maid or china(C)

 夕飯を打ち上げも兼ねた外食ですませ、帰宅してすぐのことだ。聞きなれた声で開けてくれ、と急かされ、鍵を持っているはずなのに、と首をかしげる。
 考えにくいが忘れたか、なくしたか。どちらにしろ迎え入れなければ終わらない。うるさい、と言いながらドアを開けるなり、トリックオアトリート!と叫ばれて、ああしまったと頭を抱えた。
 十月三十一日、ハロウィンー悪食なこの国で本来の姿を失った異国の祭事の一つ。
 毎年何かと仮装だの菓子だのとたかられているのに、仕事が立て込んですっかり忘れていたのだ。街中のディスプレイやネット広告が特有のカラーとモチーフであふれて、そんな時期かと漫然と思っていた。日付自体は把握していても、ハロウィンの存在を覚えていても、他人事だったのだ。今日行った店もハロウィンフェアと言っていたのに。
 それを今、浮かれた格好の恋人で思い知らされている。
「……俺には我慢ならんモンが二つある。一つはイベントと聞けばなんでも乗っかる馬鹿。もう一つはその馬鹿が自分の恋人なことだ」
「久々に会ったのにツレねえこと言うなよ。どーせ家と事務所の往復で寝るだけになってんだろ」
 お手伝いさんしてやるよ、と偉そうに笑った恋人は額に大きな札を付けたキョンシーのコスプレをしていた。

 寺に来る子供は何も知らず、仮装をしてお菓子をもらうイベントだと思っている。だから毎年こちらも仮装をしてお菓子を渡しながら正しい由来を説明しているのだと言う。そのときわからなくても、いつかわかればいい。説法だってそんなものだ、と語りながら、長い袖をまくり上げる。
「まあ、拙僧もキョンシーのことを知らんまま着てるが」
 昔の映画で見たキョンシーそのままの襟と文様のプリントされた胸元だけが青い黒のシャツワンピース。同じく黒いパンツを履いた姿は普段よりも露出が少ないくらいで、帽子もセットだったが邪魔で外したらしい。中国あたりの民族衣装のはずだが詳しい来歴は忘れた。
 当然ながら動く死体ではない空却の動きは機敏で、袖が下がらないように固定したら札を外してさっさか片付けをはじめる。
 日付を忘れるほど多忙だった部屋はほどほどに荒れていた。放置された洗い物の類が積み上がり、出せずにいたゴミもそのままに、うっすらと埃のたまった部屋は心なしか暗く見える。
「ハウスキーパーとか雇えよ」
「留守中に他人を家に入れたくないんだよ」
 便利だろうと思う反面、完全なプライベートスペースに他人をほいほい入れたくない。それならば全て終わった後、多少おっくうでも自分で片付けた方がいい。
「めんどくせぇやつ。拙僧なら大歓迎すんのに」
「お前はサボりたいだけだろ……」
 掃除ロボットをほしがって怒られたこともあるのにまるでこりない。しかしながら強制とはいえ、やらされてきただけはある。くわえて獄の家は家電が充実しているから、空却からすればボタンを押せば全部やってくれるも同然なのだ。機械まかせに出来ないものの分類が終われば後はいつもと同じく手作業で、規模も量も寺に比べれば造作もない。瞬く間に自動で乾燥までしてくれる洗濯機と食洗機がフル稼働している音をBGMに、日本茶をすすっていた。
 真面目に働いている空却は獄にとっては地味に貴重な姿で、手慣れた動きで床を清め、雑巾までかけてピカピカにされる過程も含めて、感心してしまう。
「とりあえずざっと片したけど、ゴミ出し忘れんなよ」
「ああ、ありがとう」
 いいってことよ、と笑って湯呑みを置く顔は、少し悪い企みをしている。良い肉でも奢ってやろうと言おうとすると、軽い電子音とともに風呂が沸いたと告げられた。
「お、沸いたな。家主様、一番風呂ドーゾ」
 わざとらしいほどうやうやしく勧められ、功労者に譲ると主張するも、ついでに風呂掃除したいから先に入れと断られる。
「沸かす前にも掃除したけど、出るとき簡単にやっとくと楽なんだよ。あと何度言っても排水口の毛、取り忘れるし」
「……すまん」
 生活リズムも習慣も様式すら違う。歴代の恋人が多忙な獄に甲斐甲斐しく尽くし、大目に見たことを一切許さず文句を言う。ただ、水回りは放置するほどタチが悪くなる秒で終わることをなぜしない、とは怒られても、今回のように何日も連絡をまともにとれなくなっても臍を曲げたことは一度もない。
 銭ゲバだの違法スレスレだのと揶揄しても、獄が弁護士である理由と意味をわかって尊重してくれている。自分だってけして暇ではないだろうに、顔に似合わず健気なことをするのだ。十六も下のバカなガキだと思っていたのに、今ではもう可愛くてたまらない。
 はあ、と思わずため息をついたらとっとと行けとドヤされた。こんなに雑で乱暴なのに、末期だ。

 思えばゆっくり風呂にも入っていなかった。シャワーだけですませて湯船につかることもなかったから、芯から疲れが溶けだすようだ。このまま寝落ちしたいという気持ちと、タイミングよく押しかけてきた恋人と過ごしたい気持ちが拮抗する。
 これまでの経験上、夜を狙って押しかけてくるのはつまりそういうことだ。歯に衣着せぬ物言いでズバズバと要求したり拒絶したりするわりに、まるでわからないところで慎ましい。風呂に先に入れと言われたのだって、たぶん、いや、間違いなく、準備をするためだ。
 ほとんど見せてくれない夜の裏側は、負担になっているのではないか、と心配して無理を言って立ちあったときに知っている。見られていることで集中力を欠いて、たどたどしく動いていた指が、だんだんと羞恥で火がついて準備ではなく自慰になってしまった。
 そんなに見るな、と絶頂でとろけた目で睨まれたが、先に自分の名前を呼びながら浅瀬のふくらみをいじめて達したのは恋人なのだ。プラグやらビーズやらで拓いた状態で訪ねてくるときなど、過程を想像しただけで年甲斐もなく股間が反応してしまう。
 その玩具がすんなり挿入るまで、どれだけ尻をいじったのか。敏感に仕込んだ乳首も触ったのか。切なげに、悩ましげに、自分の名前を呼んだのか。疲れもあってか元気よく勃ち上がったイチモツが湯船の中で揺れた。
 もう少し我慢すれば今以上の極楽が待っている。必死で股間を鎮め、風呂を出た。
「じゃあ先行ってろよ」
 多少手こずって隠すように戻ってきたら、一切合切隠しもしない誘いをされた。誘いどころか命令口調で、どうしたらここまで態度がデカくなれるのか。
 だがこの横柄なところがベッドではほとんど機能しなくなる。頭のてっぺんから爪先まで、好きにしていいと開け渡されたのを遠慮なくいただいた結果だ。
 何をされてもよくなるように、丁寧に拓いた身体は心を隠すこともできなくなって、どれだけ強がっても最後には全てをあらわにしてしまう。
 すき、すき、と幼く乞われ、こんなにもまっすぐな愛情を注がれる価値があるのかと自問自答する。同時にわき上がるくらいよろこびが、迷わず貪ってしまえと囁く。
 とっくに風呂場へと旅立った恋人を思って、また元気になってきた。からかわれるのを覚悟しておかねばならない。

「ヒャハッ、アマグニセンセのえっち」
「うるせえエロ坊主」
 落ち着こうと思えば思うほど、脳裏にあられもない恋人がよぎって余計に張り詰めた。どうせお互いそのつもりなのだ。隠すのはやめた。
 ベッドに腰掛けて、まるで頭に入らないまま本を読んでいるとノックもなく入ってくる。自分だって期待しているから真っ先に股間に目がいくのだ。何がえっちだこの淫乱坊主。
「しかもお前……」
「なんだよイヤか」
 イヤとかそういう問題ではない。強いて言うならいやらしい。恋人は先まで着ていたコスプレ衣装を卑猥に改造したようなはしたない布きれをまとっていた。頭に札がついているから、間違いなく夜用のキョンシーコスプレだ。
 シャツワンピースを貫頭衣のようにして、さらに丈を大胆に短く、横幅もギリギリまで削ったらこうなるだろう。下は何も履いておらず、脇は丸出しで、申し訳程度に前後を紐で繋がれている。肘から手の甲まである長い飾り袖は先にいくほど放射状にふくらんでいた。
 裸足でぺたぺたと近づいてくるが、視線は股間に釘付けだ。見下ろすように目の前に立って、にんまりと上がった口角は欲情を隠さない。
「……キョンシーは貼られた札の命令には逆らえないんだとよ」
 だから貼られた札の数だけなんでも聞いてやる、とまくられた前垂れの下は、乳首と股間が額についているのと同じ札で隠されていた。
「お前は……本当に……」
「嫌いじゃねえだろ?」
 かといって好きでもないが、ぷく、と乳首が札を押し上げているのは絵面として効果はばつぐんだ。痛いほど張りつめた股間がぎゅんぎゅんとたかぶって止まらない。
「わ!」
 さあどうする、と言わんばかりの恋人を少々乱暴にベッドへ引き倒す。受け身を取り慣れた身体はやわらかいマットレスに上手に転がった。
「もう我慢出来ねえの?」
 股間をじぃっと眺めて知っているくせに。もう、すぐにでも射精したいのだとわかっているくせに。
「足、抱えて開きな」
「……一個目の命令?」
「命令されたいなら、そういうことにしてやる」
「あと三個、きいてやるよ……」
 そうして膝を抱え、見せつけるようにぱかりと開かれた秘部は、ずっぽりといやらしい蛍光ピンクの玩具が挿入っていた。
「部屋とおんなじで抜く暇もなかったろ」
 プラグやビーズでは奥まで拓ききらないから、太くて長いディルドを挿入れておいたのだ、と得意げにされる。どれほど長大な玩具かは知らないが、普段のプラグなどは肉縁に埋もれるようにちゅ、ちゅ、と吸いつかれていた。対してこのディルドは肉縁のシワがほとんど伸びている。ちんぽを挿入したときに近い姿に、ごく、と唾を飲んだ。
「ふ、う、ん……ッ」
 きゅう、と尻に力が入り、ぷ、ぷち、と小さな破裂音と共に少しずつディルドがひり出される。
「あ、はぁ……、ふ、ぅ……っ」
 目をきつく閉じながら頬を染め、ふぅふぅと息を吐く恋人に先までの余裕はない。もしかしたらはじめからそんなものはなかったのかも知れないが、隠すことができなくなったのだ。
 ゆっくりと顔を出す真っピンクの玩具は、まだまだ半ばといったところらしい。荒い呼吸に涙と甘い喘ぎが混じり、肉縁が出したくないと言わんばかりにきゅうきゅうと食らいついている。
「……まだか?」
「ごめ、ん……っもう、ちょっ、と……ぉ」
 こちらのちんぽが爆発寸前なのをわかっているのにわざと焦らしているのか、想定外に気持ちよくなって抜けないのか。どちらにしろ目の前で、玩具とはいえちんぽを咥え込んでいるのを許せるタイプではない。
 尻がまたきゅぅう、と力んで、ぶ、ぶぶちゅ、と排泄音に似たはしたない音が響く。耳まで赤く染まった顔は眉が寄り、かたく閉じられた目尻にうっすらと涙が浮かんでいた。
 顔と肉縁ばかり見ていたが、札の貼られた股間も、今は隠れた乳首と同じようにふくらんでいる。ところどころ色が濃く変わっているのは、いやらしいおもらしをしているからだろう。そう厚い紙でも無さそうだから、そのうちちんこの形にやぶれるのではないか。
 コスプレが好きなわけではない。玩具も。若く好奇心旺盛な恋人が悪ノリするのに巻き込まれているだけだ。別にいつもどおりの格好で、普通のセックスでいい。誰とするかで何をするかではない、と思うのに。
 まだ全て出切らないディルドを掴むと、びくんと身体が跳ねた。きゅっと肉縁が締まり、閉じていた目が開く。
「ひとや……?」
 目尻からぽろ、と雫が落ちて、赤い頬に跡が残った。八の字に歪んだ眉はぴくぴくとふるえ、くちびるが困惑混じりの甘い吐息と共に名前を呼ぶ。
 ここまで出したものをまた戻されるのか、それとも遅いと引きずり出されるのか。どっちにしてもたかぶった身体には強烈な快感が襲いかかる。握ったディルドにその興奮と緊張が伝わって、ぷるぷるとゆれた。
 ぐ、と力を込めてディルドを握ると、まって、と小さな制止が聞こえたが、あいた手でジッパーを下ろすと息を飲んできゅ、と尻に力を込める。察しのいい恋人は全てわかってくれたらしい。
「ふ、あ、ゃぁぁあああぁぁぁ……っ!」
 そのままいっきにディルドを引き抜く。ごりゅりゅ、とえぐりながら抽出するのに、きゅうきゅうと追いすがり、ちゅ、ちゅ、と吸いつくナカは、浅瀬のほのかなふくらみをディルドのエラと先っぽでいじめられて絶頂した。
 ぽっかりと開いたナカはひくんひくん、と物欲しげにうごめき、尻も太ももも、足を抱えた手すら、ぷるぷると快感にふるえている。おもらしをしていたちんこは、札が貼りついたままぷるん、と勃起していた。水分が多すぎて全体に染み渡り、やぶれる前に剥がれたのだろう。
 そうだ、何をするかより誰とするかが大事なのに、その『誰』が『何』をしてもかわいいから困るのだ。
「ひ、とやぁ……」
 絶頂直後の甘く痺れる身体はまだ足りないと疼いている。命令していい、と言ったクセにはしたなくねだって。早く挿入れてほしい、と欲に濡れた声で名前を呼ぶ。
 片手にはまだ派手な色のディルドがある。明確に男根を模した性玩具。こんなものを自分で用意して、尻を拓いて、咥え込んで、イって、でもそれが自分のちんぽを挿入するための準備で。
 限界だった。
 風呂場から今までたかぶり、煽られ続けたちんぽはだらだらと先走りをこぼし、鎮めようとするほどにきんたまがぎゅるぎゅると痛む。
 目の前の熟れた肉壺に挿入れて、射精してー
「う、わ」
 床へとディルドを投げ捨て、膝裏を掴む手を押さえつけると、ぐるんと後ろへと倒す。やわらかい身体は素直で、顔の両脇に足がつくようにひっくり返った。思ってもいなかった体勢にぱちくりとまばたきをする恋人は、視線の先に自身の股間と肉縁があるのに気づくと、息を詰める。あのまま挿入される、と思っていたらしく、顔色が赤いような青いような、不思議なことになっていた。
 どんな体位だろうと、結局最後にはすっかり淫らに、やわになってしまった秘奥を犯され、すき、すき、とかわいくないてしまうのに。たしかに一息に串刺しにする体位にはひときわ弱かったかもしれないが、もう本当に限界なのだ。
 たぶん目が据わっていたのだろう。快楽への期待と狼狽でゆらゆらとする金色と目が合うと、ひく、と身体全体が跳ねる。何か言おうと口が開くのを黙らせるように、ずぷん!と真上からちんぽを挿入した。
「っあ……!」
 ぶちゅん、ちゅ、ちゅぅ……とディルドに拓かれ、潤沢なローションで滑るナカは一気に最奥までちんぽを招き入れてしまった。きゅ、と締まる尻にばちん、と張り詰めたきんたまが当たって、根本まで挿入ってしまったのだとわかる。
 恋人がひ、ひ、と呼吸を整えるたび、ナカもきゅうきゅうと絡みつき、すぐに覚えた形にハマるようにぴったりとくっついていく。
「は、クソ……ッ!出すぞ……っ」
「へ、ゃ、まて、って……はや、ゃあぁ……っ!!」
 早いもクソもあるか。自分で言っていただろう、そんな暇なかったのだ。飢えた肉壁に茎全体、くびれや筋まで余さずしゃぶりつかれ、子種をせがむ秘奥にちゅ、ちゅうぅ……、と吸いつかれたら射精すしかない。
 口ではゃあ、とないたって、びゅぅぅぅぅぅ〜〜〜……っとためにためた子種で、やわな秘奥をびしゃびしゃに犯されるのを悦んでいる。その証拠に種付の間、ずうっときゅうきゅうきゅんきゅんとナカは蠕動し続け、きんたまを空っぽにせんばかりの搾りぶりだった。札の巻きついたままのちんこもかわいらしくぷし、ぷしゃ、とおもらしをして達していたのだ。ぐりぐりと先っぽを回してえぐりながら子種を染み込ませるようにするのもお気に入りで、や、ゃだぁ、と口だけが素直ではない。
「……命令していいんだよな」
「あ、と、さん、こ……っ」
 舌足らずに答えるときも、ぬちぬちとナカをこね回していたが、命令、という響きにきゅんっ、と強く反応していたのを逃さなかった。
 群れるのが嫌いなわりに、一度懐に入れると甘い。ダチだ家族だと大事にして、なんでもやってしまう。自分にだってそうだ。付き合いが長くなるにつれ、甘やかされているとしか思えない。獄がこだわりが強く、独占欲が強いのも許して受け止めてしまう。
 もちろん互いに引いた一線を守った範囲ではあるが、こと夜の甘さと許容の深さときたら、自分が全て奪ってしまった弊害を真剣に考えてしまう。
 だから命令、なんて危ない言葉にときめかれると不安になるのだ。玩具だのコスプレだのといい、まっさらだった年下の恋人を歪めてしまってはいないかと。
「なんで、こんなやらしいかっこしてんだ」
「めいれい、じゃねえ、けど……」
 あからさまに拍子抜けした顔で問い返す恋人にいいから答えろ、と、ナカをばちゅばちゅとゆする。
「ふ、ぅ……っあ、ン……ッ」
「質問に嘘偽りなく答えること、が命令だ」
「は、ァ……ッ!じゃ、なか、うごから、いれ……っ」
 こたえられない、とくしゃくしゃになった顔で懇願されるが、軽くゆすっただけでちゅうぅ……とちんぽに食いつくナカは心地が良すぎた。
「答えるまで、まってやる」
「ひ、ぅ……っ」
 動きは止めたものの、ちゅ、ちゅ、と甘えるナカも、快感をこらえる顔も、全てがちんぽを煽るから、ぐぐ、と硬く膨張し、力を取り戻してしまう。達したばかりの身体は、こんこん、と、やわなところを叩かれると簡単にとろけて、目から口から過ぎた快感の雫をこぼれ落とす。ひ、ひ、と鼻をすすって、なんとか喋ろうとしても、身じろぎ一つでナカがぐち、とくじられてふるえている。
「ちんぽ、抜くか?」
「そのまま、れ、い、い……っんぅ……」
 さすがにかわいそうで、ぬ、とちんぽを抜こうとすると、きゅぅ、と締めつけながら止められた。こういうところが妙に健気でかわいくなる。家族とダチが死んだとき以外は泣かない、と言う金色を、欲望で濡れた瞳から、ぽろぽろ、ではなくだくだくとこぼれさせたい。
「……せ、そうは、なんでも、ひとゃがさいしょだけ、ど……ぉっ……は、ぁ……?ひ、ゃだ……ぁっ、ちんぽ、でか……んっ、ふあ……ぁっ!」
 そりゃお前、こんなシチュエーションで自分しか知らない、なんて言われたら盛り上がってしまうに決まっている。まして自分の名前を口にしたとき、きゅぅぅう……とナカが締まったのだ。そんなこともわからないのに、無自覚にいやらしい反応をするほど身体は拓き尽くされているなんて。何も知らないよりタチが悪い。
「しゃ、べれ、な、い……っからぁ……っ!ちんぽ……ちっさく、しろよ……っ」
 無茶苦茶なことを言うな。だから抜こうとしたのに、縮めろなんて。それはまず今もきゅうきゅうと咥え込んで、ちゅ、ちゅ、としゃぶるのをやめてから言ってもらわないと無理な話だ。一生懸命に睨む目も、抗議する口も、怖いどころかもっともっとと求めるようにとろけて、動かないでいる理性を褒めてほしい。
「ば、か!なん、で……っ!ひ、ぅ……またぁ……も、ぐりぐり、ゃ、あ……」
 ついにひ、ひ、と鼻をならして子供のように泣き出した。それすら胸を掻き毟られるほどかわいくて、ぐぐ、と腫れるちんぽをばか、すけべ、と罵る。それに悦んできゅんきゅんと締めつけているのは無意識なのか。
「お前も、ちんぽちゅぱちゅぱしてんだろ……っ」
「して……る、けど……っら、て、ひとゃの、ちんぽ……どんどんおっきくな、て……うごかなくても、おく、ぐりぐりって……あた、る、から……」
 きもちよくてがんばってもいえない、と熱で浮いて、とろけた瞳で結合部をじい、と見て、ひ、と泣いたと思ったら、やっぱりちんぽぬいて、とすがられる。
「お、まえなぁ……!」
 ちんぽをやだやだ言いながら、きゅうきゅうきゅんきゅん絡みつかれ、我慢するのも馬鹿馬鹿しくて、ナカをごちゅごちゅと突き倒した。せっかく待ってやったのに、抜こうとだってしたのに、さんざん煽ってやっぱナシ、なんて。
 覚え込ませた形にぴったり馴染んでいたちんぽを、奥をこねるようにぬぽ、ぬぼ、と抜き差しすると、ひくひくびくびくと肉壁がふるえ、こちらの射精欲を誘った。一回目に射精した分でぬちぬちとぬめるナカに、もっと注ぎ込んでやりたい。奥だけでなく、いやらしい桃色の肉壺全てに卑猥なマーキングをしたいのだ。
 だから浅瀬から奥まで、射精寸前のちんぽでまっすぐずちゅずちゅと犯すと、搾りとろうとちゅぅぅぅ……と吸いつかれる。
「ごめ……でも、ちんぽ、あんなはいって、たら……ぁっ!や、ぁ……っ!やっ!やぁ……っ!いく、いく……っい、くぅ……!」
 浅瀬から奥までごりごりとえぐりながらびゅぅ、びゅうぅぅ……と射精して、最後にたどり着いた秘奥で亀頭を拭うようにぐりゅりゅ、とこねると、きゅんきゅんと蠕動していたナカがきゅうぅぅ〜〜〜っと先っぽを舐め回した。
 耳まで真っ赤にして舌足らずにや、や、と首をふっても、ザーメンマーキングでイったことも、貪欲におかわりをねだっているのも変わらない。やらしい衣装を着ようが、おかしな玩具を使おうが、全部、淫らな恋人がその気にさせる。
「そろそろ続き、話せるだろ」
 まだまだ息は荒く、肉壺は甘え媚びているが、このままだとイキまくったあげくに寝落ちされかねない。今度こそちんぽをぬぽ、と抜くと、ナカでイキすぎて勃起したままのちんこから、ぷしゅ、と淫汁が吹き出した。
「あ、ぅ……」
 快感にとろけたままぼんやりとした金眼は険が削がれ、口は真珠色の犬歯と真っ赤な舌がちろちろと覗く。見える肌はほてって扇情的な薄紅色で、ふるえながら自分で秘所を広げたままでいる。ちんぽの形に開き、さんざん種付されたと一眼でわかるナカは、きゅうきゅう、とひくついている。
 まだ満足していない。お互い様の底無しぶりを今は一旦我慢して、なんと言おうとしたのかを聞き出す。
「ほら、話せるだろ」
「……せっそう、は、ぜんぶ、ひとゃがはじめて、だから……」
「それは聞いた」
「……から……」
 急速に小さくしぼんでいく声に距離をつめると、うつむき、開いていた足も閉じて、ころん、とまるくなってしまった。
「おい、空却」
「ひとやが、ちょーしにのるから……」
 やっぱいいたくない、と絵に描いたように恥じらって、見られたくない、見るな、と威嚇する。そんなになるほど言いたくないことなのか。
「つうか俺が調子に乗るってなんだ!」
「ひとやがはじめてっていったらよろこんだだろ!」
「……つまりそういう、俺が喜びそうな理由なんだな」
「〜〜〜……そうだよ!そんで、せっそうだって、ひとやのはじめてがほしいんだ、よ……っ」
 ぼそりと、オトナとしかつきあってなかったから、こんなバカみたいなことするヤツいなかっただろ、と続けられて天を仰ぐ。
 なんてかわいくのせやすいのか。常ならば絶対にこうはならないが、頭のてっぺんから爪先まで獄の好みに仕込まれた恋人は、本当の本当にベッドの上ではやわやわだ。
 心の深いところまで、全部開け放さないと気持ちよくなれないように教えられたから、ひとやの最後だけじゃなくて最初も欲しいと暴露した瞬間、ぷぷ、ぷち、とナカが淫らに跳ねてしまう。いくらまるくなって隠しても、はしたない水音と、足の間からとろとろとこぼれる子種が甘くイったとバラしてしまう。
「ゃ、ぁだ……っ!」
 身体も心も全部暴かれて、恥ずかしいのに気持ちよくて、こんなところ見られたくないのに、自分をかわいくてしょうがないという目をされたらどうしようもなくとろけ落ちる。
 剥き出しの心が愛おしくて視線でかわいがるのをやめられない。
「や!ゃだ、ゃ……っあ……っまた、いく、ぅ……っ」
 ぎゅう、とより小さく、まるくなった身体から、ぷし、ぷしゃぁ……、ぷちゅ……と、あいらしい絶頂の音が響く。びしょびしょになったベッドの上、羞恥と快感にふるえる身体は、痛いほど劣情を誘った。
「……見られるだけでこんなやらしいの、お前がはじめてだよ」
「ひ、ぁ……っ」
「死んでも一緒にいようって思ったのも、空却だけだ……」
「はずいこと、いう、な……」
「なんでだ?俺の"はじめて"ほしいんだろ」
「ほし、けどっ」
 ひぐ、と剥き出しの心がパニックを起こして泣き出した。ほしいほしいと言ったくせに、いざ渡されたら抱えきれずにあふれてしまう。涙以外の理由でぴくぴくとふるえる身体は、いとけない顔に反してずうっと甘くイキ続けている。
「命令。あと二個、有効だよな」
「……なにすんだよ……」
「顔上げな、キスしたい」
 泣き顔を見られるのが心底嫌らしく、渋々上げられた顔は瞼も鼻も赤く腫れていた。みるな、と隠そうとする両手を押さえ込み、くしゃくしゃになった札の上から額に、両目に、鼻に、目につく全てにちゅ、ちゅ、と触れるだけのくちづけを落としていく。
 くすぐったいとむずがるのを無視して、充血したくちびるをちゅぅ、と吸うと、ん、ん、と喘ぎながら舌でちろりと舐められた。期待にゆれる金の目は、もっと深いキスを望んでいる。
「ん……っ」
 ちゅぱ、と音がしてくちびるが開いた。熱い息が吹きかけられ、赤々とした舌が唾液でぬめりながら差し出される。つぅ、と唾液がしたたるのをすくって舐めながら食らいついた。
 熱い、熱い舌を根っこから絡めとってぢゅう、と吸うと、とろんとしていた目がきゅぅ、とつぶられ、びくん、と跳ねる。大きく開く口は、あくまで空却の身体の中で大きいだけで、獄の口よりは小さい。気持ちいいのから逃げようとする小さな舌は、一度捕まえてしまえば思うがままだ。
 ん、んん、と喉奥で呻いても、尖らせた舌先でくにゅくにゅとくすぐれば、ぴくぴくとしびれながら簡単にイッてしまう。両手はふさいでしまったから、ぷし、ぷしゃ、とおもらしをする秘所を守るのは、脱力してしまった足しかない。それも再び勃起したちんぽでごり、となぞれば、まだ満たされていないナカがやすやすと開門を許してしまう。
 はしたなく開かれた足の間、熟れきってひくつく肉壺を無視して、札のからんだままのちんこにちんぽを擦りつけた。特別小さいわけではないが体格相応のちんこを、ナカをかわいがるときのように、やわなくびれも、筋も、ぷりんとしたさきっぽまで余さずごりゅ、ごちゅ、としごいてやる。
 一生懸命に開かれた口の中はひと回り大きな舌にやわくこそげられ、甘く食まれ、優しく蹂躙され、侵入を許してしまった下腹部は、硬くそり返ったちんぽに種付するようにちんこを犯されてしまう。
「んっ!ん、んっん、んん〜〜〜……っ!」
 上も下もいやらしいねばついた水音が響き、恥ずかしいはずのそれにすら煽られて、ちゅ、ちゅぅぅ……、ちゅぱぁ……、ごちゅ、ぬちゅ、ぢゅぷ、と激しさをましていく。口からはよだれが、ちんこからは白濁まじりの淫液が、とぷとぷとあふれ、からみついていた札もびりびりと破けだしていた。
 お互いこのままイく、という瞬間、ぴた、と動きを止める。手だけ掴まれたまま、口も、ちんぽも、ふぃ、と離すと、寸止めを食らった恋人が迷子のような顔をした。
「んぁ……あ、んれ……?」
「あと一個、あるだろ」
 命令、と言えば、淫らな期待と不安に身体がびくん、と反応する。何をされても達してしまうくらい敏感に研ぎ澄まされた状態の恋人は、このシチュエーションだけで絶頂してしまうのではないかと思わされる。
「な、ぃすれば……ぃぃ……?」
 うっとりとした目は淫靡な欲に濡れ、はしたなく上がる口角を抑えるようにすぼめられたくちびるもつやつやとぬめった。びりびりの札からぷちゅ、ぷぷ、と限界まで張りつめたちんこがぷるぷると覗き、ずっとイキ続けている肉壺がひくひくとわななく。
 どこをどうしてもひんひんなきながらいやらしく達する身体は、こちらとしても悩ましい。無意識にちらちらとちんぽを見ているし、絶対に種付はしてやるつもりだった。
 迷っていると、一切触れていなかった場所に気づく。最初に見せられたきり、服に隠れて見えなかった、けれどもぷっくりと膨れ続けていた場所。
 思いついて手を離すと、脱力していたらしく、ちょうどよい位置に落ち着いた。服を押し上げる胸の尖りを守るように、手のひらがぺたん、と包み込む。どこまで意識しているのかわからないのが恐ろしい。手をもぞもぞとさせながら、ん……、とむずがる恋人に、最後の命令をした。

「ゃ、やぁ、やだぁ……っ」
 最初に繋がったときと同じ体勢で、ぱちゅ、ぱちゅん、とゆるく突くたび、ナカはきゅぅ、きゅん、と甘くイキ、いよいよ札の剥がれ落ちてきたちんこがぷるぷるとゆれながらしぶきを上げる。
 変わったのは服の前垂れが首元近くまでまくられ、札の貼られた乳首が丸出しになっていること。そこを恋人がたどたどしくこね回していることだ。
 かわいがりすぎて日常生活にも支障をきたすようになった乳首は、最初は小さく控えめだったのに、今では触らずともぷっくりといやらしく膨れている。服が擦れただけで感じるのだ。自分で気持ちいいところを触るなど、どれほど良いか。おかげでずっとや、やだ、と過ぎた快感でなき続けている。
 前垂れをめくり、長すぎる袖もまくらせて、くっきりと形が浮かぶほど勃起した乳首を自分でかわいがれ、と命じたら、それだけでぷぷ、と甘くイッてしまったのは驚いた。つまり、言葉として聞くだけで乳首がイイ、と身体に刻み込まれている。その時点でゃ、や、と首を横に振っていたが、命令だぞ、と言えば、おずおずと指を乳首にそえた。頃合いを見て貫こうと肉縁にちんぽを構えると、目の前にあらわれたちんぽにごくん、と唾を飲まれる。
「ちゃんとやったらご褒美やるよ」
「ん……っ」
 なんだかんだ寸止めにされた身体は、手はじめに両の乳首の根本をきゅうっ、と強く挟み込んだだけで達してしまった。
 汗で湿った札がわずかに色を変え、貼りついて、先端から乳輪まで、ますますくっきりと形がわかってしまう。ぷちりとふくれた肉粒を中心にくしゃくしゃになった札は、ところどころかすれていた。
「や、ぁ、ああっ!ひ、ぁン……っ」
 放置されたまま高められ続けた性感帯への刺激はいかほどか。のけ反り、びくびくん、とふるえた勢い余って、ちんぽがぐぷん、と挿入ってしまう。それでまたナカがちゅぱ、ちゅぅ、と貪欲にイキ、ちんこもぷしゃぁ……とおもらしをしてしまった。
「ひ、ゃ、ぁ……」
 羞恥と焦燥で真っ赤な顔は今日何度目かの涙もたたえ、首を弱々しく振るが、乳首はぎゅぅ、と挟んだまま、ちんぽもきゅぅぅ……と離せず、とぷとぷとおもらしをしたまま。そんなつもりないのに、と言いたげな目に、ぞくぞくとしてしまう。命令だぞ、と言ったときも心なしか乳首がぷくん、と膨れて見えた。
「……ダメだろ、勝手にご褒美食ったら」
「は、ぅ……っ」
 鼓膜に流し込むように叱ると、やはりちんぽの食いしめが強くなった。ちゅうぅぅ……と叱られているのに嬉しげにするナカが、あまりにも淫らで、かわいくて。
 拙僧が獄のものになったら、獄も拙僧のものってことだろう、と言われたときがあったのを思い出す。
 ナカに出されたり、かけられたり、時には飲もうとしたりして、そんないいものじゃないと止めたら言われたのだ。
 空却は空却のもので、獄は獄のもの。手中におさめることなんて出来ないのはわかっていても、体内の深いところで熱と鼓動を感じたときの充足感が心地よかった。
 かりそめでもいい、いつかは絶対に喪われるものを、出来るだけ刻んでおきたい。肉体が消えた後も持っていけるものは魂だけだから。
 身体を、肌を、合わせ、重ね、交わるときだけでいい。キスマークより深く、消えない痕を刻まれたい。心はもうとっくに繋がっているから、だからー、と。
「すき、ひとゃ……」
 身体がどれだけ淫らに変わっても、心を奪われた瞳が変わらない。回らない呂律で幼く告げられる好意も。獄が欲しいと恋う子供はずっとそこにいる。
 そんなひたむきに愛されたら、捕まるしかないだろう。
「俺もだよ」
 こみ上げる愛おしさに、腰がぐぐ、と動きだす。きゅう、きゅん、と食い締めるナカにぬぅ、ぬぷ、と割り入って、奥深くへと挿入りこむ。少し進むだけでひ、と喘ぎながら背がそり返り、うっすらと腹筋の浮いた腹がぴくぴくとふるえた。最奥の手前で止まり、もう一度くちづける。
 まだ、もう少しだけ、繋がっていたい。ちゅ、とくちびるを離してから、ゆるゆると突きはじめると、律儀に乳首への愛撫を再開する。貪欲なのか健気なのか。そのどちらでも何も変わらない。何をしても、好きなのだ。
 そうして奥をかわいがって終わらせてしまわないようにしていたら、切なげにや、とだけなくようになってしまった。すでに今日もどちゅどちゅと犯され、子種をぶち撒けられたナカは、三度目の種付の悦びを待ち焦がれている。
「な、ぁ……もぉっ……」
 限界を訴える声がふるえ、乳首を挟んだ指をくにくにとこね回す。最初にされたように、ちんぽで届く一番奥深くに射精されたいと亀頭をしゃぶる肉壺が浅突きを許さない。
「ごほうび、やるよ……っ」
 すがりつく肉壁を振りほどき、亀頭以外全て抜いたちんぽを構え直す。びきびきと血管の浮いた赤黒くぬめる肉茎に、うっとりとした視線が浴びせられた。熟れきった淫らな肉穴はうずきを抑えられず、きゅんきゅんと脈を打つ。
「あっ!やっ!あぁ……っ!」
 じゅぶんっ!とひくつく肉壁を割り開き、きゅうきゅうと絡みつくのをごりゅごちゅとくじる。真っ直ぐに突き立てたちんぽのさきっぽが、ぶちゅんっ!と飢えた最奥のやわな場所を乱暴に犯した。
「ゃぁ……やぁ……っ!なか、ぜんぶっ……!びりびりし、て……っ」
 待ちわびたちんぽに貫かれ、ナカがぎゅうぅぅぅ……と強くしまる。教え込まれた形をぴったりとなぞってなお、さらに身体に刻むように、搾り出すように吸いついて離さない。
 や、ゃ、と高く、か細くふるえる喉が快楽をうたうのを聴きながら、今度はずうっと奥だけをぢゅぽぢゅぽと突いてやる。ぢゅぼ、ちゅぅ、ぢゅぅ……ローションで十分に濡らされ、すでに二回種付もされたナカはねちねちとした水音がたっていやらしい。
「あー……クソッ!」
「ひっ!?あっ!あっ!あぁっ!ゃ、ぁあーーー……つ!!」
 ずどん、ずぶん、と最奥をちんぽでえぐりだす。一突きごとに達し全身を反らして喘ぐ恋人が、ひときわ大きく弧を描くと、秘奥にぐぷ、とさきっぽが挿入りこんでしまった。
 乳首をきゅう、と締めたまま、足をぴん、と突っ張らせ、は、は、と息をもらす。目は焦点が合わないままとろんととけきって、今にも眠りに落ちそうだ。
 いとけないような、淫蕩なような。あられもなく開かれたくちびるから、つぅ、とよだれが垂れると同時に、挿入りこんだ秘所をぐりん、とくじる。
「〜〜〜〜〜……ゃ、あ……ッ」
 わずかな身動ぎすら出来ない身体の足だけが、ばねのようにぴん、と張りつめて空を掻いた。快楽に溺れた恋人の最後の理性の足掻きは、制御不可能な玩具のようにぷらぷらとはかなく揺れる。
 イッて、イッて、イッてー無尽蔵にすら感じる体力を限界まで淫らに削ぎ落とされた恋人は、足指の一本からすら匂い立つような色香を放った。手と同様にほどこされたペディキュアがつやめきながら誘う。捕まえてみろ、と。
「ふ、ぁ……」
 恋人の身体で唯一自由だった足を掴み、畳みながら押さえ込む。これでもう淫らな熱と欲を逃すことは出来なくなった。上から体重をかけてもびくびくと跳ね回る足は、己の身にふりかかるであろう快感に怯えている。
「なか、ぜぇんぶ……だしてやる……!」
「ぁ……っゃ、ぁ……っ!」
 これから味わう快楽を身体いっぱいにため込めるように、押さえつけ、ずん、と奥の奥まで貫いた。ちんぽのさきっぽを包む秘奥が、子種をねだってきゅうん、きゅん、と脈打つのに合わせ、びゅるる、びゅる、びゅうぅぅぅ……と精子を叩きつける。やわく淫らな最奥の肉壁は、さんざんいじめられ、焦らされた場所にたっぷりと種付されるのをよろこんで、しゃぶりついて離さない。喉奥から空気の塊を吐き出して細く漏れた喘ぎは、や、と小さく幼く拒絶をしても、快感で甘く濡れていた。
 跳ねていた足や身体は、射精されるたびに激しくふるえたものの、熟れた肉壺を満たされてからは大人しくなっている。今は完全に脱力して、きゅんきゅん、とちんぽに甘えるしかできない。
「は、ぁぅ……」
 乳首を掴む指はほとんどそえるだけだが、無意識にか弱々しくこね回し、ぴぃん、と勃起したままだ。
 いやらしいおもらしでいよいよ札の見る影のないちんこも、ふるふると揺れながらぴゅ、ぴゅ、と淫液をこぼしている。
 ほとんど降りたまぶたにくちづけて、半開きのくちびるに軽く触れる。やわらかくぬめる紅色は死体ではありえないあたたかさで、まったくなんでキョンシーなんて選んだのか。
 挿入れたまま寝かしつけるように愛撫して、完全に目が閉じられたのをみはからってちんぽを抜いた。
 ぬぽ、とマヌケな音とともに開かれた肉縁からは、とろとろと白濁まじりのローションがあふれる。ときおり眠った身体がぴくん、とふるえ、ちんこからもとぷ、とおもらしをした。
 淫液にまみれ、くったりとしたまま眠る。今が一番衣装にぴったりの状態だが、あいにく獄には死体を愛でる趣味はない。いつだって欲しいのはたった一つの魂なのだから。



「ところで昨日は俺にとって"はじめての"ハロウィンコスプレセックスだったんだが」
「そんなん拙僧もだわ」
「もっと喜べよ。"はじめて"だぞ」
「やっぱ調子のんじゃねえか!あー……ホンットに言うんじゃなかった」
 翌朝のダイニング、さんざん貪られた身体を引きずって、結局ソファに倒れた恋人にペットボトルのミネラルウォーターを渡して、頭を撫でた。
 すやすやと眠る恋人を起こさないように風呂に入れるのは難儀だったが、手触りのいい髪と夜の余韻を残して艶めく肌に達成感を感じる。
 同年代よりは体力も気力もあると自負していても、人の面倒を見るプロではない。そもそも相手が意識をなくすまで抱くなんてしたことがなかった。
 セクハラ弁護士、とぼやく耳は照れかくしで赤く染まって、顔だってほんのりと桃色で。腫れた目元とくちびるが色っぽくてたまらない。ふてくされるいとけなさがかえって情事の跡を濃くするのに。
 だいたい獄だって、空却のせいで"はじめて"ばっかりなのだ。十六も下の子供に本気で恋をして、狂おしいほど愛してしまうなんて、本当に思っていなかった。そこからはもうずっと"はじめて"ばかりで、今までの恋愛経験なんて何一つあてにならない。獄が最初で最後の恋人は、こちらの事情を知る由もなく、日々じたばたとしているのだ。
 そんな一生埋まらない時間を、どうにか埋めよう追いつこうとする恋人がかわいくて、もう少しだけ追われていたいから、黙っていることにする。

2021/10/10


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