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黒子のバスケ

黒子からのメールに茉穂は誠凛の控え室へと向かっていた。途中で降旗に会って詳しい事を聞けば、小金井がこっそり2号を連れて来た挙げ句控え室から脱走したらしい。

「とりあえず見つかったら、黒子にでもカントクにでもメールしといて」

「うん。わかった、外に行ってみるね」

「ごめんね、よろしく」

申し訳なさそうに言ってくる降旗に「気にしないでいいよ」と言って茉穂は外へと出た。
うーん、どこにいるんだろうと探していると何やら騒いでいる声が聞こえた。
というか、声に聞き覚えがあるのはさっきまで一緒だった人たちの声に似てるから、というよりは本人たちだ。

『寄越すのだよ、桃井』

『なんでー?』

『撃つ』

『ダメッ、ダメー!』

どうしたんだろうと近づいてみると、桃井の腕に見覚えのある姿があった。
「あ、」と声を出すと同時に「すみません。その犬、ウチのです」と黒子の声と重なった。
2号は黒子を見るなり、桃井の腕から降りてトトトトトと走り寄っていく。

「テツくん、茉穂ちゃんも」

「黒子っち!?」

「黒子……白川も…」

「あれ?皆さん。それに茉穂も」

「テツ、2号も見つかって良かった」

「茉穂も探してくれてたんですね、すみません、ありがとうございます」

黒子に抱っこされた2号の頭を撫でながら「テツと同時だったけどね」と言えば「そうでしたか」
と答えられた。
2号はペロリと手を舐めた後、黒子の顔をペロペロと舐めている。
それを見つめていた桃井は「テツくんそっくりな犬が、テツくんに、テツくんに……可愛すぎ……っ!」と悶絶したらしく、くらりと倒れてしまった。

「桃─────っち!?」

「さつきちゃん?!」

黄瀬が地面にぶつかる前に支えたからいいものを頭をぶつけていたら洒落にならない。
茉穂も急いで駆け寄った。
どうしたのか、と心配しているのか黒子も若干驚いているのだろう。

「桃っち─!」

「救急車を呼びましょう」

「そういうこっちゃないのだよ!」

「さつきちゃん? さつきちゃん? 大丈夫?!」

「……可愛い…すぎ……」

声をかけてみるが、譫言のように呟く彼女が心配になってくる。
ぎゃあぎゃあと騒ぎになっているから、誰かが話しかけてきたのに気づかなかったのは言うまでもない。

「おーい、緑間って ん?───なんだ、これ」

呆然とこちらを見てくる高尾に気づいたのは誰だったか。2号が「わん」と鳴いた。
緑間も気づいたらしく、付き合ってられんとばかりにその場から一歩離れた。

「くだらん。俺はもう帰るのだよ」

「あれ!?行っちゃうんスか!?」

緑間の言葉に茉穂は顔を上げた。

「桃井もすぐに起きるだろう」

「それもっスけど─」

「行くぞ、高尾」

「あ……」

「えっ、いや……いいのかよ!?」

黄瀬が茉穂を見ながら呼び止めようとするが、緑間はもう背を向けていた。高尾もそれに気づいたのか声を掛けるが、分かっていない緑間は歩いていった。

(……話せなかったな…)

なんて思っていると、「…黒子」と少しだけ振り向いた。

「ウインターカップでまたやろう」

「…はい」

その様子を見つめていた茉穂はなんとなく羨ましいと少し感じた。
緑間はそれを言うとそのまま歩いていってしまい、高尾はチャリアカーを引いて追いかけていった。
その際に「茉穂ちゃんも行く?」と聞かれたが、首を振った。傍らで黄瀬が「え、行かないっスか?」と入って来たが苦笑いをした。

「高尾くん。試合お疲れ様。友達が格好良かったし感動したって」

「ああ、うん。メール着てたよ」

ははっと笑う高尾に茉穂も微笑した。

「じゃあ、俺も行くわ。じゃあな、黒子、黄瀬クンも」

「はい、お疲れ様でした」

「緑間っちによろしくっス」

高尾は手を振りながら、チャリアカーで緑間を追いかけていった。
そうした後、黄瀬が茉穂に話しかけて来た。

「良かったんスか?」

「はは、いいよ」

「何がですか?」

「緑間っちの事っスよ」

「緑間くんの事、ですか?」

「そうっス! 黒子っちは気にならないっスか!? 緑間っちと白川っち「黄瀬くん」な、なんスか?」

「そろそろ戻ります。桃井さんを頼んでもいいですか?」

黒子は抱っこしていた2号を茉穂に手渡すと、まだ倒れている桃井を抱き起こした。

「へ、あ、構わないっスよ」

「ではよろしくお願いします。茉穂、一緒にいきましょう。先輩たちが呼んでました」

「そうなの? わかった。じゃあ、またね黄瀬くん」

「はいっス……」

茉穂の背に手を添えて、黒子は彼女を促した。自然体だが、どこか不自然に見えたのは気のせいだっただろうか。
黄瀬は桃井を背に乗せると黒子や緑間とは違う方へと足を向けたのだった。



To be Continued

act.28
2015/09/22


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