チラ見せDanger Line

 DRBの予選を通過し上位6チーム入り、ともなればこれまで以上の注目度、そしてメディア露出。
 初戦から前回王者との対決なんてことになってますます盛り上がり、ポスターだのなんだのの撮影を行ったのだ。
 いつもどおりの服でいつもどおりに。全員が人に見られるのに慣れているから危なげなく終わり、そうしていくらかして「こんなんできました」と荷物が送られてきた。
 リーダー宅に送られて来たそれを山分けにするために、もはや定位置とかした縁側でずらりと並べる。
 ポスター、ブロマイド、バッチ、ステッカー……なんぞ芸能人みたいだな……と撮影した写真をこれでもかと流用したグッズを眺めた。
 十四なんかはかっこいいっす〜!なんて嬉しそうにしていたし、多少こそばゆさはあるが、我ながらなかなかいいとも思っていた。だのに。
 恋人ー獄だけが、浮かない、というよりも不満げに、むっつりと眉間にシワを寄せていた。

「獄さんどうしたんすか?心配しなくてもすっごくかっこいいですよ……?」
「そうだぞ、拙僧には負けるが十四も獄もイケてるじゃねえか」
「……いや、それはわかってるんだが」
「じゃ、何がご不満なんだよアマグニセンセ」
「もしかしてセンターがよかったっすか?」
「位置は別にどうでもいい……そうじゃなくてな……いや、いい……」

 それきりなんでもない、と言いながらコーヒーをすすって何かを考えこんでいる。
 恋人だが、恋人ではあるが、別に何もかもがわかるわけではない。全然わけがわからんこともままあって、そんなのもお互いさまだ。
 こういうときは放っておくにかぎる。それぞれの取り分をわけて、適当にまとめた。あとはもう好きに、身内に配るなりなんなりご自由に。
 用事はそれくらいだったから、じゃあ解散、となったとき、なぜか獄にお持ち帰りされた。十四は何かを察したような顔でお疲れ様っす〜と帰っていったが、こちらは何もわからない。ただがっちりとホールドされ、そのまま車に運ばれた。
 何を聞いても着いてから話す、としか返さないから、渋々家に連絡すれば「獄くんに迷惑をかけるんじゃないぞ」と言われて「迷惑かけられてるのは拙僧なんだが?!」と口喧嘩がはじまる。それもこれも獄がもったいぶるからだ。
 数分、ぎゃあぎゃあと言い合いをして、今日は帰らん!と告げて通話を終え、着信拒否にする。まだ夕方だが、このまま行ったら恐らく帰れなくなるだろう。
 今もむすりとした恋人とて、出すものを出したらスッキリするだろうし、とまあまあのんきにかまえていた。



 甘かった。
 部屋に着くなりひん剥かれ、なにを、と問う間もなく腕をつかまれる。肘あたりで止められたスカジャンのせいで動きが制限されるが、目当ては二の腕だったようで、しげしげと眺められた。

「なんだよ……」
「……」

 返事はない。ただ呼吸すら届く距離にどき、とする。
 何度となく身体を重ねてきたから、二の腕くらい見られたって別に。そう思うのに、じい、と見つめる視線が妙に熱くて落ち着かない。
 じわじわ体温が上がって、汗も出てきた。気づいているだろうに、検分するような目を外さない。

「ひと、やぁっ……?!」

 あまりにも長すぎる。
 そう思って呼びかけた瞬間、ふに、と二の腕をつつかれた。それも内側の、脇とくっつくような方を。
 わけはわからなかったものの、乱暴なことをする気配ではなかったから脱力していたそこはやわらかい。鍛えているからぷにぷにとはしていないが、力まなければガチガチというほどではない。だから何度もふにふにと指先で弄ばれるとくすぐったくてたまらない。

「くすぐったいっからぁ!って、ひゃ……っ」

 いい加減やめろ、と身をよじると肘のあたりをつかんで押さえつけられる。
 そんなに二の腕が揉みたいのか、何フェチだ、拙僧が目覚めさせたのか、なんて考えた瞬間、先までつつきたおされた場所にちゅう、と吸いつかれた。
 くちびるで食むようにされるむず痒さにびくりとすると、舌が出て来てべろりと舐められる。もぞもぞとするにぶい気持ちよさにぞくぞくとして、ハッとした。

「やめろ……っ!」

 振りほどこうとしてもがっちりとつかまれて逃げられない。その間にもちゅうちゅうべろべろと吸われ舐められ、ついには歯までたてられた。かぷ、と甘噛みされて腰がくだける。
 身体の奥にある小さな種火を燃やそうとするような行為には覚えがあった。これまでも何度となくくり返され、そのたび身体に知らない感覚を植えつけられ、正体がわかったときには手遅れになるーいわゆる性感開発だ。
 頭のてっぺんから爪先まで、ほぼ目の前の恋人に拓かれて、『そういうつもり』で触れられたら簡単に気持ちよくなってしまう。
 だから今だって、いやらしく感じさせようとする動きにぞくぞくと背がふるえて、甘い重さで腰がくずおれ、胎がきゅんきゅんと脈打った。

「やだ……ッ!ばか、このヘンタイべんごし……!」

 ずるずると床にへたりこんでも二の腕いじめは終わらない。むしろまるまるようにしたせいでリップ音も顔も近くなった。
 ちゅう、ちゅ、ちゅぱ、ぷちゅ、と耳の近くで響く水音にぞくぞく、びくびくと感じてしまう。
 胎がきゅんきゅん、きゅうきゅうと締まるたび、ゆるゆると勃起したちんこからぴゅる、と先走りがもれる。

「ふ、あぁ……っ」

 股間がびちょびちょに濡れるのを感じたとき、観念してしまった。
 恋人にいやらしいことをされて、どうしようもなく気持ちよくなってしまったと、認めてしまった。
 そうなると話は早い。与えられる快楽を素直に享受して、背から走った甘い痺れが腰にきて、胎に届く。
 ちんこも挿入っていないのに、きゅうぅ……と締めつけるナカが恥ずかしくなるほど淫らで、それにすら感じてしまう。
 そうしてまたぷしゃ、ぷし、と先走りがあふれて、股間がおもらししたようになってしまう。

「……どっちがヘンタイなんだか、わかんねえな……」
「は、あ……」

 やっと解放された二の腕は、キスマークだらけのべとべとで、こんなになるまでしておいてヘンタイじゃないなんてどのツラを下げて言うのか。それにイクほど感じる自分を棚上げする気はないが、こんな身体にする方がヘンタイだ。
 なにはともあれ終わった、と力を抜く。乱れたままの呼吸はまだ戻らず、ふ、は、と大きく息を吐き出して整えていた。
 ところが、

「へ、ひっぁ、んっ」

 もう片っぽの腕をつかまれて、ちゅ、とくちづけられる。ぐずぐずになるまで拓かれ、いじめ尽くされたのではない方。そちらに矛先が向いた。
 『気持ちよくなる場所』として教えこまれたばかりの部位を、再び拓かれ火をつけられる。
 その予感だけで、きゅうん、とナカがふるえて、ぷしゃあ……といやらしい汁が吹き出した。



 べちゃべちゃのぐちゃぐちゃになった服と床を片付けさせて、沸かさせた風呂に入り、泊まりに備えて置いておいたスウェットに着替えてソファでだらだらとしている。
 あのあとも二の腕はやらしいいじめを受け続け、泣きながらもうやだ、いや、やめて、と子供じみた駄々をこねてようやく解放された。まだ目元は痛いほど腫れているし、二の腕は見るも無残な有様な上、まだむずむずとする。さんざんだ。
 今はソファの下で反省しています、というポーズで正座をする恋人を尋問しているのだが、よほどみみっちいことが理由なのか口が重い。

「……さっきまで拙僧に『おもらしするほどいいのか?』なんてはっっっずかしいセリフ、す〜らすら言ってたとは思えんなあ……」
「俺が悪かったけどやめろ!」
「じゃあ言うんじゃねえ!」

 ベッドでの恋人は常にないアドバンテージが取れると知ってから、恥ずかしいセリフやら行為やらをわりとしでかす。
 それにノッてしまう自分も自分なのだが、裸になって欲望のままにすることなんて、当事者以外には滑稽で馬鹿みたいに見えるものだ。馬鹿になるほど気持ちいいなら、いっそ大馬鹿になったほうがいい。だからと言って羞恥心がゼロになるわけではないのだが。

「おら、もうとっとと吐けよ」

 どんなつまらん理由でもいまさらだ。カッコをつけた外面を、オトナぶったポーズを、ベッドの上以外でもひっぺがしてやりたい。情けなくて大人気ない、恥ずかしくてカッコ悪い、みっともないところをみせてほしい。

「腕が……」
「腕?」
「今度のDRBの写真で、だな……」
「写真?」
「二の腕が、見えてんだよ……」
「……くっだらねえ……」

 想像以上にくだらなくてびっくりした。
 ほんのちょっと、ひるがえった拍子にたまたま見えたていどのそれ。
 四六時中、もっともっととんでもない場所を、それこそ恋人というポジションでなければ見れないような場所を見ているくせに。
 ただまあ全国区初公開の写真だからか、ネットでは少しばかり話題になっていたそうで。

「拙僧の全部、獄のもんだっつうに」
「俺のもんならなおさらだろうが」
「見られたていどで減りも傷みもしねえわ」
「俺が嫌なんだよ」
「ハイハイ、まあたやらしいオシオキされたくないから、折れてやるよ」

 捕まえるまで長かった恋人は、捕まえたら捕まえたで厄介だった。
 お前のものだと言い聞かせて、態度でも示しても、天女かなんかみたいにどっか行ってしまうんじゃないかと思っている。
 だから『俺のもの』なんて言われると、口角が上がってしまう。
 獄にとって、奪われたくない、失いたくない、そんなものになれたなんて。ちょっとくらい無体をされても許してしまう。
 他人に見られたくないと、もし見られたとしてもコイツはとっくにお手付きなのだと知らしめたい。
 オトナのはずの恋人の、小さな子供みたいな独占欲がかわいくて、気持ちよくて、胎のナカがきゅうぅ……とうずく。
 恋人は正座をしたまま沙汰を待っている。折れてやると言ったのに律儀なことだ。

「なあ獄、ちゃあんと反省できたからごほうび、やるよ」

 イキはしたものの、胎を犯される悦びを知っている身体はくすぶって、借りた風呂でちゅこちゅこと後ろをいじってしまった。
 しかし指では根本までずっぽりとハメられるような場所には届かず、半端に煽られるばかり。
 今だってずっと、ちんぽがほしくてきゅうきゅうきゅんきゅんと、いやらしくひくついている。
 さっきまで好き放題にいじめられて、またお好みのやらしい身体にされたのだ。責任を、とってほしい。
 足下で殊勝な態度を貫く恋人のちょうど目の前。
 はしたなくぱくぱくと開閉する、縦に割れた肉縁が見えるようスウェットと下着を少しだけズラす。
 息をのむ音に嬉しくなって、指でくぱ……とナカを見せつけた。

「拙僧のナカまで、獄のものにしていいぜ……♡」

2021/03/27


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