ベッドマナーAtoZ
「だーれだ」
そんな子供かカップルしかしないたわむれを、まさか自分の恋人がするなんて思わなかった。鼻で笑って馬鹿にしそうなものなのに。
夜も更けて、酒も入ってご機嫌になっているのだろう。いつもより熱い手が背後から目を隠す。耳に直接流し込むように問われて、この後を期待していた背がふるえた。ソファーに座っていなければ、腰がぬけていたかもしれない。だから、意趣返しに恋人ではない、別の名前を呼んだ。
それきり二人きりの夜の部屋がしん、と静まり返る。予想だにしない沈黙に先までと違う意味でぞくりとしていると、ピアスごとやわく耳を食みながら、いつもより低く、するどい、深い声でハズレだ、とささやかれた。
そうして目を覆う手のひらが片手だけ離れたと思うと、すぐもう片手で両目を封じ直す。
見えないまま、耳はずっと甘噛みされ、舐めしゃぶられて、ちゅぱちゅぱといやらしい音が鼓膜に響く。
自由になった片手が何をするのかわからないまま、いじめられる耳が気持ちよくてじわりと目尻がにじむ。
もう、息もたえだえだというのに、舌で耳の穴をくじりながら恋人が残酷な宣言をした。
「だから、罰ゲーム。な」
「あっ、ふ、ぅ……っ」
同時に自由になった片手が身体をまさぐりだす。最初のたわむれから少しだけふくらんでいた乳首を指先でこねられて、ついに嬌声がもれた。
「これから抱かれるってのに、他のやつの名前なんて呼ぶもんじゃねえぞ……!」
「ごめ、ぁ、んっ!」
きゅう、と乳首をつねられて身体がはねる。
拘束されていないのに、振り返ることもできないまま、股間がじわ、と濡れていた。
2021/05/02
BACK
作文TOP/総合TOP