鼓の鬼を倒した炭治郎たちは藤の家紋の家で療養していた
炭治郎も善逸も伊之助も肋の骨が折れており怪我もあるため全快するまで休息せよとの命であった
禰豆子に贈る花を摘みに出ていた善逸は机で何かを書いている炭治郎を見つけた
ちなみに怪我をしていても元気が有り余っている伊之助は近くの森を走り回っている

「炭治郎何してるんだ?」
「あぁ善逸、手紙を書いているんだ」
「へぇー、育手の人?」
「いや、姉さんに」
「……え?お前お姉さんいたの?」

家族は鬼に殺されたと聞いていた
生き残った禰豆子が鬼にされてしまったのだと
姉の話は聞いた事がなかった
これだけ長男力溢れた炭治郎だ、俺は長男俺は長男と呪いのように日々口にするものだから炭治郎が一番上だと思っていたし上のきょうだい、しかも姉がいるとは思いもしなかった
ん?待てよ?炭治郎のお姉さんって事は禰豆子ちゃんのお姉さんでもあるんだよな?
あーんなにかわいい禰豆子ちゃんのお姉さんってことは、もしやもしや?
めーちゃくちゃ美人だったりするんじゃねーの!?
炭治郎!!許すまじ!!

「おーまーえー!!何でお姉さんいる事言わなかったんだゴルァァァ!!なーに隠しちゃんてんだよ切り刻むぞこの野郎がぁぁぁぁ!!」
「いだっ!痛いぞ善逸!」

見るに耐え難い血走った目で炭治郎をガクガク揺さぶる善逸の迫力は凄まじいものだった
訳が分からない炭治郎は揺さぶられるままだ
痛いと訴えるも止まる気配はない

「美しいのか…!お前のお姉さんは美しいのか…!禰豆子ちゃんは目に入れても痛くないくらい可憐でかわいいけどお姉さんはどうなんだ…!」
「なまえ姉さんはかわいいし綺麗だ!禰豆子は町一番の美人と評判だったが姉さんは日本一だ!姉さんより綺麗な人は見たことがない!」

ニッコー!!
それはもう輝かしい笑顔で炭治郎は言ったので善逸のイライラに更に拍車がかかった
そうか女神の名前はなまえというのか
しかも禰豆子ちゃん以上の美しさ…!

「ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!!!」

そう叫んだ善逸は渾身の力で炭治郎をぶん殴った
ぎゃっ!とぶっ飛ばされた炭治郎は涙目だ
というか泣いている
殴った本人の善逸からはシィィィというあの呼吸音
相当お怒りである事が伺える

「お前なぁ!!お前なぁ!!禰豆子ちゃんというかわいい妹がいながらお姉さんは日本一美人だとぉ!?そんな美人姉妹に挟まれたお前なんなの!?天国か!?竈門家は天国なのかぁ!?俺も美人に挟まれてぇよ炭治郎代われよぉぉぉ!!」
「痛いっ!だから痛いって善逸!落ち着け!」
「落ち着いていられるかぁぁぁ!!俺に黙って天国でいるお前は地獄に落ちろおおおお!!」

シュン!とお得意の雷の呼吸壱ノ型も使わず一瞬で炭治郎に近づき今度は髪を毟り取る勢いで引っぱる
炭治郎の毛根が善逸からの酷い暴力を受けている
ハゲてしまわないだろうか…心配である

「いだだだだ!!やめるんだ善逸!!ハゲる!!ハゲるから!!」
「お前みたいな奴ちったぁハゲればいーんだよクソが!!この裏切り者ー!!」

理不尽な嫉妬と暴力をぶつけていた善逸が漸く落ち着いた頃には太陽が西へ傾いていた
しかし何故炭治郎は姉の存在を隠していたのか、少し冷静さを取り戻した善逸が炭治郎に問い掛けると

「ん?それは姉さんの存在を善逸に知られたくなかったからだ!」
「はぁ?何で」
「だって姉さんを見れば善逸は必ず結婚してくれとか言うだろう?」

だから善逸は駄目だ!
にぱっと全く悪気なく宣言する炭治郎に善逸の堪忍袋の緒が再び切れた
要は美しい自慢の姉を善逸に知られたくなかったと、そんなとこである
思いもよらぬ炭治郎の姉馬鹿発覚だった
また炭治郎に飛び付く善逸に間が悪く森から帰ってきた伊之助まで混じってしまい、大騒動
夕食の支度ができたと家の者が呼びに来るまでそれは続くのだった
禰豆子の為にと善逸が摘んできた花はかわいそうにしょぼんと萎れてしまっていた


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