交錯トランストリップ

 頭を打った恋人の打ち所が悪く、目覚めるなりとんでもないことを言い放ったそうな。

「自分を女だと思い込んでいる?」
「どうしてそうなったのか検討もつかず……」
 仕事終わりにスマホを開くとすさまじい量の通知がたまっていて、慌てて目を通して寺に直行したらこれだ。
 頭を抱えてため息をつく御父上は、無茶苦茶で問題ばかり起こす将来有望な息子に振り回されること四半世紀弱。
 ヤンチャ坊主のやらかしそうなことは粗方やられた猛者でも、これまで全くそんな素振りのなかった性別の誤認には思い当たる節がないと言う。
 いつもなら恋人と向かい合って茶を啜りながら談笑する客間は、命に別状もなく、後遺症の心配もなく、頭の傷もたんこぶ一個というめでたい結果にも関わらず空気が重たい。
「獄くん……空却は、女性になりたいのだろうか……」
「それはないでしょう。もしそうならとっくに口に出して実行に移してますよ」
 親である灼空さんに思い当たらないことが自分にわかるとは到底思えないが、恋人というポジションに寄った返答をすれば、それもそうか、と胸を撫でおろしていた。
 この件で病院でさんざ灼空さんとやり合った空却は、一旦猿轡で口を塞がれ、簀巻きにされてから帰宅し、今もそのままの状態で自室に転がっている。
 現場となった病院は空厳寺の檀家かつ空却の誕生から現在までのかかりつけで、ある種の達観か諦観か、空ちゃんは昔から元気いっぱいだからねの一言で全てを受け入れ流したそうな。
「お恥ずかしいですが大馬鹿息子とは言え心配で……私には言えない何かがまだあるのではないか——と思うと、冷静になれず……」
 突然に出奔し、帰還し、その間にあったことを頑なに口を閉ざしていた我が子に全く思うことがないなど、住職たるこの人にも難しいのだろう。
 とはいえそんなおかしな思い込みに至る要因に、残念ながら全く身に覚えがない、とは言い切れなかった。

 三十路も半ばを過ぎた人間からすると、二十歳に足を突っ込んだばかりの青年は何もかもが元気一杯だ。
 初めて出会った中学生の時から熱烈なアタックをしてきた恋人は、破戒寸前でも坊主だからか発情期の獣のようではなかったものの、年齢相応には焦れていたのだろう。
 積極的にくちびるを、体を、と求めてくるのを未成年のガキとそんなことはしないと断り続けるとならばとばかりに交際を、と迫られた。
 それも同じ理由で断り続け、空却が十八になった誕生日の告白に交際だけは了承すると、今度は誰に何を聞いたのか性交同意年齢は越えているのだからいいはずだ、などと小賢しい事を言い出したのだ。
 中坊から一度東都に渡り、見聞を広めてきたはずなのに三十路のオッサンに執着するのは意地になっているからではないかと散々猶予期間を設け、それでも一線を越えるのだけはと最後の分水嶺を用意してやったのに、聞かん坊主は駄々をこねるのをやめない。
 人の気遣いを延々と無碍にして、まとわりつき牽制する見てくれだけならば極上のクソガキのせいで恋人——未満や寸前も含む——との付き合いも続きにくくなり、東都に渡っていたクソガキ不在の数年間すらその爪痕に苦しめられた。
 それでも完璧な宝石の原石だっただけの中坊の頃はまだマシで、成長したクソガキの完成に向かいつつある美貌と肢体を見せつけて煽られたのは筆舌にし難い。
 小賢しくも掲げた性交同意年齢を盾に、東都に行っても操を立ててやったぞ、と綺麗な顔で笑うクソガキの純潔を踏み躙らなかったのは俺だからなのだとどうやったら冷静に伝えられただろう。
 結局、ヤケクソになってくちびるくらいならいいだろうと黙らせるように重ねると、想像以上におぼこい反応をされた。
 本当に重ねるだけのくちづけだったのに、ふわ、ふに、とした弾力となめらかな感触にひどく満たされて、角度や位置を変えて何度もくり返すと、衝撃で見開かれていた目がどんどんうるみ、細められ、ついには透明な雫をこぼして閉じてしまった。
 血管が透けて青白くすらある肌が羞恥と興奮で赤く染まっていくのも目を楽しませ、余計に熱くなるくちびるをついばむのが止めらなくなったのを覚えている。
 その時もここにいた。寺での誕生日会後に話があると対面で向かい合っていたのが、交際を了承した途端に素早く隣へと回り込まれ、既成事実作りを強行されかけた。
 ……まあ、あまりにも待ちぼうけた若い身体は、長年の期待もさることながら、キスだけで派手に下着を汚してくずれ落ちるほど自主開発を進めていて、既成事実どころではなかったのだが。
 ぐっしょりといかにもなシミをパンツにつけてびくびくと跳ねながら色気を振り撒く空却は、恋人という肩書きを得てからほんの数十分だったのに、幾夜も共にしたような仕草と反応で、思わずムラ、として下腹部が重たくなった。
 痛む頭と胃と股間を叩きのめし、軽いキスくらいは耐えられるようにならなければセックスなんて出来ないだろうとさらに二年の猶予を設けられたのは幸いと言える。
 代わりにたびたび耐久テストとしてキスを求められることになったが、絶頂してもいいように、と捨てるつもりの下着を履いてきたのが、徐々にコンドームをつけながらになり、ついには吸水パッドを装着するようになった。
 これならいつでもどこでもキスが出来る、ではない。高すぎる感度も抑えるという根本的な解決には繋がっていないのに、吸水パッドに擦りつけるように腰を揺さぶるのにムラついて指摘出来ないままでいる。
 思い返すたび、二十歳までの期間はキスとほんの少しの触れ合いだけでも感じて絶頂するように仕込んだだけだったと突きつけられるのだが、最後の矜持として俺は絶対に空却の前では絶頂しなかったし、獄も、と触れたがる手は止めた。
 ほとんど無駄で無意味な抵抗だとしても、キスをして気持ち良くなってしまったのを慰めるだけ、という体を保っていたかったのだ。
 そうして迎えた空却の二十歳の誕生日の夜は、ついに期待だけで装着した吸水パッドをダメにした空却の出した分かそれ以上を俺が注ぎ込み続ける大惨事が、空が白むまで終わらなかった。
 この一線を越えたら別れたいと言っても簡単には頷いてやれない、と念押しして、向かい合って押し入った後腔は、自慰と言う名の自主開発ですっかり拓かれ、じゅぷん……っ、と構えた亀頭をやすやすと飲み込んだ。
 硬そうに見えたのにむちむちとした尻たぶを揉みしだきながら挿入すると、ふわふわとろとろの中は数年越しの待望の逸物にすっかり夢中になって、きゅう、きゅん、と形を覚えようと絡みつく。
 割合と浅瀬にあるほのかなふくらみは、ごりゅ、ぐりゅ、と亀頭で撫でるといっそうのこと中全体が良く締まり、ぷしゃ、ぷし、とふるふると揺れる若茎から甘い絶頂を伝える雫を吹き上げた。
 ゆるゆるとしか勃起しない、形よく色も綺麗な若茎は体格相応のサイズではあるものの可憐に映る。ぷるん、とした子種袋も一生懸命に上向き、張り詰めているものの、こちらの逸物と金玉の放つような猛々しさや熱気は無い。
 だからか、つい、本当につい、口から出てしまったのだ。
『まんことクリだ』と。
 最初は顔どころか全身を真っ赤にして、ちがうちがうと吠えていたけれど、あまりにも簡単に逸物にしゃぶりついて奉仕をする後腔と、甘く達するたびに潮を吹く若茎は、抱かれるためにすっかり変化している。
 本人も自覚はしているのか、怒りに羞恥を滲ませた目でき、と睨みつけながら、せっそうはおんなじゃない、そういうことをいうならおんなをだけ、と回らぬ舌をふるわせて訴えられた。
 睦言でも煽りでもない本気の声と、拒絶を示そうと逸物を押し出そうとする後腔に、慌ててデリカシーの無い発言を詫び、思わずそう言ってしまうほど拓かれた肉体はかつての荒行と同じく日々の研鑽の結果で、自分に抱かれるためにそこまで努めてくれたことが嬉しいと、汗のしたたる額にくちづけて許しを乞うたのは遠い記憶ではない。
 それからはもう言動に気をつけてきたのだが、ある時、せっそうはおんなじゃねえし、おんなにはなんねぇけど、ここはもう、ひとやせんようのまんことくりでいい……♡ とお達しがあった。
 綺麗に縦に割れ、ふっくらとした肉縁は中にたっぷりと仕込まれたローションでてらてらとぬめり、かわいらしく首をもたげる若茎は包皮が剥かれ、敏感な尖端を濃い桃色に染めながら透明なおつゆに塗れて光るのを見せつけられてそんな宣言をされたらどうなるか——なんて言うまでもない。
 つい最近もせっそうのちんぽまちまんこ……♡ おなきんちんぽではらませろよ……♡ などととんでもない煽りをされたばかりなのだ。
 それはもう良く射精て、あんまり射精すぎて生中出しじゃなきゃイケなくなった、と理不尽な怒りをぶつけられた。
 日常生活ではおくびにも出していないとはいえ、ベッドの上ではこの有様なのだ。
 頭をぶつけたことで脳内で何らかの混線が生じて『自分を女』と思い込んでいるのなら、原因はこのバカなカップル丸出しのプレイしか有り得ない。
 空却の滅茶苦茶に巻き込まれてきた灼空さんでも、か、灼空さんだからこそ、か、ともかく、とても、とても言えなかった。

 灼空さんと話をまとめた上で簀巻きから解放した恋人は、変わらぬ顔と声で獄! と叫び、飛びついてきた。
「親父だけじゃねぇけど、変なんだよ……っ! どいつもこいつも拙僧を男だって言いやがる!」
 お前は違うだろう、と言外に訴えてか、はたまた無意識にか、いつも通りの距離の近さでぎゅうぎゅうと寄せられた胸元は、簀巻きにされていたのもあってか乱れ、作務衣の黒が余計に肌の白さを際立たせる。
 女のようではないものの、昼夜鍛えられた胸筋は豊かに張り出し、ことさらに力んでいない今はむちむちとしたやわらかさが作務衣一枚だけで味わえてしまった。
「……スポブラすらつけねえで胸押しつけたりするからだろ」
 お前は男だ、という指摘はあえてせず、本人が言うとおり女として対応し、真意と状態を探る。
 もしも勘違いに至る理由があるならば、灼空さんと揉めた直後というのすら利用してしまえばいい。
 妙齢の人間とは思い難い、良くも悪くも無垢な児童のような慎みと恥じらいが欠如した言動をするからだ、と、じい、とまろい二つの塊を見つめてやれば、すけべ! と飛び退いて乱れた襟を正してくれた。
「レディになれとは言わねえが、俺以外にもサービスするような格好はいい加減やめてくれないか?」
 俺には我慢ならないもんが、と言いかけたところで、わかったわかった、と口を塞がれる。
「……外、親父いんだろ? 変なこと言うな」
「無防備な恋人に注意を促すのが変なもんかよ」
「目が、やらしい」
 じとりとこちらを咎める視線にいくらか混じる羞恥は、部屋の外の父親に恋人としての会話を聞かれたくないのが半分、いつもなら押さえぬ場所を両手で隠すようにしているのが半分だろう。
 ふと頭を過ぎった記憶を掘り起こし、囁く。
「空却、前に着てきたやつあるだろ」
 本来ならばブラを必要としない空却は、指摘されたものの持っていないから身につけようがない。だからかいつになく胸元を正し、その上で乱れぬように押さえている。
 自認が女になっても変わらず豪快に振る舞うだろうと思っていたら当てが外れたのだが、そのほのかな恥じらいにひどく悪い心をくすぐられた。
 前に着てきたやつ——ジョークアイテムとしての黒い紐ビキニは上も下もろくに隠れない。むりやりおさめた乳首と子種袋が窮屈そうにしていたから早々に脱がせてしまったのだ。
 事後、洗濯して返してやったから捨てていなければ持っているはずなのだが……。
「あんなん着れっか!」
 かっ、と頬を染めて噛みつかれた。省かれた部分にはおそらく『日常生活で』などが入るであろう。
 たしかに、性別問わずあんなはしたない下着を日常的に身につけているのは変態だ。女性ならギリギリ入るかもしれないが、男では下が入らない。だとしても日常着にはなり得ないだろう。
 本筋からだいぶそれた話を戻すべく、いっそう胸元を強く握る空却の手に手を重ね、真面目な声で語りかける。
 空却の周辺人物や地域一帯への認識改変精神攻撃の可能性があるから一度寺を離れて俺の家に移動すること。
 遠方——シンジュクにいる寂雷に女であるという診断書を作ってもらい、かつ精神攻撃疑惑の相談をすること。
 もちろん、実際には空却の診断をしてもらうのだが、灼空さんすら説き伏せきれず簀巻きにして転がすしかない頑なさに、空却の言い分を信じて『なんらかの攻撃を受けている父親や周囲の人間を治す』という話にして連れ出すことにしたのだ。
「離れる間は十四に様子を見てもらうことになっているから安心しな」
「そうと決まりゃあすぐ行くぞ!」
「気持ちはわかるが焦るな。寂雷だって本来の業務があるから最速で空けてもらって明日の夕方なんだ。それだって即解決の保証はない。しばらく俺の家に住むことも考えて荷造りしろ」
「〜なら、拙僧一人で行く! 夕方に病院で合流すりゃいいんだろっ」
 すぐにでも飛び出していきそうな空却の手を掴み、引き止める。
「今から? 夜行バスはギリギリだろうし新幹線だって着いた後どうするんだ?」
「んなの適当に野宿でもなんでもあんだろ」
「スポブラもしてない、女一人で?」
 胸元を握る両手の拳は、強く握り込まれるほど片手でひとまとめにしてしまえそうで、この小さく見える握り拳から放たれる速度と重みを知っていても『女性』と誤認している状態では不安になってしまう。
 それでもこちらの不安など知る由もなく、ギラギラとした目を見開いて睨みつけてくるから、哀れっぽく縋る目をして、握られた手のひらにぎゅ、と力を込めた。
「……もう、お前は一人で東都に行った時とも、十四を連れてシンジュクに襲撃した時とも違うんだって……わかるだろ?」
 整った顔立ちとしなやかな肢体はずっと変わらない。ただ本当に幼かった中坊に毛が生えた時とも、青年として完成しつつあった時とも違う。
 自惚れではなく、正式な交際をはじめてからの空却はそれまでになかった甘さを醸し出し、身体を重ねてからは匂い立つような艶を帯び、ついには軽率に服を脱ぎ着しないよう、風呂に一人で入るよう、厳命されたとぼやいていた。
 自認が女性になったとしてもそこいらのチンピラに遅れを取るとは思わないが、それとは別にこんな魅力的な恋人を治安の悪い土地——それも夜中——に一人にするのは馬鹿しかいない。
 暴力を本職とする人間達すらねじ伏せる恋人の有り得ない姿を想像をして、重ねた手が熱くなり、汗ばみ、どくどくと馬鹿みたいに脈が速くなる。
 同時に冷えていく頭と目に恋人がびくり、とふるえたのを無視して、ぬめる手のひらで拳をひとまとめにしてしまう。
「拙僧がシンジュクのチンピラより弱いってか」
「何が何でも欲しくなるほど別嬪になったってことだ」
 シンジュクのチンピラなぞに髪の一筋でも触れられ、口説かれようものなら『俺が』嫌なのだ、と恭しく、余裕なく迫って、ようやく振りほどこうとする手が大人しくなり、目からも剣呑な光が消えた。
「……準備する」
 いつもならばもう少し威勢よく噛みつき、飛び出していくところなのだが、大人しく退いていったのは歳上の恋人に甘えられた喜びだけでなく、空却なりに思うことがあってだろう。
 己の発言や行いで父親や周囲と齟齬が生じることはあっても、生まれた瞬間から共有してきたはずの認識の齟齬が急に発生したのだ。
 しかも空却からすれば『悪意を持った何者かが仕掛けた攻撃かもしれない』状態なのだから、かなり堪えてくれたと言える。
 部屋の外で待っている、と告げて出た先の灼空さんにあらましを伝えれば、あらためて申し訳ない、と頭を下げられた。
「空却と家族に……恋人になった時に、全部覚悟してます」
 今よりもっと幼かった頃から知っている。未来と可能性に満ち満ちた子供は、法律上は大人になったもののまだまだ年若いのに変わりはない。
 自分のような十六歳も離れた男のことなど、もう数年もしたら過ちだったと言い出すかもしれないとまだ思っている。
 信頼していないわけでも愛を疑うわけでもなく、むしろだからこそ、いつかそういう風に言われる日が来ても、手放してやれるように自分に言い聞かせているだけだ。
 数分もしない内にからりと襖が開いて、ぶうたれた顔の子供が小さなバッグ一つで出てきた。
 これから向かう先——獄の自宅——には、空却が置いていった数日分の着替えも歯ブラシやヘアワックスのような日用品もあるから手ぶらだろうと思ったのだが、いつもより長い滞在を考えての追加だろう。それにしたって随分身軽なのに変わりはないが。
「……あまり獄くんに迷惑をかけないように」
「今まさにテメェがかけてんだろうが大ボケ親父」
「空却」
 一触即発の空気にどうにか介入し、口さがない恋人をたしなめる。不服そうに見上げる目に、先ほどの会話を思い出せ、と訴えれば、クソ、と小さく漏らしながらも応じてくれた。
 悪様に言っても父親を尊敬し大切に思っているのはバレバレで、自分がまだ越えることの叶わない存在が何者かに害されているかも知れない——と、思い込んでいる——状況に焦燥感があるのだろう。
 ずんずんと玄関へと向かう空却を追いながら、ではまた、などと挨拶をして空却にしたのとは別のアイコンタクトを灼空さんと交わした。
 空却がどうしてこんな勘違いをしているのか、きっと解明してみせる、と。

「しっかし……拙僧を男と思わせてどうすんだろうな」
 空却を連れて帰宅するも、本人の自認が男から女になっただけで特に変化はない。
 ……一応、なんとなく、いつもより気持ち仕草が淑やかに見えなくもない、が……大差はない。
 ソファに腰掛けて存在しない攻撃者に頭を捻っている姿もいつもどおりとしか言えない。
「少なくともお前と周囲を混乱させて不和を生んではいるからな。基盤を崩して隙が出来たところを狙うってのは常套手段だろう? 冗談みたいな認識異常だから悪ふざけか本気かもこっちにはわからない。けっこうタチが悪いぞ」
 実際には、そういう手もあるか、と眉間のシワを深める空却一人の思い込みなのだが、話を合わせていく内に『本当にそうだったらまずいな』ということにも気がついた。
 もしも本当に空却が攻撃を受けていたら? ゾッとしない想像をした後に、そもそも頭を打った経緯が灼空さんの代わりに寺の押し入れを整理していたら荷物が崩れた、というものなのを思い出して馬鹿な妄想を振り払う。
 考えすぎだ。この騒動の根幹は空却自身の中にある。杞憂としか言えない外部からの攻撃より、獄とのじゃれ合いが関わっている可能性の方がよほど高い。
 けれどもはたして、あんなしょうもない最中の戯れにそれほどの力があるのだろうか。
「とりあえず明日もある。もう風呂入って寝ろ」
「拙僧は腹減ったからなんか食いてぇ」
「好きにしろ。俺は先に風呂に入って寝る——もし、俺の隙を突いて一人でシンジュクに行こうとしたら……」
「しねぇよ!」
 念のため一人で行ったらひどいぞ、と圧をかけると、さすがに不服そうに噛みつかれた。
 夜遅くの一人歩きを咎めると自分の強さを疑われたと不服そうにするが、先ほどのように魅力的な恋人を一人にしたくない、触れさせるのは当然として見られるのだって嫌だ、と悋気をあらわにすると存外に言うことを聞いてくれる。
 今回もおそらく大丈夫だと思ったが、一応、だ。
 コンビニで空却に買わされたカップラーメンを物色する背中を見送り風呂に入ると、出る頃には片付けてテレビを見ていた。
 風呂が空いたと声をかけると、わかった、とだけ返事をして立ち上がり、風呂の準備をはじめたから、最後におやすみ、とだけ言って、そのままベッドへと向かう。
 人間が二人で睦み合ってなお余裕のあるベッドの空いた半分は数十分後には埋まり、意識があったならば一言二言交わして眠る——と、思っていた。

 ばさ、という衣擦れに目を覚ますと、常夜灯のぼんやりとした視界に見慣れたシルエットがうごめいた。
 三十分くらいは起きていたはずだから思ったよりも遅い戻りだが、もしも寝足りなくとも新幹線で寝ればいい。
「空却……」
 上掛けを捲り上げたくせにいつまでも隣に来ない恋人を促して呼びかける。
 まだ寝ぼけてはっきりしない視界と頭では、ベッドのふちに躊躇うように乗っているらしいことしかわからない。
 夜中、一人になって変に考え込んでしまったのか。
 埒が明かない、とベッドサイドテーブルに手を伸ばし、リモコンで常夜灯から通常の灯へと切り替える。
 わかっていても強烈な眩しさに目を顰めて、数度の瞬きの後に恋人へと向き直ると、とんでもない光景が飛び込んできた。
「空、却……?」
「んだよ……」
 獄の自宅に常駐している空却の寝巻きはファストファッション系のスウェットの上下で、一定シーズンで獄が買い替えている。何せ空却に任せると着た切り雀状態で、穴が空こうか裂けようが気が向いたら繕うものの、ほとんどそのまま着倒すのだ。
 我慢ならないと獄が新調するのが慣例となり、(面倒だから)獄に任せると言われて最低限季節に合わせ、簡単なコンビニやスーパーへの外出や、緊急避難に耐える程度の素材とデザインを厳選している。
 着れりゃなんだっていいが獄はうるせぇだけあってセンスがいい、と存外にも素直に好評な寝巻きを、今日も着てくると思っていたのだ。
 それなのに、だ。
 リビングよりはやわらかい設定になっているものの常夜灯よりは白く明るい光に浮かび上がるのは血の通ったベビーピンクの肌で、凹凸のはっきりとしたボディラインを際立たせるように食い込んだ黒い紐ビキニが一糸纏わぬよりも淫靡に見せる。
 一際強調された胸だけでなく、腹筋や首周り、腕や足も鍛えられているのが一目でわかるのに、見つめるほどにやわくほぐれ、がっちりというよりもむっちりとした印象に変わっていく。
 いつぞやにも着てきた紐ビキニは、やはり大事なところを隠せておらず、ぷっくりと生地を押し上げる乳首は以前よりも大きく、硬く、そそり立ち、窮屈そうにするのすらそそる。
 魅惑的な肢体に促されるまま、上から下へ、自然と目でなぞってしまった先には潰れた逆三角形にゆるりと勃ち上がった若茎と子種袋が乗っていた。
 まさかまだ持っていて、しかも本当に着るのは予想外で、じい、と目を離せずにいると、恥じらいの朱をはいた頬以外にも、血管の集まる場所が熱を帯びて美味そうに色づき、思わずごくん、と喉が鳴ってしまう。
「新幹線は昼とはいえ……ずいぶん大胆なお誘いだな」
「ちげぇよ……見て、わかんだろ……」
「……? そんなやらしい格好で恋人のいるベッドに入るのがセックスの誘い以外にあるのか……?」
「バーーーカ! すけべ! 変態! くたばれ煩悩塗れの淫行弁護士!!」
「は!? なんでだよ!?」
 捲り上げたまま持っていた上掛けを引っ張って転がされ、危うくベッドから落ちかける。
 冷や汗を垂らしながらも、羞恥ではなく顔を赤くした恋人が暴れた瞬間、ぶるん、と胸が揺れるのは見逃さなかったから、ごもっともとしか言えないのだが、それにしても『わからない』。
「一体全体なんだってんだ……!」
「ホンットにわかんねぇのかよ……」
 だっておかしいだろ、と、泣き出しそうな小さな声で俯かれてもまだわからない。
 未だ幼さの残る美貌には肉感的すぎる身体を淫猥に飾って、頼りなく儚げな仕草をされると、庇護欲と罪悪感が募る一方で、浅ましい独占欲と嗜虐心もくすぐられる。
 せめて何がおかしいのかわかれば、と姿勢を正して距離を詰め、そっと赤い頬へ手を伸ばす。
「教えてくれ。何がおかしいんだ?」
「本当にわかんねぇの……?」
「その格好でベッドに入ってきてセックスの誘いじゃないのは本当にわからんが、そういうことじゃないんだろ?」
「まだ言うか……っ! こんの……っ! バカ! すけべ! 変態……っ!」
「バカですけべな変態には何がおかしいのかわからないんだよ」
 泣き出しそうに歪んだ目尻を指先であやして、ほんの少し湿るのにどきりとする。
 紐と布切れだけを身につけた煽情的な状態でうるんだ眼差しまで向けられたら、またバカですけべな変態と罵られる反応をしてしまう。
「本当にわかんねぇんだ……」
 呆れを通り越して唖然とした様子の顔はしかし、どこか嬉しそうにも見える。
 ようやく解説をしてくれるのかと良い子で待てをしていると、頬に触れる手から離れ、持ったままの上掛けを放り出し、うっすらと割れた腹筋をなぞって、腰をぐ、と突き出した。
「……拙僧の……デカすぎる、だろ……?」
 ベビーピンクの肌に火がついて赤々と色づいていく様を眺めながら、ここ、と指し示すような指先を追うと、先ほどと違い完全に硬く勃ち上がった若茎が、先っぽからたらたらとおつゆをこぼして、つるりと剥けた包皮からかわいらしい頭を覗かせている。
 抱かれる快感を覚えた身体とはいえ、極端な変化はしていない。目の前でふるえる若茎とて勃起も射精もきちんとするし、大きさだって肉体と年齢相応のものだ。
 デカすぎるということは、と首を傾げかけた瞬間、は、と気づく。
 男ならば肉体的にも年齢的にも相応の陰茎は、女としては肉体的にも年齢的にも——そもそもどのような状態だろうと——不相応に大きすぎる陰核となる。
 女性向けにしてもある程度ははみ出すことが前提の紐ビキニを男の身体で着たら、以前と同じく上はともかく下は何もかもこぼれ落ちて当然だ。
 子種袋を支える程度の役割しか果たさない逆三角形の布地を笑っていたのは当時の空却の自認が男だったからで、何の因果か自分を女と思い込んだ今の空却からすれば男の逸物顔負けのクリトリスが生えていることになる。
 恐らく寺でブラを着けていないことを指摘され、唯一持っているとも言われた紐ビキニを探して持ってきたのだろう。
 そうして身につけた結果——自分が女としては立派すぎるクリトリスの持ち主だと知ってしまい、俺に問い正しにきたのだ。
「……見てねぇでっ、答えろよ……!」
 さらにかぁぁ、と赤く燃える肌と、ぴん、と硬く尖ってぬめる若茎がかわいらしく、上がる口角を隠すべく片手で口元を押さえる。
 すると何を勘違いしたのか、びくん、と跳ねると、腹のあたりを彷徨っていた手のひらが若茎を覆い隠すように広げられてしまった。
「気持ち悪ぃんだろ……っ」
 そりゃあ親父も男だって言うよな、と続いた言葉に間違えた、と背を冷たいものが流れ落ちる。
 平常な精神状況ならば一笑に付すだろうが、今は自身を女だと思い込んだ状態で親父さんや周囲と一悶着した後なのだ。
 一番信頼している人間に根っこから覆すようなことを言われ、気丈に振る舞っても自他に対する疑心暗鬼から抜け出しきったわけではない。
 頭を打って誤認している空却の言動に愛らしさを見出し、あまつさえ劣情を抱くなどしている場合ではなかった。
「ひ、ぁ……!?」
「誰が気持ち悪いって?」
 泣いてはいないものの、綺麗な顔をくしゃりと歪めた恋人との距離を一気に詰める。
 容易くくちづけ出来るほど近くなると、自然に身体もぴたりと触れ合い、ごり、ぐり、と手のひらでガードされたクリトリスに、こちらの勃起ちんぽが擦れ合った。
「俺は何度言ったらいいんだろうなあ……? そんなやらしい格好で恋人のいるベッドに入るのがセックスの誘い以外にあるのか……? って……」
「れ、も……っ、せ、そぉの、ここ……っ♡ ちんこ、みてぇ……っ、でぇ……っ♡」
「俺はそのズル剥けデカクリ♡ が、ちんこみたいで恥ずかしい♡ ってやらしいおつゆでびしょびしょになってるのにちんぽ硬くしたのに?」
「……っ♡」
「やらしいこと言われて♡ 勃起クリちゃんぐりぐり〜♡ ってされただけでエッチなおつゆおもらしして……かあわい……♡」
「ゃぁ……♡♡♡」
 途中から手のひらで隠すことをやめたズル剥けデカクリ♡ は、まだスウェットに包まれたままのちんぽに裏筋を撫でられただけでぷしゅぅっ♡ ぷしゃぁぁぁっ♡ とエッチなおつゆを吹き上げてマーキングしてしまう。
 絶頂の衝撃でがくがくとふるえながらも、ズル剥けデカクリ♡ はまだぴん、と勃起したままだ。
「さすが、エッチなデカクリちゃん♡ は一回イッたくらいじゃ満足しないんだなあ……♡」
「ひ、ぅ、ぅぅ……♡♡」
 ちゅこ♡ にちゅ♡ と、やらしいおつゆの粘ついた水音が立つように兜合わせで腰を振ると、負けじと快感に砕けそうな腰を奮い立たせ、へこ♡ へこ♡ と尻を突き出す勇ましさにこちらも先走りが迫り上がる。
 苦しげにはくはく♡ と口を開閉しながらも、再び完全勃起したズル剥けデカクリ♡ を、一生懸命に布越し勃起ちんぽに擦りつけるのがかわいらしい。
「やらしいおつゆ……♡ どんどんぬとぬと♡ の本気イキ汁♡ になってきたなあ……♡♡ 俺のちんぽと擦れるたび……っ♡ ぬちぬち〜っ♡ って……エッチな音させて……♡♡♡」
「へ、なこと……っ♡♡ いう、なぁ……っ♡♡」
「変? ただの事実だろ……♡ いいっぱい♡ 気持ちよおく♡ なりたくて♡ こんなズル剥け♡ デカクリ♡ になったんだろ……♡♡♡」
「ふあぁぁぁ……♡ ま、て♡ ぃくぅ♡ まひゃ♡ くりいきっ♡ しゅりゅぅぅぅぅぅ……っ♡♡♡」
 ぴゅるっ♡ ぴゅぅ……♡ ぷしゃぁぁぁぁ……♡♡♡
 再びの絶頂が近くなり、もはや完全にしなだれかかった状態でへこへこ♡ 擦りつけクリオナ♡ しか出来なくなった空却が、お構いなしにぐりゅっ♡ ぐりゅりゅっ♡ と動いた末、盛大にクリイキ汁♡ をぶち撒けた。
 薄い精液に潮が混じり、いっそう薄くしゃばしゃばとしたイキ汁でぐっしょりと濡れた股間がじわじわと冷えていく。
 はぁー……♡ はぁー……♡♡ と満足げな深い息を吐きながら、無意識にか力を無くしたクリをぬ♡ ぬ♡ と擦りつけて、ちゅ……♡ ちゅこ……♡ とはしたない音を立てた。
「クリオナ気持ちよかったみたいだなあ? 俺のちんぽ♡ びしょびしょにマーキングしやがって……♡」
「ぅ、んっ♡♡ きもちぃ……♡♡♡」
「クリ、デカくてよかったなあ……♡ 普通サイズだったらこんなきもちぃ♡ ってなれないからなあ……♡」
 まだ射精していないちんぽをぐ♡ ぐ♡ と押しつけて、首をもたげ直しつつあるクリを刺激する。
 子種袋だけはなんとかおさめていた紐ビキニは、兜合わせとクリオナを経てすっかりずれてしまい、解放された二つの塊はデカクリ共々ぷりん♡ と両足のあわいで揺れていた。
「でかぃ、のは……♡ ゃだぁ……っ♡」
「じゃあこんな風に腰振ったらダメだろ……っ♡♡ どんどんちんぽサイズのエッチなクリ♡ になっちまうぞ……♡」
 や♡ や♡ と口ばかりの拒絶で、腰はへこ♡ へこ♡ 揺れ、エッチなズル剥けデカクリ♡ はびん♡ びん♡ と、おかわりおつゆでコーティングされながら勃起している。
「ほおら……♡ ちんぽ並にガチ勃起したデカクリ♡ エッチなおつゆ塗れでテカってんぞ……♡ ちんぽみたいにしこしこして♡ ってデカくしてんじゃねえか……♡」
「ゃ、ぁ……っ♡ でかく、な、たら……っ♡ も、な、も、はけにゃぃ……っ♡♡♡」
「じゃあズル剥けデカクリ♡ 丸出し♡ のスケベなパンティ買ってやるよ……♡♡ エッチなおつゆおもらししてもいいようにそれだけ履きな……♡♡」
「そ、な……っ♡」
「服にイキ汁のシミつけて、空ちゃんまだおもらししてるんだ♡ って思われたいなら止めねえよ……♡」
「……っ♡♡♡」
 言葉と身体の両方で意地悪く責め立てるとびくびくんっ♡ と仰け反り、びゅっ♡ ぶしゃぁっ♡ と勢いのいい粗相をしてしまったが、透明でしゃばしゃばとした潮だけだからか、ズル剥けデカクリ♡ は萎えずにひく……っ♡ ひくん……っ♡ と悶えていた。
「クリオナ♡ 捗ってるみたいだなあ……♡」
「ひとゃ、が……っ、へ、なこと……♡ ゆ、からぁ……♡♡」
 煩悩丸出し破戒坊主に見えて、その実は存外にストイックでもある空却は、自分を限界まで追い立てる修行の成果かはたまた本人の素養かあるいはその両方か、少々マゾヒスティックな所があって、意地悪いシチュエーションを囁くと覿面に効いてしまう。
 野外露出や衆人環視などは、人に囲まれ慕われて築いた信頼や誇りを穢すようなものなのに——だからか?——先ほどのように声も無く絶頂するのが常だ。
 誰しもが持つ『やってはいけないことをやったらどうなるか』の誘惑は、呼吸をするように自制している者だからこそ余計に強く影響されるのかも知れない。
 まして『恋人だからこそ許す』という内心を丸裸にした状態ならば、いっそうのこと深く、重く響いてもおかしくはない。
「……まあ、こんだけデカいと男だと思われちまうかもなあ……?」
「ふ、ぁ……っ♡」
「普通サイズのクリならよおく見ないとわからないが……♡ ちんこサイズのズル剥けデカクリちゃんだからなあ……♡」
 体格と同じに一回り小さな『クリトリス』のさきっぽ♡ をぐりぐり♡ とちんぽのさきっぽでほじりながら、倒錯も極まった責め句を真っ赤な耳に流し込む。
「ぉとこ、じゃねぇ……っ♡ せ、そぉはぁ……っ♡ ぉんな、だ……っ♡♡」
「わかってるよ……♡ やらしいことばあっかしてるからちんこみたいに皮が剥けて♡ でっかいクリになっただけで……♡ 空ちゃんはかあわいいおんなのこ♡ だもんなあ……♡」
「ふ、ぅ♡ ぅあ……♡♡♡」
 ぬち♡ ぬちゅ♡ とぬるつくさきっぽ同士をからめ合い、いい加減、びしょ濡れで重たくなったスウェットと下着を引き下ろす。
「……っ♡♡♡♡♡」
 ぶるんっ♡♡ と飛び出したちんぽとごりゅっ♡ と触れただけで、は♡ は♡ と等間隔で開閉していた口がきゅっ……♡ と結ばれ、ぶしゅうぅぅうぅぅぅぅっ♡♡ と大きな飛沫がクリから上がった。
 『女の子』という響きから想像するテンプレートなイメージからすると、ひどくはしたなく淫らな粗相はしかし、『男の子』だとしてもそれは変わらない。
 むしろ倒錯に倒錯を重ね、こんがらがった状況全てが、常以上に淫靡に魅せているとも言える。
「ほら……♡ 本物のちんぽだぞ……♡」
 つゆだくクリイキでへにょりとしたクリを下から掬い上げるようにして、解放したばかりのちんぽをず……♡ と擦りつける。
 さすがにだくだく溢れ出していた先走りでぬとぬととぬめるちんぽは、む……♡ と熱を放ち、濃い桃色に色づきながらもすんなりとしたクリと比べると赤黒く凶暴な肉塊に見えた。
「でかぁ……♡♡♡」
「空ちゃんのクリがいくら包皮剥けした平均サイズ以上だとしても、本当の男のちんぽと比べりゃあかわいいもんだってわかんだろ……♡♡」
「はうぅぅぅ……♡♡」
 ぬちゅっ♡ ぬちゅっ♡ と先走りを塗り込めるように腰を動かすと、クリが何度目かの勃起で硬く尖る。
 勃ちっぱなしのままやわく硬くをくり返す様は本当にクリトリスのようだ。
「女の子で良かったなあ……♡ 男だったらそんなにいっぱいイケねえぞ……♡♡」
「ひぅ♡ も、ぃくの、ゃぁ……♡♡♡」
「こんな気持ち良さそうなのに?」
「らて、ぇ……♡ くり、ば、か……♡ ゃあ……♡♡」
 ひ、ひ、と鼻を鳴らし、クリイキ♡ のためでない腰振りでぷるっ♡ ぷるんっ♡ と尻肉が揺れる。
 たかが十センチ、されど十センチの身長差からでも、明らかなおねだりに揺れる尻はよく見えた。
「……へぇ……♡ 空ちゃん、こおんなイキまくってんのに、クリイキだけじゃ満足出来ねえんだ……♡♡」
「らてぇ……♡ せ、そぉ……♡ ぉまんこぃき♡ がいちばん、きもちぃ♡ って……♡♡」
 誰がそう教え込んだかなど、言葉にされずともわかる。
 頭をぶつけて勘違いする前から乞われたという事実に甘え続けて抱いた恋人は、ついには自らの肉体の変化を女性器として称するようになった。
 本来ならば排泄器官のはずのそこは、すっかり快楽を受容する器になって久しい。
 『男』であった時もふるふる……♡ と尻をふるわせてねだられたことがあるのだ。『女』の今など、考えるまでもない。
 しかし『準備』はどうなっているのか。
 頭で『女』と思っていても、身体まで『女』になるわけではない。拓かれ尽くしても濡れぬ身体には必要な処理がある。
 そろり、とまろやかな尻に手を伸ばし、緩んでズレた紐ビキニを適当にどかす。愛撫で触れた尻たぶをそのまま、ぐ、と持ち上げれば、くぱあ……♡ と縦割の秘裂が開き、中からとろ……♡ とローションと細身のプラグが滑り落ちた。
「とっくにびちょびちょのおまんこだろうにローションどころか玩具まで咥え込んで……♡ クリに飽き足らずおまんこでもオナニーか?」
「ん♡ らてぇ……っ♡ ひとゃといると……っ♡ おまんこ……♡ ず、と、じんじんっ……♡ す、から……♡♡」
 一緒にいるだけでおまんこがじんじん♡ うずき、クリはもちろん、乳首もびんっ♡ ぴんっ♡ とふくれて悩ましい。けれども大きなディルドはおっかないから、挿入しやすそうな細身のプラグをたっぷりのローションでちゅぷん……っ♡ としたそうだ。
「へえ……♡ それで? おまんこじんじん♡ はおさまったかよ」
「ぉさま、なぃ……っ♡ も、と♡ もっ、とぉって♡」
「逆におまんこムラムラしちまったかあ……♡」
「ん……♡♡」
 とろとろに仕上がりつつあるおまんこ♡ から落ちたプラグは手持ちの中でも一際小さな初心者用で、今の空却では気まぐれにおまんこの良い所をくすぐられる生殺しにしかならない。
 絶妙に浅瀬にあるしこりをかすめる程度の長さと、やわく撫でる程度にしかならない太さのプラグに焦らされたまま、意地悪い言葉で責め立てられ、ズル剥けデカクリ♡ を扱かれるのはさぞや切なくてたまらなかったろう。
 我慢強く、退かず、折れず、屈さずを貫く強靭な精神が良くも悪くも働いて、感じやすく素直な身体は知らず知らずマゾヒスティックに仕込まれてしまった。
 ぞくぞく、と背筋を走る嗜虐心は間違いなく独占欲や支配欲と繋がっていて、ぐぐ……っ♡ とちんぽがいきり勃っていく。
「ひとゃ……♡」
 みなまで言わずとも、おまんこ同様にとろけきった金色の目に見上げられたら求められているのが、ちんぽが痛いほどわかる。
 ぐっ♡ ぐっ♡ とちんぽを押しつけた先で、ぷりゅん♡ ぷりゅん♡ と子種袋が弾むたび、元気になったズル剥けデカクリ♡ からぷしっ♡ ぷしゃっ♡ と飛沫が上がった。
 とろとろのおまんこは拓ききってはいないものの、即挿入しても問題なくちんぽをおしゃぶりしただろうが、まだ少しきゅっ♡ と締まったおまんこ♡ のぷりゅぷりゅ♡ とした感触を指で味わいたくなったのだ。
「ぁ、んぅっ♡」
「このままちんぽ挿入れるには……っ♡ 空ちゃんまんこ♡ はちいちえからなあ……っ♡♡」
 もちろんそんなのは口からでまかせで、クリとおまんこを同時にぐりゅぐりゅ♡ ぷりゅぷりゅ♡ とかわいがると、クリイキ汁をおもらししながら、指ちんぽ一本をつぷつぷ♡ と挿入れるだけでおまんこを甘イキさせ、ちゅっ♡ ちゅぱぁ……♡ とおしゃぶりするのを堪能する。
「ぁ♡ はぁ……♡ は、ぁぅ……っ♡」
「よし、よし……ちいちえ空ちゃんまんこ♡ 広がってきたぞ……♡」
「ん……っ♡ ぁ……っ♡」
 指を二本に増やし、チョキをするようにぐぱあ……♡ と広げると、外気が入ったのか、ぶる……♡ とふるえ、しょわぁ……♡ とおつゆをおもらしした。
 敏感なクリとおまんこはどんどん欲をため込んで、折に触れて発散するもののまだ解放には至っていない。
 すっかり険の無いとろけたおまんこ顔でなくばかりの空却は、今日はまだ踏み込まれていない性感帯を何ヶ所か残したままになっている。
 その一ヶ所は指を伸ばせばすぐに触れられる場所にあって、はやる気持ちを抑えながら、二本の指でそこをくりゅっ♡ とこね回した。
「ほぁっ♡ ぁ、ひぃ……っ♡♡♡ ま、へ♡ りゃめぇ……っ♡♡♡」
「ダメじゃないだろ……♡♡ 空ちゃんまんこ♡ の中で空ちゃんがだあいすき♡ なとこだろ……っ♡」
「しゅきっ♡ しゅき♡ りゃけりょっ♡♡♡ ょしゅぎりゅぅ……っ♡♡♡」
 おまんこの浅瀬のふくらみは、触って触って♡ とばかりにふっくらとふくれ、ぎゅっ♡ きゅっ♡ と指で挟んでゆすると、ぷしゃぁぁぁぅ♡ しょわぁぁぁぁっ♡ と破廉恥なおつゆを吹き出して止まらない。
 おまんこ自身も指をぎゅぅぅぅ……♡♡ と締めつけているから、ダメと言いながらもほとんど加担しているも同然だ。
「とろとろ♡ むちむち♡ おまんこ……♡ 指ちんぽつぽつぽ♡ でつゆだくおもらし♡ イキしちまって……♡♡」
「りゃてっ♡ りゃてぇ……っ♡♡♡」
「ちいちえのにエッチすぎるおまんこ……♡♡ まだイキたりねえよなあ……♡」
 ぷりゅぷりゅ♡ の子種袋は名残惜しいが、もっとぷりぷり♡ むちむち♡ とろとろ♡ でちんぽをきゅうきゅう♡ 締めつける場所を俺もちんぽも知っている。
 ベッドのふちで向かい合ったままでもいいけれど、自分を女だと思い込んでいるならば是非ともやってやりたい体位があった。
 休みなく甘い絶頂をくり返して限界の近いらしく、さしもの空却でもくったりとしている隙をつき、素早く指を抜くと、ベッドの真ん中へと引きずり込む。
 へ、と間の抜けた声を上げて、とろけた眼差しをほんの少しだけしっかりとさせ、ぱちくり、とまばたきした頃にはお膳立ては終わっている。
 仰向けに転がした身体は勢いそのままに両足が顔の横へとつき、ずれていた紐ビキニは何処かへと消え、おつゆで濡れテカるズル剥けデカクリ♡ も、ふっくらとしたびしょ濡れ縦割まんこ♡ も空却自身にほとんど丸見えの体勢になっていた。
「ぁ……♡ ゃ、ま、まてぇ……っ♡」
 はしたなすぎる有様のクリとおまんこを直視し、またこの後どうなるかを経験から即座に理解して、かぁぁ……♡ と全身を羞恥に染めるも、抵抗出来ないように太ももをがっちりと押さえてしまった今ではもう遅い。
 くぽ……♡ くぱぁ……♡ とちんぽをねだるおまんこ♡ に、ずし……っ♡ と重たくなったちんぽを構えれば、ごきゅ……♡ と生唾を飲み込んで大人しくなった。
 素直な反応につい、ふ、と込み上げる笑いをこらえそびれると、き、と形だけは抵抗しようとする目に睨まれたが、ちんぽを載せられたおまんこ♡ は、ちゅっ♡ ちゅぱぁ……♡ と挿入前にも関わらず熱烈にしゃぶりついている。
「待たせない方が、イイ、だろ……っ♡♡」
「ひ、ぉっ♡♡♡」
 ちゅっぽ♡ とわざと音を立ててちんぽをずらし、そのまま待ちくたびれた様子のおまんこ♡ を押し潰すようにずぶん……っ♡♡♡ と一息にちんぽをねじ込むと、仰け反り、ひゅ、と息を飲みながらも、デカクリからぶしょおおぉぉぉぉぉっ♡ と今日一番の盛大なイキ潮をひり出し、極太ちんぽにみちみちみちっ♡ とこじ開けられたちいちゃいおまんこ♡ は、教え込まれたちんぽの形♡ をしっかりと思い出して、ぷりゅぷりゅ♡ のおまんこ壁でちんぽを扱きだした。
 激しすぎるイキ潮は胸を越え、顔にもぴ、と数滴の汁を散らす。透明な液体は汗や涙と混じってわからなくなるが、まだ挿入れただけなのだ。
「ふ、うう……っ♡ 俺のちんぽの形……♡ 忘れてねえなあ……っ♡♡」
「ほかのちんぽ……っ♡ しりゃにゃぃ……っ♡♡」
「さっき玩具でおまんこオナニーしてたろ……♡」
「ぁ、にゃの……っ♡ ちんぽりゃにゃぃ♡ かりゃぁ……♡」
 ぬっ♡ ぬっ♡ と優しく腰を振りながら、ちんぽのさきっぽで届く一番奥のやわこい肉壁をノックする。
 おまんこで深イキ♡ したくてしょうがない身体が搾り取ろうとするのを必死で耐えて、指でもさんざかわいがった浅瀬のふくらみをごっ♡ ごっ♡ と少し手荒にほじくると、きゅぅぅぅんっ……♡ と根っこからさきっぽまでを押し上げるようにまんこ壁が締まり、ぷしっ♡ とクリからおつゆが吹き上がった。
「ほぁぁぁ……っ♡ しゅごぉっ……♡ しゅきぃ……っ♡♡♡」
「おまんこ♡ のやらしいしこり♡ ごりごり♡ 効くだろ…‥っ♡」
「しゅげ♡ きくぅ……っ♡ がちがち♡ ちんぽ……っ♡ ほじりゅの♡ きくぅ……っ♡♡♡」
 むちゅむちゅ♡ からみつくおまんこ壁と違い、こりこり♡ と引っかかるしこりはちんぽにとっても気持ちがいい。ついつい、くぼみやくびれ、筋の良い所に当てようとして、最奥をほじるのが疎かになりそうなのを、自分以上に夢中になってしこりをほじって♡ とはしたなく腰と尻をふる姿を見てどうにか律している。
 幸いにもしこりをかわいがられる快感で、最奥——種付部屋——への肉壁がゆるみ、もう一突きか二突きもすれば拓く感触になってきた。
「そろそろおまんこの本来の役割を果たそうか……♡」
 はあ……♡ と互いに荒く乱れた呼吸を交わし合いながら、動きを止め、『女』を自認している恋人に宣誓をする。
 快感に飲まれてわからないのか、ぽんやりと首を傾げるいとけない顔に顔を近づけると、うだった頭でもわかるように言い直してやった。
「空ちゃんのおまんこ……♡ ずうっと射精さずにためこんだちんぽ汁……♡ ぜえんぶゴム無しで注ぎ込んで……孕ませてやるって言ってんだよ……♡♡♡」
 うだりきった脳の処理速度が落ちていたのか、はたまた聞いた言葉を理解することを拒んだのか、ただ、ぐりゅ……っ♡ と秘奥の最後の壁をくじるちんぽのさきっぽに気づいたおまんこだけが、応じるようにその侵入を許してくれる。
「ほ、ぁ……♡」
 じゅぷん……っ♡ とお許しをもらって挿入り込んだのは、『男の子宮』とも言われる腸の泣き所で、今の空却の認識でも『子宮』だが、頭部への打撃で認知に誤りがある状態では、その重みは少しだけ違う。
 自身を『男』と思っている時でも内臓の奥深くを暴かれるのを受け入れてくれるのは愛と信頼の証左だが、『女』を自認している状況で孕ませるなどと宣言され、それを許してくれるのは、臓腑を暴くだけでなく、十月十日で済まぬ年月——一生——を共にする許諾となる。
 『男』の空却では満たされない、などとは思ったことはないし、これからも思うことはない。
 ただ、『男』の空却に決して起こり得ない、『子供』という目に見える証を得られる『女』の空却に『伴侶』として選ばれたすさまじい充足感に、ちんぽがどくん、どくん、とうるさいくらい騒ぎ立てた。
「空却……っ♡ 本当におまんこに射精すからな……っ♡♡」
「んっ……♡ らしぇ♡ りゃして、いーぞ……♡ せ、そぉ♡ かーちゃん♡ な、てやる……♡♡」
 本当には孕まない、そんなことわかっていてもどうしようもなくたかぶって、きんたまがぎゅん、と張り詰め、ぐう、とせり上がる。
 常ならば触れられることのない最奥の肉壁は、ちんぽのさきっぽで撫で、ほじるとそれだけで嬉しそうに、ちゅ♡ ちゅぅ……♡ とくちづけるようにしゃぶりつく。
 かわいらしいキスと裏腹に、孕むための本能で金玉から根こそぎ搾り取るように、ちんぽの根っこからさきっぽまでをむちゅぅぅぅぅ……っ♡ と扱くおまんこ壁に煽られて、さきっぽからの刺激はいっそう強烈になる。
 負けじと肉壁をどちゅっ♡ にちゅっ♡ と耕すと、まんこもまたそれに応じ、絶頂寸前で完全勃起したまま焦らされているクリは、何をされてもおもらしをする玩具のようになっていた。
「はあ……っ♡ くそっ……っ♡ 射精してえけど……っ♡ 射精したくっ、ねえなあ……っ♡♡」
「な、れ……っ♡ りゃしぇ♡ せ、その♡ まんこ……っ♡ も……♡ びゅぅぅって♡ しゃれにゃいと……っ♡♡♡ ぃけにゃぃぃっ……♡♡♡」
 このままずっと、極める直前の、ぐちゃぐちゃに溶け合い、交わり合ったままでいたい。
 叶わぬ願望はあまりにも深い快楽と満ち足りた悦びが見せる幻とわかっていても、熱狂に溺れた頭は冷静になれずにいる。
「子供が出来なくても……母親にならなくても……俺には空却だけだ……」
 夢から覚めなくては、と自分自身に言い聞かせているつもりの言葉は口から出ていて、達する間際の焦点の定まらぬ瞳が一瞬だけ芯を取り戻した。
「……せ、そぉも……ちでつながれなくても、ひとゃしかいねぇよ……」
 『家族』とは別の、心の中にある特別な存在を座らせる場所の一つ。唯一人と決めたそこには互いだけだと、言葉少なくとも伝わるのならそれでいい。
「りゃかりゃ……♡ りゃしぇ♡ りゃしぇょ……っ♡ せ、そぉ、ひとゃのもん、て……♡ ひとゃらけ、てぇ……っ♡♡♡」
 その上で、独占と所有の刻印を乞い願われるのはどれほどの喜びだろうか。
 情けないことに言葉が武器で商売道具にも関わらず、恋人に捧げる愛も欲も上手に紡げないまま、まっすぐに思いをぶつけるくちびるに食らいついた。
「ん、うぅ……んっ♡」
「ふ、う……っ♡」
 何もつけなくとも薄桃色のくちびるは、ふるりとやわらかく、くちびる同士で食まなければ簡単に破れてしまいそうでひやひやとする。
 ちゅぽぉ……♡ ちゅぱぁ……♡ という交歓の水音は上からも下からも響き、鼓膜をゆさぶられるたび、ちいちゃな口もおまんこもぴくんっ……♡ とふるえ、クリはぷし……♡ と控えめにおつゆをこぼした。
 おまんこへの種付ピストンを受け止めるのでいっぱいいっぱいの口腔は、よく回る舌を捕まえて吸い上げても、尖った犬歯や綺麗に並んだ真珠色の粒をちろちろと舌先でくすぐっても、されるがままに感じ入り、早く受精絶頂をするためにおまんこをしめつける。
「ふううー……ううう……っ♡」
 種付乞いをしてしゃぶりつくやわいおまんこ壁をいよいよ孕ませるつもりだったちんぽを奮い立たせ、どうにか射精は押し留めたものの、ぐらぐらと煮詰まった金玉の中身は爆発寸前で、獣じみた唸り声が上がった。
 獰猛なよがりを宥めるためか、目を細めた恋人が一生懸命に荒々しいくちづけに応じ、ふぅふぅ♡ と鼻を鳴らすのが健気で、たまらずちんぽがそり返る。
「ぅ、んぅ……っ♡♡♡」
 くちびるもおまんこもずっぽりと塞がれ、注ぎ込まれる快感をため込み続ける身体は、びちびち♡ びくびく♡ と跳ね回り、なんとかクリでの粗相だけにとどまっていた。
 顔どころか全身を真っ赤にして悶える空却は今ならばどんな惚けたお願いでも聞いてくれそうな危うさがある。
 だからくちびるは塞いだまま、種付をするしかない。
「ふっ……♡ う……っ♡♡♡」
「〜……っ♡♡♡♡♡」
 ちゅぽっ♡ ちゅっ♡ ちゅっ♡ ちゅぅぅううう〜っ♡♡♡ と突き続けたおまんこに、長くぐりゅりゅ〜〜〜っっとさきっぽを擦りつけた勢いそのままに、ぶっ♡ びゅぅぅううううぅぅぅぅぅうっ♡♡♡ びゅっ♡ びゅるるるぅううううぅぅぅううう……っ♡ とこってり♡ たっぷり♡ とした濃厚なちんぽ汁を射ち放った。
 呼吸すらも奪われて、やわく感じやすい、種付射精でイクように仕込まれたおまんこ♡ の最奥は、長く濃い種付をゼロ距離で受け止め、きゅぅぅぅ♡ きゅんっ♡ きゅぅぅうんっ♡ と、尿道に残る一雫さえ啜り取ろうとちんぽをきつく搾り上げる。
 ちょうど口腔でも絡めとった舌の根をぎゅぅっ♡ と吸われ、溢れた唾液を飲み下す途中だった喉は、ちんぽから注がれた子種と同じように奥へ奥へと流し込まれる液体にはしたなく感じ入ってしまったらしい。
 おまんこ♡ がふるえるように喉奥をわななかせ、ぷしゃあっ♡ とクリから吹き出すイキ潮を倍近くに増やし、ついに腹と胸に大きな水たまりを作りあげた。
 おまんこ♡ とクリ♡ ばかりかわいがっていたが、ずっと三角形の布地を押し上げ続けていた乳首の健気でいやらしい勃起も忘れてはいない。
 とてもビーチに着ていけない布切れではあるものの、水着素材ではある紐ビキニは、淫水で濡れるとぴっちりと張りついてテカり、ぷっくりと浮き上がった乳首だけでなく、ふっくらとした乳輪までもをあらわにしてしまった。
 腰を動かすたび、尻同様にぶるん♡ ぶるん♡ と良質な胸筋に乗せた媚肉を揺らし、こちらの目を楽しませ、ちんぽもそそり勃たせてくれる。
 押さえずともこちらに縋りつこうとする足から手を離し、寂しそうにぷる♡ ぷるん♡ と豊かに波打つおっぱい♡ を下から掬い上げ、むちゅんっ♡ むちゅんっ♡ と両手のひらいっぱいの重みを堪能した。
 これ以上達することなどないと思っていた身体は、限界知らずにおっぱい♡ でも快感を拾い上げると、おまんこ♡ とクリ♡ に止まらず、喉まんこ♡ でもびくびくんっ……♡ と極めてしまう。
 頭のてっぺんからつま先まで、感じない所などないのではないかと思うほどいやらしく仕上がった肉体に、一度は子種を吐き出して力を失いつつあったちんぽが再びぐぅっ♡ と首をもたげた。
「んっ♡ ぅんん……っ♡」
 いやいやする赤子の仕草で首を振り、ほとんど閉じた目の隙間から覗くうるんだ瞳は切なげにとろけながらも恐れを匂わせ、じたばたともがく手足はくったりと頼りない。
 これ以上は無理、ということだろう。
 塞いだままのくちびるを離してやり、ほんのりと腫れたくちびるがは、ぁ……♡ と熱い吐息をこぼす。
 長く塞がれたくちびるを解放された安心感からか、胎の奥までねっちりとマーキング種付された快感か、幼い表情でうっとりとする恋人は、まだ肝心のちんぽが抜けておらず、おっぱいも揉みしだかんばかりなのを忘れている。
 常ならば容易く見抜ける悪巧みを見落とすほどうだったままの恋人が、上がる口角を見落としてくれて助かった。
「へ……ゃ、ぁあんっ♡」
「ごめんな……♡ 終わりにしてやりたいんだが……♡♡」
「ひとゃ……っ♡♡♡ せ、そぉ……、もぉ……♡♡♡」
 むり、か、だめ、と描きそうなくちびるを無理矢理変えるため、おまんこ♡ に挿入ったままのちんぽで最奥の柔肉をくじり倒し、乳首をこりこりっ♡ と転がしながらおっぱい♡ を揉んでやる。
「ゃ、あっ♡ んぅぅぅっ♡♡♡」
 するとぴぃんっ♡ と仰け反り、一回りくらい育って見えるデカクリから、しょわぁぁぁぁっ……♡ とエッチなおつゆおもらしで絶頂を宣言した。
「俺のちんぽも……っ♡ きんたまも……っ♡ まあだまだ……♡ 重たいんだよ……♡♡♡」
「ふ、ぁ……っ♡♡♡ ぁ♡ あぁぁ……♡♡♡」
 むち……♡ とした尻肉に、でっぷりとちんぽ汁をため込んだきんたまを擦りつけると、期待にふるえるしか出来ない身体がどきどきっ♡ と脈打つと共に、待ちきれずにしゃぁぁ……♡ とうれションまでして種付を催促される。
「言ったろ……♡ 孕ませてやる……って……♡」
 そう告げると恐れと悦びで金色の眼差しがとろけ、はく、とくちびるが開かれた。
「はゃく……♡」
 手のひらの中でぴん♡ ぴん♡ と勃起した乳首がこそばゆく、クリもおまんこもちんぽを急かし、しょわぁ……♡ きゅう♡ とはしたないアピールを欠かさない。
 やはりこのいとおしく、かわいらしい恋人に捧げる言葉が出てこず、もう一度、くちびるを塞いだ。



 翌朝、かなり濃密に愛でたはずの恋人に、すっきりつやつやぴかぴかのかんばせで、なんか体が痛ぇんだけど……ここ獄んちだろ? とあくびをしながら叩き起こされた。
 いくらなんでもあれだけ——生で抜かずの何発か——したのに、まるで妊娠の心配をしている気配がない。
「拙僧が女ぁ〜!? んなわけねーだろ!!」
 もしや、と思い確認をしたらこれだ。
 埒が明かないのでしょうもない嘘など絶対につかないお父上に電話を繋げば、こんの馬鹿息子が! とスマホを突き抜ける大音量でのお説教がはじまった。
 おかげさまで今朝までの経緯は納得してもらえたが、なんでそんな勘違いをしたのかはまるでわからないままだ。
「一体なんだったんだよ……」
「拙僧が知るわけねーだろ。女だと思い込んでた? 間の記憶もねぇしよ。……獄は『女』の拙僧とよろしくヤッてたみてぇだけどぉ?」
 重怠いという身体を労ってか、ソファの上で猫の子のように丸くなりながら、こちらを見上げる目も愉快そうに丸まってきらきら光り、ニヤァと口角が上がる。
「……さっきも言ったろ、お前が灼空さんと揉めたから、俺が信じてやった方がいいだろうって……」
「そのまま親父に殴らせたら治ったんじゃねぇの?」
「元号二つくらい前の家電じゃねえんだからよ」
 ため息をついて金色の目を見つめ返すと、ふ、と目を細めて微笑まれた。
「……まぁ、拙僧は逆立ちしたって『女』にゃなれねぇし、獄に血の繋がった『家族』は作ってやれねぇけど……死んでも『家族』と『恋人』でいてやんよ」
 昇る直前の朝陽か、沈む直前の夕陽に似たやわらかな瞳に、たぶん、それが理由だ、と気づいても口を閉ざす。
 問うまでもない。『女』でも『男』でも答えも結果も同じなのだから。

2025/12/19


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