家族会議inファミレス

 本当にコイツは現金なヤツだ、と口を揃えて言ったのは十四が神と師と仰ぐ人達だった。

「今日は何があったんすか〜?」
「オウ、聞けよ十四。あの淫行弁護士、ひでぇんだぜ」
「いつまでガキのつもりだクソ坊主見習い。誹謗中傷で訴えられたらてめぇで尻拭いすんだぞ」
「はぁ〜? 名誉毀損の間違いじゃねぇのぉ?」
「……で! 何があったんすか!」

 曰く、夏の間は邪険にしたくせに、涼しくなったら引っ張り込む。

「どこ……か、は! 聞かないでおくっす!!」
「言ってやってもいいけど、ソコの破廉恥士業経営者が捕まるぞ」
「だから誹謗中傷をやめろ」
「あることしか言ってねぇから名誉毀損だろ」
「いいっすから! 次! 獄さん!」

 曰く、暑いうちは拒んだくせに、秋になったら積極的になった。

「同じじゃないっすか! なんなんすか!」
「はぁ? 全然違うだろ! 拙僧が寝てると獄が絡んでくるくせに、夏はあちぃからって人を端っこに追いやりやがる。んで、最近涼しくなったと思ったら今度は布団の中に引きずり込むんだぜ!? 夏だろうがクソ暑かろうが気合いで抱けよ!」
「……言わせとけば空却、お前なあ! 夏だってエアコンつけたら涼しいからって俺が近くに行こうとしたら、あちぃやめろって足蹴にしたろうが! それで涼しくなったら自分からタオルケットかぶって近寄って来やがって……!」
「やっぱ同じじゃないすか!! もうイヤっす! 自分帰らして下さいっす!」

 この後すぐ、他のお客様から気になって夜も眠れなくなりそうだから小さな声でやってほしいそうです、と爽やかというよりは生暖かい笑顔の店員さんに言われて全員が黙った。

「そーいやここ外だったな。寺か獄の事務所のつもりだったわ」
「勘弁してくれ……それであんな馬鹿でかい声出したのか?」
「声の大きさはみんなおんなじくらいだったっすからね……」

 ははは、と空笑いをしながら仲良く横並びで席に着いている二人を見ると、その手には揃いのリングが同じ方の同じ指に綺麗におさまっていた。
 同棲ってやっぱ大事なんだなぁ、と誹謗中傷か名誉毀損で争う二人を見ながらポテトをつまむ。
 犬も食わない喧嘩が終わらぬ内に、残ったポテトを食べてしまおう。
 終わる頃にはきっと、デザートなんていらないくらい、甘ったるい空気になるのだから。

2025/10/3


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