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黒子のバスケ

「……出てきた…」

「あ、」

メンバーチェンジが告げられて、黒子がコートへ入っていく。
秀徳はどことなく黒子を警戒しているような感じで試合が再開された。

(出てきた、ということは新ドライブをやるってことだよね)

何度か練習に付き合ってきた。ボールがツルツルになって、何個か買い換えるくらいになるまで。

「誠凛がペース落としたっスね」

「切り札投入直後はうかつに攻めて取りこぼせば流れは完全に切れるわ」

「……タイミング、計ってるんだよね」

どう仕掛けるのか、皆が目を離せずにいた。
すると黒子が動きだした。走り出した彼にボールが渡る。

「「キャッチ!?」」

隣の二人も驚いている。

(そういえば、ボールを持った状態ではミスディレクションは使えないって言ってたな…)

それはコート内にいる相手チームも知っていたのか、ますます警戒していく。
でも、そんなのは関係ない。

「速いとか巧いとかじゃないんだよね」

「「え?」」

呟いたそれを拾ったらしい二人がこちらを見てくるが、茉穂はただコートを見ていた。
何度も練習した。すっぽ抜けて失敗もしてきた。だからこそ頑張ってきたのだ。
目を逸らしていれば、あっという間であろう。だが、誰もが注目していたにも関わらず、黒子は緑間を抜いた。

「なん、だとぉ──────!!?」

ボールは鮮やかに木吉へと渡り、ゴールを決めた。

「やった!」

「…黒子っち」

「…完成、してる。テツくんのドライブが」

「さつきちゃん、知ってたの?」

「茉穂ちゃんも?」

「うん。練習付き合ってたから」

コートを見れば、黒子は今度は高尾を抜いていた。そしてパスも繰り出す。
黒子が入ってから一気に点をつめて、振り出しである同点に追い詰めた。
残り10分、第4Qが始まろうとしている。

「最終Qっスね」

「あっ」

誠凛はラン&ガンを仕掛けていく。黒子が不在だった時に読まれていたパターンは黒子が入った事で変化を起こしていく。
それでも、一瞬の隙をついて、緑間がシュートを撃つ。限界にきていてもおかしくないくらいだ。
ならば、と誠凛も点を取り、秀徳も点を取っていく。
会場は「誠ー凛!誠ー凛!」「秀ー徳!秀ー徳!」と声援が沸き起こっている。

「すごい声援…」

「本当にすごい…」

隣のコートでも試合をしているのに、会場内からは誠凛と秀徳の応援しか聞こえない。

「…………なんだか、楽しそう、だね」

「そうだね」

「けど、一番楽しんでんのは中の選手なんスよねー。実は。周知が極限まで高まってハイになるっつーか……こう」

隣でブツブツ黄瀬が呟いていたが、茉穂と桃井は声援が大きすぎて聞き取れていなかった。
声援の大きさに周りを見渡していれば黄瀬な大声に身体を揺らしたのだった。

「あ───!なんかバスケしたくなってきたっス!!」

「びっ、くりしたぁ」

「う、ん…」

コート内では、どちらも一歩も譲らずに点の取り合いになっていく。
周りからは「こんな好ゲームそうそう見られないぞ」「終わらないで欲しいな」とまで見入っている。
誠凛は秀徳に逆転されるが、黒子はまたも高尾を新技であるバニシングドライブで抜いていく。
残り5秒でボールは木吉へと渡るも緑間がブロックをし、ファウルを取られた。

『ディフェンス!プッシング!秀徳6番! フリースローツーショット!』

残り2秒。勝負はフリースローに託される。
2本入ってしまえば誠凛の勝ちは間違いない。だけど、それでも備えの為にリバウンドは必死になる。
1投目は難無くゴールへと入る。これで同点となった。茉穂は胸をかき抱く!

「同点っ!」

「…さぁ、運命の1投っスね」

会場内は先程までの声援が嘘のように静まり返っている。
茉穂も胸の前で手を組んで祈るかのように見つめている。
ボールが手から放たれ、ゴールへ入るまでがやたら時間が長く感じる。それは誰もが感じているかのように思えた。だが、ボールは外れた。

『『リバウンドぉぉ!!』』

声が響く。ボールを掴もうと飛んでいた。その中でも火神がボールを取った。そして、再びジャンプをしてゴールへ叩き込もうとしたが、緑間も阻止すべくジャンプしていた。
カチッと音が聞こえた気がした。ビー!とブザーが鳴り響く。

104対104

同点のまま、試合終了となってしまった。

「同点……じゃあ、延長戦?」

「普通ならそうだけど、今大会は時間短縮の関係で延長戦の規定はないの」

「じゃあ、引き分け……?」

同じように会場内は騒めいている。そんな中、誠凛も秀徳もなにかを会話している。
パチパチと観客から拍手が送られる中、試合は両者互角の引き分けとなった。
『すごかったな…』『内容的には実際甲乙つけられねぇよ…』周りからの声を耳にしながら、茉穂はコート内を見つめていた。

「いい試合、だったね」

「うん……そうだね」

《104対104で両校引き分け!礼!!》

《ありがとうございました!》

拍手は鳴り止まなかった。




To be Continued

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