「ケンマ、シャワーありがとね」
「お帰り、早く髪拭かないと風邪引くよ」
今日はケンマの家にお泊まり。なんたって新作のゲームを一緒にやるんだから気合いが入る。でもその前に髪拭かないと、なんてお母さんみたいなことを言われた。いつも自分はそのままなくせに。
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#HQプラス #819プラス
「ケンマ、髪乾かして?」
「えー…自分でやりなよ…」
「お願い!」
「…今日だけだよ」
「ありがとう!」
ケンマの近くにあるクッションに座る。肩から掛けていたタオルを彼に渡し、背中を向ける。ふわりと頭にタオルが被さって、優しく髪を拭いてくれた。拭きやすいように少し上を向くと、ケンマが猫みたい、なんて言って笑った。
ドライヤーを取り出して私の髪を乾かしてくれるその優しい手つきがたまらなく好きで。気持ち良さから目をつむる。上から下へとドライヤーの動きと共に指先を滑らせる。この時間がずっと続けばいいのになんて、ぼんやり思った。
「○○?」
「うん?」
「気持ちいい?」
「うん、すごく」
「そう…あと前髪だけだから、こっち向いて」
私は目をつむったまま、くるりと180度方向を変えた。顔にぶわっとドライヤーの温かい風が当たる。(化粧水、しなきゃな)
「…はい、おしまい」
「ケンマ、ありが…っ」
目を開けた瞬間、目の前にはケンマの顔があって。口を塞がれてる、ということを自覚するまで然程時間はかからなかった。
「…お礼は、もうもらったから」
そう柔らかく笑ってぺろっと唇を舐めるケンマに、恥ずかしくなった私はまた背中を向けた。(不意打ちは、狡い)