夏の愛は永遠
十五歳。それだけは誕生日ではなくて、東都へ行ってしまう前日のことだった。
呼び出された寺の裏庭でいつもと同じに見せようとするのが逆に白々しく、端々から違和感が尻尾を覗かせる。普段は小生意気な子供の嘘がつけない幼さが妙にかわいくて、気づかないふりをして話を聞いていた。
そうして余裕ぶっていたら、おそろしく綺麗な顔が目の前に迫っていて、驚き、問い、止める間もなくくちびるを塞がれる。半開きのそこを小さくすぼめた同じもので上からちゅ、と重ねられただけのくちづけは、奪うなんて乱暴さも獰猛さもなく、乞い願うように臆病で繊細なやわらかさしかなかった。
テクニックなんて望むべくもない。拙い、ただ真っ正面から交わったくちびるは、ぽかんとしている間にす、と離れてしまう。くちづけするほど近くにいたはずなのに肩も腕も捕まえる隙はなく、ちょうど身体一つ分の距離に立った子供が見たこともない表情で愛を告げた。
「好きだ」
くちづけと同じ、まっすぐ迷いなく心臓を撃ち抜くような告白だった。きらきら光る目にもありがちな照れや恐れもなく、矢か刃に似た鋭さだけが宿っていた。
ほんの数瞬前まであった幼いかわいげはすっかりなくなっていて、目の前には覚悟を決めた人間が答えを待っている。逃げも隠れも許さない。小さなくちびるが突き立てた楔は心臓を深く穿って離さない。
穢れのない金色がまぶしくて、嘘がつけなかった。
十八歳。ここからは誕生日で、東都から戻ったものの詳細を聞いてものらりくらりとかわされるのに匙を投げた春先。獄くんになら何か話すのでは、とそれとなく相談されていた住職とも時を待とうと決めたのは、法律が改正――十八歳成人――されたからだった。
前々からわかっていたものの、とっくに成人した者には大きな変化はない……実生活においては。仕事で言えば面倒が増える。これまでなら未成年だからと伴わなかった責任が、たとえ高校生でも十八歳となれば生じてしまう。悪用しようなんて連中はずっと舌舐めずりをして準備をしているから、こちらも対抗策を用意しなくてはいけない。国だって動いてはいるが狡猾な者も無知な者もゼロにはならないのだ。
当然、馬鹿でも愚かではない子供にも、口を酸っぱくして話をした。それでもなお絶えず悪さをするのに数ヶ月後には十八歳――成人の仲間入りをするのだから、と、寺や事務所で説くたびに親父と獄の手は煩わせねぇよ、と面倒くさそうにされる。初めて会った時にも思ったが、空却が完全な私利私欲で行動した結果、警察のお世話になるならば親父さんも獄を頼りはしなかった。この子供のそういうところが馬鹿だと思う。……十五の頃よりだいぶ大人しくなったと感じることもあるが。
夏も近く、湿気でべたつく時分。寺で会った子供のぶぅたれる横顔にいかに親父さんに、周囲に大事大事にされているかを聞かせてやった。十五でやらかした全て、帰らずの二年にどれほど胸を痛めていたか、一悶着あったとはいえ今も馬鹿息子と叱り飛ばされることがどれだけ幸福か。『子供』として守られ、馬鹿をできるのはもうおしまいなのだと最後通告を叩きつけた。
まばたきの間に『大人』になる馬鹿なガキは攻撃するばかりで守り方がなっていない。無闇矢鱈に振るわれるわけではない拳の振りどころをいよいよ見極めなくてはならないのだ。でないともういつかのように助けてはやれなくなってしまう。
「……獄も」
「なんだ?」
「獄も、拙僧が東都に行ってる間、心配したのか」
父親のように、と言外に示されて言葉に詰まる。
親父さん――住職は空却が出奔したときも誰よりも厳しかった。とりなす人々にも東都で馬鹿をして人を傷つけたり、物を壊したり、警察のご厄介になってはいないか、と嘆きながら、一人息子が可愛くて仕方ないのが透けて見えた。獄も向けられ、注がれている覚えのある愛情は、自立した今とて変わらない。ふとした瞬間に両親の背を小さく感じても、二人は獄を小さな、よくて高校生くらいのままだと勘違いしているようにも思う。こそばゆく気恥ずかしい、けれども得難く有難い、一生かかっても返せないほどのそれを無償の愛と呼ぶのだろう。
生きていれば、まして弁護士なんかをしていればさまざまな家庭を見る。獄も空却も恵まれている。財産や学だけではない『子供』として大事にされ守られる、愛されるということに。
十五の子供に向けられた眼差しがフラッシュバックする。矢か刃のように心臓を穿つ、穢れのない金色。嘘を、逃げることも隠すことも許さない鋭い光。それが獄に問うている。
数年経っても変わらない、生まれた季節と同じにまぶしい瞳が焼けつくようで、嘘がつけなかった。
そして迎えた八月二十一日二十三時。十八歳――成人した、『大人』になった『子供』が腹の上に跨っていた。
ぺちぺちと頬だの額だのを叩かれて覚醒したものの、縛られているらしく身動きがとれず、視界も塞がれている。そもそもオートロックに加えて、厳重な警備が売りのマンションにどうやって忍び込んだのかわからない。東都から戻っていっそう磨きがかかった悪知恵に、嫌な想像ばかりが頭を駆け巡る。腐っても恩人が才を認めた僧侶見習い、どれほど馬鹿でも獄はあの日信じた子供が『悪いこと』をするなどとは思っていない。
封じられていないのは目以外と、わずかに開かれ、自由な足。自分に懸想している『子供』――否、『大人』が何をしようとしているかなんて、想像に難くない。
見知った相手の凶行にゾッとしたのは仕方ないだろう。こんなシチュエーションでこれから起きることがわからないなんてかまととぶってもおぞましい想像は止まらない。ましてや相手が相手だ。間違いなく実行されてしまう。波羅夷空却はそういう人間だ。一度決めたら完遂するまで歩みを止めない。その素晴らしい美徳が『良くないこと』に向けられるのを恐れていた。
「やめろ空却……っ」
「ヒャハ、お目覚め一番にそれかよ。……わかってんだろ?」
ごそり、と大きな衣ずれが響く。腹から下、股間へとずり下がったのだ。わざとらしく尻でゆっくりとさすられたものの、股間は静まりかえったまま縮こまっている。この状況で興奮できるスキモノではない。止まらない脂汗で寒気すら感じるせいか、触れた肌がひどく熱く感じた。
「全然勃ってねぇ」
「お前……! レイプされるっつうのに勃起するわけないだろうが!」
「レイプ? ひでぇこと言うなァ獄」
ず、と再び尻が股間をなぞる。布越しでもわかるやわな感触と適度な圧を与える重みが、股間の真ん中に鎮座した逸物を狙って動き出す。
「前は子供は抱けねぇって言って、今日は親父とは違ぇって言って――なぁ獄、フるならちゃんとフれよ」
恋愛対象じゃない、性対象でもない、ただのクソガキ以上には思えない、はっきりとそう言えば、言えたならこんなことにはなっていない。のらりくらりとかわすのはお互い様で、空却は過去を、獄は真実を語れずにいる。ず、ぬ、と揺れ、擦りつけられる尻に合わせ、『子供』が不満をぶちまけた。
「もう拙僧は子供じゃねえ。これからすることが獄にとってレイプだっつうなら訴えられて負けてやる。……でも、全部終わってからだ」
全部。一体どこまでをさすのかなんて聞くまでもない。全部は全部だ。こんな状況でなければとっくに勃ち上がっていた場所に、ついに直接指が触れられる。寝入りを襲われたからベルトもジッパーもない、ゴムウエストのスウェットだ。上半身は縛られ、下半身は体重をかけて乗っかられ、じたばたしても逆に腰を突き出しているようになってしまう。そしてそんなのを見逃す悪童ではない。
「レイプだって言うわりに腰浮かすじゃねぇの」
ずるんと下着ごと引き下ろされ、しんなりとしたままの股間が丸出しにされる。客観的に見たらとんでもない格好だ。全身緊縛されて性器だけ露出して――これに本当に興奮するのか? 最近の若者の気持ちがわからない。そんなことを言い出したらそもそもそこまで獄に執着する理由もわからない。十六年上のおっさんと空却自身も言うくせに、何年も何年も盛りのてっぺんの花みたいな顔を向けてくる。今だってたっぷりと蜜を孕んだような声で揶揄って。
目を封じられてもわかる。人の形をした咲き誇る大輪の花と甘い香りが、ぐ、としょぼくれた逸物を握り、さすり、くちづけるのが。思わず退いた腰を乱暴に伸ばされて、あれよあれよとしゃぶりつかれる。興奮してか熱い咥内はよく開くわりに小さくて、亀頭をおさめたらそれきりむぐむぐと舌で舐め回された。歯――特に八重歯が当たらないようにとびくびくしているのが、状況に反していじらしくて、つい。……ついだった。
「んっ、うぅっ……!?」
どれだけ悩ましげに撫でさすられ、しゃぶられてもぴくりともしなかった逸物は、生意気な口を叩き、強引に事に及ぼうとしている相手の僅かな臆病さに反応してしまったのだ。ちゅぷちゅぷとさきっぽを愛撫する舌をぐん、と押しのけて、びきびきとふくれた逸物は小さな口腔の喉奥まで一気に蹂躙してしまう。予想外の反撃に苦しげに呻くふるえすら刺激に変換してさらに膨張し、空却がなんとか当てまいとしていた歯がちこちことかすめるのもこそばゆく心地いい。
「ん、んん……っんぅ……っ」
そんな場合ではないのに。緊縛され、性器を露出させ、あげくしゃぶられて。勃起なんて一番してはいけないのに、久しくご無沙汰の逸物は熱くきちきちの粘膜に締めつけられると素直に悦んでしまう。飲み下しそこねた唾液とじわりと漏れ出た先走りで余計にぬめりを増した咥内からにちゅにちゅと卑猥な水音がする。
射精したい。一度思ったらもうそれしか考えられない。ぱんぱんに張りつめたきんたまがぎゅん、と上向いて、欲望を加速させる。射精したい。見えないけれどちんぽを咥えてなお綺麗な顔は、きっと自分と同じに悦んでいる。自ら望んで押し倒したのだ、急とはいえ完勃ちしたちんぽが嫌なわけがない。まともにキスもしていないくちびるを精子まみれにすると思うと腰がぶるりと揺れる。
「……むっつりべんごし……」
射精す、射精る、と構えた直後、小さな口はちんぽを吐き出してしまった。だくだくと先走りをこぼしながら天を指し、きんたま共々ぱんぱんにふくれたちんぽにひどいことをする。気を抜けば一瞬で達してしまうような状態で放り出され、むっつりだのすけべだのぐろちんぽだの言われても、獣じみた荒い呼吸を返すのが精一杯だった。
「獄、もぉザーメン出すしか考えらんねぇよなァ……? 歳だとか、オトナだとかコドモだとか……もうどうでもいいよな?」
どうでもよくはない。射精したい、射精る、楽になりたいという本能が頭の中を蝕んで、塞がれた目の奥がちかちかする。まして自分を好きだと謳って香る花が誘うのだ。靡いてしまいたい、縛りつける全てを引きちぎって、思うままに種を付けてやりたい。でもそれは、どうでもいいことでは、ない――
ばさばさと乱雑な衣ずれが足のあたりからして、頭から血の気が引くのと反比例してちんぽがぐん、と張り出した。恐れと期待、相反する感情を言葉と表情で示せない今、あまりにも素直に身体が反応してしまう。
「……好みのオンナでもオナホでも、好きなモン想像しろよ」
うるさい呼吸に紛れ込みそうな声は、けれどもたしかに鼓膜をふるわせた。隠されない興奮と嗜虐、わずかに感じた切なげな響きは熱気だけは近くなる身体のものなのか、それとも深く繋がろうとしているのに交わることのない心のものなのか。無様にも凶行を止めるために開いた口から出たのは欲望を満たされた感嘆で、もぞもぞと身をよじり、どうにかちんぽを咥えこんだ空却も同じような吐息をもらした。
そこから先はできれば思い出したくない。
どうにかさきっぽだけを飲み込んだ尻はひどくきつく――それでも何もしていなかったわけではないのだろうが――あまりの締めつけに我慢ができなかった。ご無沙汰だったとはいえ早すぎる、なんてそれこそどうでもいいことにプライドが傷ついて頭がいっぱいになる。成人した、法律の上では『大人』になったとはいえ、獄にとってはまだまだ『子供』でしかない存在に、誘われ、煽られるまま、ゴムすらつけずに射精してしまった、という大問題から逃げるように。
そのまま萎えてしまいたかった。否、そもそも最初にうっかり勃起したのが間違いだった。萎えるべきだった、萎えなくてはいけなかったのに。それなのにこの『子供』が。
「せっそぉのなか、きもちぃ……?」
はぁ……と悩ましげにこぼされた吐息は熱く、甘く、挿入してすぐ射精した堪え性のなさを揶揄うどころか喜んで、きゅぅぅ……と物馴れぬ風情の尻で縮みかけた逸物を愛撫した。
見えなくともわかる。塞がれた視覚と指先以外の全てが好きだ好きだと訴え、鳴き、歌うのを感じて逆らえない。きちんとフッてやることもしないで宙ぶらりんにした大人には甘すぎていっそ苦い。
これはここまで追い詰めた獄への罰だ。同じように口を噤んでも、いつかわかればいいという空却の過去とは違う。獄は自分だけに問われ続けた答えを先送りにして煙に巻いた。これはその罰なのだ。
「あ、はぁ……、またたったぁ……」
幼くか細い歓声が不甲斐ない大人に現実を突きつける。まただ。また、自分は。怒りも呆れも通り越し、憂鬱になっても人は勃起する。狭く小さな肉穴をみちみちと割り開きながら膨らむのを感じて息を噛み殺しても、跨る『子供』の自重でさらに深く、奥へと飲み込まれてしまう。苦しげにふうふうと吐き出された息が、やがてうっとりととろけ落ちる。最初はきついばかりだった中は筋がいいのか相性がいいのか、だんだんときゅう、きゅん、と弱いところを探るように動きはじめた。
何も言えないまま、ただ息を吐いて、吸って、上から降ってくる言葉を飲み込む。ちんぽがでかくて苦しい、でもだんだんヨクなってきた、出ていく瞬間にずぅ、となぞられるのがきもちぃぃ、さきっぽにごりごりされるのも、わからない、ぜんぶ、ぜんぶきもちぃ――甘くとろけた声が『子供』の尻の中の奥深く、如何様に暴れ回っているかを懇切丁寧に教えてくれた。恥いる気持ちはあるのに、嬉しそうに、良さそうに語り、すがり、揺さぶられるたび、もっともっと乱してやりたくなってしまう。
「ぜぇんぶだせよ、ひとや……?」
ああ嫌だ。これ以上思い出したくない。
ぐ、と身体を倒して囁かれた誘惑は耳をくすぐる吐息すら狂おしいほど甘く、間抜けにもごくんと唾を飲み込むしかできなかった。それを了承と受け取ると、ん、ぅう、と悩ましげに喘ぎながら腰が振られる。だいぶ馴染んだもののまだきつい。一生懸命に搾精しようとする健気さと淫らさがどうしようもなくそそる。言われるまでもない。あっけなく全てを小さく狭い尻の中いっぱいに注ぎこんだ。
目覚めたときに『子供』はいなかった。かといって『大人』も『波羅夷空却』だっておらず、わずかな痕跡だけ残して、忽然と消えてしまった。まるで一夜の夢のように。
そうして再び会った時、あれほど強く、苦いくらいに甘く香った『子供』は『大人』みたいな顔をして獄に笑いかけた。野暮なことをするな、と念を押すように。
致命的な過ちを犯したと気づいた瞬間を、過つ前の最後の挽回の機会を未だ悔いていて、だから、できれば思い出したくないのだ。
十九歳。生臭、銭ゲバ、と言い合い、時折手足が出たり出なかったり。かと思えば互いの仕事の相談をしたり、中元歳暮を贈り合う。恩人の息子で、依頼人で、父親の知り合いで、借りのある相手で、知り合いというには深く、友人というには遠い、名前のない関係のまま時と親交を重ねていた。
過ちから一年。あの一夜以降、わざとらしい笑みを浮かべたきり態度も様子も一切変わらない空却に、本当に夢幻かはたまた化かされたのかと思えど、縛られていた身体に残る痕、わずかに痛む腰と関節、そして嫌というほどスッキリした下腹部とツヤツヤした顔を思い出しては否と心で叫ぶ。なによりあの甘さが自分の頭の中だけのものだなんて思いたくなかった。
何事もなかったように振る舞っても空却が向ける眼差しは変わらない。大輪の花が一番綺麗な瞬間のまま時を止めたかと思うほど、可愛らしく艶やかに色付いた金色は見る者が見れば恥ずかしくなるくらい熱烈だ。だというのに何も言わない。東都でのことも、一年前のことも、問う間も与えてはくれない。これは罰か、あるいは復讐か。花の盛りは短いが、人として熟していくには時間がある。幼さの残るしなやかさに大人びた凛々しさが混じりだし、ますます引く手数多の空却がいつまでも十六歳上のおっさんに執着するなどあってはいけない。健気で一途な見た目よりずっと素直で真摯な空却を、どっちつかずのまま手元に置き続けるなんてしてはいけないのだ。
法の上では『大人』になった『子供』はいっぱしの振る舞いをするようにもなって、住職はまだまだと愚痴るものの檀家という名のファンクラブは今に良い人を連れてくるとそわそわしている。空ちゃんは綺麗だからお雛様が二人並んだみたいになるかしら、ときゃいきゃいと少女のように語り合う御年配に痛くもない胸と腹が痛む。懸想した相手と無理矢理同衾するなどずいぶんと野蛮で凶暴な姫君もいたものだが、その気になった時点で同罪だ。黙っていれば人形のように美しい空ちゃんはとっくのとうにお手つきになっている。お似合いの可憐な乙女ではなく、ひと回り年齢も身体も大きなむくつけき男の、だが。
答えねば。十五の躓きも、十八の過ちも余さず引っかかっての十九歳。これが最後の分水嶺と思えど、依然として空却はまだ届かぬ、触れざるものだった。法が変われど頭がついていかないこともある。二十歳まで、たとえ『大人』になっても自分に微笑む顔に翳りがなければ――愚かにもそう思っていた。意気地なしと笑えばいい。今まさに罪も罰も受けている。十五歳の空却をきっぱりと突き放せなかったのが全てのはじまりだ。嫌われ、憎まれ、軽蔑されてもいいから向けられた好意を切り捨てなくてはいけなかった。あまつさえ子供だからなんて言葉で期待させて、引き延ばして、試して、結局身体だけの関係を持つことになってしまった。
きっと今年も何かある。去年の一夜を思い出にお仕舞いにするつもりなら日々注がれる熱い眼差しの意味がわからない。なにより空却が隠し損ねるわけがないのだ。未熟者と言われていても己と向き合い、制御する技術ではプロフェッショナルだ。過ちを犯す大人よりよほど巧みに心を隠してしまう。むしろわざとらしく垂れ流してすらいる状況に、今年も何かがあると確信していた。
八月二十一日二十三時。一年ぶりのその日、獄の警戒も覚悟も綺麗さっぱり無にした十九の『子供』が笑っていた。嘲るものだったら怒りもできたが、どこか寂しげに潤む声音にどきりとしてしまう。
「レイプで訴えもしねェ、フッてもくれねえェ、でも去年とおんなじ場所でおんなじように寝ンだなァ?」
獄、と呼びかける声に応じたくとも、今年は口まで塞がれている。同じではない。あらゆる鍵と暗証番号を変えて警備サービスも追加した。無遠慮に遊びに来る子供を欺くために直前まで以前のままのようなフリをして、今日だって昼間の"空ちゃんのお誕生日会"に顔を出した後は仕事が立て込んでどこにいるかわからないように振る舞ったのだ。それなのに妙に賢しいクソガキめ。どうやって忍び込んだというのか。
「……一回助けたガキで、てめぇが世話になった人間の子供だから穏便にすませたいんならそれでいい。案外ヨカッタからタダマンできてラッキーっつうならそれもいい。……獄が答えを出したくなくて、でもヤるのはイヤじゃないなら、拙僧も、それが、いい」
かわりに口は塞がせてほしい、キスしたくなってしまうから――濡れた声だった。けして泣いてはいないけれど、太陽が曇空に覆われたような暗く湿った悲しげな声。抱き寄せて、抱き締めて、ほしがる答えもくちづけも、嫌と言っても浴びせてやりたかったのに全てが封じられていた。
今年は去年のようになるまいとしていたのに。誕生日、この子供のもくろみを台無しにして、そして、ほしがっていたものをやりたかったのに。それなのに、また同じように逸物にしゃぶりつかれてしまった。しかも今年は子供がいると認識した瞬間から元気に膨らんでしまっていたのだ。ゆるいスウェットをぐん、と押し上げるのに、ごく、と唾を飲む音がする。
「レイプ、期待してんじゃねえか」
ぼそりとつぶやいた声はどこか嬉しげで、あ、の形に開いた口はそのままスウェットごしに逸物に食らいついた。けれども空却の小さな口ではさきっぽを咥えるのがせいぜいで、ならばとじわじわ漏れ出した先走りと一生懸命に貯めたよだれを塗り込めてぴっちりと形が浮かばせる。ちゅう、ちゅぱぁ、と口を動かすごとに漏れる息と音が熱い。
期待しないわけがないだろう。綺麗でかわいらしく、下品で乱暴な、なによりも強く優しい子供にずっと惹かれているのだ。気恥ずかしくこそばゆく甘酸っぱい、恋なんて感情でもって。決してレイプをされたいわけでもしたいわけでもない。自分に焦がれてなりふり構わぬ想い人が、どこか覚束ない仕草ではしたなく振る舞おうとするのがどうしようもなくかわいらしい。この状況は全く望ましくないのに、喜んでしまう自分の頭が一番どうしようもないのはわかっている。ならばどうしたらいい。惚れて、好いた相手に、それはもう丁寧に、舌のひと舐めからすら好意が伝わるような愛撫をされて、どうやって萎えたらよかったのか。
端的に言えばまた過った。眼差し以外の恋慕を見せぬ子供との日常を壊したくなくて、誕生日に何か仕掛けてくるとわかっていたから何もせず、言わずにいたのだ。当たり前といえば当たり前だが、関係性が変わればそれまでの日常なんて壊れてしまう。名前のない、仕事の付き合いもある腐れ縁だけではなくなって、もっと深い情が絡んだものになる。これまでだって何人とも似たような関係を作ってきたのに、何を恐れたのか。心地よくなりすぎた曖昧な繋がりをそのままにしたかったのかもしれないし、干支一周以上離れた相手と付き合うことへの躊躇いかもしれない。どちらにしろもう二度目の過ちの夜ははじまってしまった。
スウェットの上からしゃぶりつかれ、ぱんぱんにふくれた逸物が苦しい。けれども口は塞がれたままだから荒く鼻息を噴くしかない。ふうふうと情けなく鳴らす音がみっともなくて、ぎ、と不自由な身をよじると、ちゅぱ、と音を立てておしゃぶりが中断した。
「くちでいっぱつ……っておもったけど……」
痛い。それは痛い。今にも射精そうだが痛い。ふぅぅ、と恐れを交えた懇願をもらすと、ふふ、と笑った。注射を嫌がる子供をあやすようなやわらかな声にどきりとしてしまう。悪戯な子供と聡い大人の境界線上を行き来する空却がどちらかに偏った瞬間、まるで知らない顔をする。見たかった。塞がれた目が悔しくて、力めど身体は縛られたまま。
「うわ……っ」
だからか緩められた隙間からぶるんっと勢いよく逸物が飛び出してしまった。続けてぺちん、とやわらかい、何かに――
「……ビンタするほどちんちんイライラしてんの?」
ヒャハ、と楽しそうな声がして、今度は直にちぅ、としゃぶりつかれた。先走りとよだれでぬめるさきっぽは美味くもなんともないだろうに、ん、んぅ、と悩ましげにくちびるを寄せられるとたまらない。不可抗力のビンタで予定外にイライラする。いや、イライラの原因はこの子供だ。ああ、クソ。ちゅぱちゅぽとさきっぽをしゃぶられるのがもどかしい。小さな口に求めるのは酷だとしてももっと奥までずっぽりとしゃぶられたい。綺麗でかわいらしい顔がちんぽの形にいやらしく歪む様が見たい。純粋な好意だけできらめく瞳が自分と同じに淫りがましい欲を孕んでいるのだと確認したい。理不尽なイラつきと拙い舌技で咥えられたちんぽがぐぅ、と育つ。小さな咥内で暴れ回るのをなんとかおさめようと、ん、んん、と一生懸命に飲み込もうとするのに余計に煽られる。去年のように吐き出せばいいのに、苦しそうにふるえる喉奥がさきっぽをくすぐった。
思いがけず奥まで飲み込まれ限界が近い。ふ、ふ、と短く鼻を鳴らすと、いっそうに口全体がきゅっと締めつけた。挿入りきらない部分やきんたまは手でしゅこしゅことしごきながら、咥えた部分は搾り取るように下から上へとちんぽを刺激する。重たそうに転がされるきんたまがどくどくと熱く、この子供に射精――種をつけるために急ピッチで稼働しているのを感じた。孕むことはなくとも、孕んだと思うくらいそそいでやりたい。口から胎から全て塗り潰して、この子供に惹かれる不埒者にわからせてやりたい。自己主張のほとんどが封じられたもどかしさで腰が重く揺れる。射精したい、射精る、劣情と熱情が絡まって健気に奉仕する小さな口の中、びゅくびゅくと子種をぶちまけてしまった。喉の最奥の手付かずだった場所に無遠慮にかけられた白濁に、子供の小さな口だけにとどまらず全身がひくひくぶるぶるとふるえる。
「ふ、ぅぅぅ……」
吐き出すこともできず喉奥を犯された子供が呻き、しゃぶったままのちんぽを意図せず愛撫した。かわいそうに、小さな口いっぱいにちんぽをねじこまれているのに、さらにしこたま貯め込んだ精子までぶちまけられ、あげくイッてしまうなんて。見えないけれどひくん、ひくん、という喉のふるえがはしたなく絶頂した証明で、鼻から漏れるかぼそい息が余韻なのもわかる。口を犯されてイクいやらしさが快活で清廉な子供と繋がらなくて、自分がそんな風にしてしまったことにくらい欲望が首をもたげた。
「んぅっ、はぁ……っ」
力を取り戻したちんぽがまた小さな口をずんっと突く。熱く狭い、ぬめった咥内はちんぽが居座るにはちょうどよく、都合がいい。きんたまが空っぽになるまで射精せる、とすら思っていると、察したかのように追い出されてしまった。ぬとぉ……とねばつくのは唾液か精子か。
「ひとゃぁ……つぎ、せっそぉの、しり……」
びゅぅってして、と幼げに求められる。見えないのが悔しいのは何度目か。とろとろにとけた声はこれから犯す身体の中を伝えるようで、期待にちんぽがそり返る。太く硬くそそり勃つのを正しく受け取った子供が、またおっきくなった……と感嘆をもらした。
はじまりから悔いしかない十九の夜は、ヤケクソで開き直っていた。どんな悪知恵を使えば現代文明の叡智を結集させた警備システムを掻い潜れるのか。僧侶じゃなくて忍者の間違いじゃないか。音もなく忍び込んでこちらがうたた寝をするまで待つなんて、やればできるのにムラっけがあると嘆く住職の気持ちが痛いほどわかる。頼むから発揮する場所を間違えるな。
「ぁ、はぁ……っ!」
現実逃避を許さぬ快感が一度射精したはずのちんぽを襲う。去年よりも拓かれた尻の穴は先っぽ以外もほとんど上手に飲み込み、きゅんきゅんとやわく食むように締めつけた。歓喜に満ちた喘ぎは自分の中の良い所をわかりきっている。
「ひとや……きもちぃ……? ひとゃのちんちん、おもいだして……きょねんから、しり……いっぱいほじって……ひとや、すき、すきって、まいにち……」
疑問を察知したようにきゅぅ……と根っこからさきっぽまでを愛撫して、今日に備えたいじらしい努力の日々を語られた。きつすぎてもヨクないと思ったから大きいのを挿入れてみただとか、一緒にいじるといいと聞いたから全身の性感帯と言われる場所をいじっただとか。あんな可憐な花と見まごうような顔をして、はしたない仕込みを自らしていたなんて暴露される気持ちを考えてほしい。否、わかった上でやっている。簡単に煽られ、勃起してしまう愚かな大人のちんぽをさらに熱く硬く尖らせるためにわざと言っているのだ。
「ん……っ、ふぁ……。おもちゃより、でっかぃ……、せっそぅのなか、ぜぇんぶ、ごりごりって……」
きもちぃ、すき、ひとや、すき……甘くて甘くてしょうがない喘ぎに合わせてぱちゅぱちゅと上下に揺さぶられる。刺激そのものよりも音と気配でしかわからない媚態と、不釣合いにいとけない求愛にたかぶってしまう。こんなにも深く交わっているのに手も口も届かない。抱きしめて、俺も好きだと告げて、そしてくちづけたいのに。臆病と愚かさが生んだ状況だとわかっていても苦しい。どうしたら届くのか。唯一触れているやわな場所は思いを伝えるにはあまりにも色と熱が強すぎる。
「あっ! や、ぁン!? きゅぅ、に……だめだ……ってぇ……っ」
それでもいい、せめて愛された分、それ以上に愛したいのだと伝えたい。きっとこの子供は自分の中が気持ちいいからだとか勘違いするだろうが、もう知ったことか。比較的自由な下半身を振りたくり、あんあん喘ぐ子供が意識的に外す気持ちいいところを狙う。ぐぽぐぽとはしたない音が響くほどなき声は激しくなり、へちゃりと子供が胸にすがる。やぁ、ゃ、やぁぁ……と拒絶するのは口だけで、ちんぽにほじられている尻はちゅぽちゅぽと熱心にしゃぶりつく。離したくないとばかりに締めつけ、さきっぽを舐め回す奥の肉壁はずぅっとひくひくといやらしくおねだりをしていた。
「ふ、ぅあ……! ひとやだせ……っせっそぉの、なか……ぁ」
ぜんぶ、ぜんぶほしい、きょねんもらったみたいにことしも、そうしたらまた、らいねんまでまつから……あえかな睦言は胸が痛くなるほど健気で、ぞくぞくするほどいじらしい。こんなにも自分を好きで好きでしょうがないと求められることなんてそうそうない。今度こそ、今度こそだ。すでに何度も過ち続けている男をなおも一途に思い続け、来年もこうしたいと懇願するいたいけさをもう裏切れない。
「んっ! んぅ……っ、は、あ……ン……ッ、だめなとこ、ちんちんで、ほじられてる……」
切なげに求める手と口に答えられないのがもどかしく、深く貫くように腰を打ち据える。ごりゅんっと奥の奥に挿入りこんださきっぽにひくつきながらからみついた。こんなに甘えて媚びて、ダメなものか。心と同じだ。一番奥、誰も触れさせない、獄だからと開かれた場所は好きだ好きだと叫んで離さない。
我慢する気はなかった。きゅぅん……っと根っこからさきっぽまで搾りとろうとする中は、口にされたように種付されたくて仕方がないのだ。よしんば耐えようものなら気持ちよくなかったかと子供が不安がりそうで、促されるままに深く交わった一番奥、熱くやわな肉壁にずんっとえぐりながら射精をした。
「はぅっ……き、たぁ……っ、だめなとこ、はらのぉく……っひとゃのせぇ、し……いっぱい……でて……」
二回目と思えないほどよく出た精子は、余さずかわいらしくいやらしい子供の胎へと注ぎ込んだ。極まった快感でかうっとりととろける声に涙が混じり、どくどくという心音に合わせて中がきゅ、きゅん、と脈を打つ。その声だけでまた力を取り戻したちんぽに怯えたような声を上げるが、中はきゅんきゅんと期待を隠さない。ますます不自由な身体がうらめしい。口と手でいじわるにかわいがれば、やだやだと言いながらイッてしまうのが目に浮かぶようだ。自分のふがいなさを嘆きながら、精子まみれでぬとぬとぬちぬちとぬめる中をちんぽでぐ、と突く。
「またぁ……?! も、やだ……っ! やめ、ろって……!」
快感にうだった子供がなんとか離れようともがくけれど、完全に復活したちんぽはやだ、やあ、となかれるほどに硬く、太く、熱を帯び、悶えるほどに深く刺さる。かわいそうに、一年ぶりに解禁された尻は悪い大人の形に躾けられてしまう。……一生懸命おもちゃを咥え込んでいたらしいからちょうどいいだろう。無駄に抵抗したあげく力尽き、淫らにちんぽに奉仕するばかりの尻を突き上げると、ひ、と悲鳴がこぼれた。かわいがるにも、なだめるにも、ちんぽだけではどうにもできない。せめて優しくしてやろうとしたものの、結局子供ともども寝落ちするまで終わらなかった。
翌朝、もういやだ、やめろ、やめて、と懇願するほど激しく、途中から明らかに意識がトンで一緒に倒れたはずなのに空却はいなかった。
ほとんど残っていないほんのわずかな痕跡と、身体と頭にしっかり残った記憶が去年のように夢ではないと教えてくれるが、一体全体どういう体力をしているのかとゾッとする。こういうときに二人の間に横たわる時の流れを感じてしまう。元々の体力の違いはあれど、回復力はさすがの若さだ。
次に会うときはどんな顔をされるのか。ふわふわとした回らぬ頭と呂律で、最後はすき、ひとや、すき、とずっとないていた。口にしなければ、あふれてこぼれて喉が詰まって呼吸が止まるとばかりにずっと。
二十歳。十九を迎えた夜の『来年まで待つ』という言葉に感じた一抹の不安が的中した。相変わらず太陽を追うひまわりのごとく情熱的な視線を浴びせられていたが、こちらが気づいたと見るやふつりとすぐ途切れる。答えが返ってこないと思っているのか、答えがいらないのか、少なくとも空却の中で『誕生日にだけセックスをする関係』……最悪『誕生日だけセックスをしてくれる関係』になっている。
腹を割って話さねば。でなければどんどん拗れていってしまう。小心者とも臆病者とも罵ってくれていい。法が変わろうとも変わらなかった自分の中の『大人』に空却がようやくなるのだ。どうにか誕生日より前に話をしたかったが、意気地のない大人への罰とばかりにDRBへの参戦が決まってそれどころではなくなってしまった。
巻き込まれ、煽られ、わかりやすく引きずり込まれ――とかくこの悪僧は賢しい。出会ったときから歳の差なんて無いように喋る子供に振り回されてげんなりするのに、外見と年齢からは想像できない達観で迷う心の手を引かれた。途中まではいつかをなぞるようだったのに、別れることなくむしろより強く繋がっている。
自分を恩人と慕う子供と共に『家族』と呼ばれる騒がしいけれども確固たる名前のついた関係は心地良い。恋に由来する色めいたものだけが情の全てではない。むしろ性懲りもなく過ちを犯そうとするのを導く金色には恋慕のしっぽも見当たらなかった。『常世まで続く縁』と誓ったそれが空却の答えでもあるのかもしれない、と最近は感じている。共にありたいという気持ちは何も恋愛だけのものではない。そう思う相手がたまたま血縁だったり長く親交してきた相手だったりしてちょうどいい名前がつくだけだ。
何年も気を持たせるだけ持たせ、ついには年に一度セックスするだけでいいと言わせてしまった空却の名付けた『家族』という関係。それが待たせ続けた自分との間にも望むものならば今年の誕生日にしようとしていることはきっと余計だ。DRBが進み、チームとして、『家族』として深く結びつくほどに影を潜めていく甘く香る眼差しは疑念を確信に変えていく。数年前なら望んでいた変化だったのに、嫌だと思うなんて。
――断固として主張したいのはこの水面下の色恋沙汰で負けたのではない、ということだ。全員がベストを尽くして戦って、及ばなかった。悔しくないとは言わないが、勝敗が決した後の苦さよりも清々しさがあった。全てが終わり、ふと後ろ髪を引かれるのを乱暴に励まされたとき、久しぶりに甘い香りを感じた。『家族』として見つめられるときとは違う、ほんのわずかに混じる恋に輝く眼差しが心臓を跳ねさせる。どこか子供をあやすのにも似たやわらかさは恋慕とは違うかもしれないが、まだあの金色は掴める場所にいるはずだ。馬鹿みたいに走り出して、ようやく完全に腹をくくった。またすぐに『家族』を見る目に戻ってしまった目も、背中も、全てが眩しい。届かなくとも、ではない。届かせるのだ。
走り出してすぐ、善は急げ、としたかったが、直後に一悶着起き、解決し、ひどく慌ただしかった。詳しい話は聞いていないものの、時折覗いていた困惑と寂寥が失せ、少し前の自分を思い出した。長年のわだかまりがなくなった顔。結局ほとんど揺らがぬ空却の数少ない揺らぎは自分の知らぬ間に生まれ、消えた。人間関係は当事者不在では解決しないことしかない。いくら本人が話さなくとも少ない情報からいくらでも推測はできる。空却に見たこともない表情をさせた人間のことなど、とっくに把握していた。
なんのかんのと交流を再開したのか、こっちに来いラーメン奢ってやると電話したり、スマホを見て百面相をしている時間が増えた。ふ、と呆れたように笑ったと思えば、急にこういう場合はなんかの罪になんのか、と聞かれ、答えればさんきゅ、と言って打ち込む。自分とも十四とも違う距離感で楽しそうにする姿は新鮮で、何をしても出会ったときのような幼さが際立つ。同時にそれがひどく胸をかき乱した。
好きだと言われ、肉体関係を持って――けれども『家族』のままの自分がとやかく言えることなど何もない。尻の浅瀬をやさしくぐりぐりこね回して泣きながらイカせることはできても、ただのクソガキそのもののように笑わせることはできない。できることなんて、自分が浴びせられてきた甘く香る眼差しが画面の先の相手に向けられていないかを確認することだけだった。
憂いの失せた顔は生まれた季節そのままに輝いていて、目は以前よりもさらに澄んで見える。敗北も糧にして、無くしたものを取り戻して、さらに前へと歩みを進める生命がただただ眩しい。時間は十分にあったのに、なにも言えなかった。あれほど強く決意したのに負い目と引け目が躊躇わせる。空却の誕生日以外、恋人らしいことなどしていない。たった一度のキスすら遠い昔。セックスと言っていいかもわからない行為だけを重ねてきた。いつまでも一夜の夢のような爛れて歪な関係のままではいられないのだ。
三度目の八月二十一日二十三時。今日を迎えるまでにそう少なくはないことがあった。お互いにこれまでの人生をひっくり返すようなことばかり起きたのに、自分達の関係だけ何年も前にキスをした瞬間から狂って壊れたまま直らない。ほとんど獄のせいだと言われたらそのとおりだ。途中で法が変わったとはいえ、子供をふり払えなかった獄が悪い。
「起きてんの珍し」
「鍵渡しておいて起きてなきゃおかしいだろうが」
「それもそうだなァ!」
いつもの格好で寝室のドアに寄り掛かり、何が面白いのかきゃらきゃらと笑う空却は昼間に会った時と変わらない。こちらもベッドに腰掛けてはいるものの、スウェットではない。昼間と同じシャツとパンツのままだ。例年通り行われた"空ちゃんのお誕生日会"は年々盛大さを増していて、DRBもあってか今年はなおのこと盛り上がった。見慣れた近所の檀家さんに遠方から訪ねてきたファンが混じり、大量の花だの贈り物だのが届く。個人的にもメッセージが来ているのだろう、ひっきりなしに通知を告げるスマホを見ては嬉しそうに目を細めた。集まった人の中、チームメンバー……『家族』として一番近くにいているのを、周りも当然のように扱う。寄せられる信頼と羨望が痛い。くすぐったそうにしながら空却さんはやっぱりすごいっすね、と耳打ちする十四の声に良心が苛まれる。
祝いの席の真ん中で我流の説法をしながらプレゼントを要求する図々しさは生臭くてたまらなかったが、よちよち歩きの子供の折り紙工作の冠をかぶって微笑む顔は前よりもずっと大人びていた。成長したというよりも切り替えが上手くなったと言うべきか。ついこの間も山にこもってなにやらバカをしていたらしい。鮮烈で美しい外皮は中身の稚気で人間に成る。仏に成ったならばどれほどか。そんな、そんな生き物を何年も囲い込んで――
「神妙な顔してどーしたんだよ。……ヤんねぇの?」
ぱちん、とワザと音を立ててカードキーをもてあそぶ。去年、大枚を叩いて指紋認証式にしたのに易々と突破されて、結局元に戻したのだ。仕事で逆恨みされたと言うのを信じている管理会社から敏腕弁護士さんは大変ですね、なんて言われたが、野生動物じみたクソガキに翻弄されているなど口が裂けても言えない。
「おもちゃにするな」
「こんな雑魚セキュリティの鍵なんざ、あってもなくてもおんなじだろ」
「たわけ、この部屋に入る正当な権利を持った人間の証明だぞ。あった方がいいんだよ」
「指がなくなっても入れるもんな」
返す、と放られたカードキーは綺麗な弧を描いてベッドの真ん中に落ちた。わずかにベッドの上を跳ねて沈んだそれを掴み、もう一度投げ返す。危なげなく受け取ったものの、疑問符を山ほど浮かべて食ってかかってきた。
「何すんだよ!」
「やる」
「はぁ……?」
「誕生日プレゼントだよ」
だからもうコソコソ忍び込まなくていい、誕生日だけじゃなくていつ来たっていい、あんまり傍若無人にされたら追い出すが事務所でしているくらいのことなら許す――
「いらないなら返してくれていい」
ぱちぱちといつになく素早いまばたきをする金の目をじぃ、と見ながら告げた言葉はひどく遠回しで情けがなかった。目の前の子供のようにまっすぐな告白をしたのはいつが最後だろうか。好き、という放つ側をも撃ち抜く言葉の弾丸を口にする勇気がなかった。待たせて試して身体だけは貪って、そのくせ拒まれたらと思うと喉がカラカラに渇いて言葉が出てこない。
見つめ合った金の目は、まばたきをやめたと思ったらじ、と手元に戻ってきた薄っぺたなカードキーを見つめだした。眉間に寄ったシワが深くなったり浅くなったりを繰り返し、目も細くなったり睨みつけたり忙しい。やがて答えが出たのか顔を上げる。
「セフレ……」
「じゃねえよ!」
開口一番大間違いされた。いや、俺が悪い。あれだけ好きだと言われてきたのに、好きとも嫌いとも言わずに抱くだけ抱いてきたのだ。そりゃあそうも思われる。身体だけでもいい、なんて言わせてしまったのだ。あらためて言葉にすると自分がとんでもないクズ野郎で落ち込むが、その仕打ちを受けた空却の方がよほど傷ついている。察しの良い子供が自分がどう扱われているかをはかりあぐね、セフレなんて結論を出すのは獄のせいだ。
立ち上がって空却の立つ入り口へと向かうと、再びカードキーを見つめて惑っている。セフレでなければ答えなんて一つきりだと思うのだが、今までの積み重ねがそう思わせなかったのだと突きつけられ、ぐさぐさと胸が切り裂かれた。今日の昼間、あれだけ多くの人々に誕生を祝福された子供に身体だけの関係を当然のように受け入れさせたなんて。
正面に立って肩を掴むと、ようやくカードキーから目を離す。迷子の子供のように困惑した金の目は初めて見る幼さと弱さで満ちていて、こんな目をさせてしまった、という後悔と、自分になら――自分にだからこんな目をするのだ、というくらい欲望が湧き上がった。この期に及んでまだ浅ましいことを考えてしまう。相応しくない。俗世に浸りきり、生臭、破戒とそしられても、泥中の蓮のごとき空却の心根は揺らがない。揺らぐとしたら、悪い大人が手折るせいだ。そうして傷むことすらよろこんでしまう、花盗人のせいだ。
「すきだ」
「は?」
「すき、なんだよ……っ!」
「何を」
「お前以外、誰がいんだよ……」
「……拙僧以外、いねぇ、なぁ……?」
瞠目し、開き切ってこぼれ落ちそうな金色に情けない顔が映る。恥ずかしい、みっともない、十六も歳下の子供に縋りついて拙い告白をして、本当にどうしようもない。呆然としたきり返事はなく、肩に触れた手が馬鹿みたいに熱い。それでも、戸惑うように目をそらされ、顔を伏せられても、手だけは離さなかった。
「……別に、孕むわけでもねぇし……さんざヤッたから責任とるとかなら……」
「そうじゃない! 本当に好きなんだよ!」
十五でたどだどしくくちづけられた時からずっと、ずっと。焼けそうに眩しいのに目が離せなくて、危なっかしくてつい手を貸してしまう。この子供の見据える先が一緒に見たい。そして許されるならずっと一緒にいたい。どんな名前の関係でも、名前なんかつかなくともかまわない。ただ波羅夷空却にとって一番特別なものになりたい。それは身体の一番奥深く、一番やわな場所を暴くだけでは足りないのだ。欲しいのは人形みたいに綺麗な器ではなくて、おさまりきらない苛烈に燃える生命――魂そのもの。
「お前の選択肢を減らしたくなかった。十五なんて俺の半分にもならなかった。……好きだけで、お前のことを縛れなかったんだよ」
だから東都に行った時、心配して、呆れて、安堵した。首都にはヒトもモノも溢れ返る。一極集中傾向の強いこの国では余計に。いつ戻るかもわからない子供が戻ったとき、答えが出ると思っていた。きっと自分を思い出にしていると思っていた。それなのに。
お前が、俺を諦めないから――この距離でもギリギリ聞こえないかもしれないていどの声だった。言いたいことの半分もロクに言えないまま、何を言っても言い訳で懺悔でしかないと思ったら好きという単純な言葉しか残らなかった。十五のあの日から今まで、子供は、空却は、目をそらさずに迷いもせずに好きだと言ったのに。
「ホンット、ずるくて、ちっちぇ、悪ぃオトナ」
ぺちん、と頭をカードキーで叩かれた。無意識に滲んだ視界には見慣れた生意気な顔がそれはそれは楽しげにニヤついている。目尻にたまるしずくにくちびるを寄せて、ちゅぅ、とくちづけて吸い取られると、すっかり見なくなっていた甘く香る目があった。きらきらと満天の星空のように輝きながら、上等の蜂蜜と同じにとろりととけて香り立つ。ずっとずっと自分にだけ向けられたまなざしにぐ、と胸が苦しくなる。
「獄の考えてることなんざぜぇぇんぶわかっとるわ。……拙僧はソコにつけ込んで夜這いしたんだからなァ……」
お互い様だ、と両の目尻にかわるがわるくちづけられた。もう涙はひっこんだのに楽しそうにちゅ、ちゅ、とくり返すのを引き剥がそうとすると、拙僧、口よりちんちんとキスした回数のが多いんだぜ? と、じとりとした目で睨まれる。そんなことを言われたら告白されたのに返事もせず、ゴムすらつけずにセックスをしたことしかない。
「……五年分の穴埋めはする、違う……させてくれ」
「拙僧も悪ぃからトイチとは言わねえよ。これからどっちかくたばるまで、ふたりともくたばったらあの世で、楽しくやろうぜダーリン?」
まずはちゃんとキスしてくれよ、とねだられて、その顔がまあ、それはまあかわいかったから、胸を叩いて怒られるまで塞いでしまった。
息もたえだえな子供――恋人をころんとベッドに仰向けに転がすと、はっ、とした顔をしてもぞもぞと起き上がり、尻を擦るようにして腰を退いた。じりじりと下り続け、枕にぶつかってようやく止まる。追い詰められたように小さく丸まっているのはかわいいけれど、どうしてかわからない。純粋な疑問からベッドヘッドに手をついて顔を覗き込む。逃げるとは思っていないが、ようやく不法侵入でも拘束でもない恋人としてのセックスができるのだ。何一つ見落としたくなくて囲い込むようにしてどうしたのかとたずねると、じとりとした目が向けられた。
「……セックスもああいう感じだよな」
「ああいう感じがどういう感じかわからん」
「身の危険を感じるから今日はセックスしねぇ!」
「どういうことだ!?」
「無自覚ならなおのこと怖ェんだよ! いいか? 抱かれて! 無事で! すむ気がしねえ!」
今までは自分が乗っかってたけど、これからはそうじゃないだろ……と顔色を悪くされる。失礼すぎる。さんざん人の逸物を口だの尻だので舐めてしゃぶってきたくせに。
「そんながっつくと思ってんのか……」
「さっきのキス、拙僧が腹パンしようとするまでやめなかったじゃねえか」
「お前がちんちんよりキスしてねえって言うからだろ!」
「イク寸前までしろとは言ってねえ!」
とんでもない発言の後、あ、という間抜けな声がして、腕の中に閉じ込めた恋人が赤くなったり青くなったり忙しい。はくはくと何かを言おうとして何も出てこない口を動かすのすらかわいくて、ああ、もう、なんでもっと早く……と過ぎた年月が頭の中を駆け巡る。けれども今が一番かわいい。憂いが晴れ、再スタートを切った空却の目に迷いなく思われるのが嬉しくて、愛おしくて、無防備なくちびるをまた貪ってしまう。
ん、んん……っと鼻から漏れる息が長いくちづけに慣れていないと証明するのに興奮して、ちゅぱ、と軽く離して安心したのをまたきゅ、と捕まえて絡めとる。唸りながらすんすんと鳴らされる鼻先がかわいくて、甘噛みしてやったらどうなるかとそわそわした。綺麗な歯並びに混じる鋭い犬歯をくすぐるたび、ひくん、と喉奥が跳ねるのがいやらしい。閉じられなくなった口の端からたらたらと伝い落ちる唾液が首や鎖骨に触れてはぶるぶるとふるえ、目尻に小さなしずくができている。こんなのかわいくて、かわいくてしかたがない。特別反応の良かった場所をもう一度きゅう、と甘噛みして、舌先でくすぐり、ちゅう、と吸いつくと、目をぎゅう、とつむって身体をびくびくと跳ねさせた。たしかにキスだけでこれだ。もし服を脱がせ、ロクに見ることも触れることもできなかった身体をどうこうなどしたら――
「……やぁらし……」
「んな……っ! やらしかねえよ!」
「キスだけでイクのは十分やらしいわたわけ」
嘘のつけない恋人に、きゅ、と口を結んで睨みつけられた。少しはれた赤いくちびるはぷるりとした果実のようで美味そうで、うるんだ金目だって繊細な飴細工に似て甘く香る。白いベッドが皿ならば、ミルク色の肌はやわいクリームか。こんなうやうやしく献上された据え膳、どう喰えばいい。二度も夜を共にして、何度となく熟れた粘膜を犯したのに、拘束も目隠しもなくなんて初めてだからわからない。気持ち悪そうにもぞもぞと擦り付け合う足に体が当たると、とたんにびくりと後退る。これ以上退けないのに一ミリでも、と下がる必死さに追いかけたくなってしまう。
「なんにもしねえよ」
「やらしぃキスしたクセに……」
今だっておっかねえ目、してると言う声は、どこかフワフワとしていて落ち着きがない。恋人とキスなんてしたことがないのだろう。物馴れぬ仕草の全てにそそられる。とろとろにとけるまで甘やかしてかわいがって、それがこれからの当たり前なのだと覚えるまで。こんなふうに逃げるどころか自分から望んで皿に載るように。
「今日は、そのやらしぃキスしかしねえよ」
「今日は、ってなんだよ!」
「明日っからは別のやらしぃことしてやる」
五年分、じっくり、ゆっくり、たっぷりと愛を注いでかわいがってやるとささやいて、馬鹿だか阿呆だか言いたげに開いた口に喰らいつく。十五の時の一回目に加えて今日だけで三回――間違いなく『ちんちんとキスした回数』は超えている。まだ慣れないのか感じやすいのか、ピアスまみれの耳をくすぐりながら小さな口を蹂躙すると、んん〜……っと喉奥で呻きながら、ひくひくん……っと追い詰めた身体がふるえた。半開きの目が快感と羞恥に濡れて、ぎゅ、と閉じられる。目が合ったのすら敏感に感じとって、ぶるりと腰をふるわせたのにぞくぞくとしてしまう。
見えなくともぐしょぐしょだろう下着を暴こうと耳から下へ、つぅ、と手でなぞると、所在なさげにシーツを掴んでいた手が弱々しく抵抗をしてきた。いつもなら素早く重い拳がふにゃふにゃの壁を作って、う、むぅ、と喉を鳴らす。気持ちいいクセにかわいくない、と無駄な足掻きをする手を指のはらで撫でてくすぐり、絡めとった舌先をきゅぅぅ……と締めつける。それだけでかわいくない抵抗は簡単にかわいくなってしまう。ついに目尻からぼろんと大きな雫がこぼれ落ち、何度目かの絶頂に身体が跳ねた。
「……明日もキスだけにしとくか?」
「ちょーしのんなっ! やりちんすけべ!!」
さすがにこれ以上はこっちまでどうにかなりそうで手と口を離せば、とろとろふにゃふにゃのまま威嚇される。きもちいい、もっとしてほしい、と顔に書いてあるから、何を吠えてもかわいいばかり。調子に乗ったヤリチン助平の自制で舌足らずにきゃんきゃん鳴けるのをわからせたら――とうぶんベッドどころか存在丸ごと避けられる気がする。
「悪かった。ようやく大手を振ってお前とやらしいことができると思って調子に乗った」
「……べつに、いやじゃねえから……いいけど」
臆病風に吹かれてなくしかけた宝物をようやく手中におさめて浮かれたのだと殊勝に頭を下げれば、一途に健気に惚れた弱味で待ってくれた恋人はすぐに許してくれた。ふてくされた顔は半分本気で半分は演技で、目はもうずっと好き、好き、と歌っている。とんがったくちびるはさんざんに愛でたせいでつやつやぬめり、ぽってりとしていて、気を抜いたらまたついばんでしまいそうだ。どうにか風呂入って寝るか、とベッドから離れると、小さくなったままの空却が言いにくそうに足の間をおさえながら名前を呼びかけてきた。
「わりぃ、腰ぬけた……」
手を貸してくれ、と足をおさえていない方の手を伸ばして言う声に一切の他意はなく、未知の快感にふるえているだけ……なのだが。
「……お前、俺じゃなかったらとっくに手籠にされてっからな」
「んだよセックスならもうしてんだろ」
「たわけ、かわいくてしょうがねえから大事にしてるって意味だよ」
「はっ……ずかし……!」
「ちったぁ、かわいい反応しろ」
伸ばされた手をそのままひっぱって、わずかな隙をついて横抱きにして持ち上げる。ぱちくりと目をしばたたかせたのはかわいかったが、すぐに下ろせ離せと喚き出す。尻をやらしいおもらしでびちょびちょにしてその元気のよさはさすがだ。ベッドの後始末は覚悟の上だから問題ないが、こいつは着替えは持っているのか。脳裏をよぎる数多の可能性にぐ、と息をつめる。
「……かわいいのかかわいくねえのか、どっちだよ」
「かわいくねえのもかわいくしかねえから困ってんだよ」
ようやく明るくなったはずの前途は、どうやらまだまだひどく悩ましいらしい。最初から腕の中におさまっていた愛は一度触れればもう我慢などできず、大人しくなった綺麗な丸い額にくちづければやめろとクレームがきた。
のんきにくちづけを続けていたが、このあとすぐ風呂につっこもうとひん剥いた恋人が、尻に性具を仕込んでいるのが判明してクレームを出し返すハメになる。
なお後日、これまでの反動か露骨に距離が狭まり、甘やかし、かわいがり、見ている方が当てられるような有様になったのに対しオブラートに包んで事情を説明したところ「まだ付き合っていなかったのか」「年々隠すのが上手くなっていると思っていた」などと言われるが、まだ知る由もなく幸福を噛み締めていた。知ったとて、変わりなく幸いを享受するのだが。
2022/8/31
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