積もった雪を抱きしめて

 数週間後、苗字の家に訪れた。夕方とはいえ、日が短い真冬、辺りはすっかり薄暗くなっている。空気も冷たい。自然と、マフラーに顔を埋めるようにして歩いていた。
 前回教えてもらっていた部屋番号を押すと、苗字はすぐに応答した。「あがって」と告げる声は、相変わらずきれいで耳に残る。
 俺を迎え入れる彼女は、ゆったりしたパーカーにショートパンツだった。かなりラフな格好だ。もこもこの靴下があざとい。……もちろん、そんなこと言わねえけど。

「苗字、これ具材。てきとーに買ってきたやつ」
「わ、多い」

 タコとかウインナーとかエビから、チョコレートやマシュマロのお菓子類まで。とりあえず色々買ってみたものを渡す。男同士ならガムとかグミとか「どうすんだよソレ」みたいなものも買ったかもしれないけれど、苗字相手にそこまでふざける勇気はない。
 たこやき器は、テーブルの上に既にセットされていた。一人用なのか、10個程度しか作れない小さなものだ。

「これ、どーしたんだよ」
「たこやき自分で作ったことがないって話したら、もらっちゃって」
「へぇ」

 話しぶりから察するに、ファンからの贈り物。贈ったやつは、まさか男と一緒にたこパをしてるとは思わないだろうし、それを考えると申し訳なくもなってくるけれど。まあでも、こうしてちゃんと使われてるだけ、マシ……なのか? なんか、ファンから高級品をもらってフリマアプリで転売してたとかで炎上したアイドルもいた気がする。

「何からいく?」
「普通にタコからでいいんじゃね」
「よし」

 腕まくりをした彼女が、ぎこちない動作で生地を流し込む。

「量全然分かんない」
「『少量入れて、ジュッと音がしたら、溢れるくらいいれてください』だとよ」
「えっ、待って、いきなり全部いれたんだけど」
「ヒャハ、まあ何とかなんだろ」

 スマホ片手に、ああでもない、こうでもない、と言いながら、たこやきを作り上げる。具が溢れて生地が裂けたり、そもそも丸にならなかったりと散々であったけれど、味は普通に美味い。「タコ、二個入ってんじゃん」「いっぱい買ってくれてるから、贅沢しようと思って」
 照れたような表情が、高校生の時と変わっていない。英語の小テストで交換採点をした時、「苗字って字も綺麗だよな」と何気なく呟いた俺に、彼女は「そうかな」とこんな表情をしていたことを思い出した。

(まさか苗字とたこパする日が来るなんてな……)

 そう思って、たこパどころか酒飲んでキスまでしたけどな、なんて声がふと過った。

(……いや、考えんな。思い出すな。今日は酒とか一切ねえし)

 無邪気にたこやきを作る苗字をちらりと見て、心を落ち着かせる。大丈夫だ。彼女はあの日のことを覚えてないわけだし、俺が変な気を起こさない限りは何もない。
 しばらくすると、苗字はたこ焼きを丸めるのがすっかり上手くなった。チョコレートの包まれたたこ焼きを「デザートみたい」と頬張った彼女は、「ちょっと片づけよっかな」と使わなくなったお皿や、空になった容器を持って立ち上がる。

「悪い、俺が」
「いいよ、いいよ。ゆっくりしてて」

 ふわ、と微笑む彼女に妙な気分になる。
 ――同棲してるみてぇ。
 ふ、と浮かんだ考えを追い払おうとするけれど、キッチンに向かう背中を見ていたら、どうしたってそんな思いは消えてくれない。

(あ〜〜、クソ! 誰か誘うべきだったか? 御幸とか……)

 なるべく彼女の姿を追いかけないように。視線を逸らして、皿に乗ったたこ焼きをつまんでいたら、ブーブー、と机の上でスマホが震えた。苗字のものだ。(電話……)洗い物をしているらしい彼女は音に気づかない。苗字に伝えようと、スマホを取り、その画面に表示されている名前に動きが止まった。
 小畑、と、例の男優の名前が映っている。

「……」

 俺とは、電話なんてしたことねぇくせに。
 スマホを持ったままでいると、程なくして電話は切れるも、続けざまにラインのメッセージが表示された。
 『忙しかったかな?笑』『盛り上がってるから、電話だけでもと思って』『よかったら連絡ちょうだい』『また二人でもご飯行きたいな〜♡』
 連続で送られてくるメッセージを、ぼんやりとしたまま見つめる。
 胸の奥が冷える感覚があった。
 同棲みたいとか、馬鹿げたことを思えたもんだ。数分前の自分を鼻で笑う。
 二人で飯食いに行ったんだ、とか、なんだよそのハートの絵文字、とか。こっちは返事ひとつにもあれこれ考えてんのに、とは、誰に対する苛立ちなのか。

「あれ。わたしのスマホ」

 いつのまにか戻って来た苗字が不思議そうにする。「……電話来てたぞ」普段より低い声で呟いてしまったけれど、彼女は特段気にすることもなく「え、気づかなかった」と受け取る。画面を見たその顔がわずかに曇ったことに、顔を逸らしていた俺が気づくはずもなく。

「苗字。別に今日、無理して俺に合わせなくてもよかったんだぜ」

 え、と彼女が呟く。あきらかに動揺した声だった。畳みかけるように「小畑って共演者と、飯よく行くんだろ。二人で」と言えば、「よくなんかじゃ……」微かに震えた声で返された。ち、と舌打ちが飛び出そうになる。否定すんの、そこだけかよ。二人で飯行くことは本当なんじゃねえか。
 ――小畑なんとか、共演者に手を出したって。
 後輩の言葉が蘇る。いらいら、もやもや。なんだこれ、むしゃくしゃする。

「つーか、ほんとに飯だけなわけ」
「……何、それ。どういうこと?」

 怯えたような彼女の声すら、しらばっくれようとしているみたいに聞こえてしまって、唇を噛む。脳裏に浮かぶのは、はじめて彼女と部屋で酒を飲んだ日のこと。雰囲気に流されて、キスから、その先までしそうになったこと。

「だから……っ。酔った勢いで、そういうことしてんじゃねえのって……!」

 ほとんど叫ぶみたいに言って、空気が冷たく重くなる。苗字は何も言わなかった。もちろん、俺も。
 自分のせいだというのに空気に耐えられず、俺は顔を背けたまま「そもそも」と続ける。

「最初っからおかしいだろ。なんで俺だけ誘うんだよ。俺ら、別にそこまで仲良かったわけじゃねえのに」

 馬鹿言うな、と心の中では思う。誘われて喜んでたくせに、と。それなのに、責めるような言葉は止まらない。

「御幸狙いで俺に媚び売るやつもいたけどさ。そういうの、マジで力になれねえから」

 違うだろ。苗字はそんなやつじゃないって分かってるくせに。つーか、苗字なら直接御幸と話だってできんだろ。お互い有名人、始球式だって一緒にしてんだし。
 俺ってこんなに面倒くさいやつだったっけ、と気味悪さすら覚える言葉が溢れ続ける。とうとう、視界の端で苗字が動いた。

「……っ、倉持くんの、馬鹿!」

 彼女が叫ぶのとほとんど同時に、クッションが投げつけられる。「っ」別に大した痛みではないものの、反射で顔を顰めるうちに、バタバタと廊下を走る足音があって、続けざまに、バタン! と扉が閉まる音がした。

「は!? ちょ、苗字!」

 嘘だろ、こういうのって「出てけ!」って俺が追い出されるパターンじゃねえの。ここ、苗字の部屋だろ。つーかあいつ、上着羽織ってたか? こんな寒い中……!
 徐々に頭が冷静になって、なんであんなことを言ったんだという後悔が広がる。けど、発言はもう取り消せないし、たぶん、絶対、苗字を傷つけた。部屋を飛び出した苗字のことは心配だけど、あれだけ酷いことを並べ立てて、どの面さげて追いかけたらいいというんだろう。それこそ、小畑にでも慰めてもらった方が……、と、考えて、また苛立った。
 ……もう、誤魔化しなんて効かない。これは、嫉妬だ。独占欲だ。付き合ってもない相手に、馬鹿げてるし、キモイとも思うけれど。

「……っ」

 コートを乱暴に掴んで、扉を開ける。エレベーターが下降していた。上がってくるのを待つ気にはなれなくて、すぐそばの非常階段を駆け下りる。
 エントランスから外に出たら、びゅっと冷たい風が肌を刺した。やべえ、雪まで降ってる。
 街灯の明かりを頼りに、苗字の姿を探す。駅がある表通りには多分行かないだろうという予感があった。公園とかがある、マンションの裏通りへと回り込む。通行人は今のところ見当たらないが、万が一苗字と鉢合わせることがあれば騒ぎになるだろう。早く連れ戻さねえと、と思いながら駆けまわってすぐ、公園のベンチで座り込む苗字を見つけた。やっぱり上着は羽織ってないし、なんなら足元がサンダルだし。
 苗字、と呼ぼうとして、その名前を叫ぶのはマズいか、と思いとどまる。「おい」と声をかけたら、ハッとした彼女がベンチから飛び降りて駆け出した。

「てめ、この……っ、待てコラ!」

 苗字の足は決して遅くないし、寧ろ同性の中だと速いほうだと思う。それでも、さすがに俺から逃げるには無理があった。
 公園を横切るより早く、その細い腕を掴む。「逃げんな!」「……やだ」掠れた声のあと、鼻を啜るような音がして、ぎょっとした。苗字が泣いているところなんて、はじめて見る。

「小畑さんとか御幸くんとどうにかなればいいって思ってるくせに」
「思ってねーよ……!」
「じゃあ何であんなこと言うの……っ」
「それは……!」

 じゃり、と人の足音が聞こえた。ハッとして顔をあげると、公園の周囲を囲む歩道に、カップルと思しき二人組が歩いていて、「なんか揉めてない?」とひそひそしている。やばい。俺はともかく、苗字の顔を見られるわけにはいかない。そう思って、ほとんど反射的に、彼女の体を引き寄せていた。驚いた苗字が顔をあげようとするのを抑え込むようにして、その体が小さく震えていることに気づいた。泣いているのと、寒いのと。たぶん、どっちも。

「……ごめん」
「……」
「最近、俺とは連絡しないくせに、あいつとは飯行ってたのかよとか、嫉妬しました」
「……倉持くんなんか、誘っても断ってばっかりのくせに」
「それは……、そうだけどよ……」

 ずばり言われて、言葉に詰まる。
 公園の傍を通りがかった二人組が、「痴話喧嘩じゃん」と肩をすくめて立ち去っていく。ほっと息をついて、まだ震えている苗字の肩に、手にしていたコートを羽織らせた。足元は寒いままだろうけれど、多少はマシになるはず。

「……なあ。とりあえず、部屋戻らねえ? このままだとお前、風邪ひくぞ」
「……」
「……苗字」

 自分でも思っていた以上に優しい声が出た。ぴくり、と腕の中で苗字が身じろぎしたが、返事はない。自分で蒔いた種とはいえ、これ以上どうしたものかと頭を悩ませていたら。

「……き」

 息を吐くような音で呟かれる。聞き取れるような声量ではなかった。頭を捻っていると、苗字の腕がそろそろと動いて、背中に回されるもんだからドキリとした。なるべく平静を装ったまま、「悪ぃ、なんて?」と聞き返す。すぅ、と苗字が息を吸うのが分かった。

「好き」

 今度は、はっきりと。彼女の告白が、耳まで届いた。
 ぽかんとして、声も発せない俺に畳みかけるみたいに、苗字は続ける。

「高校のころからずっと好きだった」「野球部には倉持を見に行ってた」「席替えのときは、隣になれるよう友達に協力してもらってたし」「好きじゃなきゃ、部屋に上げたりしない」
「ちょ、待っ、止まれ止まれ……!」

 妄想じゃねえの、と思うくらいに都合の良い言葉ばかりが届くから、思わず苗字を止めてしまった。自分の頬を力いっぱい引っ張ってみる。駄目だ、ちゃんと痛い。現実だ。
 嬉しい、というよりも、情けねぇな、って感情のほうが大きかった。苗字は芸能人だから、俺とは釣り合わないから、なんて逃げてばかりで、結局ぜんぶ、苗字に言わせてしまった。

「……俺も」

 声が上擦った。心臓が口から飛び出すんじゃないかというくらい緊張していて、試合よりやべえんだけど、と自嘲する。
 意を決して、「好き」を紡ごうと、冷たい空気を吸い込んだ。口を開く。す、の音が零れるのと、ほぼ同時。

「ひっくしゅん!」

 腕の中で苗字が震えたと思ったら、盛大なくしゃみをした。ずずっと鼻を啜る音までして、「もー!」大慌てで腕を引き、マンションの中へ。「……寒い」ぼそりと呟く彼女に、「だろうなぁ!」と返して、エレベーターに押し込む。すっかり日も暮れた時間だからか、誰かとすれ違うことはなかった。
 苗字の部屋の鍵は当然開いていた。不用心だったなと反省はするけれど、今はそれどころじゃない。

「シャワー! お湯浴びてこい!」
「そんな大袈裟だよ。というか倉持だって……、くしゅんっ、はっくしゅ!」
「くしゃみ止めてから言え!」

 しばしの攻防の後、折れたのは苗字だった。「帰らないでね、倉持」バスタオルを抱え、縋るように零された言葉に、俺は息を吐く。「帰らねぇよ……」安心したように口元を緩めた彼女を見送り、さっきまでのやりとりを思い出した。
 ――高校のころから、ずっと好きだった。
 未だに、信じられない気持ちはあるけれど。でもそうか、俺が苗字を見ていたように、彼女も俺のことを見ていてくれたのか。

(つーか、両想いってこと……だよな……。いや、両想いとか、なんかガキくせぇけど……)

 付き合ったり、することになるんだろうか。でも苗字は有名人だし、世間にバレたら困るだろうし。

「倉持」
「うぉっ」

 ぐるぐると考えていたからか、苗字が風呂からあがったことに全く気がつかなかった。
 「本当に帰ってなかった」と安堵の息を零した彼女は、俺の隣に腰をおろして、ぴったりと肩をくっつけた。しっかり温まってきたらしい、服越しでもぽかぽかとした熱を感じる。……やばい。空気が、甘い。
 倉持、と苗字が俺の名前を呼ぶ。いつのまにか、学生時代と同じ呼び方になっている。

「さっきの続き、聞きたい」

 甘えるように、彼女が擦り寄った。そういえば、苗字の盛大なくしゃみのおかげで、俺の告白の言葉は途中で切れていたんだった。
 にしても、答えが分かっているからか、苗字の距離感は容赦ない。シャンプーなのかボディソープなのか、めちゃくちゃいい匂いがしているし。

「……だよ」
「……聞こえない」
「好きって言ったんだよ……!」

 顔を逸らして告げた一発目の台詞に、苗字は不満げだった。それを受けて、カッとなり勢い任せに発した言葉はほとんど逆ギレみたいな感じだったけれど、苗字は心底嬉しそうに「へへ」と笑う。口元が緩み切っていた。学生時代はもとより、ドラマでも見たことがない、はじめての表情。それを俺に見せてくれるのが、堪らなくなる。堪らなくなって、気がついたら、それを告げていた。

「……だから、付き合ってください」

 一瞬、時間が止まったかと思った。目を丸くした苗字が俺を見つめている。やべぇ、失敗したかも。芸能人の彼女は、今はまだ誰かと付き合うとか、そんな考えはないかもしれない。思わず零れた言葉をどう取り消そうかと考える、けれど。
 がばりと苗字に抱きつかれ、口をつぐんだ。「はい」しあわせそうな肯定の言葉が、胸元から聞こえてきて、また堪らない気持ちになった。
 あーやばい。しあわせだ。たぶん、というか絶対、これから大変なことだらけだろうし、釣り合わねえなってまた悩んでしまうこともあるんだろうけど。それでも。

「……絶対、大事にする」

 うん、と頷いた彼女が顔をあげて、唇をくっつけた。それから、食むようにキスをする。関係が変わった今、拒む理由はないから、嬉々として応じていたら、程なくして舌が忍ばされた。くちゅ、と水音が絡まる。前も思ったけれど、苗字って、意外とえろい。
 しばらくして唇を離した彼女は、とろりとした目で俺を見つめると、「倉持のキス、きもちい」甘い声で囁いて、また距離を縮めた。やばい、かわいい。かわいすぎる。
 ワンチャンを狙ってただろとか、する・・気があっただろとか言われるなら断じて否定するけど、それでもゴムだけは持ってきていた。万が一、本当に理性がぶっ飛んだ時に、最悪の決断をしてしまわないように。だから、拒む理由は特にない――、いや待て、一個だけあった。
 慌てて両の手で彼女を制止させた。予想外だったのか、驚いた表情をした苗字が「……今日もだめ?」と問いかける。

「駄目じゃねえけど、寮に外泊届出してねーから」
「……」
「代わりに出してもらうよう頼むよ」

 俺の言葉に、苗字は分かりやすく喜んだ。
 酒を飲んだ日と同じ先輩に連絡を入れる。部を引退したとはいえ、卒業までは寮に残っているので助かった。今回もあっさりと『おっけー』と返事が来たのを確認して、(あの日と同じだけど、全然違うよな)なんて懐かしんで。ふと、先ほどの苗字の言葉に妙な引っかかりを覚えた。
 ――今日もだめ?
 彼女はたしかにそう言ったけれど。なにかが引っかかる。

(……今日も、って……。あれ、あの日のこと、苗字は全部……)

 ――忘れてるはずじゃ。
 「倉持?」と不思議そうに問いかける苗字を見つめる。「お前さ」「?」「酒飲んだ日のことって、忘れてんだよな……?」
 しばしの沈黙の後。彼女は「しまった」という顔をして目を泳がせた。これは、クロだ。完全に覚えてる。

「はぁ!? お前、だって、あの時完全に寝て……!」
「だって、そうでもしないと倉持、もう一切連絡つかないくらいに距離とるんじゃないかって……」
「それはそうかもしれねぇけど! つーか、なに、どこまで覚えてんの」
「……ぜんぶ。だってお酒に酔ってたわけじゃないもん」

 マジか、と頭を抱えたくなる。こっちは、酒に酔って誰彼構わずそういう空気になってんじゃないかとか、けっこう本気で悩まされたというのに。
 でも、そうか。あれ全部、酒のせいじゃなくて、本心だったのか。だからといって、あの場で抱くのはナシだったことに変わりはないけれど。

「体当たりがすぎんだろ……。もうすんなよ、お前」
「しないよ。倉持にしかしない」
「……そーかよ」

 もう一度キスをする。すっかり脱力した苗字の体に腕を回し、華奢な体を持ち上げる。「わっ」驚く彼女だったけれど、「ベッド」と囁くとすぐに大人しくなった。
 ゆっくりとベッドに体を降ろし、覆いかぶさるように跨る。ギシ、と微かに軋む音がした。