Yori
Image第弐衣装幼少期学バサ
IFルート:真田幸村、徳川家康

属性:光
武器:二重鉄扇
肩書き:慈緋燦々(じひさんさん)
「慈しみを帯びた緋色の瞳を持つ者が、周囲を照らす意」
登場時の書き文字:決起
一人称:私
好きな食べ物:蒲鉾
年齢:17
身長:鶴姫と同じくらい
イメージテーマソング:紫のゆかり、ふたたび/Rin'
イメージCV:生天目仁美

豊臣秀吉の娘。母親はねね。頼姫とも呼ばれる。
栗色の髪に緋色の眼。髪や目の色は父譲りで、顔立ちや性格は母譲り。
秀吉がねねを殺害した際、当時産まれたての赤子だった頼も殺そうとするが、血筋を絶やしてはならないと考えた半兵衛に止められて生かされた。

幼い頃は好奇心旺盛で怖いもの知らずな箱入り娘だったが、拾(ひろい)と名乗って慶次と日ノ本中を巡る旅を経て様々な人々や大名達と関わり、経験を得ることで豊臣の後継者としての使命感を自覚していく。
3での登場時は、秀吉とは異なる思想や世界観を持ちながらも、幼少期から共に過ごした三成達からの敬いの念も相俟って西軍にとって必要不可欠な存在となっている。
秀吉亡き後の大阪城の象徴的存在として、家臣たちからの豊臣への思いを一身に背負う。

●武器
二重鉄扇(ふたえてっせん)
文字通り鉄扇が重なっており、片手持ちと両手持ちで使い分けて攻撃を行う。

第一武器:舞君(ぶくん)
第二武器:覇烈(はれつ)
第三武器:蒼紅(そうく)
第四武器:凶照(きょうしょう)
第五武器:3→切札(きりふだ・トランプ)
4→泡沫(うたかた・ジュリ扇)
第六武器:舞君・無銘
第七武器:舞君・山吹

●簡易年表
0歳:誕生。頼が産まれた後にねねが殺される。
9歳:三成(当時の佐吉)と出会う。
12歳:慶次と日ノ本を巡る旅に出る。この頃に各国の武将と交流をし、まだ幼さが残る武将達と出会っている。
15歳:裳着を済ませる。
17歳:本編軸。秀吉亡き後、豊臣の新しい象徴的存在となる。

●公式風設定
『戦国BASARA3』からプレイアブルキャラクターとして参戦。秀吉と半兵衛が亡き後は、亡き父の跡を継いで豊臣軍の象徴として扱われている。

・戦国BASARA4
初期戦友は三成。戯画バサラ技時の表記は覇姫、墨絵は大阪城を背景にした桜。
秀吉と半兵衛が存命なので3と比べて未熟さと無邪気さが見られるが、豊臣の未来の顔として半兵衛達からの期待を背負う。武力だけでは民は幸せになれず国は豊かにもなれないという思想を持ちながらも、父の持つ強さもまた必要なものであると考え、より理解を深めるために父の背を追いかける。

・真田幸村伝
拾と名乗っていた頃に弁丸を始めとした真田家とは親交があった。
半兵衛の元で教養を受け、豊臣の後継者として育てられながらも、幸村の行く末を案じて胸を痛めていた。
関ヶ原の戦いでは三成と形部によって大阪城にて待機させられる。
三成が斬首された後、悲しみに暮れながらも残った家臣や牢人達、そして幸村と共に大阪の陣にて総大将として立ち上がる。

 【バトルスタイル】
鉄扇が二つ重なった特殊な武器を用いて戦い、片手持ちと両手持ちで使い分けて攻撃を行う。全体的に舞を連想させるようなモーションが特徴。
範囲攻撃が多く陣取りや雑兵の殲滅力に優れるが対武将戦ではやや火力不足気味か。固有奥義の一つに武器を使わず拳や足で敵を攻撃するものがあり、その豪快ぶりに驚くプレイヤーも少なくはなく度々ネタにされているとかいないとか。BASARA技にも肉弾戦を用いているモーションがあり、秀吉の娘としての片鱗を垣間見ることができる。

 【エンディング分岐】
基本的には3のようなルート分岐で進行が変わる。
主なルート(3軸)
・三成が家康を討ち西軍勝利。三成を夫として迎え入れ、日ノ本と豊臣家の繁栄を願う(三成エンド)
・慶次の介入と頼の仲裁により三成と家康が和解。日ノ本に天下泰平が訪れる(両軍和解エンド)
・関ヶ原にて、家康と三成の一騎討ちで頼が仲裁に入り致命傷を受けて死亡。これにより互いが戦意を喪失(BADエンド)
・関ヶ原にて三成が討たれ西軍敗北。三成は唯一の心残りである頼を幸村に託す。大坂の陣では豊臣側の総大将となり、夏の陣で自刃に追い込まれるが阻止され、幸村と共に薩摩まで逃げ落ちる(幸村エンド)
・大阪夏の陣で敗戦後、身柄を捕らえられ家康の庇護下で余生を過ごす(家康エンド)


●呼び方、呼ばれ方
三成↔頼様
幸村↔頼殿
家康↔頼
形部↔ひい
慶次↔頼
父上(秀吉)↔頼
半兵衛↔頼
左近↔姫様/頼様
官兵衛↔姫様/頼
利休↔姫様/頼様
佐助↔頼様
政宗↔頼
小十郎↔頼
金吾くん↔頼ちゃん
昌幸殿↔姫御前(ひめごぜ)殿
信之殿↔頼殿
毛利殿↔小娘、頼
元親↔頼
利家殿↔頼
まつ殿↔頼
お市↔蛍さん

●人間関係
【石田三成】
秀吉と半兵衛を崇拝するその念は血縁者にも及ぶようで、娘の頼にも向けられている。
小姓時代から頼の身を守っており、三成ルートでは次第に頼への感情が忠誠→独占欲→恋慕と変化し、一人の女として愛していることを自覚する。
頼の存在は主君を失い憎悪に溺れる彼を「人間」に引き留める唯一の鎖であり、彼女を悲しませることこそが彼にとって一番の「罪」である。
【真田幸村】
慶次と頼(当時の拾)が旅の道中で甲斐の武田領に訪れた際に出会う。
数日という短い滞在であったが、幸村と頼が打ち解けるには十分な時間だった。この出会いがきっかけで二人は文通をする程の仲にまでなり、幸村ルートでは幸村が元服を終えて一人前の武将となってもなお、頼への想いは消えずにいた。関ヶ原での戦いの前に三成に頼を託されることとなり、大坂の陣では己の信念の為、愛する主君の為に豊臣側につく。
【徳川家康】
竹千代の頃から親交があった。頼の思想は秀吉よりも彼の方に近い。
家康は頼の根底にある「慈愛と包容力」を、頼は家康の「己の何を犠牲にしても泰平の世を創るという覚悟」をそれぞれ誰よりも理解している。しかし「豊臣の為に散っていった者たちの悲願」と「父や半兵衛が残した意思」を背負うためにも、頼は彼と対峙しなければならない。
【前田慶次】
ねねの忘れ形見なのもあって気にかけられており、日ノ本中を巡る旅に頼を連れ出し、豊臣だけでなく様々な生き方があると教えた。頼の平和主義な部分は彼に影響されている。頼には女としての幸せな人生を送って欲しいと切実に願っており、秀吉の跡を継いで武器を取った事を快く思っていない。慶次との旅で頼は、甲斐の武田軍(幸村)をはじめとする様々な人々と触れ合い、戦や政だけではない「日ノ本の美しさ」や「人の温かさ」を学んだ。
【豊臣秀吉】
秀吉にとっての頼は「己が強くなるために切り捨てた過去(ねねへの愛)」の象徴であり、秀吉は決して父親としての愛情を見せることはなく、常に豊臣の将として厳しくあった。頼の持つ「人を惹きつける力」を認めつつも、自身の「力による絶対的な統治」とは相容れないことを危惧していた。心の奥底にあった父親としての愛情を頼に伝えたのは、討たれた時が最初で最後だった。
【竹中半兵衛】
頼の教育係。彼女の所作や教養は全て彼が仕込んだ。
表向きは「使えなければ捨てる」と突き放しながらも、夜な夜な教育方針には頭を悩ませていた。
頼にとっては鬼よりも怖く厳しい師匠のような存在だが、彼の冷たい言葉の裏にある「豊臣の未来への切実な想い」と「不器用な優しさ」には頼も気付いている。
【大谷吉継】
大谷からはひいと呼ばれる。彼は三成がどれほど頼に依存し、愛しているかを誰よりも理解している。だからこそ、彼女に害をなす存在は絶対に許さない。頼を守ることは三成の心を守ることであり、それは彼にとって豊臣を安泰に導くための最重要な任務でもある。
【黒田官兵衛】
鬼よりも怖い存在だと半兵衛を恐れる頼にとっては、彼を鞭とするなら官兵衛は飴のようなものだった。秀吉と半兵衛亡き後、形部達によって穴蔵送りにされたのを心配している。秀吉の力でねじ伏せる覇道は、いつか破綻する。だが、この娘が持つ『すべてを包み込む王の器』ならばあるいは、と官兵衛は心の奥底で密かな期待を抱く。
【伊達政宗】
慶次と頼(拾)が旅の道中で奥州に訪れた際に出会う。覇王秀吉の思想は気に食わないが、父親譲りの強固さと母親譲りの慈愛を併せ持つ頼のことは、同じ国を背負う者として一目置いている。
幸村が「真正面から支える熱い光」なら、政宗は「隣を並走して風を通してくれる存在」。
【長宗我部元親】
慶次と頼(拾)が旅の道中で四国に訪れた際に出会う。元親は頼の正体に薄々気づきつつも、妹分にも似た友人として豪快に接する。「石田の野郎は放っとくと何しでかすか分からねぇからよ。頼、お前がしっかり手綱を握ってろよ!」とまとめ役として頼りにしつつも、頼が無理をしすぎた時は「たまには海風でも浴びて休め」と気遣ってくれる、頼にとっての最高の兄貴分。
【毛利元就】
「太閤の血を引く者が、まさかこのような甘い考えを持っていようとは。ふん、豊臣も地に落ちたものよ」と冷笑するものの、彼女の持つ「人を惹きつける素質」だけは、計算外の事態を引き起こす厄介な要素として深く警戒している。
【お市】
お市からは蛍さんと呼ばれる。これは頼が周囲の環境(人物)に寄り添うことで光にも闇にもなれるというお市の観点からだと思われる。
【小早川秀秋】
お互いを金吾、頼ちゃんと呼びあっている。幼少期はよく遊んだりしていた。
友人のような間柄だったが豊臣家の正式な後継者となってしまった頼に対して劣等感にも似た複雑な感情を持っている。その反面、心優しく接してくる頼に拒むことができず、そこを天海に付け込まれてしまう。
本当は頼と鍋を囲みたいのに近付こうものなら三成が理不尽に威嚇をしてくるのでマジで怖くてそれどころじゃない。


●台詞抜粋etc
・三成が血塗れの手で頼の頬を撫でる。
・「頼は……優しいな…」家康の傷だらけの手を頼が頬擦りする。
・「待って半兵衛。見たところ、この者は体も屈強だし、年も若い。ここは人手不足だったよね?なら昼はここで働かせて、夜に牢に入れればいい。人間生きている間は、必要ない事など無いのだから」
・「某は、この槍でそなたを守ると誓おう」大阪夏の陣にて。
・「某は…頼殿を……頼殿を護りたく存じますっ!!」「幸村よ。己自身が決めた事、必ず全うせよ」
・城の天守閣から落ちる頼を、佐助が両手を組み、幸村がその手を踏み台にして飛び、頼を横抱きにして着地。「佐助ぇ!!」「はいよっ!」「間一髪…って感じ?はあー…腕が筋肉痛になりそうだわ」肩を回す佐助。
・「武人とはいえ、頼はれっきとした豊臣家の姫君でございまする。なればこそ、戦装束も華やかでなくては!」とまつによって戦装束を作られる。
・「お前には残酷さが欠けている。綺麗な志のままだけでは上に立つ者として生きてはいけないだろう。豊臣を継ごうとしているお前ならば尚更な」警告する孫市。
・「……ゆき、むら…?」「おぉ、頼殿。気付かれましたか」
目覚めると幸村に膝枕をされている事に気づく頼。
・政宗と深夜の遠乗り。馬上で夜明けを迎える。
・「そなた名はなんという?」「よ……拾(ひろい)です。」
旅の道中では基本的に素性を明かさず、偽名を使う。
・「刑部ー!刑部はどこー?」「やれ、相も変わらずひいは賑やかなことよ」
・「お前にも武器を持たせる世になっちまった」「これは運命なの。私が豊臣に生まれた運命。だから慶次、あなたが気に病むことはないよ」
・「血縁者などいらぬ」「ああ、そうだね。僕だって秀吉と同じ思いさ。だがそうも言っていられなくなるほど、僕も焦りを感じているらしい」
・「(……なんとも小さい娘よな。あれが、あの太閤の血を引くというのか。所詮は親鳥がおらねば何も出来ぬ、頼りない雛よ)」
「……やれ、豊臣の姫君。あまり触れてくれるな。我もぬしも、決して気持ちの良いものではないゆえ」「ごめんなさい……痛かった?」「伝染るわけなんてない。それが本当なら、いつも一緒にいる三成や父上達だって、とっくに伏してるよ」「誰よりも苦労してきたんだね。……私を気遣ってくれてありがとう」「(……ああ。この娘は、なんと眩しいことか)
・「慶次…これ、すごい!水がずっと向こうまで続いてる!お城の池の何千倍…ううん、もっともっと広いよ!」「おい!あんまり沖に行くと波に呑まれちまうぞ!」「はは!威勢のいい嬢ちゃんじゃねえか。海は初めてかい?」「うん!私こんなに広くてキラキラした場所、初めて見た!すごいね!」「そうか!どうだ、この海をもっと高くから見てみたくねえか?俺の富嶽に乗せてやるよ!」
・「ねえ旦那、あの拾って子、あんまり深入りしない方がいいと思うよ。ちょっとワケありっぽ……」「佐助ぇ!某は拾殿の真っ直ぐな瞳に嘘偽りはないと信じておる!共に汗を流せば分かること!」「……あー、はいはい。旦那がそう言うなら仕方ないね(やれやれ、これだからうちの旦那は……俺がしっかり見張ってなきゃダメだわな)」「……ま、余所の国の姫様を惚れた腫れたで護るたぁ、とんでもない茨の道だけどね。旦那がそう決めたなら、俺はとことん付き合うまでさ」
・「……ふふ。あのわかきとらがねつをあげるのもうなずけます。ですが…そのほそうでで、いつまではおうのごうかにたえられますか?」
・「…風魔、小太郎。また、私を見に来たの?」「不思議ねあなたがここにいること、三成も刑部も気づいてない。…あなたの前だと、城の重い空気ごと、風で吹き飛ばされちゃったみたいに静か」「…ねえ、風魔。もしあなたがただの風なら、私をこの城からどこか遠くまで連れ去ってくれたりするのかな」頼の膝の上には、どこからか運ばれてきた名も知らぬ小さな花が、ぽつりと一輪だけ落とされていた。
・「頼が流すであろう涙も、豊臣の行く末も……これからの日ノ本の未来もすべて、このワシが全て引き受ける。だから、もう……休め、三成」
その声は、かつて大坂城の縁側で共に茶を飲んだ時のように、ひどく穏やかで、深く痛切な響きを帯びていた。
(……ふざけるな、家康……ッ。お前に、あの方の何を、救えるというのだ……!!)
悪態をつきたかった。死してなお怨霊となり、その首に噛み付いてでも彼女の元へ帰りたかった。
だが、無情にも限界を迎えた身体はもはや一寸も動かず、空を掻こうとした腕は、力なく泥の中へと落ちた。


●イメージソング
・千年の虹/Rin'
・なでしこ桜/和楽器バンド
・アテナ/Abingdon Boys School(三成×頼)
・深愛/水樹奈々(三成×頼)
・白い闇/T.M.Revolution(家康×頼)
・最愛/福山雅治(家康×頼)
・Timeless〜Mobius Rover〜/T.M.Revolution(幸村×頼)
・春のかたみ/元ちとせ(幸村×頼)


●ルートごとのエンディング
〔三成エンド・正規〕
イメージソング:アテナ/abingdon boys school
秀吉と半兵衛を崇拝する三成にとって、その血を引く頼は、己の命に代えても守り抜くべき「豊臣の象徴」であった。小姓時代から彼女を守ってきた三成の感情は、主君を失い憎悪と狂気に溺れていく中で、次第に「秀吉様の遺志への忠誠」から「彼女がいなければ息もできないほどの独占欲」、そして「一人の女としての狂おしい恋慕」へと変化していく。頼の存在は、修羅に堕ちかけた三成を「人」に引き留める唯一の鎖だった。
頼は長年、三成からの過保護なほどの執着を「自分の背後に父上(秀吉)の影を見ているからだ」と思い込み、自身の彼への恋心を封じ込めていた。しかし、頼が三成を庇って負傷した際、三成は「秀吉様の為だけではない、私自身が貴女無しでは到底生きれないのだ」と慟哭する。その不器用で真っ直ぐな、一人の男としての本心をぶつけられたことで、二人は互いの想いが重なり合っていることを自覚する。しかし二人が結ばれたのも束の間、天下分け目の「関ヶ原の戦い」が迫る。大谷は頼が家康と三成の衝突に心を痛め、葛藤していることを見抜いていた。
大谷は「ひいが徳川の元へ行かぬよう、繋ぎ止めよ」と三成の独占欲を煽り、それに火を点けられた三成は大義名分すらも燃やし尽くすような真っ直ぐな愛の独白と共に頼と契りを交わした。
そうして三成は家康を討ち取り、西軍勝利という悲願を果たす。戦後、豊臣の世が盤石となった大坂城では、頼は政の第一線から退き、夫となった三成に一任する。そんな夫婦の姿を、大谷は温かい眼差しで見守り続ける。「他人の不幸を好む己にとって、この二人の幸せだけは例外であった」と自覚しながら、彼らの歩む光の道を静かに支えていくのだった。

〔幸村エンド・IF〕
イメージソング:Timeless -Mobius Rover-/T.M.Revolution
天下分け目の関ヶ原。西軍の敗北と己の死を悟った三成は、頼がたった独り残されることを何よりも恐れ、幸村に彼女を託す。幸村はその不器用な愛と葛藤を正面から受け止め、己の魂に誓いを立てた。
豊臣の落日が迫る大坂城。頼は幸村を死地に巻き込むまいと書状を出さなかったが、三成との誓いを果たす為、豊臣の家臣達の導きによって幸村は頼のもとへ馳せ参じる。
そして夏の陣にて、大坂城が炎に包まれる中、敗北を悟り自刃を決意する頼。しかしその切っ先は、最前線から血路を切り開いて戻ってきた幸村によって弾き飛ばされた。「この城と共に死ぬ」という頼の悲壮な覚悟に対し、幸村は主従の垣根を投げ捨てて「生きろ!!!頼!!!」と魂の咆哮を上げる。
幸村は頼を隠し通路へと押し込み、必ず生きて戻ると言い残して、幾多もの敵が待つ地獄の最前線へと一人飛び込んでいった。
そうして薩摩へと落ち延びた頼。島津の庇護のもと「豊臣の身分」を完全に捨て去り、ただの一人の娘となった彼女は、満身創痍になりながらも地獄から這い戻ってきた幸村と互いの無事を確かめ合い、涙を流して抱きしめ合った。
それから数年後。家康の元には京や大阪で流行しているというわらべ唄の噂が届いていた。
己が創ったこの平和な世のどこかで。全てのしがらみから解放され、ただ一人の女として、お前は息をしているのだな。それでいいんだ。それだけでワシは救われる。
江戸の空に吹く風は、どこまでも穏やかで温かかった。
「花のようなる頼姫様を
鬼のようなる真田がつれて
退きも退いたり加護島へ」

〔家康エンド・IF〕
イメージソング:白い闇/T.M.Revolution
大坂の陣にて豊臣は敗戦した。豊臣の象徴として本来ならば処断されるべきだった頼だが、家康は彼女を生かし、城の最奥にある御殿へと幽閉した。存在を抹消された頼は、外界から隔離された鳥籠の中で家康の庇護下に置かれる。
三成達を手にかけたことを決して許したわけではない。だがそれら手放してでも成し遂げたかった天下泰平の為に、隠した彼の本心を頼は痛いほどに理解できた。家康は「ワシを憎め」と頼に言うが、彼女は首を横に振る。「豊臣はあの大阪城と共に燃えて消えた。私は豊臣の人間じゃなくなった。私の前では、もう本当の自分を隠さなくていいんだよ」と言い、家康はそこで、これまで頑なに被り続けてきた仮面を、ついに音を立てて崩れ落ちさせた。
張り詰めていた糸がふつりと切れたように畳へと膝をつき、天下人となるべきその大きな背中を丸め、ただの一人の男として声を上げて泣き崩れる。秀吉を討ち、三成を絶望に突き落とし、数多の血を流してきた罪悪感と孤独。誰にも見せられなかったその重圧が、限界まで達していたのだと痛感させられるような、子供のような慟哭。
家康が分厚い両手で顔を覆い、指の隙間から堰を切ったように涙を溢れさせる中、頼はそんな彼の震える背中を、すべてを許し包み込む柔らかな光のように、ただ静かに、優しく撫で続ける。
「家康、罪を償うのはあなただけじゃない。三成達もきっとあの世で怒っているだろうね。この私が、まだ生かされているだなんて」「私の残りの生は、家康に全部あげる」と頼は言った。そして緋花(ひばな)と名を改め、その存在は史実に残ることなく、その生涯を閉じるのだった。