今日の乳首

 身体がひどく熱いー
 ぐらぐらと頭がうだって、うんうんと唸った。
 胸元がびりびりとしびれて、腕や足も引きつったようにびん、と動く。
 しゅ、しゅ、と衣擦れにしてはおかしな音がして、何かおかしい、と思うと同時に目が覚めた。

「ふぁっ!」
「ん、起きたか」
「あ、ひとや……?」

 声のする方に顔を向けると、どうやらよりかかって寝てしまったらしい。気恥ずかしくてどこうとすると、がっちりと押さえこまれているのに気付いた。
 右手で本を読みながら、左手は脇の下から胸に回されている。前後にぐらつきでもしたのだろう。腰掛けているソファの前のローテーブルにたいしたものはないが、これ以上バカになるのも、家具を破壊するのもないに越した事はない。
 もう起きたから腕を外していい、と軽く胸に当てられた手を叩く。どれくらいの間かはわからないが、片手で本を読むのは地味にキツい。すぐ離されると思ったのに。

「ひ、ぁんッ」

 叩いたのが合図かのように、手のひらが胸をしゅう、と撫であげた。驚いたのはそれ自体じゃない。軽く撫でられただけなのに、それも、少し厚手のパーカーを着ていたのに、胸が、乳首が、きもちよくて、変な声が出た。

「ひとや……ッ」
「はじめは親切心で支えてやったんだよ」
「あっあっ……!」
「そしたらなんかコリっとしたもんが当たってなあ」
「あっ、あんっ、あ、あぁ」
「パーカーの上からなのに、こんなビンビンになって、触ってほしそうにしてるから……まあ、これも親切心だな」
「やぁ、あ、ばか、あっ、あっ、ひっ!ああっ」

 獄の、ペンを持つ手が、コーヒーを注ぐ手が、ハンドルを握る手が、力強くて綺麗な手が、いやらしく動き回る。
 パーカーで粒立った乳首を包んで、そのまましゅこしゅことしごかれる。ざらりとした裏地が敏感になったそこを刺激して、さらに固く勃起してしまう。
 一度ぱ、と手を離されたけれど、手のひらから解放された場所は、厚手のパーカーごしでもぷっくりと膨れて、乳首も、そのくびれや乳輪まではっきりわかるほどはしたなく変わっていた。
 恥ずかしくて、でもきもちよくて、身体中が燃えるように熱くなる。見たくないのに目がそらせない。
 するとまた、いやらしいいじわるをする手が伸びてきて、テントを張る乳首の先っぽを人差し指と薬指で挟む。これからここをもっとはしたなくするために、たくさんいやらしいことをするのだと言うように。
 きゅう、と挟まれたまましゅ、しゅ、とくすぐられ、勃起したままの先っぽを中指でぐ、とほじられる。いつもより爪の伸びているけれど、パーカーごしだからその鋭さがちょうどいい。布地のやわらかなざらつきが爪先にまとわれて、かりかり、ざらざらと快感で高められた乳首をさらに煽る。
 直接触られるのとは違う、いつも着ている服で、いやらしいことをされて、きもちよくなっている。
 片っぽだけでこんなにきもちいいのに、もう片っぽもさわられたら。

「ひ、とや……」

 斜め後ろに視線を流し、続きをねだる。
 きっと、それを待ち焦がれているから。

2021/02/06


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