夢を見るならこんなふうに
気を許されている、信頼されている、甘えられているー
正直、悪い気はしないのだ。ええかっこしいの恋人が無防備になればなるほど、情けない姿を見せてくれればくれるほど、自分だけの『天国獄』が出来るのだから。
しかし酔い潰れ癖がついている気がする。まだ呑めない空却を尻目に、綺麗な琥珀色のそそがれたグラスを傾ける姿は強固に貼り付けた『大人』の仮面が少しだけ剥がれて、くらくらするほど色っぽい。
それが近寄るだけで鼻に響くようなアルコールのせいなのか、ベッドくらいでしか本性を見せない『大人』のせいなのかはわからないが。
二人きりの夜。少しだけ期待していたけれど、船を漕ぎ出した恋人を叩き起こして事に及ぶ趣味はない。嗅ぎ慣れた夜の香りにぐらつくのを抑えこんで、肩を貸すようにして引きずりながら寝室へと運ぶ。
ぼすんとベッドに落とすと二言三言ぼやいてから寝息を立てはじめた。なんともしまらない、ゆるんだ寝顔だ。
脱力した自分より大きくて重たい体は荷物としては厄介だけれども、このダサくて可愛い恋人を独り占めできると思えば安いものである。
ぐしゃぐしゃの髪と服がおかしくて、風邪を引かないようにできるだけ掛け布団を引っ張り上げ、嫌がる酔っ払いを仕舞い込む。
が、努力虚しく、ぐお、と鳴きながら大の字に転がって、かぶせた布団がめくれ上がる。
諦めておあつらえむきに広げられた腕の中におさまって目を閉じると、染みついたアルコールの匂いで鼻がつん、と痛んだ。けれどもぬくぬくとあたたかいのが心地よくて、離れ難い。
ああもうやっぱり、起こしてしまおうかー
2021/05/01
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