Only Your Morning Glory

 最近抜いていない。そもそも勃たないから抜こうと思わなかった――そう告げた矢先、歯に絹着せぬ恋人の鋭い刃が突き刺さった。
「つまりEDってコトか?」
「まだ確定してねぇ……!」
「ちょぉっと前まで拙僧が脇見せたの乳首が見えそうだのでちんちんイライラさせてたのにィ?」
 ほぼ一ヶ月ぶりの夜の逢瀬。互いにアウターだけを脱ぎ、ベッドに腰掛けたこちらの股間にいそいそとすり寄る恋人が怪訝な顔をした。『なんで勃ってないんだ?』と言いたげに。そうして会わぬ間の生活を振り返ったらED――勃起不全を疑われたのだが、失礼な話だと思う反面、反論も出来ない。
 自分でも驚いている。ちょっと前までならそういうムードになった時点で勃起していた。ひどいとナニかを期待した表情をして出迎えられただけで硬くなり、手土産がある、こんなことがあったと話しかけるのを止めて、玄関先で鎮めてもらったこともある。手で、口で、ときにはそのまま抱いて――
 戸の真ん前で見せつけセックスしたヤリチンがすっかり紳士になっちまってんじゃねェか、とにんまり笑う恋人は他人事のように楽しそうにしている。実際、家族で恋人といえど他人は他人――だとしてもちょっと前まで『ひとゃしゅき……っ♡♡ ひとゃの……っ♡ ちんぽもぉっ……♡ しゅきいぃぃ……♡』とか言ってセックスしていたのだ。俺が勃起しなくて困るのはお前もじゃないのか。
「ンな深刻そうな顔すんなよ。拙僧は獄のちんぽに惚れたわけでも、獄とセックス出来るから付き合ってるわけでもねェんだぞ」
「……それくらいわかってる」
「ま、今までが元気良すぎたんだろ。拙僧マジで孕むんじゃねえのかって思ったことあるし」
「なんつぅこと言うんだ……」
「拙僧がもぉおちんぽやだぁ♡ って泣いてすがっても、すけべまんこはそう言ってないってぬか六キメたベンゴシセンセがなぁに言ってんだァ?」
「クソ……!」
「やっぱEDだろ。いつもならちんぽに頬擦りしながらやぁらしぃこと言ったらすぅぐギンギンにすんのに、しんなりしちまって」
 本来なら出したいものが何も出せないから、ぐぅの音も、というか、しか出ない。恋人の言うとおりまろい頬で股間を擦りながら『おちんぽよしよし♡』なんてされたら、すぐに面白いくらい勃起してお返ししていた。今だって出来るならそうしたい。粗野で乱暴で下品なクソガキが、自分だけに見せることを許した『恋人』としてのはしたなくも唆る姿を、まさに『恋人』として堪能して、嫌というほどわからせてやりたい。
「今までの絶倫ぶりも今のEDも過労によるストレスって感じすンだよなぁ、普通に病院行こうぜ」
 檀家のジジイも行ってるトコがあるじゃない。そのジジイはいくつだ。EDにも要因が複数あるんだぞ。こういうイライラすら前は勃起に繋がっていた。それはそれで異常な気もするが『すぅぐギンギン』になったのはこの恋人絡みだけ、それも本人が目の前にいる時がほとんどで、ちょっと思い出したりしたくらいじゃなんともない。
 強く逞しく美しい恋人があまりにも魅力的で、自分にだからと明け渡された全てに俺のものだと刻みつけたくて、夢中になりすぎたのだろうか。そういえば最近どころか一ヶ月近く会わない間、抜いた覚えがない。
「……空却にしか射精してなかったからか……?」
 思い出して一人抜くことすら惜しむほど、目の前の恋人に一滴残らず注ぎ込みたいという執念が体を狂わせたのか――そう思っていると、股間に頬擦りをしたままの恋人が恥ずかしいものを見る目でこちらを睨めつけていた。
「何だよ、ヒトヤクンはセックスできない間、拙僧にオナサポしてもらえないからEDになった〜……って言いてぇの?」
「違う!」
「でも拙僧『で』じゃなくて、拙僧『に』なんだろ。拙僧とセックスしなきゃ射精してなくて、セックスしなかった一ヶ月間射精してなかったからEDになったって言いてえんだろ」
 どうなんだ、と問い詰める金色に、羞恥が混じる。さっきからどういった方向での恥じらいなのかわからないが、いつもだったら絶対勃っている顔だ。ぎ、と鋭いのに隠せない甘さが香る眼差しで見上げられると、くちづけてもっと強く匂わせたくなる。
「あ、ちょっと硬くなった」
「は?!」
 ぴとりと頬を寄せたままの恋人にはわかるていどの変化があったらしいが、当事者なのにイマイチわからない。頑張れ♡ 頑張れ♡ と嬉しそうに股間を励ます綺麗な顔がとびきりいやらしいのはわかる。もしも勃起していたら、ふるりとやわらかいくちびるを先走りで飾ってやったのに。
「よくわかんねえけど……このまま拙僧がやらしいことしたら治らんか?」
「十分やらしいのに?」
「ヒトヤクン、ホントなんで拙僧にだけ童貞みてぇになっちまうの?」
 ヤリたい盛りの中坊みてえ、と半ば呆れた声を出しながら、股間は変わらずずっと優しく撫でさすって甘やかされる。たしかに今までの勃起の調子は中坊のそれだ。恋人の――空却の表情、声、仕草。何から何までかわいくて、いやらしくて、どうしようもなく些細なことでも俺のお手付きなのだと主張したくてたまらない。
「今は年相応に枯れてるだろ」
「ンなぶうたれたガキの面してなぁに言ってんだよ。会ってからずぅっと拙僧に種付できねぇイライラ丸出しにしやがって」
 ちゅ、ちゅ、とかわいらしく股間にくちづけてあやされる。ああ全く、普段ならばとっくにこの薄桃色でふにふにとやわらかいくちびるをちんぽ汁塗れにしてやれたのに。募る焦燥感に反してびくともしない下腹部に、体温だけが上がっていく。
「ヒャハッ、ちんちん勃たなくてイライラしてる獄、かぁわぃ〜♡」
「おいコラ空却……ッ」
「こぉんなでっけぇのにふにゃふにゃぁ♡」
 ぢっ、とジッパーを下され、やわらかいままのちんぽがぼろんとまろび出た。いつもならば至近距離にある恋人の顔をばちんとはたいてしまうほど硬く尖るのに、今は脱力しきりぐったりと重く垂れ下がっている。
「はぁ……」
「なんだよホント……獄のイイとこはちんぽだけじゃねぇよ」
「でも俺のでっけえかたいちんぽが好きだろ?」
「好きだけどよぉ……そんなん獄が拙僧こと好きで、俺のモンってやらしぃマーキングしたくてしょうがないってわかるからで……別に、獄ならちっちぇふにゃチンでも好きだぜ?」
「小さくはなってねぇ……!」
「あーったくめんどくせえな! 拙僧がちんぽのでかさと硬さで付き合ってんならとっくにもっとでかくて硬ェちんぽ探しにいっとるわ! そんでもってEDになった時点で別れてるっつうの!」
 拙僧は見たから知ってる、東都でつるんでたバカみたいに図体のでけぇ野郎共が股間にもおんなじようにデカいモンをぶら下げてたのを。滝行で十四のも見たけどやっぱすげぇデカかったししかもなんかキレイだった。
 急にはじまった身近なデカちんぽ報告にぽかんとしていると、それに気づいているはずなのになんでか続いた。曰く、お前も会ったことのある僧侶のうんちゃらさんもとんでもなくデカいだの、檀家のなんちゃらさんもびっくりするほどデカいだの。太さがどうとか長さがどうとかと、延々と顔見知りていどの人間のちんぽ情報が与えられていく。
「この世には獄よりデカくて硬ェちんぽなんざ山ほどあるんだよ! そんでも、拙僧は、勃たなくても小さくてもふにゃふにゃでも獄のちんぽがイイって言ってんのに……!」
 まだわかんねぇのか、と怒りと悲しみをたたえた金色の目に射抜かれる。これまで注いできた純朴な感情を疑われた悔しさでにじむ恋人の、まっすぐな眼差しが愛おしい。
 反面ずぅっとちんぽを揉みしだかれて落ち着かない。しかも勃たせようとかじゃなくてふにゃふにゃの感触が気に入ってる動きをしている。やめろ。俺のちんぽはスクイーズじゃない。
「悪かった……ナイーヴになりすぎてた……。空却がちんぽで俺を選んだとは思ってない……俺だって顔と身体で空却を選んだわけじゃない」
「……遅ェよばか」
「ああ……わかってくれたなら、ちんぽ揉むのやめてくれないか?」
「ヤァダね! 拙僧をちんぽビュッフェしてる淫乱みたいに言った慰謝料代わりに今日はひとやくん♡ のおちんちんが精通するまで離してやんねーって決めた」
「せ……って、んなのとっくに……!」
「でも今ぜぇんぜん勃たねえし出ねえんだから、もう二度目の精通するみてぇなモンだろ」
 なんとなく上手いこと綺麗にまとまりそうだと思ったのに、二転三転どころか大回転しておかしな場所に着地した。だいたいちんぽビュッフェはしていないけれどちんぽウォッチはしているし、そのたびにあのちんぽは獄よりデカいとか硬そうとか考えてんのかと思ったらけっこうくるものがある。本当に、勃起さえしたら小さくて細くて短い雑魚ちんぽで悪かった、と謝りながら気絶するまで抱いてやったのに。
 それよりも二度目の精通ってなんだ。とてつもなく嫌な予感がする。ひとやくん、なんてわざとらしく呼ぶときの恋人は、子供だガキだと呼んでいる仕返しのごとく、すさまじいことをしてくるのだ。
「そぉんな怖がんなよ……♡ おちんちんぴゅっぴゅ♡ すぅっごく……♡ きもちぃ♡ から……♡ ひとやくんのおちんちん♡ もぉっとかっこよくなろーぜ……♡」
 ふにふに、とちんぽを優しく扱きながら、上目遣いで見つめられる。そこにあるのは恋人としての淫靡な期待と、寺に来る小さな子供の相手をするときの優しさだった。やっぱり、嫌な予感ほどよく当たる――

 あーん、とわざとらしく声に出してちんぽを咥え込まれた。とは言っても全て収めるには小さい口はさきっぽくらいしか包み込めず、はみ出た茎は指輪をはずした手でしゅこしゅことしごかれる。体勢はずっと変わらず股間の間に陣取って跪き、こちらを見上げながらやわらかいままのちんぽに熱心に奉仕していた。
 苦しげに鼻で息をしてうるむ目が、けなげにこちらと目を合わせようとする。勃起していたときとは違い、ふにゃりとしたままのちんぽは小さな口にだらんと寝そべるばかりだからか、ひどくやりにくそうに見えた。一生懸命に丁寧に、舌で撫でられ、口壁で擦られ、歯やくちびるでしゃぶるように甘噛みされる。
 いつもならばとっくに喉奥深くまでちんぽ汁でマーキングしていたはずなのに。気持ちいいし、何より恋人に『勃起してほしくてちんぽをしゃぶられる』というシチュエーションがたまらない。軽妙な調子で気遣い、真剣な面持ちでちんぽだけで選んだわけではないと叱ってくれた恋人とて、完全な無私でフェラをしてくれているわけではないはずだ。『一ヶ月ぶりのセックスをしたい』と言う気持ちがカケラもないなんてありえない。
「ぷは……」
 休憩、と言って居心地のいい口内から追い出されたちんぽは、やはりふにゃんとしたまま。先走りもなく恋人の唾液だけで濡れててらてらと光っている。
「拙僧のくちまんこ、きもちよくねぇ?」
「きもちよくねぇわけねぇだろ……!」
「じゃあなんでひとやくんのちんぽ勃たねえんだろ。拙僧、なんかやり方悪ィのか?」
「いや、俺のちんぽが勃たねえだけだ……」
 口に出すと情けない気持ちになってくる。ちょっと前まで馬鹿みたいに勃起して、目の前の恋人が溺れるほど射精していたのに。
「……ひとやくんはぁ……っ♡ ハジメテおちんちんかたぁくして♡ ハジメテおちんちんぴゅっぴゅっ♡ するんだから、んな落ち込まなくていーんだよ♡」
「だからそれ……」
「いーから付き合え。あんま勃たねえ勃たねえってしょぼくれられるとこっちもヤになんだよ。……なぁ、一カ月ぶりなんだぜ? 馬鹿みたいなことして上手くいったら儲けもん、ダメなら一緒に病院行ってやる。カレシのちんぽが元気じゃねえと拙僧も切ないんだって、言ってやるから……」
 果たして恋人の提案するごっこ遊びに効果があるかは不明だが、一緒に病院に行って医者に『抱かれている』と言ってくれるというのは覿面に効いた。顔と身体だけなら極上の恋人が『俺に抱かれている』と赤の他人に宣言するなんて、ほのぐらい欲望が満たされてしまう。
「なぁ、獄。拙僧に、精通も童貞もくんねぇ?」
 意を決して放たれたであろう言葉にぐらりと目眩がした。独占欲も嫉妬もさして見せない恋人に、終わった過去を欲しがられる。とっくに決まっていた心を答えずにいたら手に入ってしまった思わぬ本心に、なんで俺は勃起しないのかと悔やまずにはいられない。
「俺の全部、とっくにお前のモンだよ……」
 かわいい恋人に降伏宣言をすると、それはそれは綺麗に破顔して、剥き出しのままぐたりとしたちんぽにすりすりと頬を寄せられた。花のかんばせの横にはべるにはあまりにも凶悪な塊を、うっとりと見つめながら。

「とはいえ、フェラでもぴくりともしねぇもんなぁ」
「待て、俺はフェラは好きじゃない」
「ハイ、ひとやくん嘘つき〜♡ 喉によくないとか、ちんぽ舐めた口とキスしたくないとか言ってるけど……♡ せっそぉのくち……♡ やぁらしぃおまんこ……♡ にするのだぁいすきなクセに……♡」
 図星だからお口もおちんちんもだんまりじゃねぇの、と笑われて、う、と上擦った声が出た。拒絶の理由も真実で、好奇心でなんでもやりたがる子供を一生懸命説得しているし、自分のちんぽを舐めた口に対してなんとなく引いてしまう。ただそれらを凌駕して、かわいい恋人が小さな口をおまんこにしてちんぽをしゃぶるのがたまらない。吐き気をこらえながら根本まで咥えるのを止めたいのに、喉奥をちんぽでほじられて尻奥での絶頂を重ねてイク恋人にぞくぞくとする。
「せっそぉのフェラ、だぁいすきだろ?」
「……好き、だよ……」
「ひとやくん、おちんちんかちかちになりてぇなら嘘つきはメッ♡ だぜ……♡ ひとやくんのおちんちんがちゃあんとせっそぉのおまんこにびゅ〜〜〜っ♡ ってできるオトナのちんぽにならなきゃ、せっそぉ……イケねぇんだから……♡」
 こちらの目とちんぽを交互に見つめ、艶めいた笑みを浮かべる金色の目が、さらにとろんととけた。わずかな衣擦れと、くちゅ、と聞き慣れた水音のする方を見れば、恋人が下着ごとパンツを落とし、尻をいじくり回している。けなげな恋人はセックスをするつもりの時、尻の準備を万端にして訪ねてくるのだ。
 顔はそのままにふ、ふぅ、と鼻を鳴らし、尻に埋め込んだ性具をじゅぽ、じゅぼ、とかき回す。肝心の部分は見えないけれど、身体の動きでナニをしているかはよくわかった。
「ひとやくん、のぉ……っ♡ おちんちんっ……♡ 見てるだけで、せっそぉのおまんこ……っ♡ 種付して……っ♡ いっぱい子種びゅぅ〜〜〜っ♡ ってして……っ♡ ってぇ……♡♡♡」
 下品で魅惑的な煽りと共に頬で擦られ、熱い吐息とリップ音を浴びせられてなお、ちんぽは無反応のまま。頑なにしんなりとしたままのそこに、さすがに嫌気がさすんじゃないかと思って恋人を伺うと、にまりと微笑まれた。
「ひゃは……ぁ♡ 焦んなくていーぜ、ひとやくん♡ おちんちんかたぁくしたことも……♡ おちんちんからぴゅっぴゅ〜♡ ってしたこともない……っ♡ おまんこもしらない……♡♡ 未精通童貞おちんちん……っ♡♡♡ なんだからぁ……♡」
 いきなりおまんこおねだりなんて怖かったよな♡ お口でしたみたいに♡ おまんこでひとやくんのおちんちん……♡ いぃっぱぁい……♡ いーこいーこ♡ よしよし♡ ってしたかったけど……♡ まだ赤ちゃん卒業したばっかのおこちゃまおちんちん♡ だもんな……♡♡
 沈黙したままの肉棒をすりすり、ちゅ、ちゅぅ、とあやされて、勃起しない焦燥を宥められる。ひとやくんのおちんちん、そのまんまでもおっきくて、ふとくて、あついから……♡ ひとやくんのせーしでママになりたくなって……♡ ひとやくんのママなのに……♡ おちんちんこわがらせてごめんね……♡ 続く言葉にさらりととんでもない設定でプレイさせられていた事を知るも、尊大な恋人にご機嫌を取られて謝られる――媚びられているのに屈辱を感じる、倒錯的な状況に心臓と腹の奥が期待に跳ねた。
 ムスコの精通から筆下ろしまでサポートしてくれるエッチなママなんて冷静に考えなくとも気色悪い。だがこちらの趣味嗜好に頭を捻りながら、隠しきれぬセックスへの期待をダダ漏れにする恋人が一生懸命考えた『ちんぽ勃起・射精シチュエーション』ならば乗れてしまう。それこそママというにはちいちゃいお口とおまんこを、未精通童貞おこちゃまおちんちんでちんぽ汁マーキングしてやりたい。しかし湧き上がる欲望と願望に反し、依然としてちんぽは慎ましい優等生か、あるいは借りてきた猫かのように変わらない。
「ひとやくん、どしたらおまんこ怖くなくなるかなぁ……?」
「別に怖かねぇんだよ」
「ホントかなぁ〜? ひとやくんのおちんちん、ママのナカにないない♡ しちゃっても……ホントに怖くない?」
 こんなふう、に……♡ と、ぴっとりと張り付いていた股間から離れた恋人が、床にころんと転がった。上手に下着もパンツも脱ぎ捨てて、仰向けに晒された真っ白い下半身がまばゆく光る。意識的に視線からそらした中心部は、膝裏を抱え込んで逃げるなとばかりに見せつけられた。
「ひとやくん、見えるかなぁ……♡ ママのおまんこ……♡ ひとやくんと……♡ いぃっぱいっ……♡ なかよし♡ したからぁ……っ♡ きょぉも、いぃっぱい♡ ひとやくんの、おちんちんとなかよし♡ しないと、おまんこ……♡ さびしぃ、の……♡」
 もはやどういう設定なのかわからないが、当たり前に勃起していた過去の自分に妬け焦げそうな気持ちになっている。ぴっちりと閉まり、清楚な尻穴だった場所を、見るからに太い性具をみっちりと咥え込み、シワが伸び切って縦に割れた性器にしたのは今の自分ではないと言われているのだ。過去の自分に『ママ』にされた恋人に、今度は自分が『未精通童貞おちんちん』として手ほどきされる――過ぎた倒錯と湧き上がる欲望、それとほんの僅かな怒りで、肌がざわついた。
「ぁう……っ♡ こ、やってぇ……っ♡ ひとゃくん、のっ♡ おちんちん、をぉ……♡ ママのおまんこ♡ ずぷずぷ〜っ♡ ってぇっ♡♡」
 膝裏を押さえていた手をおまんこへと伸ばし、ちょこんと飛び出た性具のハンドルを掴む。プラグとは違う太さと大きさのそれは、ナカに挿入っているモノのサイズを想像させるには十分で、じゅぽぉ……♡ と濡れた音を立てて出てきた姿はまさに思い描いたとおりの卑猥な形をしていた。
 ちんぽの形に開いたおまんこをそのままにするため極太ディルドを根っこまで咥え、滴り落ちるほどローションでうるみ、じゅぽっ♡ じゅぽぉぉ……っ♡ と抜き差しするたび、きゅんっ♡ きゅきゅんっ……♡♡ きゅぅぅうう……♡ と、わななくおまんこのふちがいやらしく誘う。さびしい、せつない、ニセモノのちんぽじゃヤダ。一途に、ワガママに、獄がいい、と全身で求められている。それなのにちんぽはいまだに沈黙を保っていた。
「ひとゃ、くん……っ、わぁ……、えっちな、まま、やだぁ……? こ、やってぇ……、おちんぽおねだりする……、ママ、わぁ……、きらぃ……?」
 じゅぽ♡ じゅぼ♡ とはしたなく粘ついた音を響かせながら、悲しげにする恋人に胸が痛む。嫌なわけもなければ嫌いなわけもない。頭がおかしくなりそうなほどそそる痴態に、とっととディルドを抜いて自分のちんぽをぶち込んでやりたいのに、ちんぽが一向に勃たないのだ。
「好きに決まってんだろ……っ!」
 苛立ちでつい出た大声にびくんっ、と恋人が震える。イライラしっぱなしなのに勃つことのない股間さえ元に戻ってくれたら、ディルドなんざ即追い出して寂しがりなおまんこと『なかよし』してやるのに。
「よかったぁ……♡♡ ひとやくん、にぃ……っ♡ やだ、とか……、きらい、って……いわれたら……、ママ、ニセモノおちんぽ♡ とずぅっとなかよししなきゃ、いけないから……♡」
 うれしい♡ すき♡ ひとやくんのことだぁいすき……♡ 甘く、優しく、とろけるような声と顔――とてもムスコにしていいものではない――を向ける『ママ』はその実、凶悪なサイズのディルドをじゅぶじゅぶ♡ と動かすのはやめていない。むしろ『好き』っていってくれたぁ……っ♡♡ などとつぶやきながら、M字に足を開き、どうにかディルドでおまんこの最奥が掘れないかと苦心している。
 だんだんとコツを掴んだのか、じゅぶんっ♡ じゅぽぉっ♡ と激しくはしたない音を立ててディルドの抜き挿しをするようになった。うんうんと唸りながらハンドル部分すらねじ込むようにして胎奥での快感を得ようとするのに、俺のちんぽなら一息なのにと悔しさが湧き上がる。
「ひとやく、ぅん……っ♡ ひとゃぁ……っくんっ♡ ごめ、なさいっ♡ ご、めんっ……♡ まま、いくっ♡ いっちゃぅうっ♡♡ ひとやくん、のぉ♡ まますきっ♡ ままとなかよししたいっ♡ ってぇ……♡ かぉ、みな、がらぁ……♡ おもちゃの、おちんぽ♡ でぇっ♡ ままおまんこ……っ♡ うわきぃき♡ しちゃぅうううううっ♡♡♡」
 夢中で見せつけディルドオナニーをしていた『ママ』は、ついに浮気絶頂を宣言して盛大にイッてしまった。M字どころではない大股開きで、かわいらしく勃起したちんこからぷしゃっ♡ しゃぁぁぁあああっ♡ と潮ともおもらしともつかないものを吹き上げる。イキ潮まで出すほどの深い絶頂を恥じらいながらも、手で押さえつけ、みっちりとおまんこの奥深くで咥え込んだディルドをうっとりと堪能する表情は、ムスコの前で浮気ママまんこイキした淫乱にふさわしいものだった。
「ぁうっ♡ ごめん、なさぃ……っ♡ ひとやくんのママで……♡ ひとやくんせんよぉのおまんこなのに……♡♡ おもちゃちんぽにうわきしちゃったぁ……♡♡」
 びくびくと余韻で跳ねる身体は、口ばかりの謝罪をくり返しながらも決してディルドを抜こうとはしない。むしろきゅぅぅ……っ♡ と深く咥え込んだおもちゃを愛おしげに奉仕している。
「……うわきしたママのこと、きらい……?」
 勃起さえすれば真っ二つにしてやったディルドを憎々しく見つめているのがバレたのか――隠しもしていなかったが――は、は、と息を吐きながら『ママ』が不安げな素ぶりでこちらを見上げた。
 ママもひとやくんのおちんちんいがいでイクのがイヤだった、ひとやくんがママすきすきっ♡ ってかおをして、おちんちんをいらいらさせてるのがかわいかった、だからイッちゃダメ、そんなのうわきになっちゃう……♡ っておもってたのに……♡
 わざとじゃない、さびしくて、せつなくて、いやらしいママががまんできなかったのだと申し訳なさそうに語る顔には、優しく慰め奉仕しても萎れたままのちんぽへの叱咤激励をしているのだと書いてある。抱かれたくて我慢が出来ず、おもちゃのニセモノちんぽに浮気するような淫乱にしたのはお前だとも。
「クソ……ッ!」
 止まらぬ苛立ちに漏れた舌打ちに、淫らな『ママ』がひぁっ……♡ と嬌声と潮を漏らす。ままならない状況に苦しみ、全ての欲望の矛先を向けるこちらに悦んでの反応は、予想通りにのたうち回ることへのサディスティックなものなのか、回復した後に食い散らかされる予定調和へのマゾヒスティックなものなのか。
「ぁっ♡ ゃぁぁ……っ♡♡ またいくぅ……っ♡ ひとゃくん、の……♡ うわきやだやだ♡ ぜったいままのうわきいきおまんこおしおきする♡ ってかお……っ♡♡♡ えっちで、かわぃくて……♡ すきぃぃぃ……♡」
 ぞくぞくぶるぶると全身を震わせ、浮気のお仕置きを求める『ママ』がまたイッた。両手でディルドを押し込みながらのけ反り、ぷるんぷるんっ♡ とかわいらしいちんこが揺れる。精子は射ち止めなのか潮か薄い尿がしょわしょわと不随意にしたたり落ちた。
「……俺が勃起しなくてもイイんじゃねえか?」
 俺が苛立ち、悔しがり、嫌がる顔をオカズにそんなに気持ちよくオナニーが出来るなら、俺のちんぽはいらないだろうと吐き捨てる。ディルドに本気で不愉快になっているわけではない。卑猥なごっこ遊びに乗っかっているだけで、せいぜい半分くらいしか本気ではない。
 それくらい恋人だってわかっているはずだ。ずっと仕掛けてきて、慰め、励まし、誘い、煽り……勃起さえしていたらとっくに小さな口から胎の奥深くまで子種を塗り込めてマーキングされるようなことをしていたのだから。
 だから、だから、この反応は完全に想定外だった。

 あの後すぐ、恋人が無言で膝裏を抱え直し、ずっぽりとディルドのハマった尻穴を見せつけるようにした。ちんぽを咥えるためにシワも伸びきり、縦に割れ、危なげなく極太の性具を締めつける――そこはもう排泄器ではなく性器と化していた。
 売り言葉に買い言葉のような展開になると思っていたのに、何も言わずに乱れ切った姿をあらためて叩きつけられたのに少しだけ困惑している。一体全体、何をされるのか。
 こちらの嫉妬心を独占欲を煽って焼け焦がすのが好きな恋人は『未精通童貞おちんちんのひとやくんとはセックス出来ないから、これからはおもちゃのニセモノちんぽとセックスする』などと言いかねない。現にぴったりとハマったおもちゃのニセモノちんぽに視線をやったら、恋人は小さく呻きながらおもらしをして甘イキしたのだ。
 ついに『お前が不甲斐ないからおもちゃのニセモノちんぽに寝取られるのだ』というトラウマものの荒療治をされるのだと腹をくくっていると、ごめんなさい、と思いもよらぬ謝罪が返ってきた。
「ひとやくんに、おまんこしてほしくて……っ♡ ひとやくんがおちんちんかたぁくしそうなこと、いったつもりで……♡ ひとやくんをいやなきもちにさせて……♡ ごめんなさい……っ♡♡ ままなのに……っ♡♡ ひとやくんのおちんちんっ……♡ おまんこでよしよし♡ することしかかんがえてなくて……♡ ごめんなさい……っ♡♡」
 ぐにゃぐにゃの八の字に歪んだ眉はすまなさだけで描かれたというには甘く香り、その下でまぶたに埋かかった金の瞳は悔いているにはどろりとした欲に濡れていた。ごめんなさい、と殊勝な言葉を紡ぐには艶やかなくちびると、淫靡な期待の隠せない煮詰めた蜜のような声音が心を惑わせる。
 本心からの謝罪というにはあまりにも裏も下心も見え見えで、何を仕掛けてくるのかと身構えていると、きゅ♡ と尻穴のふちに力を込めはじめた。次第にきゅ、きゅぅ……♡ くちゅ……♡ ちゅぽぉ……っ♡ とはしたない水音が響きだし、何をしようとしているのかがわかってしまう。
「うわきまままんこ……♡ これからちゃんとおわかれするから……♡ ひとやくんのおちんちんいがいでいくいく♡ ってもうしないから……♡ ひとやくんだけのおまんこになるとこ……♡ みてて……♡♡♡」
 うんうんと唸りながら力み、尻たぶと肉縁がきゅっと引き締まった。口だけでなく鼻からもふぅふぅと息が抜け、みちみち……っ♡ とハンドル部分が充血した肉縁を割り開いていく様は、あんな太い性具を飲み込む尻穴のいやらしさに胸がざわつく反面、排泄中を覗いているような倒錯した感覚に陥ってしまう。
「ん……っ♡ んぅ……っ♡♡ ふっ……ぅう……っ♡」
 完全に頭を出したハンドルはローション塗れでべたべたで、油断するとぬぽ♡ と肉縁にしゃぶりつかれて引き戻されそうになっている。おもちゃのニセモノちんぽにもっとイかせて♡ と無意識におねだりをする淫乱浮気おまんこに負けじと頑張る『ママ』は、けなげにも尻肉を叱咤し、むりゅむりゅっ♡ とハンドルより先をひり出した。
「ふ♡ ん……ぅっ♡ ちょっとおわかれしたぁ……♡ もうおもちゃちんぽとはなかよししませんっ♡ さびしくてもじぶんでてまんしますっ♡ がまんできなかったらえっちなまままんこにひとやくんのおちんちんください……っ♡ っておねがいしますぅ……♡♡」
 ぬらぬらとテカる性具の端っこが呼吸に合わせて小刻みにぬち……っ♡ ぬっ♡ と出入りをくり返す。自らの羞恥を煽りながら肉縁を擦り、イキすぎてくにゃりとしたままのちんこからちょろろ……♡ とおもらしを垂らす姿は反省からは遠い。
「どうだかなぁ? 一回浮気するヤツは二度三度とくり返すんだよ。それに持ち手のとこだけでおもちゃのちんぽ本体はまぁだちゅぱちゅぱしてんじゃねえか」
 半分本心を吐き出した語調が思ったよりも強くなり、つられて媚態に向ける目もキツくなるのがわかる。優しく出来ないのは余裕がないからだ。恋人の優しく励まし、いやらしく挑発する言動は正しくこちらの欲望に火をつける。同じセリフでも勃起出来たならば、もっと恋人の仕掛けたかわいらしいいじわるに乗っかっていられた。
 今はダメだ。今すぐ自分の居場所に居座るおもちゃのニセモノちんぽを引き抜いて、他のちんぽの形に変わった浮気まんこをもう一度自分の形になるまで躾けてやりたい、ローションがかすむくらい中出ししてちんぽ汁まみれにしてやりたい――そう思えどもままならない。
「……ひとやくん……♡ ごめんなさい……っ♡ すぐうわきやめるから……っ♡ ……だから……っ、きらぃに、なんなぃで……」
 大人げなく苛立ちをぶつけると、恋人がひ、ひ、と鼻を鳴らして目尻に雫をためていた。滅多なことでは泣いたりしない恋人だ。ごっこ遊びに引きずられたのか、快感で頭がうだっているのか、ただ嫌いにならないでほしい、という言葉に嘘はない。
「ふぁっ♡ ふぅ♡ ふ、ぅううう……っ♡ ぁうっ♡ あっ♡ あぅううっ♡ でるっ……♡ でるぅ……っ♡♡ うわきおもちゃちんぽ……っ♡ うわきまままんこからでりゅぅ……ぅっ……♡♡♡」
 力んだ嬌声と共に淫乱浮気まんこからぶちゅっ……♡ ぶちゅちゅ♡ むりゅむりゅっ♡ とローションとおもちゃのニセモノちんぽが排出されていく。うっすら腫れてぽってりとした肉縁を、さらに伸ばしたり縮めたりをしてぬっ♡ ぬうっ♡ とディルドが外気にさらされるたび、尻も尻穴もびくびくんっ……♡ といやらしく強張った。
「で、りゅぅ〜〜〜……っ♡ あっ♡ うぁ……っ♡ さきっぽぉ……っ♡ ひ、かかって……♡ あっ♡ ごりごりだめぇ……♡ だめぇっ……♡♡ ひ、とゃくん……っ♡♡ ごめ、なしゃぃ……っ♡♡♡ うわきっ♡ したくにゃぃのに……っ♡ ぉまんこが、えっち、だかりゃ……♡♡ にせちんぽで……っ♡ またうわきいきっ♡ しましゅぅっ……♡♡」
 快感に抗ってか、縦に割れた助平な浮気まんこを押し広げ、むりゅりゅりゅっ……♡ と勢いよくおもちゃちんぽが飛び出して床に当たる。こつん、と無機質な音が小さく響くも、膨れたさきっぽがひっかかったらしく全ては出てきていない。どうにか腰を上げたり振ったりして最後の塊を出そうとするが、イキっぱなしの浮気まんこには厳しかったのだろう。
 ダメなのに、ごめんなさい、と子供がいやいやをするように首を振りながら、ぬぽんっ♡ と小気味良い音を立てておもちゃのニセモノちんぽをひり出した。再び浮気絶頂を宣言しながら達し、精のかわりに潮だか尿だかを弱々しく吹き上げる。床にごとん、とにぶく転げたローション塗れのディルドに、ぱらぱらと降り注ぐ飛沫がひどくいやらしく見えたのは、おかしな状況に頭をやられているからか。ほぉ……♡ と深く重たい、熱のこもった吐息をこぼす恋人のだらしなく開いた口元と、おもちゃのニセモノちんぽをひり出して、ぽっかりと開いた浮気まんこの形が似ていたからか。
「ごめ、なしゃぃ……っ♡ また、うわきいき、して……っ♡ いきしょんまで……っ♡ して……っ♡♡ ちんぽだいすきの……♡ えっちなままで……っ♡ ごめんなさぃ……♡♡♡」
 ぽんやりと熱に浮かされた目の焦点は合わず、けれども、もしも交わったならばそのまま溶けあってしまいそうに甘い。上等な蜂蜜の濃厚な色と香りそのものの瞳が、まだ足りない、と貪欲にねだる。誘われるまま、乞われるまま、何もかも差し出したくなるほど魅惑的なのに、一番欲しがっているものはまだ与えてやれない。
「……もういい、怒ってなんかない。明日……いや、いつでもいい。付き合ってくれ」
「ひとや……」
 己の不甲斐なさに腹立たしさ、悔しさを越えて疲れてしまった。方法はどうあれ、情け深く慈悲深い恋人がこれほど身体を張ってくれているのに応えられない焦りばかりが募る。気にするな、急くなと言われても、ここまで尽くされて、という意識に押し負けてしまう。
 察しよく、自分以上に自分をわかってくれている恋人は、快感にのぼせながらも決してこちらを見落とさない。皆まで言わずとも全てを悟ると、絶頂の余韻の抜けない身体をのろのろと持ち上げ、膝にしなだれかかってきた。下からこちらを覗き込む、徐々に平静を取り戻した眼差しはとろんとしながらも労りを帯びていて、久しぶりに会ったのにと悔やまずにいられない。
 別にセックスしなくたっていいのだ。しなければ死ぬわけでもなく、満たされないわけでもない。数多ある愛おしさを伝えるための行為の一つでしかないそれに、ことさら執着しなくとも目の前の恋人は自分を変わらず愛してくれる。今までだって四六時中しているわけでもなし、生きていればEDじゃなくたって自然と勃たなくなる。そう思うのに十六という年月の溝に勝手に嵌って抜け出せない。生命力そのもののような恋人が気を失うまで抱いて、身体の在り方まで変えて、外から内から自分のものだと刻んだからこそ、飢えて、溢れて、すり抜けていく。自分が変えてしまった子供が自分を喪った後、寂しさと切なさで自分以外を愛して求めてしまうんじゃないかと疑ってしまう。
「なぁ空却、抱きしめていいか?」
「なんだよ……今さら許可なんてとんなよ」
「キスもしたい」
「だからいちいち言わなくていいっつの」
 会ってからまだ一度も、抱きしめてもキスもしていない――不安に駆られ、唐突に気づいた事実に口が勝手に動いていた。絶対ありえないと恋人に叱られそうなことを考えながら、十六歳下の子供に甘え縋る。たかだか勃起しないだけ、と心底から思っている恋人は、何も言わないだけで全部わかっているのだろう。よりかかっていた膝に猫の子のようにするすると昇って乗っかると、先までとは逆に少し上からこちらを見下ろす。その目は少しだけ色っぽくはあったけれど、初めて会ったときから変わらない、綺麗な黄金の輝きが愛おしげに笑っていた。
 見た目よりむちりとした胸にぎゅうぎゅうと抱き寄せられ、セットの崩れた頭にちゅ、ちゅ、とくちづけが降ってくる。寝つきの悪い子供にするような仕草に妙に安心して、すりすりと作務衣ごしに額を擦ると、びく、と恋人が跳ねた。一瞬こり、とした感触に当たったから、きっとそれだろう。
「……ひとやくんのえっち……」
「なんだよ、おっぱいは許可がいるのか?」
 む、としながら頬をうっすら桃色に染めた恋人にまた『くん』付けで呼ばれたものだから『ママ』なのに?と言外に匂わせれば、無言でぎゅむぎゅむと胸を押し付けられた。ん、ん……っ♡ と甘く鼻を鳴らすたび、ぷく♡ ぷくん……っ♡ とはしたない突起が首をもたげる。
「ままのぜぇんぶ……♡ ひとやくんのものだからぁ……♡ いつでもどこでも……♡ なぁんでも……♡ していーよ……♡」
 作務衣につん、と浮き勃った乳首はこれまで散々かわいがった成果で、不埒な意味でも鍛えられてむちむちとした胸元にふさわしく、いやらしく尖っていた。くちびるを探すように上下左右に身体を揺らして乳首をこね回し、ふ♡ ふうぅぅ♡ と喘ぎを堪える様はほとんど乳首オナニーの見せつけでしかない。
「おい、キス……」
「ひゃはぁ……♡ ひとやくん、ちくびちゅっちゅよりおくちでちゅうがしたいんだぁ……♡ おとなぁ……♡」
 ひとやくんは未精通童貞おちんちんだけど赤ちゃんは卒業したもんね……♡ 赤ちゃんみたいにおっぱいごくごく♡ よりお口でちゅう♡ したいよね……♡ などと囁かれるが、お前がキスするつもりで乗っかって乳首オナニーに夢中になっただけだろう。
 今日だけでこのかわいいクソガキである恋人をいかにちんぽで大人しくさせてきたかを感じてしまった。挿入していたらこんな反応はしない――というか出来ない。いつもなら最初はひとやくん、なんて言っていても挿入れればすぐにひとゃぁ……♡ と甘ったるい喘ぎまじりに名前を呼ばれるのだ。おもちゃのニセモノちんぽとの浮気ごっこなど最初の一回以降は許さなかったし、すぐに本物ちんぽを挿入れて浮気まんこにお仕置き生中をしてやっていた。
「……いくらなんでもちんぽに弱すぎやしないか……?」
 思わず漏れた疑念は幸いにも届かなかったらしい。こてん、とわざとらしく首を傾げ、おくちでちゅう♡ しないのぉ……? と笑われる。にまにまと細められた目は寺に来るヤンチャな小学生を相手にするときと同じ、年長者の余裕じみた雰囲気をまとっていた。
「おくちでちゅぅ……♡ しよ……♡」
 嬉しそうに上から重ねられたくちびるは、そういえば最初に自分のちんぽをしゃぶっていたが、そんなのどうでもよくなるくらいやわく、甘い。年下の子供をおちょくるそぶりで仕掛けてきたキスなのに、重ねた瞬間にはとろんととろけ、隙を見て小さな口腔に舌をねじ込めば簡単に腰が砕けた。がくがくとふるえながら縋りつき、尖った乳首をどうにか擦りつけようとする。とてもこちらを未精通童貞おちんちんなどと嘲笑えないはしたないおねだりぶりに、意地悪い気持ちをくすぐられた。
「む、ぅ♡ ぅ、ふぅ、うう……っ♡ んぅっ……♡♡」
 おくちとおくちのさらに先、鋭い犬歯の守るちいちゃな舌を捕まえて、ちゅぱぁ……♡ ちゅぽん……っ♡ ちゅぅぅうううぅぅ〜……♡♡ と吸って、舐めて、甘噛みして、痺れるまでかわいがる。少し深いだけのキスで簡単にゆるんでしまったおくちは、端からつぅ、と垂れる涎を止めることができない。
 一方的にかわいがられるだけのちいちゃなおくちと舌を気丈にもふるわせて、恋人がちゅっ♡ ぷちゅ♡ ちゅぷんっ♡ とこちらに食らいつく。涎と同じに止めるすべをなくしてうるむ目は、負けるものか、と折れない芯が見える反面、ひとゃすき♡ ひとゃのきすきもちぃ♡ もっとしたぃ♡ という淫らな欲望でとろっとろにとろけていた。
「んっ♡ んんぅっ♡ んぅ〜〜〜ーーーーっ♡♡♡」
 この部屋は今、性の香りのほとんどしない恋人の、たまさかに魅せる強烈な色香だけで満ち満ちている。一生懸命に優位を保とうとしているけれど、ちんぽが挿入らなければなんとかなるという浅はかな考えも今や風前の灯だ。
 頭と同じによく回る舌を口腔ごと好き放題に蹂躙され、ぎゅぅ、と目を閉じて耐えるしかない恋人が弱いのはちんぽじゃない。キスをしているだけなのにがくがくとふるえる腰を撫でまわし、その下でぷりぷりと揺れる尻を掴んだだけで潮を吹いて達してしまう恋人は、俺に弱いのだ。
「はぁっ……♡ ぁっ♡ ふぁ……ぁ♡」
「おくちでちゅぅと、おしりなでなでだけでおしおぷしゅ〜っ♡ ってエッチなおもらしイキしちゃったなぁ……?」
 くちびるを解放し、『ママ』ならちゃんとおまんこキスイキします♡ おしり触られてイキ潮出ます♡ って言わないと、と息も絶え絶えで真っ赤な顔の恋人を理不尽に責めれば、ごめんなしゃぃ……♡ と甘イキ声で謝られる。同時に無意識に掴んだ尻を揉みしだいていたことに気づいて手を離すも、すぐさま両の手のひらにむっちりとした重みが帰ってきた。
「……エッロ……」
「んぁ♡ っにゃ、に? ぉしり、はなしてぇ……っ♡」
「なぁんもしてねぇよ……むしろ俺は離してやったのに、お前のやらしぃエロ尻がもっとさわって♡ って戻って来てんだよ!」
「ほぁっ♡ しょ、らのぉ……?! しらにゃぃっ♡ ごめ、なしゃぃぃ……♡」
 手のひらでは収まりきらないぷりぷりぷるぷるとした尻肉を堪能し、ぱちゅぱちゅ叩きながら尻穴を広げるように両手で持ち上げる。少し前まで凶悪なおもちゃを咥え込んでいたすけべまんこは、くぽ♡ んぱ♡ と恥ずかしい音を立ててローションをこぼした。
「ったく……! おまんこすることばぁっか考えてるエッロい『ママ』には困ったもんだなぁ?」
「ごめ、なしゃぃ……♡ でもぉ……♡ ままがおまんこ♡ したいのは……♡ ひとゃくん♡ だけ、だから……♡♡」
 おまんこがえっちしたい♡ ってきゅんきゅんしてももうおもちゃちんぽと浮気しないからぁ……♡ とむちむちとまろい胸元と、こりこりにしこった乳首を押しつけられる。あからさまな媚びは他の相手なら迷惑だが恋人なら話は別だ。天邪鬼で頑固で誇り高い恋人が、はしたなく欲を乞う姿など滅多に見られるものではない。
「……おまんこはしてやれねぇけど、おんなじくらいやぁらしぃトコ、ぜぇんぶヨクしてやる」
 真っ赤な耳を捕まえて流し込んだ言葉から逃げようとする身体を捕まえて、振動で乳首まで擦れるように尻を揺すれば、すけべなおまんこはきゅぅぅう……♡ とすぼまって、おちんぽだいすきまままんこイキますっ♡ と宣言してしまった。ぷるる……っ♡ と弱々しくふるえ、わずかに潮を吹いて達するのに背筋がぞくぞくとする悪い満足感で心が満たされる。
「おちんぽだぁいすき……♡ なママまんこ♡ 乳首すりすり♡ とお尻ぷりぷり♡ だけでまぁたイキ潮ぴゅっぴゅ♡ しちまったなぁ……?」
「ふぁああ……♡ らてぇ……♡ ままのちくびもぉ♡ おしりもぉ……っ♡ ぜぇんぶ、ひとゃくんがえっちにしたからぁ……♡♡♡」
「『ひとやくん』が悪いって?」
「ちぁぅ……っ♡ まままんこがえっちなのがわるぃ……♡ えっちにしてくれたひとやくんとぉ♡ すぅぐえっちしたい♡ まままんこいくいくっ♡ ってすりゅ、おちんぽだいしゅき♡ まままんこがわりゅぃ……♡」
 ごめんらしゃぃ……っ♡ と、恥ずかしいセリフで責められた末、謝罪しながらちんぽをしゃぶるときのようにきゅっ♡ とおまんこを締めて絶頂する恋人はしかし、やはりどこか物足りなそうだった。くぷ♡ くぽ♡ といつでもどこでも即生ハメ♡ するために、たっぷり貯め込んだローションをしたたらせるおまんこは、俺のちんぽで塞ぐように教えたから仕方がないのだが。
「……ひとゃ、くん……っ♡ ままの、えっちなわるぅぃおまんこ……♡♡ でぇ……♡ ひとやくんに、ごほうし……♡ させて、くだしゃぃ……♡♡♡」
 ちんぽ乞いする尻から手を離し、腰を支えるように掴みなおして、さてどうするのかと見ていると、さらに胸元を密着させ、こちらの腰あたりに絡めた足をぐ、とさらに深くする。このまま完勃ち乳首とぷるぷるちんこで擦りつけオナニー奉仕を続行するのかと思い、どんな意地悪をしてやればはしたなく絶頂するかを考えた。
 ところが恋人はすりすり♡ と身を寄せて揺らすものの、ん♡ と小さく喘ぐばかりで、乳首でおまんこイキ♡ しようとする気配がない。予想外の事態に頭を捻っていると、乳首とちんこで甘イキしたらしい恋人が、よたよたと片手を伸ばして萎えたままのちんぽをぱくぱく♡ と物欲しそうに開閉するおまんこへと挿入れようとしていた。
「コラ……! やめろって」
「ゃあだ♡ まままんこで……♡ ひとやくんに、ごほーしする♡ って……いっただろ……♡♡」
 だからやめない♡ と触れるだけのくちづけをいくつもされて、黙らされる。こちらの言葉を封じる、ちゅ、ちゅ、とかわいらしいリップ音にまぎれ、ぽっかり開いたまままんこにむちゅ、ぬちゅ、と萎えたままのちんぽが押し挿入らされていった。
「いつもより……っ♡ やぁらかくて♡ ちっちゃいけど……♡ あつぅい……♡♡♡」
「この、バカガキ……っ!」
「ひとゃくん、おくちがわるぅい……♡ ……いまは、ひとやくんがせーつーも♡ おまんこ、も……あ、でも、いまぁ……♡ ひとやくん♡ ままのおまんこでどーてー♡ そつぎょう……♡ しちゃったね……♡♡」
 あかちゃんそつぎょぅしたばっかのおこちゃまなのに♡ おちんちんぴゅっぴゅ♡ するよりさきに、どーてーそつぎょう♡ なんてすごぉい♡ とくすくす笑う。ママとして甘やかしたいのか、煽って嘲りたいのか。挿入ったのはさきっぽとそこから数センチばかりだったけれども、乳首とちんこを甘擦りしながら、萎えたままのちんぽをまんこでちゅっ♡ きゅぅっ♡ と甘噛みされて、頭がおかしくなりそうになる。
「くそ……っ! やめろ……!」
「やぁだぁ♡ このまままままんこでおちんちんぴゅ〜っ♡ てしてぇ……♡ せーつー♡ とぉ♡ どーてー♡ そつぎょぉしょぉ……♡♡」
「だぁから……! 勃たねぇんだって……!」
「わかんねぇ、だろぉっ♡ いままでいぃっぱぃ♡ おちんちんずぽずぽ♡ してぇ……っ♡ おちんちんみるくびゅ〜っ♡ ってしてきたまままんこならぁ……♡♡ じょーけんはんしゃで、おちんちん♡ すけべまんこたねつけするぞっ♡ ってぇ♡ なるかもしんねぇだろ……♡♡」
 おら♡ なんて怖くもない声で睨みをきかせて、おまんこをぎゅっ♡ ぎゅっ♡ と締めつけた。硬くもならない、太くもならない、浅瀬を擦るばかりの素のままの大きさのちんぽはディルドよりずっと物足りないはずだろうに、へこへこ♡ かくかく♡ と腰を振りながら、ぁぅうっ♡ ゃぁぁあああ……♡ と嬌声を上げて達してしまう。擦りつけオナニーも捗っているようで、ふにゃりとしたままのちんこからは絶えずおもらしをしていた。
「お前……尻ン中に挿入りゃなんでもいいのか?」
 なぁ、ととろけた金色に問いかける。何も感じないわけではない。濡れて湿ったナカに包まれて、一生懸命にヨクしようと奉仕され、けなげに愛され求められるのはわかるけれど、それが快感となって届かない。勃起さえすれば、という嫌になるほど考えた事柄が頭を過っては振り払う。
「なんれもにゃ、なぃ……♡ やっぱひとやがぃぃ……♡」
 こっちの気持ちを知ってか知らずか、ひどい意地悪い質問をしたのに、うるんだ目をうっとりとさせて綺麗に微笑んだ。快感に甘くなきながら、おもちゃのにせものちんぽより、じぶんのゆびより、やっぱりひとやのがいい、と舌足らずに喘ぐ恋人の言葉に嘘はない。
「かたぁくも、ふとぉくも、でかくもならない……いちばぁん奥のエッチなとこにびゅ〜っ♡ ってしてもやれねえちんぽでも?」
 硬さも太さも大きさも、射精すらおもちゃによっては満たすことが可能だ。今も根っこからさきっぽへ、子種を搾りとろうとするおまんこはずっときゅん♡ きゅぅっ♡ とわなないて極めてはいるが、本当に気持ちいいのかと疑ってしまう。
「かたぁくも、ふとぉくも、でかくもなんねぇし……いっちゃんぉくの、ちんぽじるほしーとこ、ぜぇったい、なんもくんねぇだろぉけど……。そんでも、ひとゃのがいちばん……っ♡ きもち、ぃ……♡♡」
 ず、ずぅ……♡ と乳首とちんこを擦りながら、おまんこをぎゅっ……♡ とすぼめて達した恋人をどこまで信じていいのかわからない。あまりにも感じやすく躾けた身体は、かわいがれば簡単に絶頂に至ってしまう。そのいやらしく、愛らしい性質が、恨めしくなる日が来るなんて思わなかった。
「しんじてねぇなぁ、ひとやくん……♡」
「そんなのしょうがねえだろ……」
「いつもすっごぉいつよつよおちんぽだもんなぁ♡ ……でも、しんじてくんねぇと、きずつくわぁ……♡」
 そう言うと、す、と縋りついていた身体を離す。肩に手を置いて向かい合い、肌での密着が解けたぶん、より深くキツく、結合部が交わった。
「ふ、ぅ……っ♡ ぁ、んっ……♡♡ ほ……ぅっ……♡ ちんぽ……っ♡ き、たぁ……っ♡」
 器用に腰をゆすり、たっぷりと仕込んだローションの滑りを利用して、ぐぶん……っ♡ と勃たないちんぽを一気に飲み込んだ恋人がびくびくん……っ♡ とのけ反って達する。距離をとったぶんだけ、ふにゃりとしたちんこの粗相が目立つが、擦りつけなくとも、勃たないちんぽだろうと、恋人が感じている証左を見せつけるには十分だった。
「ん、なぁ……♡ せっそぉの、ゆ、ことぉ……♡ わかった、かぁ……♡♡ ひとゃの、ちんぽ……きもちぃ、のぉ……♡」
「あぁ……わかった……」
「ひゃは……♡ せ、そぉ、な……♡ いまの、ひとゃの、ちんぽの……♡ とく、とくってするとこ、すき……♡」
 かたくて、ふとくて、でかいときの、どきどきどくどくってすんの、すごいつよくて、きもちぃけど、いまのとくとく、もすき。だきしめたくて、ぎゅっ、てして、そんで――
「いっぱぃ、ちゅう、したぃ……♡ しりでも、くちでも、ひとやに、いっぱい……♡ すきって、したい……♡」
 けなげでいたいけな告白の後、ちゅぅ♡ ちゅ♡ とくちびると結合部の両方からかわいらしいリップ音が響いた。不言でも有言でも実行する恋人の『好き』は、今も昔も心を偽らず飾らない。
「なぁ、ひとゃ……♡ ちんぽたたなくても、せっそぉ、ひとやがいちばんきもちぃ、し……♡ いっちばぁん……ひとやが、すき……♡」
 じじいになって、ほんとのほんとにたたなくなって、せっくすしたいとおもわなくなって、そんでも、それでも、ひとやがいちばんすきで、ひとやといるのがいちばんすきだから、なんて。綺麗な顔を幼くくずして笑う恋人に、自分が恥ずかしくなってしまう。
「俺だって、そうだよ……!」
 セックスだって、ハグだって、キスだって、全部ただの手段だ。目の前の最愛に、あふれてこぼれた言葉にならなかった全てを伝えて届けるための、ただの方法でしかない。そんなこと、わかっているのに迷って、疑って、誤ってしまう。
「そーしそーあい♡ りょーおもい♡ ……だなぁ♡」
 うれしぃ……♡ そう控えめに結んで、恋人にまたくちづけられた。軽く重ねるだけのくちびるはすぐ離れてしまいそうなのにぴったりとくっついていて、勃たないままのちんぽを熱心に咥え込んだナカを思い出させる。どちらもちゅ♡ ちゅう♡ と少しずつ重なる場所を変え、深く強く繋がっていった。
「ひとゃぁ……♡♡ すき♡ すきぃ……っ♡」
「俺も好きだ……好きだよ……」
 はしたない色に濡れてなお無垢な眼差しで、恋慕われて愛を告げられる喜びが胸いっぱいに広がっていく。くちづけと言葉を何度も交わし、一度は離れた身体をもう一度引き寄せて抱きしめる。触れ合うたびに熱く切なくなるのを鎮めて、高めて、満たしあっていく。
 腕の中、自分だけをまっすぐに見つめて、出会った頃と変わらぬ愛をうたう恋人をどうして信じきれなかったのか。どれだけみっともない姿を見せても命をかけられる家族だと、死んでも切れぬ縁だと言ってくれたのに。
「だぁからぁ……しょぼくれたかおすんなって……♡ ひとやくんはぁ……♡ いまはおこちゃまなんだから……♡ ままのおまんこによしよし♡ ってされて……♡ おちんちんぽかぽかするなぁ〜♡ って……♡ してればいーんだよ♡♡ ほら♡ おちんちんいーこいーこ♡ おまんこでいぃっぱい……♡ なでなでぎゅっ♡ ってしてやるよ……♡」
 ひとゃくんかぁわいぃ♡ と完全に幼児をあやす仕草で愛撫し囁かれる倒錯的な雰囲気に、まずいと思いながら逆らい難い。十六歳下の恋人に母性を感じるなんて、と抗う心を、歳の差なんてないように振る舞われてきたこれまでが、いいじゃないかと有耶無耶にしようとする。いいわけないだろう。恋人は親ではないし、無償で甘やかしてくれるだけの存在を恋人と呼ぶのは我慢ならない。
「まぁためんどくせぇことかんがえてんだろ♡」
「……っめんどう、じゃねぇ……!」
「じゃ、がまんなんないことだ……♡」
「それもちげぇよ」
 うそつき、とやわらかいくちびるがまた無遠慮に降ってきた。ちゅ♡ ちゅ♡ とくちびるからだんだん上へと向かい、最初と同じようにむちり♡ とした胸元に顔を包まれる。しかも今度は作務衣の胸元は乱れ、ぷくん……っ♡ とふくれた乳首が直に当てられた。
「あかちゃんまで、もどっちまえ……っ♡」
 上から下からぎゅむぎゅむ♡ と肉厚な檻に閉じ込められて身動きが取れない。くちびるを狙って乳首を擦り寄せられると、下手に喋って怪我をさせたら、と不安になって黙ってしまう。そうやって大人しくするとおらおら♡ と顔中を乳首でくすぐられ、どんどん硬くそそり勃つ乳首がこりこり♡ ぷりぷり♡ と襲いかかってくる。
「ままのおっぱい……♡ ちゅっちゅ♡ しながらぁ……ん♡ おまんこでおちんちんよしよし♡ されてぇ……♡ ひとやくん♡ あかちゃんになっちゃえ……っ♡♡」
 んっ♡ と鼻を鳴らして、ぷりゅぷりゅ♡ 乳首がくちびるのあわいに飛び込んできた。離そうにもすぐに上からぎゅぅっと胸を押し付けられて逃れられず、自然とすぼまったくちびるでちゅぅぅ……♡ と吸っておっぱいをおしゃぶりしてしまう。
「んっ♡ ぁん……っ♡ ひとやくん、おっぱいじょーず♡ いっぱいちゅっ♡ ちゅっ♡ ってできて、すごぉい……♡ おっぱいちゅっちゅ♡ しゅごぃっ♡ しゅごぃじょぉずらねぇ……っ♡ ♡♡ ぁうっ♡ ほあ、ぁぁぁ……♡ ひとゃくん、しゅごぃぃ……っ♡♡ まま、もぉ……♡ おっぱいちゅっちゅ♡ でぇ……っ♡ えっちなまままんこ……っ♡♡ いっちゃぅぅううぅぅっ……♡♡」
 ままらのに……っ♡ となきながら、そのくせしっかりと乳首と胸を押しつけて、おまんこでもちんぽをきゅん♡ きゅん♡ と捕まえて離さない。いく♡ いっちゃぅ♡ という喘ぎどおり、自分とは違う理由で勃起をしないちんこが、ぷしゃぁ♡ しょわぁ……♡ と絶頂を告げる粗相をくり返すのは、どちらが赤ちゃんなのかと疑問が首をもたげた。
「ひとゃくんのおちんちん、かわいいままでよかった……♡ ……もしもおちんちんかたぁくなってたら……♡ ままのおまんこ♡ ずぅっと……♡ ひとやくんよしよし♡ しなきゃだめだった……♡」
 心底から安心したように『勃起しなくてよかった』と言われるのも複雑なものがあるが、たしかに萎えたままのちんぽでも盛大なおもらしまでしてイクのだ。他の性感帯への刺激もあったとはいえ、萎えたちんぽを包むナカは普段の絶頂したときと同じ、きゅん♡ きゅうぅ♡ びくびくん……っ♡♡ というきんたまから子種を搾り上げる貪欲で淫らな働きをしている。
「……ひとやくん、きもちぃ……? ままばっかちくびとか……おまんこ♡ で、いくいくって……してる、から……」
 乳首をしゃぶったままの情けない顔を、イキ潮を吹いておまんこ絶頂した熱の引かないいやらしい顔に見下ろされた。八の字に歪んだ眉と目は、快感の余韻だけではない不安も漂わせ、自分ばかりイッているという負目で翳っている。
 恋人にこんな顔をさせるためにセックスをするわけでも、一緒にいるわけでもない。自分といる時が一番好きで、幸せだと言うけなげな恋人の、一番綺麗でかわいい、自分だけに見せる姿を独り占めするためにいるのだ。
「ひっ♡ ぁんっ……♡♡ ひとゃ、くん……っ♡ や♡ やぁっ♡ やぁぁああぁぁ〜〜〜……っ♡♡♡」
 じゅぅ♡ としゃぶっていた乳首に、さらに強く吸いつき、びんっ♡ と完全勃起させて硬く尖ったさきっぽを舌でくじる。最初はくすぐったいとすら言わなかったそこは、今では服が擦れるだけで乳輪までぷっくり……♡ と浮かぶほど淫らに躾けられてしまった。中でもひときわ敏感な先端を、ぴんっ♡ ぴんっ♡ ととがらせた舌ビンダで弾いてやれば、おまんこはかわいいおちんちん♡ にちゅぅ♡ と媚び、慎まやかなちんこはまた粗相絶頂をしてしまう。
 相変わらずちんぽは勃たない。こんな甘ったるくてかわいくて、これを聞いてちんぽが勃たないならどうしようもないほどエロい喘ぎをゼロ距離で浴びてなお勃たない。みっともないくらい感じまくって、上から下からびしょびしょの痴態を密着した状態で味わってなお勃たない。勃たないから、なんだと言うのか。
「……未精通のおこちゃまちんちんでこぉんなイキまくるやぁらしくてかぁわいいママ……♡ 最高にイイに決まってんだろ……!」
 乳首絶頂で脱力した恋人がふわふわとしたまま気をやらない内に、お前だけじゃない、と伝えてやる。ちんぽが勃たない今、恋人が感じるような狂おしい熱はくすぶるばかりで、問われたような気持ちよさはない。だとしても、そんな自分でもいいのだと愛され、求められることに胸と腹が満たされていく。セックスのときと同じか、それよりも深く。
「ん……♡ なら、よかったぁ……♡♡」
 またちゅうしたい♡ とずりずりと頭を下げた恋人にされるがまま、ちゅ♡ ちゅぅ♡ とくちづけを受け止める。好き、好き、と額に、まぶたに、鼻先に、くちびるに――絶えず降り注がれるやわらかな愛の告白にこたえて、ちゅっ♡ ちゅう♡ と同じ場所をなぞれば、くすぐったそうに身をよじって笑った。
「あとで空いてる日を教えてくれ」
「あしたでいーよ。……ひとやのいちだいじっていえば、おやじもきれねぇだろ……」
「やめろ……生命に関わると思われるだろ」
 イキまくった反動か、くんにゃりとした恋人がまぶたを重そうにするのを抱き止めて、寝物語に言質をとろうとすると思わぬ大問題にされかけた。そんな言い方をして病院に行くなんて、重病か何かと勘違いされてしまう。後でEDだとわかったときにいたたまれないのは恋人以外の関係者全員なのだ。
「あぁんなにしょぼくれてたくせに」
 呆れたようにこつん、と額で額を小突かれたが、ある意味では生命に加えてプライドに関わるのだから許してほしい。それに今はそれほど落ち込んでも悩んでもいない。
「……優しくてかわいい恋人にあんだけよしよし♡ なんつって励まされて、いつまでもうじうじしてたらカッコ悪ぃだろ」
「ばぁぁぁか……。なんどうじうじめそめそかっこわりぃことしても、なんどでもけつひっぱたいてやるし、いーこいーこ♡ ってしてやらぁ……」
 上から下までどろどろびしょびしょのどうしようもない格好で顔だって全然しまらない、快感の余韻も色濃い有様の眠そうにまぶたの落ちかけたものなのに、なんでこんなに美しく頼もしく、輝いているのか。
「誰がバカだクソガキめ」
 あらためて讃えるまでもない事実を胸にしまい、悪い口が放った厳しい愛の言葉に遠回しに頼んだ、と返事をする。きっとまた迷うだろう時に、躊躇わずにバカと言って引っ叩いて手を引いてくれる恋人は、すっかり安心したのかまぶたをおろし切っていた。
 誠に得難い、懐におさめるには尊大な恋人を、腕の中にしまい込む。こちらの萎えた逸物を咥えたままなのを抜こうとして、やめた。すよすよといたいけな面持ちで眠る恋人のナカが、最中に自分が言われたように穏やかで離れがたかったのだ。とくん、とくん、と静かに、けれども確かに好きだとうたう。せまくてあたたかい、自分だけに許された場所。
「とんだ子守唄だなぁ……」

 このままつられて寝落ちないようにしよう――と気合いをいれたものの、そのままばったりとベッドに倒れるのは薄々わかっていた。優しくあやされ夢見心地のまま熟睡し、待望の勃起――ほぼ一カ月ぶりの朝勃ちで胎の中を抉られた恋人の甘ったるい抗議で起こされたのは、ED含め二人だけの秘密となっている。

2023/9/18


一周年のくわだて
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