タイミングが悪い








 トリガーを起動させた苗字名前姿を視認した時枝充と木虎藍は目を丸くした後、顔を見合わせた。いやいやいやいやいや。普段の時も、それなりに表情のわかりやすい木虎藍の史上最も分かりやすいその表情を見て、かえって冷静になった時枝充は苗字名前の姿を見て、随分とまた悪質なことをするなと息を吐いた。その後、思案する時枝充の隣で数分間という割と現実的な時間をおいて冷静になった木虎藍は「こういうことよくあるんですか」と終始冷静な様子の時枝充に尋ねるけれど、その答えは予想通り『NO』であった。初めての出来事だと説明する時枝充に、初めてでこんなに動揺しない人間がいるのかと木虎藍は問いただしたくなったけれど、小南桐絵の髪型を変更したトリオン体設定などを考えれば、まあギリギリ不可能ではないような気もしてくる為、その冷静さもギリギリ納得がいった。彼が時枝充だったからというのも、少なからずあるだろうけれど。

 はてさて。自分達の目の前で随分と幼い頃の姿に変化した苗字名前の姿を見て、それにしても、随分と悪意のあるトリガーの故障だな、と改めて思う。通常、トリオン体の設定は必要以上に変更してしまうとかえって動きにくいという理由から中々普段とは違う設定にする人は少ない。それこそ、小南桐絵のように髪を短く設定するだとか、そういう類の変更は人によっては大なり小なりあるけれど、態々トリガーのメンテナンスに出しておいて、こんなにも動きづらい姿に設定するなんていう非合理的なことを2人の知る苗字名前はするような人間ではない。では何故このような事になったのか。冬島隊ではないだろう。しかし、他の隊員もそんな事をするような人ではない。それではエンジニアだろうか。それもまた、答えはNOである。エンジニアはボーダーにとって貴重な職員であるが故に、そんな勝手は許されないのだ。



「……この場合、記憶は通常引き継がれるはずですけど、目を覚まさないのは心配ですね」
「無理な設定が組み込まれているんじゃない? 例えば、ここまで大きさを変化させると精神や魂って呼ばれるところに害が及ぶとか」
「…………流石にそれはーーー」
「ーーー冗談だよ」



 冗談が分かりにくすぎでは? 発言をしたのが時枝充だからという理由だけで全てを飲み込み、笑顔を浮かべる木虎藍だったが、後にこの時のことを思い出し「あれが佐鳥先輩だったら、多分ぶっとばしていました」と語っており、その事実を耳に入れた佐鳥賢を見事に泣かせることに成功することとなり、あまりにも理不尽な言葉暴力に嵐山准により軽く小言を言われるはめになる。

 目が全く笑っていない木虎藍の姿を横目に、先程の見解もあり得ない話ではないという事実に時枝充も内心滅茶苦茶に動揺していた。こんなことになるなんて、ここにいる誰も思っていなかったのだから当然である。思い返してみれば、事態は苗字名前の「今日エンジニアに動きづらいから改善してもらうよう言っておいたトリガーが戻ってくる」という発言から始まった。ようやくトリガーが手元に戻ってくるから緑川駿に怒られなくて済む。嬉しそうに そういう発言を口にする苗字名前を見て、通り道だからと付いてきた時枝充は、あまりにもとんでもない事態に正直混乱している。苗字名前は見る限り、未だに目を覚ます様子はない。そもそも、これは大丈夫なのだろうか。木虎藍と話し合った後に、ひとまずは、このトリガーのメンテナンスを行ったというエンジニアのいる部屋に苗字名前を連れて行く事にした。するとどうだ。苗字に渡されたトリガーは苗字の物ではなかったらしい。完全にエンジニアの受け渡しミスだ。しかもよりにもよって、試作品段階のトリガーを渡したらしい。トリガーでどこまで何が出来るのか。そういう内容の実験を、かなりの人数をあてて行なっていたらしい。そして結果がこれだ。試作トリガーを紛失したとなれば、大騒ぎになるだろう。時枝充と木虎藍の避難の視線を浴びたエンジニアは、まさに今その通りの状況にあることを2人に説明したが、苗字名前のトリガーがそこにある時点で気づくべきではないだろうか。しかし、これはどうしたものか。既に受け渡し出来るような状態ではない。防衛任務が控えていなかったのが不幸中の幸いだろう。実際に今回のこれは、苗字名前が常に換装体派の人間だからこそ、直ぐに気づくことができたーーーが、もしも、本部では生身派の人間であったのならば、任務の時に起動して初めて事態に気付くわけで深刻である。まあ、それまでの間にエンジニアが苗字名前に試作トリガーが渡っている可能性に気づく可能性も十分にはあるけれど。



「目が覚めたとして、直ぐにトリガーを解除する事は出来るんですよね? 強制解除は?」



 木虎藍の問いかけに職員の女性は中々首を縦には振らなかった。今回のトリガーでどのような事が起きるのかが分かっていないのだろう。強制的にトリガーオフにした時に何が起こるのか。それすらも、未だ未検証といったところだろうか。それならば、もっとちゃんとした場所に保管すべきだった。少なくとも受け渡しミスは有り得ない。

 厳しい視線を向けた木虎、時枝両名に、職員の女性は「命に別状は絶対にない。だから、嵐山隊でどうにか見ていてほしい」と、頭を下げた。しかし、嵐山隊は一部隊には荷が重すぎるほどの仕事を抱えていた。苗字名前を預かる。それは最悪いい。しかし、預かった後に苗字名前の身にに何か起きてしまった時、自分達に気づくことはできるだろうか。防衛任務程度の仕事であれば、綾辻遥に任せることも可能だけれど、今は新入隊員の選抜があったり、入隊日のオペレーション確認もあってと忙しい。時枝充は木虎藍の方へと視線を動かして「それは難しいね」と同意を取ろうとした。した、のだがどうしても苗字名前を預かりたいです。そういう表情を一瞬見せてから咳払いをする木虎藍の何ひとつとして誤魔化しきれていない態度をみて折れたのは時枝充だった。











「思ってたより小さいね、名前ちゃん」



 事前に話を聞いていた綾辻遥は時枝充に抱えられて作戦室に入室した苗字名前の姿を見て「うーーん、ちょっと既視感」と口元を抑えて時枝充を見た。こんな時にこの人は何を言っているのかと苗字名前にあらためて視線を向けた時枝充は「ですね」と綾辻遥に同調した。



「え?なに??苗字?」
「苗字先輩です」
「え?苗字に何があったらこうなるの?」
「エンジニアのミスみたいですけれど」
「うわー……」



 そういうタイミングで奥から駆け足で輪に混ざったのは佐鳥賢であった。綾辻遥と嵐山准には事前に報告していたけれど、佐鳥賢には言っていなかったな。木虎藍が佐鳥賢の言葉に淡々と返事を返す中で思うことはこれであったが、一方で「エンジニアでも受け渡しミスなんてするんだね」と、事態をとんでもないスピードで理解する佐鳥賢に感動すらする。まあ、綾辻遥に一連の出来事の一部始終を聞いていたのだろう。それにしてもーーー。木虎藍は時枝充の背中に乗せられている苗字名前の姿をあらためて確認する。大体、小学校1、2年生くらいだろうか。かなり小さくされているから年齢は推定でしかないけれど、異なったとしてもプラスマイナス1か2程度。誤差の範囲内だ。

 こんなに冷静に苗字を判断しているけれど、これはあまり広範囲の人に知られたくはない情報だ。エンジニアは外部に自分達の実態を漏らす事はないだろうし、嵐山さんも問題はない。つまり、まあ問題はない。幸いな事に嵐山隊は今日は殆ど仕事は終わっているからフリーだ。苗字名前が本部に来たのだって、時枝充が本部で時間を潰しているという情報を聞いたからだ。つまりこれは3分の1は時枝充が招いてしまった事故とも言える。そんなことはないのだけれど、少なくとも本人はそのように考えていた。だから、木虎藍は全くそうは思っていなかったが、時枝充はエンジニアだけを責めるのはお門違いだとも考えていた。責任は少なからず感じていたら。何故ならば、きっと。予定通りの日付に苗字名前がトリガーを取りに行けば受け渡しミスは有り得なかったのだから。



「そういえば、嵐山先輩は何方へ?」
「名前ちゃんが来るからって走って出て行ったんだけど、藍ちゃん達すれ違わなかった?」
「すれ違ってはいないですね。嵐山先輩とすれ違っていたら直ぐに分かるでしょうし」



 そうこうしているうちに苗字名前の目がゆっくりと開いた。いち早く気が付いたのは木虎藍である。肩を揺らして、顔を明るくした。

 木虎藍という人間は年下には慕われたい性格だった。それが現在の苗字名前にも当てはまっているのかどうかは実際のところ定かではない。けれど、そういう顔は苗字名前本人に面と向かってしてあげたら良いのにと思う。そうすれば、苗字も喜ぶし、多分木虎となら仲良くやっていけると思うけれど、現状、そうなるようには全く見えない。あと数年もすれば、楽しく会話を出来る程度にはなるのではないかとも思うけれど。



「……ここ、どこ?」



 嵐山隊は苗字名前の意外な反応に目を丸くした。まずひとつめに「ここはどこなのか」という発言について。ボーダーが分からないという事はトリガーを使用する事によって現れる副作用は体と共に心までも逆行する。もしくは一時的な記憶障害。どのような原理を経て、そのような副作用が出ているのか。はたまた全く見当違いな副作用なのかは今のところ、なにひとつとして はっきりとしていないけれど、苗字名前が、いま、この場所を嵐山隊の作戦室だと判断できていない事実を踏まえると、先程挙げた2つの考えが濃厚だと言える。

 次に驚いたのは、その態度だ。見た事ないような冷たい目をして、いつもとは違う声のトーンを室内に響かせる。逆行しているのだとしたら、苗字名前は小学生時代になにかあったのだろうか。中学が同じだったという烏丸京介であれば小学校が同じであった可能性もある為、知っているかもしれないけれど、風の噂に聞いた話によると、複雑な事情を抱えてボーダーに入隊したという説もある為、深く追求はできなかった。そのくらい、目の前の女の子ーーー苗字名前ーーーの在り方が今とは大きく異なっている。



「お母さんはどこ」
「名前ちゃん、よく聞いて。私達は貴方のご両親から一時的に貴方を預けられているの。短い時間の付き合いにはなると思うけれど、私の名前は木虎藍、宜しくね」
「一時的な付き合いなのに 宜しくするの?」
「……あの時枝先輩。この子、本人に苗字先輩ですか?違いすぎませんか?」
「一応、苗字で合ってるはずだよ」



 発言を聞く限り、木虎藍にも苗字名前が明るくて誰にでも優しい先輩という印象はあるらしい。因みに明るくて優しい先輩だと口にしている筆頭は黒江双葉と緑川駿である。緑川駿においては兎も角として、黒江双葉がそういう言葉を苗字名前に送る事に関して『意外である』という意見が度々飛び交うけれど、苗字名前は加古望とも良好な関係を築いているわけだから黒江双葉ともそれなりに良好な関係を築いているわけで、黒江双葉の解答は別に意外でもなんでもなかった。



「すまない!! 遅くなった!
 苗字にプレゼントをと思って……」



 果たして一体何処まで行ってきたのか。コンビニの袋を片手に嵐山准は苗字名前と同じ目線になるよう しゃがんで机の上にお菓子を広げた。それを見た名前は嵐山の顔を見た後に首を左右に振って「いらない」と口にした。子供だから喜ぶと思って用意した嵐山准は見事に固まって、次に発言する言葉を探したが出てこない。その様子をみかねた綾辻遥は名前にさり気なく理由を尋ねた。その解答は「お母さんにダメって言われているから」というものであった。

 先日、家を訪ねた時に苗字名前の家にはお菓子がいくつか用意されていた筈だから、今禁止されているという事はないのだろう。時枝充は苗字名前の解答に、そんな感想を抱く。けれど、やはり。苗字のお母さんは厳しいお母さんなのかもしれない。家も、この辺の高級住宅街で三階建ての立派な家だ。一般的に三階建ての家というのは土地面積の関係で狭く感じる家なんかを広く感じるよう三階に設計されることもあるというけれど、苗字名前の家はそういうのが全く関係ないのだろうことが容易に理解できるだけの立派な大豪邸だった。だから「厳しいんだよね」と言われれば、ああそうなんだとなる。実際、苗字の話を聞く限り、太刀川隊の唯我も ああ見えてスポーツ以外は周りと比べて秀でているらしいから、裕福な家の家系の親は厳しいのかもしれない。



「でも、ありがとう。お兄ちゃん」
「どういたしまして」



 一転、爽やかな笑顔を見せた嵐山准に名前もまた安心した様に笑う。流石『子供から人気が出そうな人』という雑誌のランキングで芸能人に負けず劣らずの順位を叩き出しただけある。嵐山隊一同は自分の隊の隊長に感心する。

 実際に嵐山准という人間は子供から大人まで、自分達嵐山隊の中でも最も広い年齢層から支持されている。それは綾辻遥も同様にだけれど、本当に凄い。特に仕事のスイッチが入った時は全くと言っていいほど素の表情を見せない。これに関しては木虎が一番凄いのだけれど。



「お菓子が食べられないとなると……そうだ! 何処か行きたいところはあるか? 此処は苗字には楽しくないだろう。綾辻、このくらいの歳の子が好きそうな場所はこの辺にあるか?」
「うーん。名前ちゃんのトリオンが切れたら元に戻っちゃうし、あんまり子供向けの場所に行くのも可哀想じゃないですか?」
「否定はしませんけど、苗字は結構パンダの乗り物とか乗り回してますよ。米屋先輩と」
「……誰の話をしているのかわからないけど、子供扱いしないで。私、子供じゃない」
「貴方くらいの子は十分子供よ」
「おばさんは黙ってて」
「お、おば……!!?」



 最終的に、苗字名前の意見を尊重した嵐山准の提案で嵐山隊作戦室で遊ぶこととなったのだけれど、遊びも小学生が行う遊びにしては中々渋い。ひたすらに将棋盤と向き合っているのだ。あの歳の子供が嵐山准と。嵐山准が将棋も出来るという事実にも驚いたけれど、小学生が遊びとして将棋を提案した事にも驚いた。

 佐鳥賢に関しては時枝充の隣で「オレなんて将棋ルールも知らない」とボヤいていたが、その隣で木虎藍が「見ていれば大体わかりますよ。ゲームのルールなんて根底は同じなんですから」と興味深そうに2人の打ち合いをのぞいている。時枝充にもルールくらいは解る。けれど、実際に打てる程の実力はない。だから2人がお互いの駒をとる姿を見て凄いなとは思うけれど、実際に苗字が多くを取っていても、嵐山さんが勝利を収めていたりするので将棋は良く分からない。



「お兄ちゃん、強いんだね」



 通算何度目かの敗北をしたところで、苗字名前が今までのような冷たい目を止めて表情を明るくした。その様子を見た綾辻遥は「名前ちゃんも強かったよ」と拍手を送っていたし、苗字も少しだけ驚いた様な顔をしてから「ありがとう お姉ちゃん」とはにかんだ笑顔を見せて綾辻遥によって抱き締められていた。

 その様子を見て、何度も何度も名前に視線を向けていただけだった木虎藍もようやく覚悟を決めたのか「名前ちゃんは本当に強いのね」と。にっこり、と笑みを浮かべるのだが、木虎藍の覚悟なんて1ミリも知らない名前は木虎を暫く見つめ「うん」とたったひと言だけの返事を返していた。嵐山さんと綾辻先輩の対応と比べると些か塩対応な気もするけれど、木虎藍は案の定凹んでいた。



「ねえ、お兄ちゃん。
 お母さんは いつ私の事を迎えに来るの?」
「綾辻、大体どのくらいだ?」



 嵐山准のこの質問の意味は『苗字のトリオンが尽きるまで、後どの位かかるのか』という意味だ。既に苗字がこの姿になってから2、3時間が経過している。苗字はトリオンは多い方だから、まだまだ時間がかかるのかと思いきや そうでもないらしい。



「想像より早いみたいです。約10分ですね」
「賢と充は遊んでおかなくていいのか?」
「佐鳥には将棋なんてルールもわかりませんよ〜〜。さっきのも全くわかりませんでした!」
「将棋以外でも構わないだろう?」



 首を縦に振った苗字名前を見て、さて、何をしようかと頭を捻らせたが、佐鳥の出来る出来ないを考慮し、最終的にトランプに決定した。そうはいっても、残った木虎が負けてあげるか、佐鳥と苗字の一騎打ちかに最終的にはなった。他にも苗字が一番で上がったりと昔からゲームは得意らしい。



「もう直ぐだな」
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「私が大人になって素敵な女の人になったら、お兄ちゃんは私の事 貰ってくれる?」
「……」
「……」



 隊の空気が凍った。しかし、よくよく考えてみれば、相手は小学生。取り敢えず、頷いておけば解決する話だろうと嵐山准に嵐山隊の殆ど全員が目を向けるが、そんな全員の心とは対照的に嵐山准は『どうしよう綾辻』という顔をして綾辻先輩に助けを求めていた。嵐山さんは、こういう真っ直ぐで本気だと伝わる誠実な質問には、ちゃんと向き合って しっかりと返事をする性格である。故に、綾辻遥もそれを悟ったのだろう。苗字名前の頭を撫でながら「そうだなー」と目を合わせる。


「もし、その時になってもまだ名前ちゃんがどうしてもっていうなら嵐山さんも結婚してくれるかもしれないね〜」
「本当に?」
「本当に!!」
「そっか!! じゃあ この約束、絶対に忘れたらダメだよ。お兄ちゃん」



 とびきりの笑顔を嵐山に向けた名前に嵐山准は分かりやすく困ったような表情を浮かべた後に両の頬を思い切り叩いて、笑顔を作り上げていた。その数分後。名前が「そうだ!」と木虎にパタパタと歩み寄って手を取った。その行動に木虎が目を見開いて、緩みそうな顔の筋肉を何とか耐えている。それはそうだ。嵐山准や綾辻遥とは異なり、終始塩対応をされていた木虎だから苗字のこの行動は さぞ嬉しいに違い。



「黒髪のお姉ちゃん、今日はーーー」



 今日は? 木虎が次の言葉を大変嬉しそうな顔を浮かべながら待ちわびていると、恐ろしいほどに空気の悪いタイミングで苗字の換装が解けた。その様子に木虎は今までのどの表情よりも酷い顔を苗字に向けて、苗字の手を振り払った。「え? なになんで!!?」。涙目で木虎を見る苗字名前に、これは仕方がない。そういう意味を込めて、時枝充と佐鳥賢は苗字名前から目をそらした。



「〜〜〜ッ先輩なんて大嫌いです!!」
「なんで!!? 木虎ちゃん!!?」
「偶には その何も入っていない脳を使って考えたらいいんじゃないですか!?」
「嘘でしょ!? 何処から!?」
「自分で考えて下さい」
 


 後に綾辻先輩に何故おれ達の想像よりも早い段階で換装が解けたのかを尋ねて見ると「大幅な変更に加えて、何か余計な設定が組み込まれていた」(何かはわからない)らしく、トリオンの消費が著しく減少しているのが確認出来たらしい。

 けれど、流石にここまでタイミング良く換装が解けてしまうとは思わなかった。何故いつもいつも、こうもタイミングが良くないのだろうか。














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Espoir