18

黒子のバスケ

部長とリコ先輩に無理矢理という形で参加させられているカップルコンテスト。
サクラである私たちとテツたちを除けば、参加表明したのは3組の彼氏彼女。
このままでもいいんじゃないかと思って、部長たちに言ってみたものの、見映え的にだとか分からない事を言われた。
まぁ、さつきちゃんはテツと出れるということで舞い上がってはいるが。辞退は却下された。
司会は何故か伊月先輩がやっている。
多分、テツを見逃さない様にだが、さっきから微妙〜なダジャレを言っては会場を引かせている。あ、小金井先輩に変わった。
サクラである私たちへの質問は後にしている様で、先の3組──れっきとしたカップルに色々と訊いている。
まぁ、ベタな所で、どちらが告白したのかとか、何回デートしたか等だ。
質問自体は決められていたので、それに関しては打ち合わせ済みだ。
舞台に立っていると隣に立つさつきちゃんがボソリと呟いた。

「そういえば、中学の時もあったよね。"帝光中ベストカップルコンテスト"って」

記憶を辿ると確かにそんなことがあった気がする。確か……

「ああ、あったね!確か、テツと緑間くんも出てなかったっけ?」

そういえばという感じで呟けば、さつきちゃんが笑いながら答えてくれた。

「出てた、出てた!後、きーちゃんと大ちゃん、赤司くんとむっくんも」

「〜〜〜〜っ! 桃井、せっかく封印していた記憶をなぜ掘り起こしたのだよ!」

「そういえば、ありましたよね」

さつきちゃんが話せば、緑間くんは眉間に皺を寄せながら、テツはあぁ、といった感じで会話を始めた。あの時はとんでもない事になっていたはずだ。

「緑間くん、確か着物…」

「おぞましい企画だったのだよ」

「でも一番笑ったのは青峰くんだったけどね」

「大ちゃん、酷かったよね〜」

「アレ、本当は黄瀬くんが着るはずでしたよね」

「ついつい私もきーちゃんも悪ノリしちゃって。でも本当に似合ってなかったよね、青峰くんのドレス姿!」

緑間くんは思い出したくもないらしく、声が震えている。というか、黄瀬くんが着るはずだったドレスを青峰くんが着て壇上に上がった時は、笑うしかなかった。お陰で私ので腹筋は鍛えられた様な気がした。

「私……ずっと客席で笑ってた」

「うんうん。茉穂ちゃんずっと笑ってたよね」

だって、アレは笑う以外どうしようもない。
それに女装したのは青峰くんだけではない。

「緑間くんもあの時は災難でしたね」

「災難なんてものではない!あんな屈辱もう絶対受けないのだよ!」

まだ当時の事が許せないのか、緑間くんは怒っている。だけど、またしてもカップルコンテストに出る羽目になって、怒ってないのだろうか?
あまり怒らせたくなくて、ついフォローにならないような事を言ってしまった。

「え、でも似合っていたと思うよ? 着物姿」

「似合ってなどいないのだよ!」

「そうかな? 緑間くん美形だし、綺麗だった気がしたけど?」

「は?」

呆然とした様な顔をした緑間くんに対し、あ、失敗した。と思うしかない。

「あ、男の人に対して綺麗って言葉は嫌かな? ごめんね」

「ふ、ふんっ!」

カチャカチャと眼鏡を弄りながら、緑間くんは顔を逸らしてしまった。照れたのか、怒ってしまったのか……前者ならいいんだけど。
だって、耳が赤いし。

「テツは狼さんだったよね?」

「はい。赤司くんが赤ずきんの格好でしたから、僕も着替えさせられました」

「うんうん。女子の間では赤司くんの赤ずきん姿の写真が凄い事になっといたのを思い出すなあ」

「あー、凄かったよね。赤司くん」

「皆さん、なにやら写真撮ってましたよね?」

「うん。だってあの"赤司様"が女装していたんだよ? 写真撮らなくてどうするの?」

「どうするってどうするんですか?」

「記念にしとく。もしくは欲しい人に売る、とか。灰崎くんなんて連写してたよ、笑いながら」

「灰崎くんがですか?」

「けしからん奴なのだよ」

「でも後で虹村先輩にボコられてたけどね」

「「…………」」

当時の事を口にすれば、緑間くんとテツは黙ってしまった。

「写真、結構出回っていたんじゃないかな?」

「なっ…?! そ、それは俺たちもか?」

「多分。黄瀬くんファンとかいっぱい持ってたし」

緑間はあの醜態の写真があるなんて、今の今まで知らなかっただけに衝撃が激しかった。
プルプルと震えていると司会の小金井先輩が近付いてきた。

「はいはーい。次のカップルは緑間と白川さんの二人で───ん? なんかあった?」

「え、あー、大丈夫です。……多分」

多分、声が聞こえてないかもしれないけど。
小金井先輩は「そう?」なんて軽く言った様子でいる。

「んじゃ、気を取り直して。じゃ質問でーす!白川さんは彼氏のどんな所が好きですかー?」

「は?」

「なっ??」

知らされていた質問とは全く違う事に茉穂も緑間も驚きで目を見開いた。

「えーっと……小金井先輩?」

こんな質問じゃなかったですよね?と問えば「そうだっけ?」なんて言ってくる始末。
呆然として答えないでいると観客席がざわついてくる。
早く答えないと、と思うが好きな所?緑間くんの?
顔を上げればパチリと目が合った。
パクパクと口を開ける彼の様子になんだかおかしくなった。
見つめているとパッと顔を逸らされる。結構照れ屋さんなんだな。

「……好きな所、ですか…」

「うんうん」

「……真面目で努力家で、照れ屋な所でしょうか?」

「なっ!」

「おお!じゃあ、彼氏さんの方は?」

「だから彼氏ではっ……!」

否定をしようとする緑間くんと目が合えば、彼は顔を真っ赤にした。

「おお!彼女がさっき言った照れ屋なトコがでた! で、彼女の好きな所は?」

「お、俺は…………その、……だ…」

「へ?なに?」

ボソリと呟いた言葉は聞こえず、小金井はもう一度と耳をすませた。

「ぜ、全部なのだよ!白川は全部愛しいのだよ!」

吹っ切れた様に怒鳴る緑間くんに対して、呆然としてしまった。が、彼はなんと言った?
次第に顔が熱くなるのが分かる。だって、え?

「なんか初々しいねー。じゃあ、次は──」

小金井先輩はニヤニヤしながら、次のテツとさつきちゃんに同じ質問をしている。
さつきちゃんはいつものように「テツくんはとっっっても格好いいんです!」と叫ぶと、テツは若干はにかむ様に「桃井さんはとても可愛らしいです」と言えば、真正面から聞いたさつきちゃんがぶっ倒れた。

「テツくん、しゅてき〜〜…」

テツが意外にもさつきちゃんを抱きかかえ、ステージから去っていってしまった。

「さーて、1組は棄権しましたがどのカップルも熱い! 次はお約束!ここでキスをし「ストーップ!小金井くん、流石にやり過ぎ!」

流石にリコ先輩たちが現れて、マイクを奪った。
リコ先輩が出場者を見て、観客席を見た。
見れば、高尾くんがお腹話抱えて笑っている。黄瀬くんも。青峰くんはしらーっとしている様に見えた。

「ここはみなさんに決めてもらいましょうか! 各カップルが前に出た時に拍手をお願いします。一番拍手が多かったカップルには、料理部が作成したシュータワーを叩いて、ベストカップルと認定します!」

リコ先輩が指差した先には、運んだシュータワーが置いてある。

「では、一番目のカップルから前に出て下さいっ!」

もじもじとしながら、前に出たカップルたちに拍手が起こった。
私は緑間くんを見ることが出来なかった。




To be Continued
act.18


2015/04/23


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