前の先生は自分で勝手に死んじゃった。
俺の次のターゲットは超生物のタコ。通称殺せんせー。月を爆発した犯人で3月にも地球を爆発するらしい。…が、そんなの俺には関係ないし、どうでもいい。
ただ俺は目の前にいる『先生』を殺すだけ。
さぁてと、どうやって殺そうかなぁ。と、考えて早速行動に移すも、中々手強いタコ。終いには手入れをされる始末。…正直苛々する。だけど俺には最終手段がある。この方法なら確実に殺せる。
…ああ、放課後が楽しみだなぁ。
「ごめん赤羽君、そっちに消しゴム転がっちゃって…」
自然と上がっていた口角が一瞬で下がる。
「…ああ、はい」
俺は自分の椅子の真下にあった使い熟した消しゴムを拾い、名字さんに手渡しすれば「ありがとう」と、首だけでお辞儀をし、再びノートへ視線を戻した。
名字名前。
この学校で知らない人いないんじゃね?俺でさえ知ってたし。浅野と同じ位の有名人だ。勿論『良い』意味で。だからそんな彼女が何故E組に居るのかが不思議で仕方ない。また自然と自分の口角が上がる感覚が分かった。
「ねえ名字さん、どうしてE組に落とされちゃったワケ?名字さんって元々A組だったし、先生やクラスの人から信頼だってあったハズだよね?」
俺の声が届く範囲の奴らがこちらに耳を立てる気配が手に取るようにわかった。寺坂に関してはこちらをチラチラと横目で様子を窺う姿に笑えた。お前ホント分かり過ぎ。
名字さんに至っては一瞬目を見開いた様子を見せるも、すぐに口元に笑みを浮かべた。答えを待っていれば、名字さんはノートの隅にシャーペンを走らせた。書き終わった後、遠慮がちにノートを見せてくれた。
「!………へぇ、そうなんだ?」
“ ヒミツ ”
ノートの隅にはたった3文字。名字さんらしい綺麗な字でそう書かれてた。おまけにあのムカつくタコの顔もある。
ふと名字さんの顔を見れば、まるでイタズラが成功した子供のような表情で「みんなにはナイショね」と、俺だけに聞こえるよう囁いた。
タイミングよくチャイムが鳴れば、その話は自然と終了し、号令が終わると同時に名字さんは席から立ち上がり、教室から出て行った。
周りは一体どんな内容だったか気になるのか、みんなソワソワしながら俺を見ていた。寺坂が「…オイ、さっきの」と言い終わる前に俺は席から立ち上がり「俺と名字さんだけのヒ、ミ、ツ、だから」と、わざとらしく強調して、俺は何事もなかったよう教室を後にした。
まさか名字さんにはぐらかされるとは思いもしなかった。…でも、不思議と悪い気はしない。
今あるこの優越感は俺だけでいい、なんて柄にもなく思った自分に笑えた。
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