今日の尻
奔放さに反して存外ガードが固い恋人は、それでも油断すると色んなところが開けっぴろげになる。父親である住職が衣服の乱れは心の乱れと言っても、ちゃんとしなきゃいけないときはしてるだろと聞かないと嘆いていた。
実際、常のスカジャンと合わせ、じゃらじゃらと派手派手しいアクセサリーを身につけた姿で法事は行なっていない。なにより『ちゃんとした』恋人がしゃんと背筋を伸ばして法衣を纏う姿は惚れ直すには十分すぎた。
なんであれ恋人のガードは固い。否、固くしている。それとなく露出を抑えめにするように促し、普段からちらちらと覗いて密かにセクシーと囁かれる胸元は譲った。それぐらいのガス抜きをしないと、ファンも空却自身も窮屈さに耐えかねて何をするかわからない。だから首から胸元あたりの露出をあえてさせている。
そうまでして守ろうとしているのは尻だ。乳首はこれまでの露出の傾向上、見えそうで見えないのが良いと言われて見せないようになっている。
問題は尻だ。俺が抱くようになってからむちむちぷりぷりといやらしい肉づきになった恋人が、ボトムスに選ぶのがサルエルパンツでよかったと何度思っただろう。ぴっちりとしたデニムやレザーならば大惨事になっていた。
「あのなぁ……っ! も、しり、もむな!」
「あ?」
ベッドの上、四つん這いになって尻だけ高く上げた恋人がぎゃんと吠えた。手のひらに乗った真っ白な尻をゆさ、とふるわせての威嚇は怖くもなんともない。ぎ、とどうにか睨みつけてくる目も形式的に鋭いばかりで、今にもうるんでこぼれ落ちそうだ。その顔で尻を揉むな? 天邪鬼にもほどがある。
思わず出た恫喝するような声に内心どきりとしながらも、尻を揉む手は止まらない。触るな、と言うように上下左右に揺れるのも煽られているとしか思えない。手のひらの上、力めばぎゅっと身が締まり、緩めばもっちりとやわらかな尻が踊る。
「だ、から……!」
「俺が俺の育てた尻を揉んで何が悪い」
「わるいにきまってんだろうが!」
獄が何をしようと拙僧の尻は拙僧のものだ、と怒りにふるえる尻を宥めるように撫で、揉む。はじめは昔のアニメの歌みたいに小さな尻がきゅっ、としていた。筋肉ばかりでやわさのない、ゼラチンの多いゼリーに似てぷりんっとした尻を気長に揉みしだき、ババロアのようにぷるりとやわらかく、少しもったりとした尻に仕上げたのだ。
恋人の尻はだらしなく緩んだのではない、日々の鍛錬に加えた愛撫によって育まれたまろやかな美尻は、たゆまぬ努力の成果でしか得られない。手のひらの上で弾み、すべすべとした手触りで喜ばせ、揺れて歪む姿は目を楽しませる。
「ひ、とゃあっ」
さんざかわいがって熱を帯びた薄紅色の尻。そのなかで最もむ、と熱を放つ場所に気づき、ぐ、と割り開く。一際強い抗議の声が上がるが、むっちりとした尻たぶの間には期待にうずく秘裂があった。
縦に割れ、少しふっくらとしたそこは、開かれた反動でとろりと透明な雫をこぼす。尻を揉むよりもっと深い交わりを望んで下拵えをされた身体は、恥じらいで顔を隠すほどいやらしい自覚があるらしい。視線を敏感に感じ取り、ひくひくとふるえると、何かを食むようにくちゅ、ちゅぱ、とはしたない音を立てた。
ごくん、と唾を飲み込んだのはどちらだったのか。どちらでも、どちらともでもかまわない。この身体を知るのはこの世でただ一人だけなのだから。
2024/2/10
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