四つ葉の意味 −幸運と、もうひとつ−
「おーい、何してんだー?」
河原の土手の原っぱで何かを探しているのか、若葉はさっきからがさがさと何かをしていた。
「んー、ちょっと……ないなぁ…」
「なに探してんだ?」
燕青が近づいて訊いてみると、若葉は顔も上げずに下を向いたまま答えた。
「四つ葉」
「四つ葉?」
「うん、四つ葉って幸運っていうから、見つけられたらラッキーかなって?」
「らっきぃ?」
聞き慣れない言葉に聞き返すと、若葉は顔を上げ、あぁ、と呟くと意味らしき答えを告げた。
「まあ、幸運って事よ」
「へぇ…」
燕青は珍しげにそのままその場に座った。
真剣に捜す若葉を見ていて、そんなに欲しいのかねぇーと思いながら、何気なしにずっと眺めていた。
ふと、自分の手元を見て「アレ?」と思い眺めると、小さな白い花と三つ葉ばかりの中、指先のところにちょこんと四つ葉があった。
「みーっけ」
「えっ!?」
手を伸ばし、ブチッと引っ張って見せると若葉に見せた。
「なっ、ズルイっ! 私があんなに必死で探していたのにっ!!」
「まっ、日頃の行いだな!」
「…………それ、微妙…」
「なっ! 失礼だなー」
やや悔しげにいる若葉を見て、微苦笑すると、燕青は四つ葉を彼女に差し出した。
「え?」
「欲しかったんだろ? やるよ」
差し出された四つ葉に若葉は躊躇いがちに手を伸ばした。
ジッと四つ葉を眺めた後、ボソリと呟いた。
「……分かる訳、ないよね…そんな意味なさそうだし…」
「ん? 何が?」
四つ葉を親指と人差し指で挟んでくるくると回しながら、若葉は答えた。
「四つ葉の意味」
「幸運、だろ?」
「まあ、それもだけど……」
「なんか、他にも意味あんの?」
「……ないしょ」
若葉はその四つ葉を口元に当てながら、にっこり笑って答えた。
「なんだよ、気になるじゃねーか」
「まあ、分かんないだろうから、いいって」
また四つ葉をくるくる回しながら若葉は笑っていると、不意に手が伸ばされ、振り向くと影が彼女を覆っていた。
「幸運、なんだろ」
「…………」
しばしの沈黙の後、バチーンっ!と大きな音が土手に響いた。
若葉は顔を真っ赤にしながら、土手を上がり、振り向いた。
「……バーッカ! まだなってあげないっ!!」
プンプンと怒りながら、歩いていく姿を見て、燕青は(……可愛いな)と思ったのだった。
四つ葉の意味は「幸運」そして、「私のものになって」
END
あとがき
一発で書いてみた。「緑風の迯水」番外編です。
この超SSは夢主イラストを描いて下さった北村紗夜様へ捧げます!
2008/10/29