今日の乳首2

 ことのはじまりは十四のインナーって着てます?という質問だった。
 クソ暑い夏の真昼間。下はいつものサルエルパンツ、上はタンクトップ一枚で、それすら脱ぎたいくらいなのにインナーなんぞ着るわけがない。
 今は着てないが、季節、状況、そんなもんで違うからまちまちだと答えたら、やっぱり……と重そうに息を吐いたのち、自らを鼓舞するようにぐ、と手を握る。
 何がはじまるのかと思ったら、ものすごく、言いにくそうに、けれどもしっかりと。
「く、くうこうさん!ちちちきゅびういてりゅから!きたほうがいいっす!」
「噛むな」
「そこっすか?!」
 十四曰く、普段の法衣ならさほど気にならない。ただ、薄いシャツやタンクトップ一枚だと気になる、らしい。
 ほとほと疑問で男の乳首なんざ誰が気にすんだかと言ったら、げんなりとされた。
「いるじゃないっすかぁ……」
「はあ?誰だよ」
「獄さんっすよ!付き合ってるんすよね?!」
「獄ァ?付き合ってっけどなんで気にすんだよ。いつも拙僧の乳首好き放題にしてんのに」
「はぁ〜〜〜だからっすよぉ……」
 獄さんかわいそ……と項垂れる十四にともかく下になんか着ときゃいいんだな?と確認を取ると、ああもうそれでいいっす……と投げやりな答えが返ってきた。お前が話ふったんだろうが。
 よくわからんがともかくインナーを着ればいい、と。
 ところがどっこい、そうは問屋がおろさない。ちょうどびしょびしょだったタンクトップを脱いで、新しいものに替える。そしてその上からTシャツを着てみて、はじめて事の重大さに気付いた。
「ああ、なるほどな……」
「……わかってもらえたみたいでよかったっす……」
「ヒャハハハハハ!めっっっちゃ浮いとるな!!」
「なんで爆笑するんすか!?」
「いや、今まで自分の乳首が浮いてるかとか気にしてなかったから……中着ても浮いとるとか……ヒー……腹痛……こりゃ十四の言うとおりだわ。腹筋が死ぬ」
「そういうことじゃないんすけど……わかってもらえたならよかったっす!」
「でも乳首浮いてんだよな」
「ニップレス……なんて持ってないっすよね。絆創膏、乳首の上から貼るといいすよ!」
「そんなら腐るほどあるわ。しっかし……絆創膏貼るのか……浮いた乳首のために……ヒィー……クソウケる……」
「自分の乳首が浮いてるのがそんな面白い人、空却さんしかいないっすよ」
 かわいい弟子を締め落としてから、乳首に絆創膏を貼ってみるとインナーを着るより効果がテキメンで、これならタンクトップ一枚でもいいなとTシャツをしまい込む。
 畳の上でぐったりとする十四に悪かった、お前は最高に師匠思いの弟子だ、今度なんか奢ってやると合掌しながら言ってやると「じゃあタピオカがいいっす!」と元気いっぱいに復活した。現金なことだ。
 ともかくこれで浮き乳首問題は解決。ニップレスは十四が使ってないあまりをくれることになったから、それまでは絆創膏でしのぐことにした。
 多少気になるものかと思っていたが、一回貼ってしまえばなんのこともない。そもそもこれまでも乳首なんて気にならなかったのだ。一時間も経つ頃には貼ったことも忘れていた。
 そうして何もかもすっかり忘れたまま、夕方、バンドの練習があるからと帰った十四と入れ替わりに獄が訪ねてきたのだ。



 寺では人が、なによりも親がいるからシタくない。
 抱き合ってキスするくらいなら、もし見られてもこっぱずかしいですむ。それ以上は、シテいるのなんてバレているというか、獄が作っている『お宅の息子さんと交際する上でのウンチャラカンチャラ書面』にしかつめらしい言葉で『お宅の息子さんとヤリまくってます』と書いてあるからバラしているというか。ともあれ身内に見られたいものではない。身内でなくともイヤだが。
 しかし地球も溶かす暑さにはさすがの無敗の弁護士先生もお手上げらしい。普段なら完璧にセットされている髪の毛が乱れ、夏用の風通しのいいシャツも汗染みがついている。
 いいスイカを貰ったが事務所じゃ食いきれんと手渡されたのは木の良い匂いのする箱入りのもので、かなり重い。
 こんなものわざわざ手で持ってくるなんて、とは言わない。恋人と、恋人の実家にあえてスマートではないやり方でいい顔をしたい男の見栄だ。汗まみれついでのヤケクソもありそうだが。
 ほぼ獄専用と化した客間にむかう道すがら、二人分の麦茶のペットボトルを倉庫から拾う。台所は夕飯だなんだの準備で慌ただしいのだ。
「スイカありがとな。檀家さんからも貰うんだが、箱入りのは久々だわ」
「一玉で二桁万だからな。拝んで食え」
「御本尊と並べとく」
「バチ当たりって怒られんぞ」
「お供えってことで」
 あとで持って行こう、とスイカをよけ、座布団に座ってペットボトルの封を切る獄に向き直る。
 つけたばかりの冷房はまだ効かず、ペットボトルも冷やしてはいないから生温い。比較的涼しい夕方でもべたついた感覚は拭いきれない。
 人目がないから、とボタンを外したシャツから覗く、少し焼けた首筋に胸が跳ねる。別に見慣れているはずなのに、汗ばんだ肌がなまめかしくて、すぅっと伸びた筋や突き出た喉仏に目がいってしまう。
 弁護士は信用商売、外面を整えなきゃやっていけないとフォーマルスタイルを崩さない恋人が、こんなに着崩すことはほとんどない。自身の事務所で、信頼できる職員しかいなくても、無敗の弁護士の鎧は脱ぎ切らない。
 恋人である自分の前だって、今みたいに二人きりでもなければ、肌を合わせるようなとき、しか。
 思い至ると恥ずかしいやら悔しいやら、ギッ、と目をそらそうとしても、首筋と喉仏の先の鎖骨を見てしまう。
 空却だって鍛えてないわけではない。それでも持って生まれた体格というものがある。厚く骨筋ばったボディラインは素直に羨ましい。
 スマートにスーツを着こなしているのだってかっこいい。自分が着ても絶対にこうはならない。そうなりたいわけではないが、イイオトコなのだ。
 そんなイケてる男が恋人である自分しか見れないセクシーな姿で目の前にいる。クソ絶対わかってやってる。こころなし口許が笑ってる気がする。いいや絶対笑ってやがる。もういい、惚れた弱味だ。
「こンの破廉恥弁護士ッ!」
「言いがかりつけんな助平坊主」
 観念して胡座をかいた膝に乗り上げて、首に腕を回して抱きついた。向かい合わせた顔は案の定ニヤニヤとしていて、本当に、こいつのこういうところが気に食わない。
 ニヤつくくちびるに噛みつくように重ねて、ちゅ、ちゅ、と音を立ててそこを食む。口を開けろと舌を伸ばすと、腹のあたりからもぞもぞとした感触がのぼってきた。
 着たおして生地の伸びたタンクトップの中を、恋人の両手が窮屈そうに這い回る。しだいにまどろっこしくなったのか、ぐい、と鎖骨近くまでたくし上げられた。
 二人きりとはいえここは寺、で、家。これ以上は『抱きしめる』の範囲を超えている。離れよう、とした瞬間、両腕を掴まれた。わけがわからずにいると、先ほどまでのだらしない顔はどこへやら、驚愕に見開かれた目で見つめられる。
「獄……?」
「……なんで」
「なんで?」
「なんで乳首に絆創膏してんだ……?」
「あ」
 そうして思い出したのだ。
 乳首が浮いているから絆創膏をつけることにしたのを。



「つーわけで乳首に絆創膏してる」
 経緯を説明する最中も、思い出しては笑いがこらえきれず、しばしば話は中断した。その間も絶対に腕を放してくれず、ヒ、ヒ、と笑うのを眉間に皺を寄せて聞きながら、それで?と続きを促す。めくれたタンクトップは時間と共にずり落ちて元に戻っていた。
「お前、なんで俺が乳首が浮いてるのが気になると思う」
「全然わからん。いつも好き勝手いじっとるだろ」
「だからだ、って言ってもわかんねえか……」
 ため息とともに掴まれた手が自由になる。と、同時に再びぐい、とタンクトップがまくられて、裾を口の中に突っ込まれた。抵抗しようと手を動かすと「暴れて騒いだら誰か来るかもな」と囁かれ、大人しく元の位置に戻す。
 タンクトップを咥えて、胸を剥き出しにして、腕を回して抱きついてるなんて姿。どう見たってこれからヤリますみたいな絵面。絶対に見られたくない。
 でもたぶん、おそらく、確実に、このままだとやらしいことをされる。目の座り方からしてネチネチと。そうでもなくてもしつこいのに。それでも背に腹はかえられぬ。身内に痴話喧嘩の現場を見られるのも、仲裁をされるのも、ごめんだった。
「そんな睨むなよ。痛いことはしないって」
 何言ってんだか、とじい、とさらに目を細めると、また両手が胸へと伸びてきた。抵抗出来ないまま、絆創膏の上に手が触れて、思わずびく、と反応すると、そのまま指でしゅ、とこすられる。
 それから何度も真ん中のガーゼのところをしゅ、しゅ、とこすられて、そのたびにぴく、びく、と体が揺れてしまう。
「見ろ」
 どこを、なんて言うまでもない。さんざん指でいじられたところだ。
 見たくない。見たいわけがない。だって。
「……ちょっとすれただけで絆創膏押し上げるほど勃起する、すけべな乳首」
 そんなこと、言われなくてもわかってる。なのに。ちゃんと見ろ、と耳元で囁かれる。
 うなりながら睨むと、乳首をぴん、とはじかれた。見るまでずっとこうやっていじられる。でも見なくたっていじられる。そんなんどっちも同じじゃねえか。
「なんでわからんかなぁ、お前は……」
 どっちも同じなら見ない、と睨み続けたら、はあ、と何度目かのため息をつく。わかるわけがない。獄が何もしなければ、乳首はやらしくもすけべにもならないのだ。
 聞き分けの悪い子供を見る目だ。呆れて、途方にくれて、どうしたらいいか考えて、でもかわいくてしょうがないという目をしている。そんなのでほだされてなるものかと、首ごと斜め上にそらす。
 自分の乳首も獄の顔も、見たくない。その意思表示は正しく伝わって、それなら俺もわかってもらえるようガンバるよ、とつぶやいた。
「ウ、ンッ!」
「自分のすけべ乳首が浮いてるのの、何がそんな面白いんだ?」
 俺は全ッ然面白くないね、と絆創膏ごと両方の乳首を指で挟んで根本からしごかれる。ガーゼのやわらかい、目の粗い生地で強くすられると、あまさず優しく包まれるのに、触れたところはざらざらと刺激されて、つい背をのけ反らせてしまう。口がふさがっていなかったらもっと、なんて言っていた。おかげで咥えたらタンクトップは涎でぐっしょりとしている。
 しゅこしゅことしごかれ続けたせいか、勃起して絆創膏を持ち上げた隙間に汗がたまって、粘着テープもピリ、と剥がれだす。水分ですっかりダメになったのだろう。口に出せない分、突き出した胸がくん、と引っ張られたと思ったら、絆創膏を剥がされた。
 剥き出しになった乳首を前に、またため息をつかれる。
「……勃起させて、おねだりして……こんなやらしくてすけべなとこ、他人にわかるようにすんなよ……」
 だからそんなの、獄が触るからなのに。獄が触んなきゃきもちよくもなんともないのに。ふさがったままの口がもどかしい。でも、こんな状態で勢いのまま喋ったら、それこそ、獄以外にこんな乳首が見られてしまう。
 せめて、と首を正面に戻し、少しだけ乳首を見る。絆創膏が剥がれたそこは、チラッと見ただけでも赤くなっていた。乳首と乳輪は、温度の変化やちょっとすれただけとは言えない、いやらしいことをされたとわかる膨れ方で、触られるのをやめたのにずっとぷくりとしている。
 そういえばまじまじと見たことはなかった。なんとなくの感触だけであえて見ないようにしていたのかもしれない。だって、たしかに、この乳首は、やらしい。
 じわじわと恥ずかしくなって顔をあげると、少しはわかったか?と言われた。
 自分の乳首が思ったよりやらしいのはわかった。それは認める。でもやっぱり、なんで隠すかわからない。
「なんかまだ合点がいってねえって顔してんな」
「へ」
 急にタンクトップを口から引っ張り出された。涎で濡れたのは裾の方だけで、他はほとんど濡れていない。
 だがまずい。なぜなら恋人は絶対にわからせるまでやめないという目をしているのだ。なにをされるかなんてわかっている。問題は、声ー
「見ろよ、タンクトップに浮いてる乳首。こんなくっきり形でて、服持ち上げて」
「んんッ!」
 タンクトップごしに、勃起した乳首をいじられる。さっきみたいに根本からしごかれて、しっかり勃ったのをきゅっと締められる。着たおされた生地はくたびれてよく伸びて、繊維もどことなく粗い。ガーゼとは違うけれど、同じように全部、今度は乳輪まで、こしこし、とこすられる。
 ずっと我慢していたけれど、いよいよ無理になってきて、足をもぞ、と動かした。ん、ん、と声を我慢しながら、乳首をいじられるのを耐え、足をぐっと合わせる。乳首以外で勃起した場所を隠すために。
 当然、見逃してもらえるわけはない。
「こっちだって……乳首いじると一緒に腰揺らして……」
「このば、かっ!」
「親父さん来ちまうぞ」
「クソ……ッ」
 胡座をかいた足の先が股間の隙間にねじ込まれた。汗でしめった靴下が貼りついて、ばらばらに動く指先がガマン汁でぬめるそこを撫でる。
 もう最悪だ。なんでそんなにこだわるのかわからない。獄のせいでやらしいとこなんて。もう全身そうなのに。
「……拙僧は、獄のこと、見られてもヤじゃねえ」
「あ?」
「こンなイイオトコが拙僧のカレシだって、言ってまわってやりてぇ」
 手足が止まり、じい、と目が合う。自分のだらしない顔が映る目が迷っている。
「いまだって、すげえやらしい獄のこと、見せびらかして自慢したい」
 たぶん致命的に合わない。
 獄は隠したくて、空却は大っぴらにしたい。
 だって自分のものだからーその心は同じなのに、やり方がてんで違う。
 どっちが正しいこともない。ただ、どうしていきたいかは決めないといけない。
「獄のせいでやらしくなった身体も、獄のもんって感じで、イヤじゃない」
 最中やキスマークとかを見られるのはイヤだけど、身体は愛されて、求められた結果が出るだけだ。情事の痕跡が消えてもなくならない証を、変化を、愛おしく思うのは罪ではないだろう?
「獄が、好きだから、隠したいのは知ってる。それもいいって思ってる。でも……って!あっ!ぁん!やっ!だぁ……!」
 一瞬だけ、止まっていた手が動き出す。
 ぐりゅ、と乳首のさきっぽをつまみなおされて、くにくにとこねくり回される。ただ触れられるだけでも力が抜けて、触られてもいない下腹がうずき、腰がだらしなく揺れてしまう。
 乳首しか触られていないのに、ナカがきゅうきゅうと甘く痺れて、背がぞくぞくとのけぞる。射精と違う、胎のナカでの絶頂に、ちんこからとぷとぷと大量のカウパーが漏れ出した。我慢を続けてとっくにびしょびしょのそこが、また重く湿る。
「言いたいことはわかったーが、俺は誰かの想像の中だとしても、お前がやらしいことされてるなんて許せない」
「やっ、ちくびや……やら、あっ、あっ!」
「嫌じゃないだろ?乳首いじられるだけでカウパー垂れ流してナカイキしまくってんだから」
「やぁ……ッ」
 もうなにをされてもきもちいい。ナカだけでの絶頂は一度はじまると止まらない。いじわるになじられるのすら快感を呼び起こして、ナカがいやらしくわななくのを加速させる。
 真っ赤になってかたくふくれた乳首は少し指を離されても戻らない。それどころか身体のふるえにあわせて大きくなっている気さえする。
 つん、と浮いた乳首を、タンクトップの上から指で左右にはじかれて、擦れる生地と指の刺激にまたイッてしまう。精子を出さず、カウパーだけがだくだくとそこら中を濡らしていく。
「ほら、またイッたじゃねえか。ちんぽだって人の足でシコり続けてるし……なあ、他人の頭の中でまで、俺にやらしいことされたいのか?」
「ち、がぅ……っ!あっ!そんなんじゃぁッ」
 乳首をいじられて、ナカでイキ続けて、そうするとちんこでもイキたくてしかたなくて、へこへこと腰を振ってしまう。もう獄の足もびちょびちょで、むわ、と夏とは違う、淫靡な熱気が立ちのぼる。エアコンが、きいているかもわからない。
 こんなはずかしくて、いやらしい姿。他人に想像されたいわけがない。今だって、人が来たらどうしようと思いながらしているのだ。
 乳首のさきっぽのくぼみを爪でかりかりとほじくられると、ぴゅる、とまたカウパーを噴きだして、背をふるわせながらちんこを恋人の足裏でしごくーなんて、みっともない姿。
「どうだかなあ?想像しろよ。お前がやらしい勃起乳首見せびらかすたび、俺とのこと知ってるやつら全員、お前が俺にどんなすけべなことされたかって……考えるんだぞ?」
「……ッ」
「何にもしてないのに勃起するほど乳首いじられてんだなって思われたいんだろ?」
「ちがぅ、やだ、やぁ、やぁ……っ!」
 また乳首を根本からきゅ、とつままれ、下から上へとしごかれる。きゅう、きゅん、とナカが甘く達して、ぶるぶるとしながら腰をふってしまう。口先だけいやだいやだと言っても、乳首もちんこもきもちよくてたまらない。
 勃起したままおさまらない乳首も、ちんこより先にイッてしまうナカも、獄に愛された結果だ。恥ずかしくない。けれど、今の自分の姿を想像されるのは。獄とのセックスを想像されるのはー
 ようやく獄の気持ちがわかって、その感情が、あつくて、きもちよくて、たまらない。
 ちょうどぎゅう、と先っぽをつままれた乳首がびくびくとかたくなって、そのしびれが背から下腹へ走る。快感が届いたナカがぎゅぅ、と締まって、そのままぷしゃ、とちんこから潮を吹いた。
 射精しないまま、乳首とナカだけでイキ続けて、ついに潮まで吹き出す。いやらしい液体で濡れそぼった肉縁だって、もうずっとちんこがほしくてひくひくとしている。
 ここは、家なのに、親もいるのに、なのに。
「じゃあ乳首隠しな」
「かくす、からぁ……っ」
 ぼそりと潮まで吹きやがって、と言われたのに反応して、またぷし、ぷぷ、とちんこがおもらしをする。イキすぎて、ぼんやりとしたまま、荒く息を吐くしかできない。狙ったのだろう獄の言葉にやっとのことで返事をすると、ようやく乳首もちんこも解放された。
「はぁ……あぁん……ッ」
 ぐったりとしたまますがりつこうとすると、乳首がタンクトップにすれてやらしい声が出てしまう。それすらナカがきゅんとして、全身が甘くしびれる。
 恨めしくて胸元を見ると、布地を押し上げて汗で貼りついて、乳首どころか乳輪までくっきりとわかってしまう。こんなの、なにも着てないのと同じだ。
「もうなんもきねえ……」
「いい加減にしろよクソガキ」
 まだわかんねえのか?とイラつく獄の眼差しに、先までのことを思い出して身体がぞくりとする、どころか
「ちが……へ、あ、や……!あっ!あっ!ふぁ……いくぅ……ッ♡」
 そのままナカがきゅん、きゅう、ぎゅう……と挿入ってもいないちんこを食いしめるようにうごめく。子種をしぼるときと同じ、強く深い絶頂に、がくがくとくずおれて獄の胸にすがりつく。当然タンクトップはすれ、勃起したままの乳首もずぅ、となぞられ、押しつぶされる。その刺激にすらどうしようなく感じて、ふぅふぅと息を吐いた。
 にじむ視界にうつる見慣れたシャツにすり寄ると、汗にまじった獄の匂いがして、どくどくと心臓の鼓動が響く。獄も興奮しているのだ。自分のいやらしい姿にあてられて。よく見ればちんこだって勃っている。
「……ひとや、ちんこ、いれる、か?」
 どくん、と一際強く跳ねた鼓動が、そのあとすぅ、と落ち着いて、ぐったりとした自分を抱きしめた。あってないような、けれどもやはりしっかりとある体格差が、おだやかな心地よさを運ぶ。
「風呂借りてくるから、寝てろ」
「でもちんこ……」
「寺ではやりたくない、だろ」
 そうして、俺がやりすぎた、と手早く部屋と自身、空却を清め、きれいな座布団を枕にして寝かせると、ぱたぱたと足早に出て行ってしまった。
 上手いこと誰かと会ったのか、なにか話す声がする。苦笑するような調子に、たぶん全部バレバレなんだろうと思いながら、まぶたを下ろした。



 目覚めたとき、乳首にはきっちりと絆創膏が貼ってあったのだが、どんな顔をして貼ったのかを考えるとおかしくて、ひとしきり笑った。
 なお高級なスイカ様はバレて叱られるまで御本尊と並べて、のちのち美味しくいただいたし、いい匂いのする木箱には獄から渡された絆創膏だのニプレスだのが入っている。
 十四に「俺が用意するからやらんでいい」と獄さん言ってましたよ!とニコニコしながら報告されたとき、まあ、獄のせいですけべなカラダになったからなあとつぶやいて怒られたのは、今のところオフレコのはずだ。

2021/03/27


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