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他のお客さんやクラスメイトに一通り謝ってから、目立つ彼らを少し奥の席に移動させた。
ついでに緑間くんと高尾くんも同じ席に移動してもらう。
「……えーっと、テツたち、ご注文は…」
「俺、団子食いてー」
教室内に貼ってあるポスターを見たのか、青峰が答えると、黄瀬はテーブル脇に置いてあるメニュー表を手に取った。
「メニュー見せて、あ、これっスね。俺は〜カステラで☆」
「僕は金平糖お願いします」
「金平糖だなんて、テツくん、可愛い!私もカステラにしようかな〜」
テツの注文にさつきちゃんがハートを飛ばしているようだ。
とりあえずオーダー票に書き込んでいく。
「……お飲み物はどうしますか?」
「俺、コーラ」
「レモンスカッシュで」
「バニラシェイクお願いします」
「私、ほうじ茶」
「さつきちゃん以外は緑茶にするから」
メニューにない飲み物を述べられ、否応なしに緑茶にしてやった。
因みに高尾は笑いを堪え、緑間は眉間に皺を寄せている。そして笑う高尾に「煩いのだよ、高尾!」と殴っ……叩いていた。何も殴、叩かなくても。
「あまり騒がしくしないでね」
とりあえず言うことは言って、オーダーの為に裏方へと向かい、担当にオーダーを通す。
本来なら私も裏方だったよなぁ、なんて考えていると同じ着物を着た
「ねえ、白川さん! あの人たち、白川さんの知り合い?!」
「あれって、キセリョでしょ?!」
「知り合いなの?!」
「紹介して!」
キミたち、仕事しようよ…。とおもいながらも、ちらりと彼らを見ればイケメン集団(+美女)である。
気持ちは分からなくはないが、こうなるなんて思わなかった。単体で来るなら未だしも、集団だからか相乗効果が半端ない。
ウェイトレスの女の子たちは「私が持っていく」「ずるい、私だって持っていきたい!」「私も!」「私も!」と何故かジャンケンを始めた。
しかし、友人がおしること団子セット、お茶を運んで行ったら「ちょ、抜け駆け!」と大騒ぎ。
友人は友人で「私がオーダー取ったんだもん!」と意気揚々と高尾くんの元へと向かっていく。
(マジで、高尾くん狙ってたの?)
高尾くん、呼んじゃおう!ってメールしていたし。緑間くんは…高尾くんに付き合わせられたのかな?
メールした時には、来るとはいってなかったし。来るといえば、青峰くんが来るなんて思わなかった。
さつきちゃんは「テツくんに会いたいし、茉穂ちゃんにも会いたいから絶対行くね!」とメール寄越されていたけど、まさか青峰くんが誠凛に来るなんて思わなかったなー。
黄瀬くんは……まぁ、黄瀬くんだし。
なんて考えていると準備が出来たのか、彼らのオーダーした物が台に並ぶ。
「白川さん、白川さん。黄瀬くんが頼んだのってどれ!?」
「え…黄瀬くんのはカステラ、だったかな?」
「カステラ2セットだよ?」
「あ、1つはさつ……女の子のだよ」
席の方を見て、さつきちゃんを見る。
テツの隣に座ったからか、嬉しそうにしている。可愛いなぁ。
「ねぇ!あの子は黄瀬くんのなに?彼女?彼女とか?!」
「え? 違うよ」
ないない。と手を振れば、良かった〜だの、あの子可愛すぎ!とか胸が…羨ましいなどと聞こえた。
さつきちゃんを見て、意気消沈する気持ちはよく分かる。あのスタイル良さが本当に羨ましいし、美人だし、可愛いし…………テツって凄すぎる!
あのさつきちゃんのアプローチを華麗にかわしていくんだから。
ボーッとしていると、ジャンケンに勝った女の子が何故か黄瀬くんと+αの分しか持っていかなかった。というかテツの分を忘れていってる。
ここで忘れられる、普通?
テツの不憫さを嘆きながら、金平糖と緑茶をトレイに乗せて席へと向かう。
そこで茉穂は目を見開いた。クラスメイトが黄瀬に写真を求めていた。
「き、黄瀬くん!ファンなんです、写真一緒に良いですか?」
「え?! え、えっと……あ、え…」
困った顔をしている黄瀬を見て、茉穂が慌てて止めようとした時
「あーのさ、プライベートなんだしさ〜そういうの、止めたらどうかな〜? ホラ、キミ店員さんなんだしさ〜」
団子を頬張っていた高尾が声を上げた。
その瞬間、クラスメイトが顔を真っ赤にして、気まずそうな顔をした。
確かに学園祭とはいえ、彼らはお客さんであり、店を出している以上、生徒と言えど店員だ。常識的にまずい。
「あ、あの!後は私がやるから下がってて、ね?」
「し、白川さん……あ、あの…」
「ほらほら、とりあえずあっち行ってよう」
おろおろとしていたクラスメイトを友人が連れていったのを見てから、黄瀬に頭を下げた。
「申し訳ありませんでした」
「えっ、あ、白川さんは悪くないっスよ!」
「ううん、ごめんなさい。不愉快な思いしたよね。配慮がなってなくてすみませんでした」
「あ、謝らなくたっていーっス!いつもの事っスから」
「つーかさ、黄瀬のせいだろ」
「茉穂は悪くないですよ。黄瀬くんが騒いだからです」
「きーちゃんが大人しくしないから」
「だからお前は駄目なのだよ」
「俺、フルボッコ?!」
「ブフォ!」
頭を下げている茉穂に慌てた黄瀬だったが、元チームメイトたちによるフォローなんてなく、責められていた。
高尾は面白いのかお腹を抱えて震えている。
茉穂は高尾にも頭を下げた。
「高尾くんも、ごめんね。私が注意すべき事だったのに……嫌な事させちゃって…………ありがとう」
「いーよいーよ、気にすんなって!」
「でも……」
申し訳なくていると「じゃあさ、」と声が掛かる。
「お願いしたい事あんだけど」
「何? 私に出来ることなら」
「茉穂ちゃん、当番終わったらさ、俺と真ちゃんの案内役してくんない?」
「へ?」
「高尾?!」
「え、っと、それでいいの?」
思いがけない提案に首を傾げた。
緑間はわなわなと震えているが、高尾は気にせず続ける。
「うん、それでいいって。な、真ちゃん」
「お、俺は…」
「……で、でも緑間くんは嫌がってるみたいだし」
「あ、真ちゃんが嫌だっていうなら、俺と二人だけで「高尾ぉぉぉ!」なんだよ、真ちゃん。真ちゃん、茉穂ちゃんが嫌なんだ「嫌なんかじゃないのだよ!」」
高尾の言葉に反論するかの様に、立ち上がって緑間は大声を挙げた。
誰もが驚いていると、緑間は茉穂を真っ直ぐ見た。
「し、白川っ! 白川が、い、嫌じゃなければ……その、た、頼みたいのだよ……」
真っ赤になりながらも伝えてくる緑間に、つられるように茉穂まで頬を赤くした。
「え、あ、えと……嫌、じゃないです」
「そ、そうか…」
顔を逸らし、眼鏡をカチャカチャを弄る緑間に茉穂はなんだかむず痒くなる。
「おい、茉穂! 俺らも「大ちゃんは黙ってて!」」
「青峰っちは俺らと回ろうっス!」
青峰が何かを言おうとしていたが、さつきと黄瀬が手で口を塞いでいる。
…………息、大丈夫?
そう思うくらい、色黒の青峰の顔色が悪いように見えた。
二人の様子にさつきと黄瀬はニヤニヤしていた。
「え、えーと、交代は11時だから、それまで待ってる? 何処か見てくる?」
「オッケー、ならせっかくだからバスケ部見に行く? 真ちゃん」
「…………いかん」
「マジで? せっかくだから行こうぜ、火神もいんだろ?」
高尾が黒子に問うと「はい」と頷いた。それに緑間は眉間に皺を寄せていく。
「だから、行きたくないのだよ」
忌々しげに緑間が答えると、高尾は笑うしかなかった。
「じゃあ、真ちゃんは此処で待ってなよ」
「でも暇じゃない?」
「気にしなくていいのだよ」
緑間はそう言って、注文したお汁粉を口にした。
その様子にほんの少しだけ、むぅっと膨れている黒子に高尾は声を掛けた。
(なになに、黒子は真ちゃんと茉穂ちゃんがくっつくのは反対なの?)
(…………違います。僕は茉穂が幸せになるなら誰でも構いませんが…………緑間くんだと思うと色々心配になります)
だって、彼、占いがどうとか、相性がどうとか、大変じゃないですか。と話す黒子に高尾はまた笑うしかなかった。
しかし、緑間が茉穂に対して色々と気にしているのを知っているだけに応援したいと思っていた。
To be Continued
2015/01/21