その他のおはなし


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明治現パロ謎時空混合/順不同/随時修正

*「あーん」選手権:樺太先遣隊
前回味を占めたアシㇼパ と柚芽。樺太先遣隊による「あーん」選手権がここに開催される。

「お前たちがあーんするのは、あれだ!」
アシㇼパが指差した先には、火にかけられた鍋がひとつ。湯気が立ち上りおいしそうな匂いを漂わせている。
「チタタㇷ゚を煮込んだオハウだ」とアシㇼパが胸を張る。
「あれを柚芽にあーんするんだぞ、わかったな?」
その言葉に柚芽が目を見張った。
「え、わたしが食べるの?」
「オハウは私が作ったからあーんは柚芽の担当だ。審査は今まで通り私と柚芽が行う!」
急な展開に、それぞれの思いはこれ如何に。

杉元「熱いから気をつけてね。味噌も入れたからおいしいよ。はい、あーん」
アシㇼパ「ずるいぞ杉元!あとで私にも寄こせ!じゅるり、10点!」
柚芽「これは惚れるよね10点」

鯉登「や、野菜も食べろ。ほら、あーん……」
アシㇼパ「小指が立ってるのが嫌だ!2点!」
柚芽「もしかしてちょっと照れてる?ふふ10点」

谷垣「お前は口が小さいな……あ、あーん」
アシㇼパ「柚芽に合わせて具材を小さくしたんだな。いいぞ、9点」
柚芽「優しい10点」

月島「口を開けろ」
アシㇼパ「捕虜じゃないんだぞ、3点」
柚芽「どうしようちょっと好きかも10点」

「相変わらずだな」とアシㇼパが柚芽の採点に呆れてため息をつく。本気でないことはわかっているので、柚芽はふふふと笑う。
「オレもオレも!」とチカパシが手を挙げた。
「チカパシにはわたしがあーんしてあげる」
「やったー!ふうふうして?」
「うふふ、いいよ」
柚芽にふうふうしてもらい、「あーん」と口元に運ばれたオハウをしあわせそうに頬ばるチカパシ。

((((( ず る い !! )))))

男どもプラスアシㇼパの心の叫びは、白い雪に吸い込まれていった。



*雪合戦:第七師団
「あはははははは!」
壊れたおもちゃのような笑い声に、鯉登が足を止めた。月島もそれに倣う。声のした方を見ると、二階堂と柚芽が雪をこねながらなにやら談笑している。
「何を今更。雪など珍しくもないだろう」
そう言いつつも鯉登はそわそわと手足を動かす。その様はどう見ても自分も混ざりたいと言っていた。
子どものような上官に、月島はどうしたものかと空を見上げた。そのとき。
「うぎゃ」と猫がつぶれたような声。はっと視線を戻すと、柚芽の顔が雪まみれになっている。二階堂が至近距離から雪玉をぶつけたらしい。
「二階堂貴様!」
柚芽の「もー!」と言う声を合図に、鯉登が駆け出す。なんにせよ、こうなることは判りきっていた気もする。
「柚芽、私の後ろに隠れていろ」
彼女を背に庇いつつ、鯉登は部下を呼んだ。
「月島ァ!」
やれやれと月島は肩をすくめるが、すと目を細める。
「……やるからには全力で援護します」
臨戦体制の上官ふたりを前に、二階堂がずるいと叫ぶ。
「では、二階堂には私が加勢しよう」
背後からかかった声に、二階堂以外の肩が跳ねた。
「鶴見さん」
柚芽が彼の名を呼んで笑う。
「ちょうど有坂閣下から良いものをいただいたのだ」
謎の機械を前に、鶴見が声を張る。
「最強雪合戦くんだ!」
柚芽と二階堂は目を輝かせ、鯉登と月島は頬を引き攣らせる。ガゴゴゴゴゴゴゴ…という起動音と共に、地獄の雪合戦が始まろうとしていた。



*金木犀:鯉登
甘くも爽やかな香りがふわと香る。人の多い表通りを避け、裏道へ入ってすぐのことだった。自分より先に彼女が辺りを見回す。民家に植えられた木を見つけると、嬉しげに駆け寄って行った。
「いい匂い」
踵を上げて顔を寄せる。自身も隣へ立って彼女に倣う。オレンジの小さな花が風に揺れた。彼女の頭上から、いくつもの花がほろほろとこぼれ落ちる。このときを待っていたかのように。結った髪が飾られる様子をしばらく眺める。
「北海道でも咲けばいいのに」
恨めしそうな声音に頬が緩んだ。
「ね?」
首を傾けたその拍子に、花がひとつ、髪をすべり落ちる。不思議そうに空を見上げる彼女。
「ふふ、綺麗な髪飾りがついているぞ」
慌てて頭へ伸ばす手を、己のそれで静止する。
「このままではダメか?」
惜しく思い言うと、いいですけどといたずらっぽい笑みが返ってくる。
「鯉登少尉も、そのままでいてくださいね?」
上がる視線に、彼女同様であろう己の姿を悟る。交わす笑みを、金木犀の香が包んでいた。



*チョコレート:月島
「月島さん、チョコレート食べませんか?」
ふわりと微笑みながら、個包装された正方形の並ぶ箱を差し出される。特に食べたいわけではなかったが、その笑顔に釣られて手を伸ばす。
「指の温度でも溶けちゃいますから、気をつけてくださいね」
またふわり。舌に乗せると、黒い塊はすぐにどろりと溶け始める。天井を仰ぎ、甘いなと思う。視線を戻すと、前歯でチョコレートを器用に挟んだ彼女が、それを口内へ転がしたところだった。

彼女の舌の上でどろりと溶けるそれを想像する。
黒い液体と唾液が混ざり合い、柔らかな舌を、口内を、黒い液体が汚していく。
「柚芽」
呼ぶと、こちらを向いてふわふわ笑う。これから何をされるか知りもしない。その背徳感に、自ずぞくりと身体が震えた。



* 投げチッス選手権:樺太先遣隊
唐突だが、樺太先遣隊による投げチッス選手権がここに幕を開けた。

審査員はアシㇼパと柚芽である。

杉元「いくよ〜いくよぉ〜……んちゅ」
アシㇼパ「おぉ、いいぞ杉元!もっとやれ!10点!」
柚芽「うふふ、焦らしじょうず10点」

鯉登「…ちゅっ」
アシㇼパ「なぜ片目をつぶる!なんか腹立つ8点」
柚芽「さすが貴公子…10点」

谷垣「お、俺も、するのか?…………ちゆ…」
アシㇼパ「照れるな照れるな!7点」
柚芽「かわいい10点」

月島「ちゅ」
アシㇼパ「真顔!なな、点?」
柚芽「月島さんらしい10点」

「それじゃあ審査にならないだろう」とアシㇼパが苦言を呈す。「ふふ、ごめんね。だけどみんなかわいいんだもん」と男4人を見て微笑む柚芽。
「オレもやる!」とチカパシが手を挙げて、「う〜…んちゅっ」と投げキッスをした。
柚芽「100点」
10点満点の10倍を軽く叩き出し、アシㇼパが「柚芽はチカパシに甘い」と呆れる。

「「…………」」

ふいにアシㇼパと柚芽が宙を見つめる。しばらくして、口を揃えてこう言った。
「「なんか、白石(くん)が浮かばない(か)?」」
実際に白石が投げキッスをしたことがあるかは定かではない。
「あいつ投げキッスなんてしたことあったか?」
「う?うーん、わからないけど、脳に刷り込まれてる気はする…これ、ない記憶?洗脳…?」
アシㇼパと柚芽はしばらく白石の投げキッスに頭を悩ませるのであった。



*ふぉぜ:尾形
「かわいいなあ」
手のひらに乗せたおがにゃんと名づけたふぉぜを微笑ましく思っていると、伸びてきた手にひょいと取り上げられた。あ、と言う間もなく、ぽいと後ろに投げられる。ふぉぜを追って振り向くと、そこには無表情の尾形がじとりと自分を見つめている。
「なんで投げちゃうんですか」
拾いに行こうとすると、腕を掴まれた。
「…尾形さん?」
「俺よりあんな人形がいいのか」
「え、そもそも尾形さんありきじゃ…」
「知らん」
淡白な言葉とは裏腹に、腕に食い込むほど彼の指に力が入る。痛いと思うより、かわいいと思う方が早かった。
「尾形さんがいちばんかわいいですよ」
そう言えば、暗い瞳がじっとこちらを見つめる。
「……は、くだらんな」
離された手の感触が、ほんの少し名残惜しい。ふぉぜを拾いに行く後ろを、気づけば彼が無言で着いてくる。そんな姿に、どうしようもなく笑みが溢れた。