特殊性癖な彼を詰める
「……晴ってリョナとかスワッピング好きなんだ」
「え!?何、なんで」
「いや、思いっきり配信で切り抜かれてたよ」
その切り抜きは甲斐田晴という男が如何に捩じ曲がった性癖をもっているかを上手くまとめてくれていた。最初はなになに、なんて軽い気持ちで見たものの……何というか、思っていたよりも特殊性癖だった。
それを晴に伝えると「……なんで見ちゃうのぉ」なんて情けない声を出しながら顔を覆う。心なしか晴の頭のてっぺんも、ぺっしょりとして元気がないように見えた。
それでもひとつ大事なことを聞かなければならないことがある。
「……ねぇ、ひとつ聞いてもいい?」
「内容による」
「晴は私にもそうしてほしいって思ってるの」
「……え?思ってない思ってない思ってない!!」
晴は一呼吸置くと、私の両肩を掴んで慌てて否定した。その焦りが余計怪しいんだけど、本音はどっちなんだ。リョナは一万歩譲って……SMプレイとかイメージ的に近いのかなって思うけど、スワッピングは流石にちょっと受け入れられない。自分がするのも晴が他の人を抱くのも、絶対嫌だ。いやリョナも絶対嫌だけど。
「ほんとに?スワッピングとか私絶対したくないし、晴にもしてほしくないから……」
「無理無理無理!きみが他の奴に抱かれるなんて僕だって絶対嫌だよ、きみ以外の子としたいとも思わないし」
「そうなんだ……信じていいよね?」
「信じてよ……もしかして切り抜き最後まで見てない?」
「流石に見てはいけないもの見てしまった感があって、途中でやめた」
「見たなら逆に最後まで見てよぉ」
そう言うと晴はスマホを取り出し、私が見たであろう動画を検索し再生した。
『甲斐田くんはさ、自分がそうしたいの?』
『どっちかというと、僕はそこに自分を介入したくなくて。なんだろ、壁になりたい』
『あぁー見てたいってこと?』
『そう、そこに自分の存在はいらないんだよね』
本人を目の前に何を見せられているんだ、とも思ったけれど最後まで見て欲しいの意味が今わかった気がする。なるほど、スワッピングを覗ける壁になりたいということか。
「……ね、わかった?性癖ときみに対する気持ちは全くの別物なんだから。……っていうか最悪なところだけ見て、一番大事なところ見てないじゃん!」
「はは……ごめん。でもよかった、それが私に求められてなくて」
「求めるわけないじゃん……そもそも自分は介入したくないんだから」
「でもちょっと……私にはどっちも特殊性癖すぎたかな……」
「自分から見ておいて引かないでよもぉー!」