祈る夜よ、星よ
ベッドサイドの淡いオレンジ色のライトだけがともる寝室。そんなところで恋人とやることなんてほとんど一つだ。
色気も素っ気もなくぽいぽいと服を脱ごうとするのをひきとめ、後ろから抱きしめて胸や腹をまさぐる。いやいやと赤ん坊がぐずるように抵抗するが、着崩れてちらちらと覗く素肌を目の前にして触らないでいるなんて、まったく正気とは思えない。
ひとしきり暴れて満足したのか、ベッドの上でされるがままに背を委ね、くすぐったそうにきゃらきゃらと笑う。何度となく身体を重ねたとは思えない幼い顔だ。
けれども触れたところからいつもより速い鼓動が伝わってくる。そっと下腹をなぞれば背が猫の子のようにそり返った。
かわいらしい反応をしたところを、しつこく、両手でハートを描くように撫でさする。
どくどく。どっどっ。触れた指先から、背中から、期待と緊張で加速する脈動が伝わった。
いくらいとけなく見えても、抱えてしまえそうな肢体は色も情もしっている。ぞくぞくと欲にふるえるのを隠さずに肩に首を乗せてきた。
「なんかいえよ……」
ふてくされた金色がにらんでくるが、耳まで赤く染まって、目をじんわりとにじませている姿はてんで怖くない。
指でなぶったのはちょうど胎の奥。中からごちゅごちゅと突いてやると身も世もなく悶えて乱れる場所だ。
敏感な身体の奥の一番弱いところを外から触れてやるとどうなるかと思ったが、たいへんよく効くらしい。
「お前……ホントとんでもねえ生臭淫乱坊主だな」
「そう、したのはテメェだろうがッ、こンの変態淫行弁護士!」
唸りながら罵られた。そのクセ、ふぅふぅと息を吐きながら、目尻に快感に耐えた証をため込んで光らせる。眉をつり上げようとしては失敗してハの字に下がるのが無自覚ならばタチが悪い。
中から弱いところを直接いじめられてるんじゃない。外からのだいたいここらへん、なんてところをいたずらされてこれだ。
「指でさすられただけでこんなんなるのも問題だろ」
「だぁから、テメェが犯人だろぉが……」
おぼこい子供だった恋人に色を教えたのは自分で、そうした以上、逃す気も手放す気もない。大人気ないことこの上ないが、残念ながら悪い大人に惚れたお前の負けなのだ。
「ぜんぶ、獄だからだよ」
観念してこちらに花を持たせてくれた恋人はまことに潔い。同時にどろりと熱を帯びているのに、ひどく澄んだ金色にこの言葉がほしいんだろう?と問われ、大正解だとくちづけた。
きっと、何ものにも縛られない恋人が自分の手中にだけ飛び込んできてくれるのが何よりも嬉しいのはバレている。
それでいい。恋人だって自分の前でだけどうしようもない大人になるのを喜んでいるのだから。
近づくくちびるから逃れるように、ぱちんと閉じたまぶたの端から、つぅ、と流れた涙がまろい頬をつたうのが妙に清らかで美しいと思った。
2020/12/28
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