まさに、一発触発。
国語が苦手な私でも、多分この表現が今のE組に合っているのではないだろうか。…その原因は2つあります。
私達のクラスに、イリーナ・イェラビッチ先生というプロの殺し屋がやって来ました。とても美人でスタイル抜群な外国人の方で、む、胸も大きくて…。
そんなイリーナ先生は、1度目の殺せんせー暗殺に失敗してしまい、殺せんせーに手入れをされていた。そのことがプロとしてのプライドに傷を付け、私達の授業を放棄したまま、2度目の暗殺計画を必死に練っていたのです。
授業放棄していたイリーナ先生に、学級委員長である磯貝君が、殺せんせーとの授業交代をお願いしたのですが、イリーナ先生がE組に対して見下した発言をした事により、クラスから反感を買ったことが1つ。
そして、もう1つの原因は、名前さん。
「な、なんなのよアンタ達!なにが気に食わないって言うの!?っ、あと1番後ろの席のアンタ!さっきからずぅーっと私は関係ありませんみたいなツラして落ちこぼれのクセに必死こいて無意味な勉強なんかしてんじゃないわよ!」
反感を買ったクラスから飛び交うブーイングに少し怯んでいたイリーナ先生が、あろうことか名前さん1人に八つ当たりの標的を絞ったのだ。
名前さんの様子を窺うと、名前さんはまだ自分が言われていることに気付いていなかった。隣の席のカルマ君や寺坂君から「名字さぁん、ビッチねえさんからご指名されてるよ?」「お前こんな状況で勉強とか…バカ真面目かよ」とそれぞれ声を掛けられていた。
「え、私?どこ質問されているの?」
と、名前さんは英語の教科書を開きながら、カルマ君や寺坂君に聞いていた。もしかして名前さん、イリーナ先生に問題を問われたかと勘違いしているのでは…?
そんな一連の様子を見ていたイリーナ先生が、痺れを切らして、般若の顔の如く名前さんの机の前までやって来た。
「アンタ、調子乗ってんじゃないわよ!」
ガッ、とイリーナ先生は名前さんの前髪を鷲掴み、その勢いで名前さんは「ぐぁっ…」と悲痛な声を漏らしながら強制的に席を立たされた。
その瞬間、教室内に無数の殺気が立った。
先程まで名前さんと会話をしていたカルマ君は無表情に、寺坂君は眉間に皺を寄せ、周りの皆から突き刺さる冷たい視線と、ただならぬ空気が張り詰めていた。
そんな私も、大切な友達である名前さんが、理不尽に暴言を吐かれ、暴力を振るわれ、我慢の限界だった。
だけど、どうすれば…。と、気持ちだけが焦る一方で、じわりと額に汗が滲んだ。手の震えも止まらない。こんな自分が、どうしようもなく情けなかった。
ALICE+