月永レオ




「決まったか〜?」
「まだ!」
「え〜」
 レオはがっくりと肩を落とすと、力尽きたように床に寝転んだ。クローゼットを前に真剣な表情を浮かべていた名前は、彼のそんな様子も慣れっこで、横目に見るだけで特に何も言わなかった。

 名前が本日の月永レオの服装選びを始めてから、優に30分が経過していた。
 彼女は服を手に取って彼にあてては、ああでもないこうでもないと言って床に放り投げていく。おかげでフローリング一面にカラフルな布地の花が咲いていた。
 始めこそおとなしく従っていた彼も、さすがに我慢の限界のようだった。寝転んだあとはそのまま左右に転がって「おなかすいた〜」と彼女を繰返し急かした。
「はいはい。服の上に乗っからないでよ?」
「わかってる!セナに怒られるしな!」
 レオは俯せ状態のまま敬礼した。
「………そうなの!そうなんですよ!適当な服を選んで、それがあとで瀬名くんにバレたら色々小言言われるから、時間をかけてるんですよ!分かる!?」
 名前は手に持っていた、淡い水色のストールをレオに向かって投げつけた。
 しかしストールは重力に負け、彼の元に辿り着く前に力なく落ちる。
「え〜?その中にあるの、だいたいセナが選んだやつだから別に平気だと思うけどな〜」
 顔をあげたレオは頬杖をついてそれを一瞥した。
「はぁ……そうおっしゃるなら、自分で選んでくれない?そもそもなんで毎回私に選ばせるわけ……?」
 名前は嘆息してレオを見た。
 この一連のやり取りは毎回外出の際に繰り返されるため、さすがに彼女も辟易していた。
「……」
 彼は口を閉じた。
 そして少しの間、何かを考えているようだった。
 名前はそんな彼の様子をじっと観察していたが、ついに結論が出たのか、二人の視線は絡まる。
「ううう〜〜」
 レオは口を尖らせてぼそぼそ呟き始めた。

「……だってさ、名前が選んだ服を着るってことは、名前好みのオレになるってことだろ?そうやって名前色に染まるの、うれしいじゃん……」

「……」
「……」
「……」
「………あれ?でもセナが選んだ服を買ってる時点で、名前色に染まるっていうか、既にオレはセナ色に染まってるのか……?」
「……………………」



(20180718)セイの好きな台詞をアレンジしてやってもらいました。なぜだか瀬名が毎回出てくる……。

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