maid or china(M)

 長丁場の依頼が終わり、打ち上げを兼ねた夕食をすませ、愛しい我が家に帰宅する。帰って風呂に入って寝るだけの生活を何日もして、後で片付けると決めて常より荒れた部屋を見るのは憂鬱だが、明日は休みだ。すっきりさっぱりとして待ちくたびれただろう恋人に連絡をしなくてはー
「お、おかえり」
「ただい、ま……?」
 帰宅して五秒、ドアを開けた先に連絡する予定の恋人がいた。

 ちょうど玄関まで来たところでばったり、という風情で、久しぶりだというのに軽い調子で出迎えられる。
 不満はない。生き別れからの奇跡の再会かのように泣いてすがられたり、平静を装って怒りをにじませられたり、露骨に不機嫌そうにされるより、ずぅっといい。疲れているときに"二人のあり方"の話をされると、じゃあ"一人"になろうか、と思ってしまう。
 ともかく、今の獄にはありがたい恋人だ。
 しかし。
「お前、その格好……」
「ん?……ああ!トリックオアトリートってやつだぜ?アマグニセンセ」
 白いフワフワの頭飾りにパフスリーブの黒い長袖のワンピース。その上からフリルが波打つ肩紐の白いエプロンをつけている。胸元はかっちりした襟の下に前開きのボタンが並び、肩のものより細かなひだで飾られていた。足元はハイソックスらしきものを纏ったふくらはぎが覗く程度には長い丈で、常用しているスリッパを履いていた。片手に持ったほうきは寺で見た覚えがある。
「どーせ帰って風呂、寝る、だけになってるだろうと思って御奉仕に来てやったんだよ」
 喜べよ、とその場でくるりと回った背は、肩紐が蝶結びにされて揺れていた。
「ありがたい、が、なんでメイドなんだ。普通にしろ普通に」
「トリックオアトリートって言ったろ。ハロウィンの仮装だよ」
「よしわかった、ラムネに似た胃薬をやる」
「ただの胃薬じゃねえか!いらねえよ」
 バッグのサイドポケットから取り出した錠剤をぺっ、とはたき落として、ふてくされた顔をする。
 まだ玄関先だが、うっすらと積もっていた埃が取り除かれ、空気も入れ替えられたのだろう。どんよりと暗くこもっていた雰囲気が失せていた。
「冗談だ。他もやってくれたんだろ?ありがとな」
 頭飾りごと撫でまわして、そのまま輪郭を辿って喉をさする。自然と上がる顎を掴んで、突き出たくちびるにちゅ、とくちづければ、待ってましたと言わんばかりにちゅ、ちゅ、と食いついた。
「はじめっから、これくれよ……」
 まだ触れるだけなのに、うっとりととろけた金色がとがめるように睨んでくるが、普段の迫力は一切ない。もっともっと、とはしたなくねだる眼差しは、何を目当てで『御奉仕』に来たのか丸わかりだ。
「お前みたいなやらしいメイドが誤解を生むんだよ」
「……ばぁか、獄以外にこんなんするわけねーだろ」
 だからやらしくていいんだ、と微笑む顔は勤勉で貞淑なメイド、とはとても言えないものだった。

 盛り上がったもののさすがにあのままおっぱじめる気にはなれず、玄関からリビングに移ると緑茶を振る舞われた。
 ダイニングテーブルに向かい合って座り、ちょうどひと段落したところだったから、と洋装のメイドが日本茶をすする姿はなんともちぐはぐだ。
 キッチンから香ばしい匂いがして、ちらりと覗くと、いちおう簡単に作っといたけどなんか食ってきたんだろ、明日食おうぜ、と茶碗片手にこともなげに言われる。
 今も、さっきも、せっかくやってあげたのに、という態度をとられないだけで胸に染み入ってしまう。獄とて感謝をしないわけでも、好き好んで忙しいわけでもない。それをわかっている、と言いながら後々責め立てられると参ってしまう。
 ないがしろにしているわけではない、仕事よりお前が大切だ、俺が悪かった、と許しを乞うたり、理解を求めたり、哀れを誘ってみたりしてきた。それでもだいたいは上手くいかず、長く続いた相手も獄の心の底にある執念に匙を投げた。
 結局、馬鹿で十六も年下のクソガキが、恋人として一番、獄が弁護士である理由と意味を理解してくれている。やることなすことめちゃくちゃで、今もトンチキな格好をしてはいるが。
 炭酸飲料しか飲まなそうな外見に反して、恋人は茶を入れるのが上手い。コーヒーより良し悪しに自信はないが、同じ葉と道具でも味と香りがまるで違うのだ。何より、いい意味で気がぬける。肩と言わず全身に張った力がほぐれていく。こればかりはコツを聞いても身につかないだろう。
「寺ではいつもどおりだわ。んで菓子配ってお盆のお話〜とかハロウィンとは〜とか」
 ふと、まさか外でもメイドの格好してないだろうな、と聞いたら露骨に馬鹿を見る顔をして、寺としての取り組みを切々と語られた。一部そういったコスプレをした者もいるにはいるらしいが、メイドなんて着るかとどやされる。
 全ての物事には理由がある、なんで変な格好をして菓子を貰いに行くのかにも。そうやって知っていくことで見えるものが増え、世界が広がっていくーそんなような話をしたそうだ。たしかに、メイドの格好ですることではない。
「つうかカワイイメイドさんに目がくらんで、ちょっと前に言ったことお忘れじゃねえのベンゴシセンセ?」
 獄以外にメイドの格好で御奉仕、なんてしない。
 おつかれのセンセ、忘れちゃったぁ?とにやにやしながら、ほのかな悋気を察知して喜ぶ。仕方ないだろう、大人しくしていれば一級品の見た目なのだ。この服だって上手いことボディラインが隠れているから、何も知らなければその手の店のメイドと騙されかねない。
「……それとも、オシオキしたい……?」
 愉快そうに笑いながら、身を乗り出して耳元でそっと囁かれる。思わず口に含んだ茶を吹きかけたのをこらえ、飲み込んだ。
「……どういう意味だ……」
「そのまんま、だよ」
 するり、とシナを作りながら椅子から降りると、横に立つ。特に変わったところはない、ように見えるが、清楚なはずのワンピースから不穏さが漂っている。
「部屋、片付けてるあいだ……ガマン、できなくて……」
 ゆっくりとまくり上げられたロングスカートの下、首をもたげたちんこがぷるん、と揺れていた。下着は何もつけていないのに、真っ白なハイソックスがソックスガーターで固定されている。
「ガマンできなくて?」
「ひとやの、ベッドで、オナってた……」
 洗濯をしよう、とシーツやカバーを剥がしたときの匂いに覿面にヤラレてしまったのだと言う。ロクに連絡もないまま、久々に感じた夜の香り。
 自分でもびっくりするほど全身がぞくぞくとふるえ、背筋がぴん、と反りかえる。尻の奥、胎がきゅん、とわななき、ちんこが下着を押し上げ、乳首までぐぐ、と勃起した。だめ、と思ったのに飢えた身体に着いた火は止まらない。
 ベッドに頭から転がり、くしゃくしゃのシーツに顔をうずめ、落ち着こう、と息を吸った瞬間。
「こし……びくびくってして、イッて……」
 全身がきゅううとしびれ、尻も乳首もびん、と体の奥で弾けるようだった。ちんこがびゅくびゅくとおもらしをして、下着はぐしょぐしょに濡れて見る影もない。はしたなくうずく身体が落ち着くまで、匂いの塊から抜け出せず、とろとろととけていた。
 今も話しながら、ちんこがぐぐ、と大きくなるのを感じている。匂いだけで発情した、いやらしい姿を見せつけて、興奮して、また、
「な……?やらしぃメイド……、オシオキ、する……?」
 きっと今、とんでもない顔をしている。問いかけながらねだって、はあ、と熱い息がもれる。変態みたいな格好で、ズリネタにしました、と告白しながら勃起して。なんでこんなことしてしまったのか。恥ずかしい。馬鹿丸出しで、本当にただの変態じゃないか。
 それなのに胎はきゅんきゅんとして、尻も絶え間なくひくついている。ちんこだってきんたまと一緒にぐ、ぐ、と上を向きながら、だらだら先走りを垂らして、乳首も服にすれて痛いくらいだ。
 きっと獄は疲れている。だから、こんな風に迫る気なんてなかった。ちょっとキスをして、できれば久しぶりに抱き合って寝たかった。なのに。目の前にしたら。
 自分を見る目が優しくて、馬鹿な子供だと言いながら、奥底からかわいい、すき、と甘さが漂って、もっともっとと欲張りになる。冗談まじりでしたコスプレで欲望に火がつき直す。
 とても直視できなくて視線を泳がせたのに、じい、と見つめる眼差しが淫らにギラついて、安心した。

「ふぅ……ぅ〜〜〜……っ」
 ぷちゅぷちゅ、ちゅぅ……と響く水音に、腰がぬけそうになるのをなんとか耐える。
 オシオキ、の皮をかぶったオネダリ、をきちんと正しく受け取った恋人は、椅子から降りて跪くと、はしたなく勃起したちんこをぱくりと食べてしまった。スカートはめくり上げたまま、動くな、と言い添えて。
 一回り大きな体の一回り大きな口は、あたたかくて、濡れていて、気持ちいい。棒アイスを舐めるように茎全体を余さず舐められ、頭を出したさきっぽも大きな舌でくりゅくりゅと撫で回される。尿道やくびれ、筋、弱いところを舌先でくすぐられて、足も腰もがたがたとふるえて立っていられない。
「ひ、と、ゃぁ……っ」
 スカートを持つ手もおぼつかず、裾がばさばさと恋人の頭を叩く。呼びかけても股間に顔を埋められたまま、返事はない。代わりのようにきんたまをもまれ、茎をしごかれ、先っぽをちゅうぅ……と吸われて射精を促される。
 そもそもフェラをされるなんて思っていなかった。むしろしてやろうと思っていたのに、流れるように食まれて止める隙すらないままへこへこと腰が揺れる。
「ゃ、やぁ……っ!いく、いく……っひとゃあ……っ」
 もう限界で、スカートを掴んだまま恋人の頭にすがりついた。その拍子にじゅぷ、とちんこを押し込んでしまう。
 まずい、いやだ、ぬかないと、と思うのに、尻ときんたまをきゅう、と握られて動けない。片手で尻をもんだり、割り開いて縁を開くようにいじめられ、もう片手できんたまをたぷたぷとゆすられる。
 咥えられたままのちんこはあたたかくぬめる口内に犯されて、あふれる先走りがいやらしい水音を助長した。触られなくてもイッてしまうやわな場所なのに、縦横無尽に動き回る舌に翻弄されて、あげく喉奥でぢゅう、と敏感なさきっぽを吸われたらたまらない。
「あっ!う、や……っ!ゃぁ〜〜〜……っ」
 びゅく、びゅる、びゅうぅぅぅ……とほんの数時間前にもさんざん射精したのに、根こそぎ搾り取られてしまった。きんたまを上へ上へと押し上げながら、ちゅ、ちゅ、と尿道の残滓まで吸われて、ひぐ、と鼻を鳴らすしか出来ない。
 視界がじんわりと滲んで、口は開きっぱなしでよだれが垂れている。恋人の恋愛遍歴は詳しくは聞いていないけれど、こと体を拓く、淡くくすぶる欲望を育てる行為にかけてはすさまじい。最初の最初から今まで、一切の容赦なく快楽を叩き込まれて、すっかりいやらしくなってしまった。
 ちゅぽ、とわざとらしく音を立ててくちびるを離され、スカートの中から恋人が這い出す。射精の余韻も抜けず、それどころか再点火された体は久しぶりに見る顔によろよろと抱きついた。
 床の上、向かい合って膝をつくと、すがりついた腕をやわく剥がされた。そうして腰の抜けた体を支えてくれた手で口元をおさえたと思ったら、白濁した液体がつぅ、とくちびるからつたい落ち、手のひらにたまっていた。
 どう考えても、それは、
「……いっぱい出たな」
「ばっか、やろう!!」
 こちらを見て意地悪く笑う顔に、かぁ、と頭に血がのぼる。両手で絶対めくれないようにスカートの裾を押さえながら叫んだ。
 そりゃそうだ。あんなぢゅこぢゅこと容赦なく空っぽになるまで搾られて何にも出てないわけがない。ちんこより気持ちいい場所が増えても、ちんこが感じなくなったわけではないのだ。むしろ過敏になって、触れないでほしいとすら思う。
 なのに、あんな。
「……いつもナカでイクとき、ちっちゃくて狭いナカ、一生懸命ひらいて……ちゅうちゅうちんぽ締めつけるだろ……?」
「な……っ」
 急に何を言い出すのか。まだ顔は悪いまま、意地悪しようと狙っている。恥ずかしいことをされて、言われて、ほてった熱が引かない。あとちいさくも狭くもない。獄のナニがデカイだけだ。毎回ずぽずぽといじめられて形を教え込まされたナカは少し慣らせば簡単に迎え入れてしまう。
 いやらしく躾けられた体は、恥ずかしいことを言われてもひくひくとうずきだす。空却を辱めようと下卑たことを言う輩から、似たような言葉をかけられてもそうはならない。
 本当に愛おしくて仕方ない、可愛くて可愛くてどうしようもない、と優しく触れられて、気持ちいい、以外なにも考えられなくなるまでとかされて。甘くされるだけでは余計にかたくなになるのも見透かされて、素直になれ、と意地悪をされる。意地っ張りの天邪鬼が出来なくなるまでどろどろに。
「もっともっと、ってほしがって……離せって言ってもきかないで……」
 自分の淫らさを暴き立てないでほしいのに、恥ずかしくてしょうがないのに、気持ちよくて、止められない。
「俺がいつも、どんな気持ちかわかったか?」
 いやってほどわかってると思うが、と上げられた口角が、楽しそうに弧を描く。お前もいつもああして精を貪るのだ、と語る目が、何を言っても鏡のようにはね返してしまう。
 なんにも言えないのに、いたずらされた後腔がきゅんきゅん、とおねだりをして、ちんこもぴくぴくとうずく。
「……ぜったい、せっそうよりしつこくてえろかった……」
 スカートの裾をもぞもぞといじりながら、なんとか絞り出した言葉は隠しきれない色と欲にまみれていて、そういうことにしてやる、とくちづけられた。

 ぢゅぽ、ぢゅう、ぢゅ、と、背を向けた方からはしたない音が響く。おしおきの後はご褒美だと、ダイニングテーブルに手をついて足を広げるように言われた。
 どんな卑猥なご褒美かと聞きたいが、おしおきの時点でそんなのは明白で、そもそも自分でねだったことだ。こんなに乗ってくると思わなかっただけで。
 言われるままの体勢になると、尻を突き出すようにと促される。あからさまなポーズにおずおずとしていると、ぐ、と腰を掴んで後ろへ引かれてしまう。しかも尻が丸出しになるようにスカートをまくり上げられ、その裾を両手で握らされた。
 何も知らない人が見たらぐしょぐしょの股を丸出しにして誘う変態にしか見えない姿に、頭が真っ白になってしまう。似たようなことはやったけれど、自分でやるのとやらされるのでは違うのだ。
 足を開いたから、ひくひく、ぱくぱく、とうずく肉縁もさらけ出され、ゆるく勃起したちんこが首をもたげている。そんな場所をじい、と眺めないでほしいのに、視線を感じるほどいやらしい体はたかぶって、ほしがってしまう。
 ついさっき搾りとられた精でぬめる指がつぷりとさしこまれた。一人でシたときに簡単にしか拓いていない穴は、全然慣らしが足りなくて、ほんのちょっとの指にびくついてしまう。気持ちよさと違和感でぐらついていると、こちゅ、と優しくくすぐられた。
「珍しいな……」
 あんな大胆に誘ったのに、と言いたげな声は、反面、少しはずんで聞こえる。ぷちぷちゅ、と縁をなぞって広げながら、ちょっと待ってろ、と指を抜いた。
「ふ、ぅ……」
 たぶん、ローションを取りに行ったのだ。手に残った精子だけでは空却の"ちっちゃくて狭い"ナカを拓ききれないから。心なしか足取りの軽い恋人に、少しだけ気が重くなる。
 だって、恋人は、獄は、空却をいやらしくかわいがるのが大好きなのだ。
 そうしてローションを持って戻った恋人は、ご機嫌にはしたなくおねだりをする尻を拓きはじめた。
 とぷとぷと容器から出されたねばつく液体を手のひらであたためてから縁に塗り込み、拓き、流し込む。シワの一本一本までぬちぬちと広げられ、ぱくぱくと開閉するのが恥ずかしい。見えないけれど感じる視線と指先が、もっと気持ちよくなりたい、とわななくのにこたえてぢゅ、ぢゅぷ、と少しずつナカを満たしていく。
「ゃっ、ぅぁ……」
 やがて浅瀬のやわなところをこちゅ、と指の腹で撫でられてびくん、と体が跳ね上がる。本来なら性行為には使わないのだからと恋人は、じっくり、ねちっこく、もういい、と泣いて懇願しても、ダメだと言って譲らない。
 乱暴にしたくない、傷つけたくない、大事に大切にして、獄にしか抱かれたくない、と思わせてやるーと、天を衝かんばかりに勃起した状態で言われたが、過ぎた快感は毒に等しい。獄に拓かれた後はいつだって、挿入れられただけでイッて、あられもないことをしたという漠然とした記憶以外は残らない。余韻でふるえる体を引きずって、覚えてないけれどヨカッた、と言うと、だろうな、と言いたげに笑って、ちゅ、ちゅ、とくちづけされるのが常だ。
 まだ指一本。ローションをまとった指で浅瀬をくりゅくりゅと撫で回しながら拓かれていくナカは、きゅうきゅうと甘えてしまう。こんなのをあと三本分。指では届かない奥以外はぱっくりと開いて、ローションがぷちゅ、とあふれるまでたかめられる。
 おしおきは終わったはずなのに、ご褒美もほとんどおしおきだ。どっちも怖いくらい気持ちよくて、普段はできるだけ避けること。もしかして、もしかしなくとも、そういうことなのか。
「じぶ、んで、やる……っ」
「ダメだ。ご褒美だぞ?」
「で、もう、っんあ!」
「大人しくかわいがられてな」
 やっぱりそうだ。おしおきとかご褒美とか言ってるけど、全部全部、獄がやりたいだけだ。普段、空却が拒んで、先手を打って、やらせてあげないことを。そしていつもなら折れてくれることを今日は折れてくれない。
「や、だぁ……!」
「本当に?」
 本気で拒絶すればこんなことにはなっていない。そもそも今の状況だって許していない。つまるところ手心を加えてほしい、という懇願だ。獄だって、本当のわけがないのをわかっていて聞いている。わかっていて、退路を絶っている。
「……やめてほしい、って意味じゃないのはわかってんだよ」
 痛くもしないし、怖くもない。頭がバカになるくらい気持ちよくしてやるだけだから、とおっかないことを耳元で囁かれ、襟の上からうなじにがぶりと噛みつかれた。
 のしかかられると自然、指の挿入も深くなる。付け根まで挿入ると同時に、がぶ、かぷ、と服越しの甘噛みにぞくぞくとふるえるのが、ナカにも伝わって指をきゅ〜〜っと締めつけてしまう。
「指一本でこんなキツキツにしてなぁ……」
「ら、て、ふとぃ、から」
 獄の指は空却よりも太い。体中全部一回りから二回り違うから、たかが指一本でも届く場所も、範囲も違う。何より、体も心も許した恋人の指だ。
 日々を戦う、強くて、優しい手だ。ケアをされても残る小さな傷や、癖で少し曲がった関節。ペンだけでなくマイクをとって新しく出来たタコやマメ、空却のために丸く切られてヤスリをかけられた爪。
 人生が、生き方が如実にあらわれる部位に、わずかでも自分がいる。自分のために変わった場所が、自分の体に挿入ってくる。そんなの、もう、
「あっ……ぅ、ぁ」
 キツイキツイ、と言いながらも、ぬちぬちと指を動かしてやわなふくらみをきゅうきゅうと押されて、甘く達してしまった。そのせいでまた指にちゅうちゅうと吸いついて締めつけてしまう。
「ちんぽ挿入れられるようになるまで何回イクんだろうなぁ……」
「ゃ、……じぶ、でやる……ぅ」
「その間、俺はシコってればいいのか?お前がちっちゃくて狭いナカを、ちっちゃくてかわいい指でちゅこちゅこ広げてんのを見ながら、なぁ」
「ち、あぅ……っ!」
 ちっちゃくも狭くも、かわいくもない。獄と比べたら小さいだけで、空却はそこらへんの男よりはよっぽど鍛えている。それこそ獄よりも。
 それをちっちゃくて狭くてかわいい、なんて言うのは獄だけだ。恥ずかしげもなく馬鹿なことを言って、いやらしく指を食い締めるナカをちゅこちゅこといじめるのは獄だけだ。
 テーブルについた手がぐらぐらとゆれる。足だってもうガタガタしっぱなしで、ちんこは先走りがとろとろとあふれて、なすりつけたスカートもびしょびしょだ。
「じゃあ、俺がやっていいんだな」
 そうはならないだろう、なんて言う余裕もない。嫌じゃない、獄が好きで、何をされても気持ちいいくらい、好きで、嫌じゃない。けど、
「あ、んま、きもちよく、すんな……」
 頭のてっぺんから爪先まで快感でいっぱいになったとき、空却は全然なんにも覚えていられない。それなのに体はしっかり覚えていて、それが悔しいやら恥ずかしいやら。だから記憶が残るように、獄と過ごした時間がどんな淫らではしたないものでも忘れたくないから。
 全部ぜんぶお見通しの恋人は、空却の言いたいことを正しくわかってくれている。ひどくされたいとか、痛くしてほしいだとか言ってないなんてわかっている。
 でも、それはかわいい恋人のお願いをきいてくれるという意味ではないのは、空却もわかっていた。

 生まれたての子鹿のごとき有様だった空却をなんとかベッドに転がして、深く貪るようなくちづけで力の抜けた身体を再び暴く。ぼんやりと天井を見つめながら荒い息を吐くのが苦しげで、胸元のボタンを外してやると、ぴく、と視線が向けられた。
「ひとや」
「なんだ」
「つづき……しろ、よ」
 みなまで語らず、足がぱかりと開かれる。長いスカートに隠れて中は見えないが、む、と熟れた淫靡さが香った。
 出迎えられたときの快活な清廉さは完全に瓦解している。金の眼に宿っていた凛とした光はとろん、ととろけ、肌は旨そうな桃色に染まっていた。
 くちづけがとどめをさしたのか、観念したのか、乱れた胸元をさらに大胆に崩し、はだけた黒いワンピースの下からミルク色の肌があらわになる。すでに十分に目の毒なコントラストを、純白のエプロンの細かなフリルが熱を帯びて勃起した薄紅色の乳首を飾って加速させた。
 快楽にひたりきった空却は、ひたすら心身を獄で満たされることに貪欲だ。常にやりたい放題、傍若無人に振る舞って見えても、一定のルールとラインをもっている。むしろ強く己を律してすらいる子供の剥き出しの魂は、理性を壊すまで触れることすら叶わない。
「やぁらし……」
「ひとやのせい、だから……んっ」
 触ってもいないのにぷりん、と勃起した乳首に吸いついて、ちゅう、ちゅ、と舐めしゃぶる。ねぶるほどに硬く、ぴん、と尖る肉粒を、根本からさきっぽへこしゅこしゅとしごいてやるとぶるぶると全身をふるわせた。
 性感帯として仕込み続けた乳首は服にすれるだけでもいやらしく反応してしまう。ましてや感じさせてやろう、と触れられたらひとたまりもない。
 さきっぽのくぼみを舌先でちろちろとえぐると、へこへこと腰をゆらして下も、とねだる。欲望に染まった金眼の淫らな輝きと、快感でゆるんだくちびるがよだれでぬめるのがはしたないのに、劣情を煽ってやまない。
 もとより拓いてやるつもりだった肉縁へ手を伸ばすと、恋人が大儀そうに膝裏を抱えて転がった。足を開いてひくつく秘所と先走りをこぼすちんこを見せつける姿に、どうしたら手加減なぞできるのか。優しくしようものならもっと、とねだられるのが見えるようだ。
 まだ指一本分しか拓いていないナカはローションでぬと、としていてもちいさく狭いのに、挿入れて、と全身で、瞳で、ねだられて血迷いそうになる。乳首をしゃぶりながら、放置していた方を手でなぶり、もう一度、ローションをまとわせた指をぷちゅ、とナカに挿入れた。
 敏感に育てた薄紅の尖りは、舌でも指でも撫でられると悦んで受け入れる。淫らな責めを余さず感じるためにぷくりとふくらんだ乳首は、かわいがるほどにいやらしく乱れ、胎の奥で達してしまう。
 ちゅぱちゅぱと吸うたび、しゅこしゅことしごくたび、ナカがきゅうきゅうきゅんきゅんとうずく。締めつけるようなのに奥へと招かれるようにうごめいて、指がじゅぷじゅぷと挿入りこんでいく。
「ゅび、ずぽずぽ、きもちぃ……」
 きゅぅぅ……と指に甘えられ、もう一本、追加する。きゅ、と締まったナカをぐぱ、とかき分けて挿入すると、ぷし、とちんこがおもらしをした。
「いま、ごりごり、て、した、かりゃ……」
 挿入った瞬間、浅瀬のやわなところをいじめてしまったらしい。かぁ、と頬を染めて目尻がにじむ。スカートはとっくに白濁まじりの先走りで汚れ、おもらしくらいと思うが、ただ挿入しただけで甘く達したのがイヤだったらしい。
 ひときわ淫らな性感帯を同時に責められているのに志が高いことだ。そんな恥じらい、なんの意味もないくらいはしたない身体になっているのに。
 口と手でかわいがり続けているぴん、と勃起した乳首は、さんざんいやらしいことをされました、と自己紹介しているようなものだ。何もしなくともぷく、とふくれた肉尖は侵入しなければわからないナカよりもよっぽど隠すべきなのに、簡単にさらけだしてしまう。
「……もぉっとずぽずぽごりごりしてやるよ」
「え、なで、ふ、ぁっ!あっ!ぅあっん、ふ、ぅ……」
 ちゅぱ、とくちびるを離して熱い耳にささやくと指を引き抜いて、もう一度、今度は指三本でナカを貫いた。
 ぶちゅちゅ、と二本分しか拓かれていなかったナカをずぽずぽと割り開いて、浅瀬の弱いところをごりごりとくじると、飢えた肉壁が甘くイきながらむちゅむちゅとからみついてくる。
 乳首もちゅっちゅうと吸いなおせば、ナカも外もすっかり淫らに熟れきって、ひくひく、きゅんきゅん、とちんぽをねだって身悶えた。
 先ほどはしたないおもらしをしたちんこといえば、結局、ぷるぷるとふるえながら、ぷしゃ、ぷし、と淫液を吹いてスカートと腹を濡らしている。
「このおもらしも俺のせい、か?」
「……ばぁか……せっそ、がやらしぃの、ぜんぶ、」
 ひとゃのせいだろ、と息も絶え絶えに細くなく。
 あの日出会って、恋に落ちなければ、愛しなんてしなければ、こんな愚かで淫らなことはしていない。
 どれほど快楽にとろけ落ちても折れない芯が、瞳の奥で強くきらめいて、そう訴えた。
 全て、この腕の中で乱れる子供の全てが、自分だけに捧げられている。
 押し寄せる罪悪感と、それをはるかに凌駕するよろこびが、身体中を駆け巡って胸を揺さぶった。
「クソ……ッ!」
 今すぐに挿入れたい。自分にだけ許された心と身体の奥底、その両方に触れたい。見せつけられ続けている媚態に痛む股間を宥めては、よじられる肢体、熱で色づく肌、水を張った金色によって無に帰する。
 十分に飢えて熟れた肉壺は、それでもちいさく狭い。恋人の繊細な場所に無理を強いたくない一心で、ぬち、ぬちゅ、と指を動かし、ナカをとろかす乳首を愛でた。
「も、いから……」
 ちゅぅ、と吸いながら尖った乳首を舌先でぴん、ぴん、と弾いていると、甘く濡れた声で鼓膜にすがられた。じわじわと快楽に犯されるのに耐えかねて、膝裏を抱えていた手が尻へと伸びる。まろくやわい尻たぶも、沈む指も、恥じらいと欲でほてり、左右からぷちゅ、ぷぷ、とねばついた音を立てて開かれた肉縁は、きゅうきゅん、と指を食んでいた。
「ダメだ」
「だめじゃ、ない、か、らぁ……っ!」
 ふるえる指がぐ、と力をこめ、シワが伸びきるまで縁を広げる。急に引っ張られたせいで、ローションがぷっ、ぷぷ、と吹き出した。差し込んだ指が濡れ、はしたない癖のついたちんこもぷしゃ、と淫液を吐き出す。
「も、きもちぃの、で、いっぱいだから……、ゆびで、ずっといってる、から……、だから……」
 もっとずっと恥ずかしいことを平気でするクセに隙だらけのおねだりをするのは狙ってか。
 指を食い締めるナカは、羞恥と興奮できゅんきゅんとうずいて、顔と言葉だけが素直になれない。
「……やらしぃメイドさんらしく、ご褒美ちょうだいってできたら挿入れてやる」
 最後に残った理性の盾を、悪い大人の恋人が剥ぎ取ってやる。意地悪をして、情につけいって、いつもつまらないものをたかるように、自分を欲しいと言わせたい。
 恋人がけして口にしないけれど、心も身体もときめかせる低く、熱っぽい声を真っ赤な耳に浴びせれば、ナカがびくびくとはねて、ぁ、ん、と嬌声がもれた。
「声だけでイイのか……?」
 素直な身体を味わいながら、再度耳から犯していく。
 これ以上ないくらい赤い耳を、舌でねぶり、息を吹きかけ、やわく食んで、煽る。
 乳首にしたように耳をかわいがってやったらナカが締まっておもらししたこと、その乳首を触ってやれなくてもすっかり硬く勃起したままなこと、いやらしいことを言われてもされても一番素直に反応するちんこがかわいいこと、ずぅっときゅんきゅんきゅうきゅうと甘イキしているナカに早く挿入れさせてほしいこと。
 卑猥な言葉を流し込むほど八の字の形に眉が歪み、その下のまぶたも恥じらうように半ば閉じられる。
「なぁ、どうなんだ?」
 とっくに陥落したのに意地を張る恋人が、降参を出来ずにはくはくと口だけを動かす。ふるえるまぶたをゆらし、欲に濡れた目で睨めつけながら、音もなくばか、と言われても怖くもなんともない。悪い口は塞げないから、素直な良い子の口をこちゅこちゅと撫でると、ふ、ぅと息を詰め、ナカがぎゅん、と締まった。
「……ゃ、らしぃ、めいど、に、ごほうび、くだ、さい……っ」
 ふ、ふぅ、と息も絶え絶えにされたおねだりに色めいたものはなかったが、最後の一線をなんとか保とうとするのがくらい欲望をそそってならない。もっと意地悪をして焦らしたら泣き出してしまうだろうか。ともあれ、約束は約束だ。
「ぁ、ひうっ!ふぁ……っ」
 絡みつく肉壁をふりほどいて、指を抜く。限界までたかめられた身体は、それだけでまたイッて、びくん、とのけぞる。ちんぽが挿入ったらどうなるか、なんて考えるまでもない。
 ちぃ、とジッパーを下ろして、かわいい恋人の悪あがきで痛いほど膨張したちんぽを解放する。ぶるん、と硬く反りかえり、びきびきと血管も浮いて、張りつめた亀頭は先走りでテカッていた。下着にぽつぽつとついたシミなどベッドの上の大惨事に比べれば些事でしない。
 たわんだ服の上から腰を掴み、健気に広げられたままの肉縁に、ぷちゅ、とかまえるまでもなく勃ち上がったちんぽの先端を擦り寄せる。とたん、とろけた金の瞳が期待と恐れで見開かれた。
「お待ちかねの、ご褒美だ、ぞ!」
「ひっ、とゃ……ゃあ、ああ……っ!!」
 まって、とすがるようなまなざしと声を無視して、どちゅん!と一息に貫くと、びくん、と盛大にのけ反ってイッた。
 ぴゅく、ぴゅる、とほとんど萎えたちんこから白濁まじりの淫液をこぼし、根本まで飲み込んだちんぽをきゅぅぅう……とやわな肉壁でしゃぶりたくる。
「は、ぁ、ぅう……ゃう」
 突き当たり近くのやわな場所をごりゅごりゅとくじると、紅をはいたようなくちびるが抑えられない、とよだれを垂らして喘いだ。
 熱く熟れたナカは少しきつい。常ならば拓ききるまでに前後不覚にするものを加減しろ、と何度も言うからだろう。無意識に手心を加えていたらしい。
 十分に拓かれたナカにきゅうきゅうと甘えられるのもいいが、少し頑ななのをかわいがって拓くのもいい。とっくにナカはちんぽの形になっているから、きついと言ってもあくまで普段と比べて、だ。
 ほぐすように抜挿すると、ぴっちりと吸いついていた肉壁をゆさぶられ、ずりゅずりゅとこすられるのに喉奥で噛み殺した吐息が赤々とした口からもれる。とろとろととけて焦点の合わない目は、ずぼずぼと容赦なく犯される肉縁をうっとりと見つめていた。
「ぁっん!……は、ぁ……めいどぉ、でき、てなぃ……」
 ぱちゅん、ときんたまがぶつかるほど奥まで。ざり、と陰毛が擦れるほど根本まで。ずっぽりとちんぽが挿入るくらい素直になったナカの奥の奥。ひときわやわな肉壁を硬く張りつめたさきっぽでぷちゅぷちゅとくすぐると、かわいらしいことを言い出した。
 ふとした瞬間、よぎる過去の恋人の影に何も感じないわけではない。空却に対しては不満どころか安心してすらいるようだけれど『未成年に手を出した負い目で付き合っているのではないか』なんて口さがない外野の声を聞かないわけではない。父親にしたってお前の我儘勝手で迷惑をかけるな、などと叱られたりもする。
 この関係が終わるなんてことはきっとない。燃えるような恋が落ち着いたあと、長く灯り続ける愛が残るから。でも、それが、責任や惰性でなんとか火がついているだけの燃え滓にならないなんて保証はないのだ。
 空却も獄も自分の信念は絶対に譲れない。互いに曲げられない、折れない魂が美しくて、輝いていると思うから惹かれて、今がある。そしてそれを失うなんて、考えられない。
 だからほんのちょっと、特別にちょっとだけ、忙しい恋人を気遣うなんてしてみたのだ。
「なのに……っひとゃばっか……!」
 フェラにはじまりナカのお膳立てをされ、一番気持ちいいところをごちゅごちゅと突かれたら、まともにおしゃべりもできないのに。
 全身をいやらしく匂い立たせながら、幼い子供のように悔しがる恋人のなんと愚かでかわいいことか。
「……たわけ、なんもしなくたっていいんだよ」
 馬鹿で、勝手で、周りみんな振り回して。それでもそんな空却がいいから一緒にいると決めたのだ。たとえたどり着く先が地獄だろうと。
「〜でかく、すんなぁっ!」
 すけべ、むっつり、へんたい、と罵られてもかわいくてしょうがない。なんにもしなくていい。側にいてくれればそれで。
「……もっとでかくなるって言ったら?」
 ひゅ、と息を飲んだくちびるに食らいついて、くすぐっていた肉壁を短い間隔でばちゅばちゅと突き倒す。喘ぎを奪い尽くす深いくちづけで、助けを求めるように惑う舌を根から絡めとった。
「ん、ふ、ぅう、ん……っ」
 上も下も、ちいさな口を悪い大人にずっぽりとふさがれて、鼻でふぅふぅと息をする。おおきくするな、と怒ったくせに、さらに膨れたちんぽにちゅぱちゅぱとしゃぶりついて、射精を促すようにぷりぷりの肉壁でしごかれるのがたまらない。
 何が自分よりエロい、だ。ちいさな口の、ちいさな舌を尖らせた舌でほじり、締めつけ、甘噛みするだけで胎で甘く達してぴゅるぴゅるおもらしをするくせに。普段の険がなくなれば、ただただ整った人形みたいに綺麗な顔が、淫靡な欲に塗れて乱れてしまうのに。
 ちゅぷちゅぷ、じゅぷじゅぷ、と、ねちねちとした水音に、獣じみた吐息が混じってベッドルームに響き渡る。掴んだ腰がびくびくとふるえ、ナカもぎゅうぅ、といよいよ強く食い締めた。
 手足はちんぽを受け入れるために開いたまま上から串刺しにされ、口もふさがれ、無防備な性感帯は晒され、犯されたまま。標本のように淫らに拘束された恋人は、もう逃げられない。
 ずる、と一度抜いたちんぽに、絶頂間際のナカが追いすがる。頭ではこの後にどんな目にあうかわかっていても、素直な身体はいかないで、とちゅぅぅ、と吸いついてしまう。
 とろけきっても聡い子供が、衝撃に備えるようにぎゅう、と目をつぶった。眉もきゅ、と寄せられて、逃げ場のない快感を受け止めてようと構えるのにゾクゾクとする。かわいい恋人の期待に応えてやろう。そう思うとまた一回り大きく、硬く膨れた気がした。
 拓ききってひくつくナカをぶちゅん!と上から押し潰す。目も眉もぎゅ、とさらに強くひそめ、絡めていた舌もぴん、と硬直させた。何度となくこちゅこちゅとかわいがられ、たかめられたままの秘奥は、ひときわやわな肉壁を突かれ、ぐりゅぐりゅとくじられると、あっけなく達してしまう。
 腰も足も手も、びくびくん、と大きくふるえ、ぴいん、とつっぱり、最後にはぷるぷるとしながら脱力した。腹にあたっていたちんこはぷしゃ、と淫水を吹いたあとは萎えきって、とろとろといやらしいおもらしをしている。
 気持ちよさそうにくったりとする恋人は、このまま眠らせてやりたいほどかわいい。だが残念ながら今の恋人はメイドでもあるのだ。それも自己申告でやらしいメイド。
「……悪いな、俺がまだ」
 イッてないんだーくちびるを解放して、ぽんやりと口を半開きにした恋人に告げる。胎での深い絶頂からまだ戻りきらないのを、硬いままのちんぽでぐりゅ、とこねて叩き起こす。
「ひ、んっ!」
「やらしぃメイドなんだろ……?ぜんぶだすまで……つきあえよ……っ」
「ぁ、ひと、ゃあっ!あっ!ゃ、ああぁ……っ」
 極めたばかりの身体は敏感で、やわな場所を狙ってかわいがれば、またすぐにはしたなく達してしまう。熟れきったナカもおんなじで、混乱する頭と裏腹にちんぽに甘え媚び、きゅんきゅん、きゅうきゅう、と搾精にかかる。ダメ押しに放置された乳首にちゅ、と吸いつけば、のけ反って再びの絶頂を迎える。
「はっ、あ、キツ……ッ」
 ぎゅぅぅぅ……、と根こそぎ搾り取るような締りに呻めくも、すぐにこなれた肉壺はちんぽにきゅぅ、きゅ、とやわくからみつく。秘奥も、ちゅむちゅむと舐めしゃぶるようにエラもくびれもくすぐって、ぴったりと亀頭を包みこんだ。
「だして、ぜんぶ……!なか……っ」
 もはやイキっぱなしの恋人が、舌足らずにねだる。つぶられていた目が開かれ、どろどろにとろけた金色が甘くて甘くてしょうがない。剥き出しの心と身体が愛おしくて、びゅ〜〜〜ぅぅ……っと貯めに貯めた子種を撒き散らす。
「ぁ、ふぁ……あぅ、は、ぁ……っなか、あっ、ぃ……」
 びゅく、びゅる、どぷ、と、やわな秘奥に残滓まで余さず種付して、子種でたぷたぷの肉壁にごちゅごちゅと亀頭をなすりつける。
「は……」
 おなかいっぱい、とこぼす恋人に、こっちだってすっからかんだとくちづけながらちんぽを抜く。ぬぽ、と軽妙な音を立てたのに変な気分になっていると、あらためてあられもない姿が飛び込んできた。
 さんざん犯されました、という涙やよだれにまみれ、だらしなくとけた顔。最後に吸われた方だけが唾液でぬれたものの、びんびんに勃起したままの乳首は熟れた紅色で、力なくひくつくちんこはかわいらしい薄桃色をしている。その下、大股びらきの上に手でぱっくりと開かれた肉縁は充血して赤くぬめり、奥からぷ、ぷちゅ、と溢れる子種の白さで余計にいやらしい。
 思わず音を立てて唾を飲むと、目元を腫らした恋人がはくはくとくちびるを動かした。疲れ切ってか細い声に耳をすます。
「……もっかい、する……?」
 おもむろに指をぐ、と広げて、どぷ、とナカから子種がこぼれ落ちた。ひどくはしたないのに、顔はいとけなく、ん、う、と困ったように悶えている。
「しない!」
 正直ムラムラするし、どことは言わないがイライラする。だとしてもこれ以上はダメだ。だって、今の恋人は。
「……ひ、とゃぁ……」
「ん、どした」
「すき……」
 身を起こし、すき、すき、となきながら、ちゅ、ちゅぅ、とくちづける恋人はすっかりトンでしまっている。本人としてはこの状態になるのは甚だ不本意らしく何度も何度も加減をしろ、と言われたが、そんなのどだい聞くわけがないのだ。
「だから、もっかい……」
 きゅんきゅん、とひくつく肉壁を見せつけて、種付をねだる。果たしてこれは俺だけのせいなのか。
「ひとやも、せっそうのこと、すきだろ?」
 淫らに誘い、無垢に笑う。
「ああ……ったく……!」
 嘘でも冗談でも今の恋人に否、と告げる勇気はない。
 耳元でとびきり甘く愛をささやけば、満足げに微笑んだ。



 その後どうなったかは、翌朝にベッドからリビングまでうやうやしく恋人を運び、膝に乗せ、用意してくれていた食事を手ずから食べさせていたことから察してほしい。

2021/10/10


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