虎児は彼方、虎穴は此方
三が日も終わりなお慌ただしい年始最初の週末。年賀状とアプリで済ませたはずの挨拶をしに、朝早くから恋人がやって来た。身軽というよりも薄着を好む子供体温が、いやにダブついた大きめのコートを着ていると思ったら、ぷちん、とボタンを外した下がほとんど裸だった。正確にはビキニだが、胸元と股間以外はまばゆいやわ肌がつやめくばかりで一切の防御がされていない。着くまでに何かあったらどうするつもりだったのか。ただでさえ揉め事に首をつっこみ、巻き込まれるタイプだというのに。
なんでもないような顔をして押しつけられたコートを受け取る。ハンガーにかけながら視線をやるものの、やはりとんでもない格好は変わらない。冷えきった肌はいつもより白く、節々の熱がわずかな赤みを添える。ぴっちりと張りついたビキニは寒さか元々なのかぷくりとしたふくらみを上下とも隠さず、年始早々、挨拶もそこそこにナニをするつもりだったのかと思わされる。さすがに寒かったのかハイソックスを履いているが、足先を覆ったくらいでどうにかなるものではない。風邪が裸足で逃げ出しそうな馬鹿の極地は、そのわずかな衣服を全て虎柄で揃えて、にまぁ、と悪そうに笑った。
「おっ……前、なぁ……去年だって丑年だからっつって変なコスプレしてただろうが!」
「なんだよ、好きだろ」
「好きじゃないわ!」
「えぇ〜……アマグニセンセってばひどぉい……拙僧のことキライなんだぁ……」
ぴえんぴえんとあからさまな泣き真似をして上目遣いをする年下の恋人は自分のことをよくわかっている。黙っていれば美形、喋ればクソガキ(だが顔は綺麗だ)。当然、かわいこぶりっこすればムカつくほどかわいいのだ。
中身を知っているから興醒めーなんてなれればいいのに、よそ見なんて許さないという必死のアピール、かつ煽れば火がつくと知っている打算をわざと透かすのが上手すぎる。鼻先にぶら下げられたにんじんをゆらゆらとさせるのは馬自身か騎手か、もしくは運命の悪戯か。少なくともこのにんじんは自らゆれて誘う。野菜なんて静かなものでなく、獰猛な寅なのだが。
「俺が嫌いなのはイベントだなんだって上っ面だけ乗っかって馬鹿騒ぎすることでお前じゃない」
「いいじゃねえか馬鹿騒ぎ。拙僧ようやくオフなもんでなぁ。精進潔斎してお勤めした分、カレシと煩悩まみれに爛れてぇんだわ」
実際、年末年始はお互いに忙しい。特に空却は師走を体現する有様を、一番弟子から「本当にお坊さんだったんすね!」と言われていた。そのあとのしばき方は悪鬼羅刹のようだったが、日頃の行いを考えれば無理もない。
会えないのはわかっていても一度だけ遠目から眺めたお勤め姿は、本人の弁どおり年の終わりと始まりを締めて迎えるにふさわしい凛としたものだった。それでもふとした瞬間に見せるやわらかい微笑みに見知った子供の気配があるのに満足してもいた。乱暴に振る舞っていても慈しむ心が根にあって、それを訪ねてきた人々に等しく与えられる。恋人の才は過酷な荒業を成したことだけではないのだ。
決して掴めないほどではないけれど、触れがたい恋人が遠く感じる。自分だけのものではない。そもそも空却は空却のものでしかない。ただ映像や音声、画像や文字でしか会えなかった寂しさを冬の寒さが加速させた。この勤めが終わったら、恋人は帰ってくる。そうしたら何か美味いものでも食べて、会えなかった間の話をして、そして……。
「……ムードがねえんだよ……」
「は?ムードしかねえだろ。ヤんぞダーリン」
「お前のそれは襲撃とか奇襲って言うんだよ……」
「トラ・トラ・トラってか。ま、ホントにイヤならこのまま帰るぜ?」
渡したばかりのコートをもう返せと伸ばす手はそっけないほど白い。そんなこと獄はできないと知っている手だ。来る前までならばいざしらず、来て、この格好を見てしまったら帰せるわけがないと知っている。
「こんのクソガキ……っ」
そうこなくっちゃなぁ、と楽しげに笑った恋人の手を掴む。凍りついた手のひらを引き寄せて、逃げられないように抱き込むと、全身が同じように冷えきっていた。
エアコンはつけているものの玄関先までは届かない。さっさと移動しようと思うのに、専属策士に煽られてついた火が消えないのだ。冷たい身体をあたためるために抱きしめ、くちづける。くちびるも頬も額も氷のようで、ちゅ、ちゅ、と熱をわけ与えれば、くすぐったそうに首をふった。ひひ、と小さく笑って細められた目尻も熱が生まれて赤くなる。見慣れたいとけない笑みはかわいくて、これから自分しか知らない顔になると思うといっそうたまらない。
無邪気な笑みの形に開いた口に舌をねじ込むと、素直な良い子は拒みもせずに"あ"の形に広げてしまう。真珠色の歯の奥、やわらかくあつい桃色のビロードは簡単に捕まえられた。にちゅ、と唾液を纏い、濡れた音を立てて交わると、それだけで抱きしめた身体が熱くほてる。ちらりと視線を流した先の肌から人形めいた白さは失われ、ほんのりと薄桃色を帯びていた。
ちゅ、ちゅぽ、ちゅぱ、と常ならば恥ずかしがる音を立ててくちびるを貪ると、案の定、金の瞳が弱々しく睨めつけてきた。抱きしめているから嫌ではないなんて全身から伝わっているのだが、この負けん気が好きなのだ。堅牢な鉄壁をかわいがって崩すのも、好きにしろと明け渡されるのも獄だけの特権だ。
小さな口を蹂躙したまま、あたたまってきた身体を愛撫する。はじめは本当にあたためるためにさすっていたのを、じわじわと不埒な思惑を持って触れ出した。皮膚の薄いあたりをくるくると指の腹で撫で回し、骨や筋を指先でなぞる。くちづけだけでとっくに勃起していた乳首や性器はふくれるままにしていたら、わずかにへこへこと身体を上下に動かしていた。きつく抱いていたからか物馴れない自慰のような動きをするのがたまらず、こちらも痛いほど張りつめてしまう。出かけるつもりで履いていたスラックスを押し上げるのがキツいが、恋人のモノと歪な兜合わせをする形になった。見えないけれど、おそらくビキニからはみ出して堪え性なく先走りをだくだくとこぼしているのだと湿った感触でわかる。
いともたやすく牙の抜かれた虎は、もうかわいくなくだけの猫でしかない。そのなき声さえくちづけで封じられて、わずかなみじろぎすらもきもちいい、いきたい、いく、という欲に濡れた音を響かせる。これから触れるのは恋人の最後の砦だ。
ふんわりと肉のついた尻を掴むとびく、と跳ねる。両手でそれぞれの尻たぶを持ち上げると、案外むちむちとした弾力があるから、つい揉みしだいてしまう。鍛えられた恋人の身体には贅肉もなければやわらかい場所も少ない。だからつい、こぶりながらもしっかりと手のひらにおさまり、なおかつすこしだけこぼれるような尻肉を揉みしだいてしまうのだ。
最初に掴んだ時点でビキニはずり上がり、尻のあわいに食い込んでしまった。剥き出しになった尻のすべすべぷりぷりとした感触を堪能していると、うう、と喉奥で呻かれた。睨むのに失敗した目はうるみながら離せ、と訴えているものの、本心は違う。金にまたたく瞳の奥が、暴かれて食い散らかされたいとゆれていた。
ぐ、と強く尻を掴み直し、そのまま秘穴を晒すように左右に開く。みち、とあらぬ音がして指を一本すぼまりへ伸ばすと、こっ、と無機質な物体が爪先をかすめた。こんな格好でセックスするために来た、と言うくらいだ。ここも準備万端だろうと思っていた。こつこつ、と叩くたび、絡めた舌がひ、ひ、とわなないて目の端から雫がこぼれ落ちる。
冷たく白い肌はもうどこにもない。熱く赤い肌が熱と色を放ちながら爆発寸前の欲をため込んでいる。尻を揉む手を片方だけ離し、ビキニをずらして、熟れた穴を塞ぐ性具に指をかけた。
少し平たい栓蓋を引くと、そのわずかな振動にも身体をこわばらせる。かまわずさらに強く引くと、ぷちゅ、ぷぷ、と粘ついた音がした。蓋と恋人の秘所を苛む本体を繋ぐ管だけが頭をのぞかせるばかりでまだ何も出ていない。長さも太さもわからないプラグをぐいぐいと引っ張ると、ぶるぶるとふるえる恋人の舌の動きがおざなりになっていく。
うるんで焦点のぼやけた目が急に見開かれたと思ったら、ぎゅぷん、と音がして引き続けていたプラグが抜けていた。ダイヤ型のシリコンプラグの中腹の張り出した部分が浅瀬の弱点をえぐったのだろう。くったりとしたままびくびくと跳ね、股間のいやらしいおもらしを止められずにいる。舌もだらんと力をなくし、絡めて吸って甘く食むと、ん、ぅ、となきながら空になった尻の穴をきゅうきゅうと締めつけた。自ら時間をかけてたかめた身体をさらにかわいがられ、ずっと甘く達していたところで泣き所を突かれたのだ。淫らに拓かれた身体の恋人にしては健闘した方だろう。快楽と混乱で八の字に寄った眉間と、ようやく迎えた絶頂を物足りないと言いたげにとろけた瞳が悩ましい。
真っ赤に茹で上がった顔といっぱいいっぱいに呼吸する鼻にこれはまずいと口を解放すれば、口のはたからよだれをたらしながらはくはくと息を吐いた。うっすら赤く腫れたくちびるが濡れてつやめき、真珠色の歯の淡い白さがひどく目立つ。その奥でさんざん味わい尽くした舌が覗いた。よく回るはずのそこは大人しく小さな口腔に収まったままでいる。
一度絶頂を迎え、鎮まるどころかもっともっとと火がついた身体は、余韻にふるえながらぎゅう、とこちらに身をゆだねた。ぷくりとふくれたままの乳首も、ゆるく勃起しなおしてびちょびちょのちんこも、好きにしろ、とばかりに押しつけられる。気持ちよすぎて足と腰が馬鹿になったのだろう。廊下の壁に寄りかかって受け止めた身体は、密着を深めただけでひ、とないて、股間を濡らし、きゅ、と尻を締めた。
歳の差を感じさせない聡さと達観はなりをひそめ、欲と熱に囚われた子供が、より深く強い、意識も記憶も飛ばすほどの絶頂がほしくて淫らに誘う。一人では持て余す飢えた身体を満たしてほしいと、一生懸命に擦りつかれるのがたまらない。かわいい恋人がいくらベッドで優位に立とうとしても、身体を拓いて育てたときの仕込みには勝てないままだ。
はじめて肌を重ねた日からずっと、好きだ、愛している、と言い続けた。最初はケタケタと笑っていた生意気な坊主がもうやめろ、と恥じらいを覚え、最後には好きだと言えばすき、と舌足らずになきながら果てるようになった。身体だけでは駄目なのだと、心も全てあらわにして気持ちよくなるのだと教えた子供は、それを素直にきいてしまう。
一糸纏わぬ心と身体が獄と二人、情と欲に溺れたいとすがりつく。ここにいるのは恋に狂わされた愚か者で、けして由緒ある寺の後継ではない。こんなことを言ったら怒られるが、あそこで住職として坐すのは空却以外にもできるとしても、獄の隣にいるのは空却以外にはつとまらないのだ。……ああでも、俗世と乖離したようでありながら密接に繋がってもいるあの空間に、もっとも見慣れた風景の中に恋人がいないなど落ち着かない。どうしたって欲深な自身をかえりみると、存外に執着のない恋人がまぶしくなる。僧としての空却ー自分だけの空却以外も全て、手中におさめたい。離れて知らない間に変わっている、なんてのはまっぴらごめんなのだ。
「ひとゃ……」
呂律が回らなくなるほど貪った舌が、意図せぬ回転をしながら名前を呼ぶ。弱々しく擦りつけられる身体と共に限界を訴えるのを、今度はもうやめろと言うまでかわいがってやりたい。ずっと揉みしだいていた片方の尻たぶをぐ、と持ち上げて後腔を開く。半分だけ広げられ、くぽくぽとする肉縁はときおり奥に仕込まれたローションをとぷ、ぷぷ、とこぼして、そのたびにきゅ、きゅぅ、と穴をすぼめた。
「最初の意気はどうした?」
いつだって嬉々として誘い、愛されること、かわいがられることに慣れきった身体で陥落する。どうにか踏ん張ろうとする心だって、気持ちいいな、イッていいぞ、煩悩まみれの爛れたセックスをするんだろう?と囁けば、割り開いた尻をはしたなくひくつかせ、する、と小さくこたえた。
プラグを投げ捨て、閉じていた尻たぶに手をかける。触れる前から強張っていたのを宥めるようにすくい上げ、ふにふにとゆすれば、ぷちゅちゅ、と半端に広げられた肉縁からローションをおもらしをしてしまった。シリコンの塊で封じられていた欲望は早く次の蓋をしなければあふれ出してしまうだろう。
羞恥と快感で顔を隠す恋人の、たくさんのピアスで埋まった耳が真っ赤に染まっている。むちむちもちもちとした尻の弾力と感触はこんなにいいものだったろうか。手に吸いつく肌触りは延々と揉み続けても飽きる気がしない。後腔がいやらしく感じるように優しく開閉を繰り返すと、粘ついた水音も伴いだした。見えないけれど、縦に割れ、ふっくらとした肉縁が透明なローションでぬめっているのは間違いない。今もぷちぷちゅと音を立ててないている。
「はやくしろよ……っ」
どうにか顔を上げた恋人に、ふぅふぅと息を吐きながら睨みつけられた。どろどろにとろけて、足もすっかりくにゃくにゃにしているくせに、かけらでも残った意地で噛みつこうとする。もっと高く、深く、繋がろうとして離さない、うるんでとけても褪せない目の輝きに惹かれて恋をした。
「ちょっと待ってな」
尻の感触を惜しみながら、ぐしょぐしょのまま重ねた身体を持ち上げて、どうにか片手でジッパーに指をかけた。前でぷるぷるとゆるく勃起したちんこが邪魔をして、中で爆発寸前のちんぽが暴れ回る。何度も失敗して、そのたびに互いの呼吸と唾を飲む音が耳につく。ようやく、というところで引っかかり、思わず舌打ちした瞬間、ぴゅる、と目の前のちんこが透明なおもらしをして、ふぁ……、と感じ入った息がもれ聞こえた。何がどう響いたのか、下ろしきれないままの窓口を見つめる金色は、うっとりとして答えてくれそうにない。
「……なぁにがヨカったんだ?」
「ん……ちんぽイライラさせてるひとや、かぁわぃ……って……」
変なコスプレの馬鹿騒ぎ、キライなのになァ?と嘲笑う口の端っこで犬歯がキラリと光る。好きになれるわけがない。玄関先でデート用の服をめちゃくちゃに汚すようなセックスなんて。ビキニの上にコートだけ着てくるなんて変態と馬鹿の紙一重をするクソガキも。ムカムカしてイライラして、何もかも引っ掻き回されて最悪だと思うのに、生意気ばかり言う子供がこの世のなによりも自分を、『天国獄』が欲しいと恋うから。
「誰のせいだと思ってんだ……っこの淫乱坊主!」
ヂィ、と力まかせに引き下ろしたジッパーの間からぶるん、とちんぽがまろび出る。下着を押しのけ、ぷるんと揺れるちんこに乗っかり、恋人の腹に当たった。無言でごくん、と飲み下された息と唾は一際大きく、ちんこもぐぐ、と膨れあがる。ずりゅ、とちんこをちんぽでしごけば、持ち上げた身体がくっつきたいとじたばたした。
「は、ぁ……ぁ……」
ずりゅ、ぬち、とゆすると、吐息のような喘ぎといやらしいおもらしが止まらない。ちゅ、ちゅ、と口づけに似た音はさんざんかわいがった尻からだろう。ビキニの虎柄ばかりが勇ましい。それにしたってもう恥ずかしい汁まみれで、あげくちんぽを挿入れようと引っ張ったらぶちりとやぶれてしまった。
「おい」
「んぁ……?」
自分でもびっくりするほど低い声が出たのに、気づいているのかいないのか、恋人がうっそりと返事をする。まだちゅこちゅこと、生の兜合わせに夢中の目は焦点が合わない。
自分が触れるからこんな風になる。そんなことはわかっている。よしんば来る途中に安っぽいコスプレ衣装がやぶけても恋人はきっと爆笑しながら訪ねてきて、それすら煽る材料にする。わかっていてもダメなのだ。
やぶれたビキニを床に叩き落とすと、音と濡れた布を引き剥がされる感触で状況を理解したらしく、赤らんだ顔がす、と色を無くす。あぁー……、と気まずげに出た声は少しだけ冷めていたが、腰をゆすってやれば小さくひ、とないて元に戻ってしまう。
「もし、外でこうなってたらどうするつもりだった?」
「ぁ、や、そと……で、ぇ……ッこんなん、しねぇ、よ……!」
「セックスのことじゃねえ」
薄っぺらな布切れすら失せた尻を両側から掴み、割り開く。兜合わせをやめ、ぱんぱんにふくれたきんたまの下にちんぽをもぐり込ませた。じゅぼじゅぼときんたまと蟻の門渡りをすり上げれば、ひ、ゃあ、と目尻をうるませて、ちんこからぴゅるぴゅるとおもらしをしてしまう。
「こんな簡単にやらしいおもらしするとこ丸出しにしちまってたら、どうするつもりだったんだって聞いてんだよ」
答えさせるつもりはないから、素股を続けたまま尻をこねくり回し、肉縁もくぽくぽと開閉させていじめぬく。獄がしなければこんなことにならない、と言うに決まっている。恋人として捨て置けない馬鹿をしでかすのを叱るたび、お前だけ、獄だけだと言われてきた。
疑うつもりもなければ信頼していないわけでもない。ただ恋人が信じる『天国獄』は自己認識している『天国獄』より強いのだ。この世の全てが恋人と同じに強くはない。間違いなく過大評価されている。自分の手が届かないところでどうしようもない傷を負いやしないかと不安になってしまうのに。
実際、東都から帰ったときだってそうだったじゃないか。竹を割ったような性格でなんでも明瞭明確な金の目が、惑い、揺れ、寂しげにすら見える時がある。最後には常の苛烈な光が灯るものの、知らぬ間に身につけた大人びた寂寥が永遠に帰らない気すらした二年間の空白を埋める唯一のものだった。話そうとしないから聞き出す気もなく、お小遣い稼ぎのゴシップサイトと同じことしか知らないまま。
不安と苛立ちがそのまま手に、動きに出てしまう。すがりついた恋人が、まて、やだ、ぃく、いく、となくのを無視して、尻をぐぱりと開き切ると、どぷん、と奥からローションがあふれ出た。ひ、と引きつった悲鳴が上がるのも聞かなかったことにして、ずりゅん、と門渡りをえぐり込む。
「ゃ、あ!いく、ぃく……ッいくか、らぁ……っ!」
がくんとくずおれた身体を無理に尻だけで引き上げれば、開いたままの肉縁からぷぷぷ、とはしたない音が響いた。乱暴に刺激された両足のあわいは、ふくれたきんたまから押し出された精液がとろとろと垂れ流れ、亀頭でぐりぐりとなすられたままの門渡りはひくひくとふるえている。
「なあ、空却。お前以上の馬鹿に絡まれて、まかに間違ってひん剥かれて、こんな即ハメまんこってバレてたらどうしてたんだよ」
強くない、ひどい言葉をぶつけてしまうほど弱いまま。絶頂を迎えてぼんやりとした恋人を抱き寄せる。あう、と舌足らずな喘ぎしかできないのに、こたえさせる気もないのに、意地悪なことをささやいてなじってしまう。怒りマラというのか、びきびきと硬く育ったちんぽから先走りが止まらない。
「……俺がどこの馬の骨とも知れないクソ野郎だとしたらー」
お前はこの後どうする?
じゅぶん!と濡れそぼった音がして待ちに待ったちんぽが深々と奥まで貫かれた。はぁぁ、と深く吐き出された息は気持ちよさそうで、嬉しくなってきゅうぅ、と胎が食い締めてしまう。小さく息を詰めたあと、は、と嘲るように笑われた。
「俺が言ったこと、聞こえてたか?」
今のお前はどこぞの輩に手籠にされているんだぞ、と告げる声は物騒な内容に反して頼りなく響くのに、恋人は気づいているだろうか。
冷たいフローリングに頭を掴んで押しつけられ、手足をたたんだままうつ伏せにさせられる。挿入しにくかったのか尻を上げられ、足をぐ、と広げられた。一緒に後腔も開き、くぱくぱとひくついてしまう。
恋人好みに躾けられた体は快感ですぐぐだぐだになる。足も腰も立たず潰れたままなのに、尻とちんこだけいやらしく反応してんな、と揶揄された。どっちも馬鹿になってしまったらしく、ぴたぴたと肉縁に熱く硬い塊を当てられただけできゅ、と吸いつき、ぷしゃ、となんぞかの汁をもらす。それもまた嬉ションまでしてちんぽに媚びやがって、と責められた。
そもそもお気に召さなかった安っぽいコスプレがあっさりやぶれたことがよほど気に障ったらしい。いつだかもやらしいコスプレが逆鱗に触れて、いつになく手酷く抱かれた。らしくない下品な言葉でわざと傷つけてやろうとするくせに、乱暴になりきれない目がどちらが酷いことをされているのかわからない悲痛な色を帯びる。今だって顔が見えないように、ぽっかりとあいた穴だけあればいいとばかりに押さえつけられてはいるものの、掴まれた場所はどこもかしこも痛くも痒くもない。これで手籠だなんて笑わせる。
犯されたことはなくとも、群れずに喧嘩をしていれば多勢に無勢が当たり前。小柄なせいかボコボコにしてからオンナにしてやるなんて常套句だった。本当に相手をモノだと思っている人間は容赦などない。心底からの下劣さでためらいなく下卑たセリフを吐き散らし、澱んだ目をさらに汚して愉快そうに歪める。醜く汚い、本物の下衆の暴力を知っているから、脱法銭ゲバ弁護士のお綺麗な暴力など怖くもなんともない。
そんなことよりも胸を痛めるのは、自分よりもずっと年長の、だからか囚われるだけの、悔やむだけの過去を抱えた恋人の心を傷つけてしまったことだった。
みんながみんな、お前のように強くはないのだと言った恋人は、決して折れず屈さない心を持っている。自分より強いものを強いと認められる心が、その上でなお食らいつこうとする心が、弱いなどちゃんちゃらおかしな話だ。助けを求めて伸ばされた手を振り払えない優しさは、甘いことはあっても弱いわけがない。
空却の持ち得ない恋人の心の形は優しく、強い。厳しい現実と言葉を叩きつけて、どうするのかを問いながら、出来る限りの手を尽くそうとする。だからそこまで面倒みきれるか、と放ってしまう空却には理解し難いことで傷んでしまう。
空却は心配されるほど弱くはない、何かあったとしても傷つくようなタマでもない。そんなことはわかっていても手籠ごっこも満足にできない恋人は、空却を一等大事な宝物のように扱うのだ。
こそばゆい愛情を注いでくれる恋人に、興に乗ったでもない無体をさせた自身をさすがに反省する。譲れない信念ではなく、変えることのできる性分の問題だ。きっとまたこういう風にさせてしまう日は来るだろう。だとしてもその日が出来るだけ遠く、そして少なくなればいい。
今日だって久しぶりの逢瀬だったのだ。変なコスプレ衣装だって、直接触れて感じられる恋人と、はしたなく深く交わるためのエンジンかスパイスになればいいと思ってだった。三十路の下事情は知らないが、十代の下事情は元気いっぱいで、お勤めが終わればわかりやすくムラムラとして飢えている。それこそ服を脱ぐ時間すら惜しいほどに。
その衝動だって恋人と出会ってから生まれたものだ。肌寒さが単純な寒気だけでもたらされるものではなくなったのも、体の奥底をふるわす切なさが純粋な寂しさだけでなくなったのも、全て恋人が撒いた種だ。
露悪的に嘲っても芯の繊細さが隠せない恋人が愛おしい。誰も彼もが畏れ、痛むことのないナニカのように見る空却を真綿にくるんでしまいたがる。いつだって今日こそ空が落ちてくるんじゃないかというように、追いかけられて捕まえられて、空却より空却を大事にしてくれる。
勝手に飛び出すことこそが信頼で、甘えで、愛なのだと、妙なところでにぶい恋人は気づいているだろうか。『家族』のいるところが唯一無二の帰る場所で、果てる場所だと。傲慢でいい、もしも恋人の手が届かずに傷んで帰ってきたとしても、絶対に変わらず抱き締めて、くちづけて、愛してくれるだろう?
「……きこえてんよ……」
一気に挿入したちんぽをじっくりと馴染ませるように、ぬぅ、ぬ、と、もどかしくなるほどゆっくりと腰をふられた。即ハメまんこ、なんて言われたとおり、恋人の形に拓かれた穴はたっぷり仕込んだローションで十分な滑りと締めつけで、ちゅぽちゅぽと奉仕している。
本当にどこぞの輩だったら、ちんぽ専用にあつらえた尻に突っ込んで我慢なんてしない。とっくに猿のように腰をふりたくり、鼻息荒く興奮して自分勝手に射精する。
「ほんっとに、せっそぉのこと、すきなんだなぁ……」
そんな答えが返ってくるなんて思っていないだろう恋人を、どうにか見たくて首をひねった。想像以上にへたった体で見えたのはぽかんと開いた口元だけだったけれど十分だ。
「てごめにしていいぜ……」
できるものなら、と言外ににじませて笑ってやる。ここにいるのはどこの馬の骨とも知れないクズではない。空却が体も心も許した三千世界でただ一人の人間だけ。
手籠になどできるものか、否、されてやるものか。どうしたって自分を愛することしかできないクセに、無茶をする。おかしくてたまらず、ふふ、と声もなく笑えば、ナカにいたちんぽがぐぅ、とふくれた。
「調子に乗るなよ、クソガキ」
「はっ……せえぜぇ、せっそぉのうえでこしふってな……っ」
ほんの少しだけ覗いた目は、甘くとろけて見えたのに、自分を捉えた瞬間、ギラギラとした光を取り戻して不敵にきらめいた。
なんでも見えているような目は伏せられても、不撓不屈の心は伏せられない。それどころかできるものなら屈させてみな、と挑まれる。そんなこと、獄にはできないと知っていて。
「あ、はぁ……てごめに、すんじゃねぇ、のぉ……?」
ちんぽを抜き、うつぶせにしていた身体をひっくり返して、両足を顔の脇近くまで持ち上げる。真上を向いたはしたない尻穴は切なそうに開閉をくり返し、重力に従ってぷるん、と垂れ落ちたちんこときんたまは、とろとろとおもらしをしながらも、まだ張りつめていた。
「手籠にされる気がねえやつがなぁに言ってんだよ」
「じゃ、どーすんだよ」
真正面から見下ろした顔は、ふにゃふにゃにとろけながら見慣れた激しさを纏い、決して目を反らさない。ちんぽをちゅぽちゅぽとわななく肉縁に構えても、じい、とこちらの目だけを見ている。期待の混じった視線が一瞬だけ向けられたのを無視してぐ、と腰を進めた。
「自分で言ってたじゃねえか『カレシと煩悩まみれの爛れたセックスしたい』んだろ……っ」
「へ、あっ、ゃあああぁぁぁ……っ!」
じゅぼ、ずぷん……っ!とぬかるんだ尻穴をちんぽで貫いて、ピアスで飾られた耳に叶えてやる、とささやく。手足を封じ、真上から一気に串刺しにした身体は、簡単に胎もちんこも絶頂してしまった。
根っこからさきっぽまでをむちゅむちゅと愛撫する肉壁は、うつぶせで犯されていたときに半端に満たされたせいか、奥へ奥へと引く力が常より強い。淫らに躾けた身体はちんぽで届く一番奥の奥に種付されないと満足できずにぐずりだす。きゅ、と子種を貯めたきんたま共々、ぷるぷるとかわいらしくゆれるちんこは、ちんぽで突き上げるたびにぴゅ、ぴゅ、と潮の方がよほど勢いのある射精をしていた。
「は、ふぁ……、ま、て……ひとゃ……ぃくぅ……っまた、いく、から……ぁ」
「ずぅっとイッてんだろ?」
きもちいい、いく、いくって恥ずかしいおもらしいっぱいしてるくせに、とやわな最奥をちんぽでほじる。硬く張り出した先っぽでこちゅこちゅとこねるたび、胎はきゅぅぅぅん、と子種をねだって締めつけた。
「いってう、いっへるけろ……っすごぃ、やばいの、くりゅ、くりゅから……っ」
やばい、と言われても、ちゅぱちゅぱとさきっぽをしゃぶられてこっちだって限界が近い。綺麗な顔をくしゃくしゃにして泣き喘ぐ恋人の目尻にくちづける。ちゅ、ちゅ、と涙を拭うたび、より深く交わった結合部もちゅぱ、ちゅぽ、と音を立てた。
「ひぉや……も、むり、ぃ……」
ぎゅ、とつぶられた目からぼろりとこぼれた雫が頬を伝って落ちる。喉奥でひゅ、と息を噛み殺し、掴まれた足をつっぱらせた。わずかに背をそらされ、ビキニを押し上げるふくれた乳首がずい、と突きつけられる。やぶれたパンツ同様にぺらぺらの生地のブラには、てっぺんのくぼみまでくっきりと浮いてしまっていた。
「な、で……ぁ、ゃぁ……っ」
ふるふるとけなげに勃起するのがかわいくて、ちゅ、と今度は乳首にくちづける。唾で濡れて、いっそうぴっちりと張りついた生地では、乳頭のくびれから乳輪の縁までわかってしまう。なんで、と問う困り顔はいとけないのに、快感を教え込まれた身体の記憶が困惑だけでない、淫らな色を混じらせた。
深く達しかけた胎をそのままに、乳首までかわいがられた恋人はどうイッたらいいかわからなくなっている。ずっと甘イキし続けているような身体では快感の処理が間に合わないのだ。背をそったときに乳首さえ見せなければ、胎に子種をぶちまけてイカせてやれたのに。
「ひ、ぅ」
幼い表情にどうしようもない色気を乗っけたまま、ついに恋人は泣き出した。痛みも苦しみも屁でもないという面をして、快楽にだけー違う、獄の与える愛だの恋だのにだけひどく弱い。最初で最後の恋と愛がこの子供の見据える未来を壊していないかと恐れるくらい、苛烈で清廉だった赤い花は、艶やかに甘く香って蜜をこぼすようになった。
恩人でもある子供の父親が見込んだ才が損なわれないか、失われないか、自分が手折るようなことがないか。恋われるほど、愛するほどに怖くなる。もはや手離すことなどできないのに臆病な考えを止められない。
「ひとや……?」
間抜けにも乳首を食んだまま凍りついたのを不思議に思ったのか、涙声で呼びかけられた。うるみ、とろけ、ぼやけても金の輝きは変わらない。向き合い、見つめ合うからこそ自分の弱さが浮き彫りになる。
押さえつけて身じろぎもかなわない身体をふるわせ、なんとかもたげた額を頭に擦りつけられた。ぐりぐりと乱暴にゆすられ、乱れていたセットが完全に崩壊する。乱暴な励ましをしながらひとや、とささやく声は優しかった。
ぎゅう、と身を寄せ合い、交わりながら丸くなって、こんなに近いのにまだ足りない。触れただけでは伝わらない、言葉だけでも届かない、その両方ですらもどかしい。言葉を武器に戦うのに、いつだって装い飾ったものよりも単純なたった一言が心臓を撃ち抜く。
「すき、だぜ」
ーすき、あいしてる、せっそうの、おれの、あまぐにひとやー
狂おしく、迷いも躊躇いも吹き飛ばす真っ直ぐな告白。こんなに甘いから、人はあやまちを犯してしまう。愚かにも愛なんて名前をつけて。
ぶちゅんっ!と最奥のさらに奥を突かれたのは久しぶりで、一瞬くらりと意識が飛び、目の前に星が舞った。
甘くて優しい恋人はすぐにしょぼくれてしまう。常のカッコいいデキる大人として振る舞う姿と不釣り合いな弱々しさを見せたくないのだ。この甘えが信頼で愛なのだと思うから全然かまわないのに。きっと言ったら拗ねてしまうけれど、さすがに無自覚ではないだろう。
抱きしめたくて、くちづけたくてたまらないのに体勢がそれを許さない。足りなくて額を擦りよせた髪の感触がこそばゆくて、気持ちいい。嗅ぎ慣れた整髪料の香りに胸が満たされて、言葉がしぜんにあふれ出した。
そうして気づいたら今だ。
「あっ、ひ、あっ、あっ!ゃ、あんっ!」
さらに体を畳まれて、乳首をじゅ、と吸いながら、奥地を暴かれ貫かれた。一度は落ち着いた欲に再び火をつけられ、足が痛いほどつっぱってしまう。乳首と合わせていじられると、わけがわからないほど気持ちいい。
「いくっ、いくぅ……っ!」
乳首をはなしてくれないから返事はないけれど、不意にちんぽがぬろ、と抜かれた。追いすがる尻を無視して亀頭以外は全部外に出てしまい、この後を想像して全身がぶるりとわななく。ぞくぞくとする甘いおそれが背を走り、ぎらぎらした目とかち合った。食われる、と思ったときにはもう遅く、敏感になりすぎた肉壁を余さず犯され、秘奥を蹂躙される。
「ふぁ……っ!やっ、やぁっ……なか、だめぇっ……」
最後にならないと暴かれないだけで、とっくに拓きつくされ教え込まれ、十分に感じやすいそこは、ぶりんと尖り切ったちんぽにくじられただけでイッてしまった。もちろん終わりではない。尻にばちゅばちゅと当たるでっぷりと上向いたきんたまの中身がこれから注がれるのだ。しかも乳首まで吸われながら。こんなの、本心ではない拒絶めいた言葉が出てくるのもいたしかたないはずだ。
「は、ぅぁ……、ま、て……っなか、だしたりゃあぁぁ……っ!」
当然、止めても待ってもくれるわけはなく、びゅっ、びゅるる、びゅぅぅううう……っと、長く濃厚なマーキングがはじまってしまう。自分でも知らなかった奥地をちんぽでほじってイカされ、そのまま子種を注がれてイカされ、気をやりそうになると狙ったかのように乳首を吸われてイッてーこんなにイッたのに、もっともっととねだって、胎がちんぽをきゅぅぅ……っと締めつけてしまう。
「……まぁだちんぽ足りねえか?」
ようやく乳首からくちびるがはなれたけれど胎はまだ犯されたまま、それどころか射精して力をなくしたちんぽをはしたなくもむちゅむちゅとしゃぶっている。
「たりなくなぃ……っ」
もう十分。恋人のちんぽもきんたまもまだまだ元気そうだけれど、これ以上犯されたら欲深な体は決定的に戻れなくなってしまう。だからいい、もういらない、と首をふった。ふったのに。
「遠慮すん、なって……!」
すなおでかわいい、とびきりやらしいおまんこが満足するまでハメまくって射精してやる、と宣言された。とたんにぶくりとちんぽがふくれ、あつらえたようにぴったりとナカにハマってしまう。きんたまだってすっかり元どおりぱんぱんになっている。
「ば、っか……!やめろよ、でかくすんなっ」
さっきの種付だって十分強烈だったのに、子種だってたっぷりとナカに射精されたのに、思い出しただけできゅうきゅうと胎が疼いて、ちんぽに甘えて媚びてしまう。それを、また。そんなの気持ちよすぎておかしくなってしまう。
「やじゃないだろ……?」
本当に止めたいとき、言うべき言葉は以前に決めた。二人には『いや』も『だめ』も睦言でしかない。言うなら今だぞ、と促す目は熱っぽいのに怜悧で、とても拒めなかった。なにより恋人に告げたい言葉は一つだけしかない。
「すき……ひとやが、すき……」
真上から一突きされるごとに、仕込んだローションと注がれた子種が混ざり合い、ちんぽの動きを滑らかにしてしまう。じぷじぷと貫かれるたび甘イキをして、おもらしのように出た精液が胸や腹に飛び散る。一番奥のやわな場所をふくれた先っぽでほじられるのがきもちいい。それだけじゃない、ナカを全部、みっちりとした太茎に満たされ、擦られるのもヨクて、根本までずっぷりとハメられたときを狙ってぎゅう、と締めつけた。
「っ、……まんこ緩めな」
「やぁ、だよ」
根っこから先っぽまで包み込んで捕まえた恋人が、射精をこらえて眉間に深い谷間を作る。射精したくてたまらない、という表情に興奮してちゅぅぅぅ……と閉じ込めたちんぽにしゃぶりついた。
「こら……っ!」
「……もうっ、はらいっぱい、で……っきもちよすぎる、から……!」
頭のてっぺんから爪先まで宝物みたい触れられて、愛された体は言うとおり素直でいやらしい。今だって喋るのが精一杯なほどきもちいい。どくどく、びくびくと体の中から響く自分のものではない脈拍に気づいてから、肉縁もナカも余計にきゅんきゅんとひくついて止まらない。終わりのない甘イキと時折くる激しい絶頂で、頭も体ももっときもちよくなることしか考えられない。それが怖くて、嫌で、でも、愛おしいと触れられるのが嬉しくて、きもちよくて、離せない。
「だから、あと、いっかい、だけ……」
手も足も塞がれて、縋れるものがちんぽしかない。恥ずかしくてきもちよくて、めちゃくちゃになりながら懇願した視線の先、涙でぼやけた恋人の顔はよく見えなかった。うんともすんとも言わなくなって、ひとや、ひとや、と呼びながらきゅ、ぎゅぅ、とナカを締めつける。甘イキを続けながらの呼びかけをオナニーみたいだ、と思ったらもう無理だった。
「やっ!ゃだぁぁぁ……っ!ひとゃ、ひとゃあぁっ、いく、ぃくからっ……ひとりで、いくの、やだ……!」
避けられない大きな嵐のような快感が胎から背を駆け上がり、目も脳もとかす。根っこから先っぽへ、ぱんぱんにつまったきんたまをいやらしいおまんこが搾りとろうときゅうきゅうきゅんきゅんと蠕動する。にじむ視界をかたく閉じると、自分の心臓とおんなじリズムでまんこがちゅぅ、むちゅぅ、とちんぽに吸いつくのがわかって恥ずかしい。どくどく、ちゅ、むちゅ、と胎の底から伝わる振動にすら淫らな気持ちになったとき、どくどく、びくびく、と違う脈拍が混ざった。
ひとや、と呼んだ声は音になったのかもわからない。けれどもこたえるように、ひき結んだ目からこぼれた涙をくちびるで拭われて、顔中にくちづけをされた。宥め、慰めるあたたかくやわな感触にはぁ、と息を吐く。またたきのような時間のはずなのにひどく長く感じて、今度こそ恋人を呼んだ。
「ひとゃ……」
「わかってる、一緒にだろ?」
優しい声と共に降ってきたくちびるが自分のものと重なり、ちゅ、とかわいらしい音を立てる。下とお揃いにぴったりとくっついた場所は、すぐにもっと似た形になりたいと厚い舌が八重歯をノックした。
「ふ、ぅ……ん……っ」
淫らに愛し合う下腹部を真似て、ずちゅずちゅと口腔を犯される。鼻でする息が間に合わず、舌を食まれながら呼吸をするとちゅぱぁ、とはしたない水音がしてしまう。薄く敏感な粘膜が濡れて交わる粘ついた響きは下からもより激しさを増して聞こえる。
大きく厚い舌が口の中を蹂躙するたび、ちんぽもまんこを犯し、ひときわ弱いところを舌先で撫でたら、まんこの一番やわやわなところをちんぽの先っぽでほじくり返す。お互いに体も心もぴったりと交わり、イくつもりなのだ。
じわじわと短い間隔でどちゅどちゅんっとちんぽがただ一点だけを突くようになった。いやらしく躾けられ、快感を教えこまれたおまんこがイキまくってしまう場所は、もっともっととちんぽの先っぽに子種をねだって、くちづけのように舐めしゃぶる。いよいよぶっくりとふくれた先っぽがおまんこにねだられるままに射精の準備に入った。ちゅうぅぅ……っと根っこから上へ上へと搾られ、押し上げられた子種が、飢えて渇いたおまんこを潤すため、ぐりゅんっと最奥の肉壁を強くくじる先っぽから飛び出した。
「ん、んぅ……っんっ!んん!んぅーーーッ」
くちづけでふさがれたまま、喉奥から出られずくぐもった自分の喘ぎに埋もれて、聞き逃しそうなほど小さな呻めきと同時に、びゅぅっ、びゅぅぅぅぅううう、びゅるる……と重たく熱い精子を浴びせかけられる。二回目と思えない量と密度に、まだ硬い先っぽにちゅぷちゅぱとはしたないおまんこがしゃぶりつく。ローションと一回目の分でもいっぱいなのに、二回目も一番奥のやわでいやらしい場所のマーキングに余さず放たれた。尿道の残滓すらほしがる淫らな肉壁に、全部やる、とばかりに腰がふられ、ぴゅく、ぴゅ、と本当にわずかな搾りカスがかけられる。そんなことでもイキたてほやほやのすけべなおまんこは悦んで、またイッてしまう。
恥ずかしくて、きもちよくて、どうしようもないのに、全身が強烈な余韻ひたったまま動けない。上も下もまだちゅぅ、ちゅぱぁ、と交わったまま、押さえつけられ快感から逃げることも、快感を逃すことも許されなかった体はがくがくとふるえ、気づけば潮と精に混じって本当の粗相までしていた。馬鹿になった体は止めることもできず、ぐったりとしたまま垂れ流すしかできない。羞恥と快感と混乱で渋滞した頭は、失禁の解放感すら淫らに変換したらしく、胎がきゅんきゅんと脈を打つ。あげく小水を出し切ったちんこがふるんとゆるく勃起したと思ったら、そのままぴゅくっ、ぴゅるる……と薄い精を吐き出した。
「……ほんっとに、どんどんやらしくなるな……お前」
「う、るせぇ……っ」
くちびるを解放され、久々に聞いた声は心底からの感心に満ち溢れていたが、嬉しくもなんともない。快楽を受け入れ、耽溺して、とり返しのつかなくなった体が、なおも貪欲に求めている証拠だ。いくら恋人恋しさ愛しさでもあまりにみっともない。今までだって同じことがなかったわけではない。けれどももう、これは完全にクセになりつつある。
「拗ねるなよ」
「すねてんじゃねえ、しょんべんたれてイクのがクセになるとか……そんなん、ヘンタイじゃねえか」
「いまさらだろ淫乱生臭坊主」
「ぜぇぇぇんぶ淫行弁護士先生のご教授の賜物なんだがぁ?」
悪かった、と言う顔の端々から妙に誇らしげな気配を感じて、まだ繋がったままの結合部をぎゅぅ、と締めつけた。生臭はともかく淫乱は恋人のせいである。これでも父親に性行為に伴う責任や覚悟をさんざん言って聞かされて清廉潔白に生きてきたのだ。否、だからこそのあの顔か。野菜のパッケージにプリントされた『私がつくりました』とおんなじ、手ずから育てたものへのプライドと達成感。痛い目にあわそうとしたはずなのに、それほどダメージを受けていないのが不満で、さらにぎゅぅぅ、と力を込める。
「おいコラクソ坊主……ッ」
「淫乱なもんでなぁ、ちんぽのことだぁいすきで離したくねえの。それとももう打ち止めかぁ?」
三回目があるかないかはギリギリで、今日はだいぶ……かなりしっかりと射精された。苦しいほど注がれた子種は時折ぷしゃ、と音を立ててあふれ出す。締めつける後腔も辛い。とうぶんセックスはしたくないが、恋人がしたいと言うなら話は変わる。挑むように見つめて、なおもきゅ、と後ろを締め続けていると再びくちびるが降ってきた。
「もう打ち止めだ……勘弁してくれ」
少しは年長者を敬え、と言いながら顔中に注がれるくちびるがやわらかくてくすぐったい。ふ、と笑いがもれて力が抜けると後腔もゆるみ、中からぬ、とやわらかくなったちんぽが出ていった。栓の抜けた穴からはとぷ、ぷぷ……と散々注ぎ込み、注ぎ込まれた淫らな汁があふれ出す。
「は、ぁ……」
開ききってくぱくぱとふるえる肉縁が、ぷちゅちゅ、と粘ついた音を立てるのが恥ずかしい。どうにか止められないかとみじろぎすると、わざとらしくちゅ、ちゅ、と強く吸うようなくちづけを落とされた。
「風呂、行くぞ」
幸い、と言っていいのか玄関は寝室よりも風呂場に近い。濡れたまま這っていくこともできる。ああでも、起き上がるのが面倒くさい。廊下のフローリングは熱狂から覚めた体にはひどく固く感じられた。
「このまま寝てぇ……」
「気持ちはわかるがそれだけは本当に勘弁してくれ」
肩を貸され、よろよろと歩き出す。ゆっくりと歩いてもちゅこちゅこと股の間から水音がして、ときおりどぷ、とあふれては伝い落ちた。
「……やっぱねみぃわ……」
「せめて風呂までは歩け。じゃないとカピカピのまま放置すっからな」
「できねぇこと言うんじゃねえ」
汚いものをそのままにも、かわいいかわいい恋人を抱き潰したままにもできないくせに。今回で放置されるなら今までなんて窓から投げ捨てられてもおかしくない。
「クリーニング代だしてやんよ。お年玉で」
すがりついた肩口はぐちゃぐちゃで、乱れたシャツの首元から覗いたタグは以前に調べて目ん玉をひん剥いた金額のブランドのものだった。あられもない汁にまみれたスラックスだって似たり寄ったりのものだろう。いやはやまったく、愛されている。
この後、風呂に入って、寝て、起きたら何か食べて、そうして出かけよう。たくさん話したいこともあるし、恋人の言う "ムード"を教えてもらいたい。まだ一日も一年もはじまったばかりなのだから。
2022/04/28
BACK
作文TOP/総合TOP