
恨みがある訳でもなく、愛しい故の殺意でもなく、情報漏洩を防ぐためだけに遺体を損壊ないしは解体する。
とても、人間とは思えない所業だ。
「っと、電話か」
表示された名前は"沖矢昴"だった。
FBIは事後処理もあって忙しくしているとはいえ、赤井秀一は書類上殉死している。従って、FBIの通常業務に関われない赤井は、既に沖矢昴に戻っているのだ。
探偵事務所には今コナンしかいないので、緊張もなく呑気な声で応答する。
「沖矢さん?どうかした?」
『コナン君、すみませんが、至急来ていただけませんか?』
「……博士のとこ?」
『いえ、工藤邸です。……厄介なことになりました』
「すぐ行くよ」
コナンはスケートボードを引っつかんで、階段を駆け下りた。
すぐ近くの実家に駆け込むと、見知ったFBIのメンバーがそろっていた。沖矢(赤井)、ジョディ、キャメル、ジェイムズ。
そして、何故か阿笠博士が肩身を狭そうにして輪に加わっている。
リビングの空気は重かった。凶悪事件の捜査会議だと言われても納得しそうなほどだ。
「えっと、何があったの?博士まで……」
「しん、コナン君、それが……その、ワシの預かっていたスマートフォンなんじゃが」
「キュラソーの?」
「ああ。FBIの方に渡すことになっておったじゃろ?」
「大事な遺留品だしな。あの時は急いでたから博士に解析頼んだけど、指紋含めた本格的な解析はFBIの方でって……それがどうかしたのか?」
「うむ……」
歯切れが悪い物言いに、コナンはFBIの捜査官を見回した。
沖矢が口を開くかと思いきや、上司のジェイムズが事情を説明してくれた。
「例のスマートフォンが、なくなってしまったのだ」
「え……!?」
「正確には"FBIを騙る何者かの手に渡ってしまった"のだよ」
「ちょ、それって、組織の奴が回収したってこと……!?」
「そう考えるのが妥当だろう」
「おい博士!?」
思わず語気を荒らげるコナンを、沖矢が赤井の声で制した。
「彼に過失はない。相手はジェイムズの名前を出し、ご丁寧にもIDまで提示したというのだから」
「っけど!」
「悪いのは、組織が近づいていることに気づかなかった俺の方だ。俺の不在を狙ったのだろうが……やられたよ。これでは、我々の居場所が割れているようなものだ」
一気に血の気が引いた。
そうだ。阿笠邸がわれているということは、灰原の存在も知られている。彼女がシェリーであるとは気づかれないとしても、非常に危険だ。その上、阿笠邸によく訪れる子供たち、一層親しくしているコナンのことも知られている可能性が高い。
おまけに、スマートフォンを阿笠邸に持ち込んだのは、コナン自身だ。
スマートフォンの在り処を突き止めたなら、当然、コナンのことにも気づくだろう。
更に悪いことに、スマートフォンがキュラソーの手元になかったことで、あの時のメールが偽物であったと気付かれる確率が高くなる。
最悪だ。
「ある意味、宣戦布告なのだろう。こちらのことなど、全てお見通しであり……いつでも襲撃できる、とな」
心臓がうるさい。冷や汗がわきでる。目の奥がチカチカする。
呼吸を乱すコナンの背を、沖矢が軽く叩いた。落ち着け、という抑揚のない赤井の声が聞こえる。緊迫した状況でも変わらない声は、場違いに思える場面もあるが、頼もしいことに変わりはない。
コナンは数度深呼吸をする。回転し始めた頭で、沖矢に問いかけた。
「うん……。じゃあ、どうしてそんなリスクを冒したんだろう。そこまで出来るなら、捜査官を装わなくても、侵入した方が早いのに」
「おそらく"気づかれないため"だろう。忽然とスマートフォンが消えれば、阿笠さんもすぐボウヤに連絡したはずだ。けれど実際は、今日ジェイムズたちが引き取りに来るまで気づかなかった」
「……偽捜査官が来たのはいつ?」
「二日前だそうだ。二日あれば、国外逃亡も余裕だろう。つまり、偽物は"スマートフォンを持って秘密裏に逃亡する必要があった"。すぐに俺達をどうこうする気はないということだ」
「一安心……するには、物騒すぎるね」
「全くだな」
今度は、ジョディが阿笠に問いかける。
「ねえ、その偽物は何て言っていたの?」
「ええと……自分はジェイムズ・ブラックの部下で、代理でスマートフォンを受け取りに来た、と……。名前は、何と言ったかな……アンナじゃなくて、アンドレイでもなく……そうじゃ、アンドレア!アンドレア・フローレス」
「一応、調べてみるべきね。外見は?」
「身長は、ワシと同じくらいじゃったかな。長い赤毛で、人懐こい感じの笑顔をした普通の女性じゃ」
「……変装だったら、どうしようもないわね」
ジョディがさらさらとメモを取る。コナンは静かにうなずいていた。
変装と言えばベルモットだが、彼女は、コナンを危険から遠ざけようとする節がある。阿笠邸はコナンが入りびたる場所であり、エンカウントする可能性も高い。ベルモットが黒の組織の一員としてコナンの近くに"自分から"乗り込むことには、少しの違和感があった。
ベルモットほどの技術でなければ、変装そのものは誰にでも可能だ。スマートフォンの受け取りくらいならば、幹部でなくとも完遂できる。
幹部でなくてもいい。
そう分かってはいるのだが、コナンの脳裏によぎるのはガヴィの姿だった。見上げた沖矢が頷いているので、彼も同じ考えなのだろう。
「ノックリスト(キュラソー)の件を含め、これで引き分けといったところか」
そう呟いた沖矢の声は、とてつもなく重かった。
*
「好きなの頼んでいいよ、僕もちだから」
ワインをあおりながらそう言う上司――ガヴィは、バーボンの返答も聞かずにボーイを呼びつけた。
とある高級ホテルのバーである。ガヴィがここに宿泊しているかと問えばそうではないらしく、バーボンは心の中で舌打ちをした。
バーボンは高い酒をオーダーし、呑気なように見えるガヴィをうかがった。
「まさか、貴女からお誘いがあるとは思いませんでしたよ」
「ジンたちが今謹慎中だから、僕に仕事が回って来た」
「……ノック疑惑のことですか。ちゃんと払拭出来たと思っていたのですがね?」
「そう簡単に見逃してくれないさ、ジンはしつこいよ」
まるで他人事だった。ノック疑惑には一切興味がないらしい。
バーボンは、埠頭の倉庫でのやりとりを思い出した。
ジンは、ガヴィがノックを全て把握しているかのような口ぶりだった。ガヴィも返答を濁してはいたが、否定していなかったはずだ。
把握しているからこそ、ノック疑惑に関心がないのだとしたら。
ガヴィが全てのノックを把握し、その上で放置しているのだとしたら。
――とてつもない脅威である。
「ジンは今回やりすぎた。そのせいで行動が制限されている」
「……代わりに、貴女が僕の監視を?」
「釘を刺すだけだ、下手なマネはするなとね」
「ご忠告痛み入ります。じゃ、僕へのお説教が済んだら、もう日本を出るんですか?」
「ああ。急に呼びつけられた身だからな。色々片付けることが多いんだ」
「……キュラソーが抜けた穴は、どうするつもりです?」
睨まれることを覚悟で話題を振っても、ガヴィは一切動じずにグラスをあおった。
「どうもしない。しばらくは僕が引き継ぐけど、体は一つだからね。切れるところは切って、回せるところは回すさ」
「出世のチャンスだと思ったのですが……。手土産の一つでもあれば、違ったのでしょうか」
「手土産って、キュラソーの首?さっすが、ジャパニーズは猟奇的だな」
「日本人に対する先入観がひどすぎませんか?僕はそんな物騒じゃあないですよ。単に、キュラソー捕縛の話です」
「残念ながら、彼女は僕がきっちり殺しておいたし、スマートフォンも回収した。何も残ってないよ」
「そうですか」
静かに返答しながらも、バーボンの鼓動はうるさくなる。
キュラソーのスマートフォンの在り処は把握していないが、バーボンとキールが尋問されていた時に送られた都合のいいメールを踏まえれば、キュラソーの手元に無かったということは察せられる。
記憶喪失のキュラソーを保護したのは、探偵団の子供たちだ。ならば、スマートフォンは彼が持っている可能性が高い。
それをガヴィが『回収した』ということは、この凶悪犯が米花町に訪れたということだろう。
……いや、待て、もっとまずい。"逆"から考えることだってできる。
――スマートフォンがキュラソーの手元にないのだから、あのメールは偽装であったと。
「どうした、急に顔色が悪くなったが」
「何でも。ジンと同様に、僕にも謹慎処分は下っていますから。少し気が滅入っているだけですよ」
「へえ。……」
今バーボンの目の前にいるのは、あのガヴィなのだ。バーボンが思い至ることに、きっと彼女も辿り着いているだろう。
それなのに、ガヴィはバーボンをノックとして糾弾しない。
バーボンは、見えないところで拳を握る。せっかくコードネームをもらうほど組織に食い込んでいるのに、崖っぷちなのは変わらない。
バーボンの焦りと葛藤をどう受け止めたのか、ガヴィか短くため息をついた。
「……半々だ」
「?」
「あなたとキールへの疑いだよ。半々だ」
「理由をお聞きしても?」
「キュラソーのスマートフォンは、随時、データが完全に削除される。どうにかして復旧することも出来るが、まあ、意味もないし」
「……あのメールの送信履歴さえ無いと?」
「そこは関係がない」
「はい?」
「一度目、途中送信だと思われたメールをキュラソーが打ったことは間違いないだろう。
事故で壊れたタイミングが、ちょっとばかり問題だ。
その直後に壊れたのだとしたら、送信履歴が残っている。つまり、第三者でも文面作成は可能になるので……バーボンとキールを救うメールも送れるというわけだ。もちろんキュラソー自身が送った可能性も捨てきれないが、ジンは心が狭いからな。この場合、あなたたちはジンに殺される。
しかし、データの削除が実行された後に壊れたとしたら。全く同じ文面の作成は、キュラソーにしか出来ない。あなたたちは、ジンを殴り返す事が出来る。警察協力者がスマートフォンを持っていたのは、キュラソーから没収した後、解析を依頼したとすれば、辻褄は合う」
「なるほど。けれど、それもすぐに判別できるのでは?前者ならば送信履歴が二件、後者ならば一件残ることになります」
「履歴は削除されているよ」
「なぜ」
「ぱっと確認しただけなんだけどね。言っただろう。キュラソーのスマートフォンはデータが消えるようになっていると。
考えられるパターンは二つだ。
一つ目。画面は砕けているが機能自体は無事で、自動でデータが削除されていた。
二つ目。一度は壊れ、履歴が残ったものの、第三者の手によって復旧された際にデータ削除が機能した。
いいかい。送信履歴の件数は、データが削除"されなかった"場合の話だ。スマートフォンの機能によって削除が実行された送信履歴を完全に復旧すると、どのパターンでも、送信履歴は"二件"になるんだ」
「だから、復旧は無意味だと」
「そうだ」
「僕たちの疑いは、晴れてもいないが悪化もしていないと」
「ああ」
「もし、復旧作業をしてもスマートフォンの機能が回復していなかった場合は?」
「復旧作業のタイミングが、件のメール前であれ、事件後であれ、送信履歴は二件残っているだろうな。二件目のメールを打ったのがキュラソーか第三者かは、やはり分からない」
一体、話のどこまでが真実なのだろうか。
データ完全削除という仕様の真偽も判断はできないが、筋は通っているように思う。要するに、キュラソーのスマートフォンが第三者に渡ったタイミングが分からないことには、メールの差出人は不明なのだった。
バーボンは、一連の懇切丁寧な説明がひっかかっていた。
"キュラソーの手元にスマートフォンがなかった"イコール"あのメールはキュラソーが送ったものではない"としても良かったはずだ。ジンならばその考えに飛びつき、バーボンとキールを殺すだろう。実際にガヴィもそう述べていた。ジンは心が狭いと。
だが、現状、ジンはスマートフォンの件を知らないのではないか。知っていたら謹慎など構わずに殺しに来そうなものだ。
ガヴィが、あえて黙っているとしか思えない。普段から連携をとらないとしても、それを伏せるのは一体なぜだ。
「……にしても、ガヴィはよく喋るんですね。てっきり寡黙な部類かと」
「場合による。今は、僕とあなたが握っている情報量に差がありすぎるから、丁寧に説明しただけだ」
「さすがはボスの懐刀」
「いらん心配のせいでミスされる方が、僕にはたまったもんじゃないんだよ」
ノックへの追及はしないという、遠回しの意思表示だったらしい。ジンは例外だろうが、少なくともガヴィにそのつもりはないのだろう。
謎ばかりだ。なぜノックを放置するのか。どこまで把握しているというのか。分かっているのに手を出さない理由は。
まさか、彼女もどこかの組織からのスパイだとでも言うのだろうか。
「分かったら、さっさと飲みなよ。酒好きだろう」
「ええ。ではお言葉に甘えて。貴女、意外と優しいんですね」
冗談と本気が半々だった。得体がしれないのは事実だが、バーボンを追い詰める気がないと示してくれるのはありがたい。
当然、それが真心や優しさに由来するものだと思ってはいない。そこまで素直に人を信じることなど出来る訳がない。
ガヴィの本心は、全く謎だ。
「本気でそう思うなら、あなた、この業界向いてないぜ」
そう言ったガヴィの声は、ほんの少し笑いを含んでいるように聞こえた。
――――afterword
彼女を純黒に関わらせるつもりはありませんでした。本編(個別、vs、junebride)ではそのように扱っています。全てが終わったあと、ベルモットから知らされているだけです。
なぜ純黒に関わらせなかったかというと、彼女強すぎるんですよね。私も純黒好きなので混ぜたかったのですが……。キュラソーと一緒に侵入するパターン、キュラソーのバックアップするパターン、キュラソーに代わって彼女が侵入するパターンなど考えてはみたんですが、もれなく名探偵コナン最終回になっちゃうんです。(ちなみに、ブラックダイヤ主を積極的に事件に関わらせないのも同じ事情です。迷探偵幼女が爆誕してしまうので)
ですが以前、純黒Aimが見てみたいとコメントで頂きまして、IF扱いで書かせてもらいました。名探偵コナン終了させないために、こういうポジションになりました。
キュラソーが捕まるまで関わらない、あくまでもジンらに協力するかたちである、観覧車内部で赤井、安室、コナンには会わない、など縛りがありました。
本編がほとんど彼女以外の視点からなので、このIFに関しては彼女を主人公らしく扱おうと思っています。が、これはあくまでIFなので、"重要な話は一切しない"ことだけは気をつけています。
ですがそれだと面白味がないかなということで、彼女自身のことは伏せつつ、彼女視点でしか書けないことも織り交ぜています。スマートフォンの設定など。
彼女は、"私の考えた最強のエージェント"状態ですが、決して無敵ではなく、案外制限が多くあります。そのあたりをにおわせられたらなあと思っています。vsでの発言と合わせればちょっとヒントにはなるかなと……。
彼女の出自含めた種明かしは、junebrideにて行っていく予定です。このIFはあくまでもIFですので。
それではこれにて失礼します。ありがとうございました。
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