いっそ乙女のように泣け

 中学生の子供の挑発に乗るつもりなんてなかったのだが、あまりにも生意気で、人の話を聞かず、煽り立てるものだから怒りが勝った。

 事務所の所長室のソファの上、仰向けに転がした子供がひくひくとのたうちながら大股を開いている。上は着たまま、下は靴下だけ履いている状態はなんらかのフェティシズムを持っていると思われそうだがそうではない。下着ごとスラックスを引き下した結果、勢いで脱げた靴に引きずられることなく残ったのが靴下だけだったのだ。
 綺麗に整った顔の子供は身体も同様に、ふるん、と解放された性器も体格相応で色も形も――褒め言葉になるのか疑問だが――綺麗なものだった。それを持ち上げて蟻の門渡り、尻の穴を観察するも、やはり綺麗にきゅ、と締まっている。
 ……これでヤリまくってる、は無理だろう。
 惚れた腫れたとうるさい子供がじゃあせふれでいい、などとのたまい、思わずのけぞった。せふれ、何年前かの恋人がそんな名前の化粧品を使っていた気がする。絶対違うのはわかっているが、目の前で見栄を切る子供も大間違いだ。身体だけという意味なのはわかっているだろうが、セックスフレンドの略称なのを理解しているとは思えない。
 咄嗟に部屋の鍵をかけたとはいえ、せふれせふれとうるさくがなる子供を黙らせるのに焦り、気づけばこのザマだ。押し倒されてぱちくりと瞬きをする幼い顔は何にも塗らなくたってつやつやしていて、頬をうぶ毛が縁取っている。容姿も仕草もまるきりガキ――だとしてもここまでやれば退くだろうと思ったのが甘かった。
『……獄、男はハジメテだろ』
 拙僧は慣れてるから――とカチャカチャとベルトを外し、下着をちら、と見せつける。ボクサーパンツらしき黒いウエストゴムが覗くも、色気のかけらもない普通すぎるところが逆に子供なのだと突きつけられた。
 そうこうする内、おもむろに動き出した手が下手くそなストリップをはじめそうなのに無性に胸が騒ついて、先んじて脱がし、足をがばりと開かせる。呆気にとられていた子供もすぐに自分があられもない格好をさせられているのに気づくがもう遅い。
「セフレ志望のエロガキまんこ、俺のちんぽが挿入るかテストしてやる」
 挿入らなきゃ話にならない、と目を白黒させる子供に囁けば、そうこなくちゃなぁ、と目を細めた。

「キッツいまんこだなあ……。これまでの相手はずいぶん小さいちんぽだったみたいだが、俺のはこれじゃあ挿入らんぞ?」
「ふ、ぅ……っ」
 どこからどう見てもさらっぴんの尻の穴は、くぽ、くぱ、と広げるとすぐにきゅ、きゅ、と締まって戻ろうとする。こんな締まりの良い穴がヤリまくりなわけがない。
 ゴムはないのかと聞いたときもごむ? などと言いやがった。今時は義務教育でやるんじゃないのか。やるにせよやらぬにせよ、ゴム無しセックスにすら興じる淫乱の尻ではますますもってない。
 仕方なしに財布からゴムを取り出せば、興味津々という目でじ、と見つめられた。目の前のクソガキのせいで忙しく、恋人とも少し前に別れたばかりで、ゴムを持つ指先が気になってしまう。
 何にも知らない綺麗な顔と身体を放り出されて、俺ばかりが気をつかっているのはおかしくないか? 湧き上がる恨み言にしかし、顔と身体ばかり育った分別のつかぬ子供を怒りにまかせて押し倒してひん剥いた時点で、気づかいなど水泡に帰している。
 行為前の下準備など知識になさそうな子供の尻に直接指を挿入れたくない。このゴムはヤリマンを気取る子供への気づかいではなく、可哀想な俺自身への優しさだ。
 ぴぃ、と破いたパッケージから取り出したゴムを指に被せる。数ミリ伸びた爪が引き裂きやしないかと調整していると、子供が小首を傾げた。
「ちんこにつけんじゃねえの?」
「……お前、本っ当に人の話を聞かないな。今までの粗チン相手ならいいだろうが、今のお前のまんこじゃ俺のちんぽは挿入らねえんだよ」
 指いっぽんだってスムーズに挿入るかどうかもわからない、どっからどうみてもヴァージンの尻穴にゴムをつけた指をそえる。穴に手一杯だったが、さっきまでへにょりとしていた子供のちんこが先走りをこぼしながら勃起していた。
「まんこにちんぽ挿入るってだけで期待しやがって……!」
「ぁ、んぅっ!」
 ゴムをつけていない指で尻を広げ、ピンクの膜を纏った指をほんの一関節分、ちゅぽ、と挿し込む。やわらかくなまあたたかいのは尻も膣も変わらない。初物の穴がキツいのも。
 違ったのは子供の反応だ。まだほんの数センチ、指を挿入れただけで、狭くキツい尻穴はきゅうきゅうと締めつけて絶頂してしまった。先走りをもらしていたちんこからもぴゅぅっ、と胸元まで精を放ち、あらぬ汁で服を汚してしまう。
 予想外の展開に抜き損ねた指が、宙ぶらりんのまま子供の尻穴に居座っている。おかしい。俺の計画では狭くてキツい尻穴をいじられて痛がる子供を問い詰め、ヤリマンではないと自白させるはずだったのだ。俺だからヴァージンの尻穴が傷つかぬようにしてやったが普通なら都合のいいオナホ扱いだと言って、二度とこんなことさせないつもりだった。
 それがなんだ。たった数センチ指を挿入れられただけできゅうきゅう締めつけながらイクような処女尻穴があるか。控えめに喘ぎながら射精までして、ぼんやりにじんだ目でわけがわからないと訴えるな。俺だってわからない。
「ひ、ぉやぁ……」
 こわい、と言う代わりのように名前を呼ばれ、俺が泣きたくなった。俺がもっともっと悪い大人だったなら、指の先っぽで簡単にイクすけべまんこなら粗チンでも大満足だったろうな、などと言って子供を意地悪く責められたのに。
「こりたろクソガキ」
 抜こうと思って引いた指は、締めつけられたまま離してくれなかった。

2024/3/8


BACK
作文TOP/総合TOP