ぬくぬくねこ+EX
腕の中に閉じ込めた恋人が唸っている。
気持ちよくて気持ちよくてバカになってしまうのをなんとか押し込めようと、うるさい目も口もぎゅっと結んで耐えている。元からバカではあるが、けして頭は悪くないのに、急に大バカに、かわいく、なってしまう。
体温とおんなじで、快感だってため込みすぎればあふれてしまう。目から口から、恥ずかしくても気持ちいいのだと吐露しなくては、もっと恥ずかしくなるような形で爆発してしまうのに。
あれからずうっといじめ続けている乳首は、見えなくても触るだけでいやらしく変わってしまっているのがわかる。
ぷっくりと芯をもって勃ちあがった乳首を根元から先っぽへとしごいてやると、ふぅふぅと息を吐いて、びくびくとはねる。触ることも出来ないが、股間のあたりはもうびしょびしょのはずだ。
「うぅ〜……」
コタツ机に真っ赤な頬とひたいを押しつけてまた唸る。ぱたぱたと落ちたのは汗と涙で、かたく閉じた目尻からつぅ、と頬をなぞって綺麗なしずくがつたい落ちた。
そんなに我慢するなら鳴いてしまえばいいのに。
空却の乳首はもうちんぽと同じで、しごいて勃たせて首をくすぐって頭を撫でてやれば、鋭い金色の目はたやすくどろどろに溶けてしまう。そうなるようにしたし、そんなこと空却自身もわかっているのだ。
「んッ!」
乳首の腹の部分を爪先で軽く撫でる。これまでと違うかりかりと細かくこするような刺激に上がった呻きは限界を訴えるときに近かった。押さえつけた腰と足も激しくふるえて、その振動でこちらのちんぽも刺激される。マズイと思ったが耐えられないほどではない。いやいやをするように額をぐりぐりとしている恋人の方が、よほど切羽詰まっている。
「乳首、嫌か?」
刺激を与え続けながら問うと、はぁはぁふぅふぅと乱れた吐息以外は吐き出せないくちびるに代わり、額をぐりぐりと縦にゆすった。嘘つきめ。
「……乳首だけでイッてるのに?」
無防備にさらされたピアスまみれの耳に、笑みを含んだ煽情を流し込む。いつも最後まで快楽にのまれるのを嫌って抵抗する。素直に溺れてかわいく鳴いていれば、いじわるされずに気持ちいいだけだったのに。
乳首の腹のくぼみに、かりかりと爪を立てていた指をぐっとさし込む。軽くほじってやれば、簡単に鳴いてしまった。
「う、ぁ、やぁ……ッ」
ようやく開いた口からこぼれた声はやっぱり天邪鬼だった。いや、もだめ、も制止ではない。強固な意地と理性が羞恥と快楽に引き裂かれる断末魔だ。
ぐ、と体がこわばって、一際大きくふるえる。小刻みに振動する喉笛は音を出さず、しぼり出すような細い吐息だけをこぼした。目はぎゅっとひき結ばれたまま、眉間にはキツくシワが寄っている。
もう一押しで決壊する。
証拠に、かたく勃起したままの乳首をさんざんいじわるなことをした指に擦りつけようと、ゆらゆら揺れている。
口からはあ、あ、と甘くとろけて切なげな声が漏れて、ためこんだよだれが机に広がった。
「空却……」
こわばるまぶたを開けてほしくて、耳殻にくちづけながら名前を呼ぶ。素直になってくれるなら、口だけじゃなく目が見たい。情と欲でとろとろになった金色に、かたくなな恋人が自分を欲しがっているのを感じたい。
気持ちと裏腹に突き出た胸の先を撫でて、耳の穴のふちを舐める。決定的な刺激を避け、とがりきった先っぽをかすかに触れ、ふわふわのうぶげをつくろうようにちろちろと舌先でくすぐった。
「ひ、と、やぁ」
ぐずった声で名を呼ばれる。呼ばれるだけで用件を言われないし、目も開いていないから、深く舌を挿入した。ぶちゅ、と下品な音がして、同時に「にゃぁぁ」と鳴き声がする。逃げ場のないまま感覚だけを研ぎ澄まされた身体には酷なようだが、観念してかわいがられてほしい。
「いにゃ、や、やぁっ」
ちゅ、ぶちゅ、と唾液を絡め直して耳をほじる。尻にしてやれない分、同じくらいいやらしく拓いた狭く細い穴をべちょべちょに犯した。乳首もこすこすと撫でさすっていたせいか、にゃあにゃあ鳴きながらよくはねる。
数度大きくびくついて、くったりとしたのにさすがにやりすぎたかと顔を見る。汗と涙の跡の残る額の下、重そうに持ち上げたまぶたから覗く瞳はうるんでとろとろになっていた。
「ちんこ、いれろよ……」
「準備してないんだろ。ダメだ」
さんざんかわいがったせいかすっかり火がついて、当てたままのちんぽに尻を押しつける。正直軽く出ている。完全に出ていないが出ている。スーツ、スウェット、こたつ布団にカーペット……全部買い換える覚悟もしている。それでも挿入るのだけはダメだ。
「……いまからする」
「ぶっ倒れるからやめろ」
ああやっぱりやりすぎた。眠そうにしていたから何回かイカせればそのまま寝ると思ったのに、逆に目が冴えたか。いまも赤ん坊みたいに舌足らずにぐずっているが、赤ん坊はちんぽをねだって泣いたりしない。
「しかたねえなあ……」
「な、にゃ、あっ!」
ぐ、と体をおこして腰だけ持ち上げる。左手で胸を掴んだまま、あいた右手だけでどうにかスーツの前をくつろげ、スウェットごと下着を引き落とした。案の定、ゆるく勃起したまま汁を垂れ流す股間はびしょびしょで、乱暴に脱がせた衝撃でじわりと湿り気を増やす。物欲しげに喘いで、挿入しないんじゃなかったのかと言わんばかりに見開かれた目に、困惑と少しの期待がまじる。期待すんなこのエロガキ。
汗と熱で蒸れた尻からうなじと同じせっけんの匂いがする。白く、まろく変わったそこを指で割り開くと、隙間にたまった汗が谷間をなぞってつ、と落ちた。挿入は出来なくとも後腔のまわりは綺麗に手入れされ、縦に割れたふちは汗で濡れてひくひくとわなないている。
片手の指だけで開くには弾力のある尻は、前はもう少し薄かった。胸も同じで、子供特有の妙に細い体に筋肉がついて、やわいところが頬や太ももくらいしかなかった。一眼で見て肉がついたというほどではないが、触ると確実にふっくらとしている。触るのだって、くすぐったがるばかりだったのが、不用意に手を出そうものなら痛い目をみる。今みたいに。
修行だの喧嘩だのはしても、色事にはつつしまやかだった身体が抱かれたいと誘う。撒いた種が芽吹いて責任をとれと泣き喘ぐ。じぃ、とほとんど期待に染まった視線を向けられて、自分で止めておいてと恨めしくなる。
「ひとやぁ……」
「絶ッ対!いれねえからな!」
かわいい顔にねだられればなんでもしたくなってしまう。そんな浮かれた頭になるなんて思ってなかった。もう三十も半ばで、成人もしてない子供に夢中になって、俺だって大バカなんだ。
ひらいた尻のあわいにいきり勃ったちんぽを挟んで扱き上げる。濡れたふちを滑れば、ちゅ、ちゅぱ、とかわいらしい音が鳴った。熱く熟れた胎が肉杭を待ちわびて吸いつくのを振り切って、尻たぶを掴んで寄せてやわい肉を掘削する。
「いれろよぉッ……!」
後腔のふちをかすめるたびに、くちづけるような水音が強くなる。汗と、ちんぽ汁とが混ざり合って、ぐちゃぐちゃになった谷間の奥、肉色の裂け目がくぱくぱとうごめいた。さんざん抱き潰したのだ。そこが一番気持ちよくて、きもちよくなれるなんて、俺が一番知っている。
「こんど、イヤっ、てほどハメてやる、よ!」
「やっ、だぁ!」
手のひらでふんわりと肉の乗った胸を揉み、乳首を転がして指で挟む。つんとした粒を優しくこねると、後ろに気を取られた体がびくりと跳ねて、尻もきゅう、と締めつけた。ひときわ強く締まる瞬間、きゅんきゅんとふるえる肉縁に亀頭を押し当てる。ひ、と息をつめ、しばたく目からこぼれた涙がまつ毛に乗ってきらめいた。
「だぁからいれねぇ、っていってんだろ……!」
「あ、やぁ、ひとやぁ……ッ」
自分がダメだと言ったくせに。俺がひどいことが出来ないと知っているくせに。だから絶対に中に挿入らないよう、乳首をいじめながら、からみつく縁の表面だけを擦り上げる。お互いとっくに限界で、は、は、と獣じみた吐息とじゅぱじゅぱとねばついた激しい音が響き渡る。
「やだ、やだ、あ!もう、やぁッ!」
「俺もだよ……ッ」
ついに身も世もなく悶えて喘いだ身体を押さえつけて、ため込んだ精子をぶちまけた。びゅる、びゅ、と直に叩きつけらたそれに、あ、あ、と甘くとけた声を上げる。最後まで搾り出そうとゆすれば、腰をふってすりつけてきた。
「……コラ」
「やだ……ちんこ……先っぽでいいから……」
ちゅぽ、と飲み込もうとするのを引き離すと、中に出して溢れたときのような光景が広がる。白濁まみれの後腔はぱくぱくと広がって物足りないと訴えた。欲望のままにひん剥かれて犯されましたと言わんばかりの姿は心底目の毒だ。
「ワガママ言うな」
「ひとやがわるい」
ただおかえりといってだきしめたかった。くらくてさむいさびしいばしょにひとりにしたくなかった。それだけなのにと拗ねる横顔はあまりにも幼い。ふと触れる剥き出しの心の無垢さにかなわない。
「そうだな、俺が全部悪い」
「……いい。ひとやだから。ゆるす」
小さく、つぎはぜったいいれろ、とこぼすと、そのままばったりと寝てしまった。いいかげん体力も限界だったのだろう。すさまじい色気を垂れ流したまま寝落ちしたのを、刺激しないよう抱えて風呂場に行った。
腕の中の恋人も、自分も、部屋も、何もかもがめちゃくちゃで、今から後始末に頭が痛む。それでもこのぬくもりは金で買えず、代わりもない。
2021/01/19
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